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Cafe Shelly

Cafe Shelly 不幸の名のもとに

作者: 日向ひなた

 世の中には生まれつき幸福な人と不幸な人がいる。お金持ちの家に生まれて、贅沢三昧な日々を送る人もいれば、貧乏で明日食べるにも困るような人もいる。

 私はどちらかというと後者に当たる。いや、間違いなくそうだ。食うに困るほどではないが、家には間違いなくお金がない。母親は離婚をして、女手一つで私と弟を育ててきた。だから私は小さい頃から欲しいものも買えずにガマンをして生きてきた。

 そんな私も、商業高校を卒業してすぐに地元の企業に就職。そして今年成人式を迎えられる年齢となった。だがここで、私がどれだけ不幸なのかということを自覚する出来事が起きてしまった。

「ねぇ、夏休みはどこかに旅行に行かない?」

 誘ってきたのは一つ上の職場の涼子先輩。彼女はどちらかというと生まれつき幸福な部類に入る人。いつもブランド物のバッグで通勤してくるし、ネイルアートなんていうのもやっている。私はそんなの、見たこともやったこともない。

 そんな涼子先輩が誘ってきた旅行。「グアム」と書かれてあるパンフレットを手にしている。

「ここ、思ったより安いのよ。ボーナスで十分行けるよ。一緒にどう?」

 何の屈託のない笑顔で言う涼子先輩。

「私は…遠慮しておきます」

「えぇっ、そんなぁ。貴子ちゃん、たまには楽しもうよぉ」

 楽しもうって、私にはそんな余裕はない。給料やボーナスは生活費にあてないと。少しでもお母さんを楽にさせてあげないといけないのだから。

 けれど、涼子先輩のようなお嬢様にはそんな苦労はわからないんだろうな。私だって旅行には行きたい。もっと人生を楽しみたい。けれど、そういうのをやってはいけない人生なのだから。私にはそういうのは許されないんだから。

 その後もことあるごとに私を誘う涼子先輩。その攻撃をなんとか避ける私。最後にはこんなことを言い出した。

「じゃぁ、今週末一緒に飲みに行こうよ。私の友達を紹介するから。みんなきさくでいい人ばかりだよ」

 ここまで断ってきたけれど、飲み会くらいならいいかな。たまにしかない私の贅沢でもあるから。

「じゃぁ、そのくらいなら…」

「やったぁ。貴子ちゃん、楽しみにしてるからね〜」

 涼子先輩はどういうつもりで私を誘っているんだろう。悪い人じゃないのはわかっているんだけど、ちょっとめんどくさい気もする。けれど、いつもニコニコして人生を楽しんでいる感じがする。私もあんなふうになれればいいのになぁ。

 そうして週末がやってきた。涼子先輩、朝から「今日は楽しみね」と私に何度も語りかけてくる。それにつられてか、私も今夜の飲み会を密かに楽しみにしていた。

 けれど不幸は襲ってくる。

「えっ、ミスが見つかっただと!」

 電話を受け取った課長が大きな声で叫んだ。うちの会社は建設会社に資材を販売している。以前も発注ミスで大変だったことがあった。課長のこの言葉は、そのときの状況を思い出させた。

 以前のミスのときには、なんとしてでもミスをカバーするために、あちらこちらの資材店から在庫をかき集めてなんとかしのいだ。けれど、そのためにかなり遅くまで残業を強いられた。今回も同じことが起こるのか?

「貴子くん、至急みんなを集めてくれ」

 みんな、というのはウチの課のメンバーをさすのはわかった。うちの営業課は全部で7名。女性は私だけ。残りは外回りの男性社員。すぐにみんなに電話をして、課長から緊急事態だから集まるようにと連絡をした。

 一時間後には全員集合。そして課長から今回の事態の説明があった。

「…というわけで、なんとか明日までに資材を集めないといけない。これは最優先事項だ。よろしく頼む」

 この時点で残業決定。

「えーっ、今夜来られないのぉ」

 涼子先輩の落胆した顔。仕方ないじゃない、私だって行きたいのはやまやまなのに。

「すいません、緊急事態なものですから。みなさんによろしくお伝えください」

 私はそう言って仕事へと戻った。

 私はいつもそう。何か楽しみ事があると思ったら、必ずこういった不幸が降り掛かってくる。子供の頃、楽しみにしていた遠足だったのに雨が降ったり。みんなで食べようとしたケーキをつまづいて落としてしまったり。恋愛だって、ずっと片思いだった相手に彼女ができたり。いつも直前でダメになる。

「とにかくトラブルを解決しなきゃ」

 気持ちを切り替えて仕事に向かう。私の役目は、各営業担当が集めた資材を集計して、順次発注書を発行するというもの。ミスがなければ発注書は一枚で済むが、今回はあちらこちらから資材を集めてまわるので、発注書は相当な数になる。これを電算処理して、さらに先方に確認の電話とメールを送って…とにかく私のところでミスがないようにしないと。

 そうして気がつけば夜の九時を回っていた。資材もあと一か所から集まれば、予定数を確保できそう。けれど、この一か所が困難を極めた。かなり苦戦しているようだ。

「ったく、金丸商店のガンコおやじには参るよ。あそこさえ落とせれば終わりなんだけど」

 営業の山本さんが呆れ顔でそうつぶやく。金丸商店の社長は、この業界でもガンコで有名。自分が納得したところでないと、商品を出さない。しかし、出すときには気前よく、しかも低価格で出してくれる。

 今回もここから商品を仕入れることができれば終わりなのだが。どうやらガンとして動いてくれないらしい。

「金丸社長は何に渋っているんですか?」

 ちょっとした興味もあって山本さんに聞いてみた。するとこんな答えが。

「こっちの事情は理解してくれてんだよ。でもね、今回のがうちの発注ミスってところに引っかかってんだ。そんな間違いをやるようなところには、安心して商品を出すわけにはいかないってね。ふぅ、困ったなぁ」

「ということは、今回のミスがどうして起きたのか、それを説明できればいいんですよね?」

「まぁ、そこにちゃんとした理由があればね。んでも、そんなこと見つけてる場合じゃないっての。金丸さんとこさえウンと言ってくれれば、明日には資材がそろうんだけどなぁ」

「そもそも、どうして今回のミスが起きたんですか?」

 これは正直、謎だった。

「これがさぁ、メーカーのつけた品番がややこしいのが間違いの元なんだよなぁ。ここ見てごらん。ここ、なんて書いてあるかわかる?」

 山本さんがカタログを見せてくれる。

「えっと…”1”ですか?」

「それが違うんだよ。なんとここはアルファベットの”L”の小文字なんだよ。しかも困ったことに、”1”で表記する品番も存在するから。それで間違っちゃうんだよなぁ」

 これはさすがに間違いが起こる。どうしてメーカーはこんなにややこしいことをしているんだろう。山本さんいわく、”L”の小文字なのは古い品番だそうだ。新しいシリーズはすべて数字に統一されているらしい。けれど、古いものもまだ市場に出回っているので間違っていてもそれが流通してしまうとのこと。

「ということは、発注する側が気をつけないといけないってことなんですね」

「うん。けれど今は金丸社長をどう落とすか、ここが問題だよなぁ」

「私、電話してみます」

「えっ、貴子くんが?いやぁ、やめておいたほうがいいと思うよ」

「ダメ元です」

 ここまで不幸を背負っているんだから、ここで怒鳴られたところで大したことはない。それよりも今の状況をなんとかしないと。できることはやっておこう。

 私は思い切って電話をする。夜の九時を回って仕事の電話をかけるなんて失礼なのは承知。けれど、今はそんなことを言っている場合ではない。

「もしもし、わたくしミツエイ建材の坂口と申します。金丸社長様でいらっしゃいますでしょうか?」

「なんや、今度は女がかけてきたんか」

 電話口の相手はぶっきらぼうにしゃべる。これは簡単にはいかないぞ。

「例の資材の件だろう。何度も言っているけど、そんなずさんな管理をやっているところにうちの商品を流すわけにはいかん」

 強い口調で言う金丸社長。だが、ここで引くわけにはいかない。

「金丸社長のご意見はごもっともだと思っております。私もこの点は反省しております」

「なんや、おねえちゃんがミスしたんかい?」

 私のミスではない。けれど、私一人が責任をかぶることでことが収まるのであればそれでもいい。

「はい、今回は私のうっかりミスでこのような事態を招いてしまい、大変ご迷惑をおかけしました。心よりお詫び申し上げます。それを踏まえて金丸社長にはご協力いただけないかと思ってお電話させていただきました」

「そ、そうか」

 電話口の声は、さっきまでの勢いを無くしていた。

「おねぇちゃん、いくつや?」

「えっ、は、二十歳ですが」

「ほうか、まだ若いのに営業の尻拭いさせられて大変やなぁ」

「あ、いえ、私のミスですから」

「わかっとる、わかっとる。そういうことにしとけばいいんやな。よし、わかった。今回はおねぇちゃんに免じて協力したるわ。だが勘違いせんといてな。おたくの会社の管理体制、これはきちんとせんといかん。そこはなんとかするように上のもんに言っときや!」

「はいっ、ありがとうございます」

 なんとかうまくいった。電話を切ったあと、急に力が抜けた。

「貴子くん、大丈夫か?それにしても、どうやら金丸社長を説得できたみたいだね。すごいな」

「いえ、私は何もしていません。ただ謝っただけです」

「それでもすごいよ。とにかくこれで資材は全てそろうぞ。あとは発注伝票を間違いなく出せば終わりだ。貴子くん、ありがとう!」

 この知らせは瞬く間に営業のメンバーに広がった。みんな安堵の表情で営業所に戻ってきた。発注伝票をつくるのは私の仕事なのだが、今回は山本さんがやってくれた。私は戻ってきたメンバーにお茶を入れることくらいしかできなかった。

 最後に課長からねぎらいの言葉をかけられ、今日は解散。時間は夜十時をまわっている。

「貴子くん、今日はありがとう。最後のあの電話がなかったらどうなっていたか。だから、今夜は晩飯おごらせてくれるかな?」

 帰り支度をしているときに山本さんがそう言ってきた。そういえばまだ晩御飯食べていなかったんだった。

「でも、ご迷惑じゃないですか?私みたいなのと一緒じゃ」

「迷惑だなんてとんでもない。むしろ喜んで誘いたいくらいだよ」

 こんな感じで男性から誘われるなんて初めて。けれど、これはあくまでも今回の仕事に対してのお礼であって、別に私に好意を持って誘ってきたわけではない。それはわかっている。勘違いしないようにしなきゃ。

 結局、山本さんの誘いで、山本さん行きつけの居酒屋さんに行くことになった。だが、その道中でまた私に不幸が襲ってきた。

「あれっ、貴子ちゃん!」

 なんと、涼子先輩が数人で一緒にいるところに出くわした。おそらく今夜の飲み会のメンバーなのだろう。

「あれぇ、山本さんといっしょなんだぁ〜。ひょっとしてデートだから断られちゃったのかなぁ〜」

 発注ミスで残業しているの知っているはずなのに。涼子先輩、かなり酔っ払っているみたい。足取りもフラフラだし。でも、明らかに私たちのことを誤解している。

「貴子くんは今までちゃんと仕事をしてくれていたんだよ。だから今夜はボクが食事に誘ったんだ。涼子くん、勘違いしないでくれ」

 山本さんはきっぱりとそう言った。けれど、涼子先輩はこんなことを言い出した。

「山本さん、こんなダサくてにぶくて、お化粧もまともにできない女のどこがいいのよ。もっと私の方を見てちょうだいよっ!」

 あ、やっぱりそうなんだ。涼子先輩、やたらと山本さんのことを意識しているなって思っていたけど。

「ごめんなさい」

 私は思わず謝ってしまった。こんな田舎娘の私が、かっこよくてやさしい山本さんと二人で食事をするってことが間違いなんだ。

「私、帰ります。今日はお疲れ様でした」

 駆け出す私。

「あ、貴子くん、待って」

 山本さんの声が聞こえたが、おかまいなしに走っていく。走りながら、さっきの涼子先輩の言葉が頭のなかで響いた。ダサくてにぶくて、お化粧もまともにできない。そう、それが私なんだ。こんな私が幸せになっちゃいけないんだ。

 気がつくと、涙が出ていた。

「ただいま」

「おかえりなさい。飲み会は楽しかった?」

 家に帰ると、お母さんがテレビを見ていた。お母さんには飲み会で今夜遅くなるって言ってたんだ。

「うん、それが急に残業になって行けなかった」

 お母さんの前では笑顔になろうと努めている。

「貴子、あなた何かあったの?」

 けれど、お母さんは私のことがよくわかっている。隠そうとしてもさっきまで泣いていたことがバレてしまう。

「会社で嫌なことでもあったのかい?」

「ううん、大丈夫。ちょっとだけ気持ちが落ち込んじゃっただけ。お風呂入って寝ちゃうね」

 そう言ってごまかす私。言いながら思った。今の言葉って、私自身の心をごまかしているんだなって。私は今まで、こうやって不幸を飲み込んできた。私が我慢すればいいだけのこと。月曜日にはいつものように、普通に会社に行かなきゃ。

 結局、この日は晩御飯も食べずに寝てしまった。翌朝、びっくりする出来事が起きた。

「えっ、山本さんっ!?」

 スマホを見ると、山本さんから会社の連絡用メールに伝言が入っていた。あわててそれを開く。

『昨日は食事に連れていけなくてごめん

 涼子くんの言ったことは気にしないでいいよ

 もし、今日時間があったら昨日のお礼とお詫びにランチに行きませんか?』

 うそっ、ランチのお誘い?気が動転している。どうしよう。なんか返事しなきゃ。でも、どうして私を?

『昨日はご迷惑をおかけしました

 今日は大丈夫です

 お誘いありがとうございます』

 勢いでそう返事をしてしまったものの、本当に大丈夫なのかと不安になる。また涼子先輩に睨まれるのではないだろうか。涼子先輩とはせっかくいい関係を築いてきたと思っていたけれど、昨日のことで険悪にならないだろうか。不安ばかりが募ってくる。

「お母さん、今日はお昼いらない」

「あら、貴子、どこかに出かけるの?」

「うん、ちょっと」

「ふぅん、デートか」

「えっ、えっ、ち、ちがうよ」

 お母さんの言葉を慌てて否定する。

「貴子って、ホント単純ねぇ。ちょっとカマかけたら、すぐに顔に出ちゃうんだもん。ねぇ、相手は誰なのよ」

 お母さんの前では嘘はつけないな。私は昨日の出来事を素直にお母さんに話した。

「なるほどねぇ、涼子先輩の片思いの彼を貴子がうばっちゃったんだ」

「だからぁ、そんなんじゃないって。単純に昨日のお礼がしたいだけだと思うんだよね」

「ま、そこは自信を持っていいかな。あなたはそれだけの働きをしたんだから。ところで、金丸商店の社長って金丸慶三って名前じゃなかったっけ?」

「うぅん、下の名前までは知らない。お母さん、知ってるの?」

「ま、ちょっとね。それよりも、デートなんだからいつもよりもおしゃれにしていかなきゃ。ほら、寝癖ついてるわよ」

「もう、今からちゃんとするって」

 ちゃんとする、と言いながらもどんな服を着ていけばいいのかわからない。会社では制服だから、通勤のときには動きやすい格好をしている。スカートなんてほとんど履かない。さて、どうしよう。こんなときのための洋服なんて持っていなかったなぁ。

 悩んでいたら、山本さんからメールが届いた。

『どうせだからランチだけじゃなくちょっと遊びに行きませんか?

 動きやすい格好をしてきてね』

 ラッキー!それならいつもの通勤の服でなんとかなりそう。楽しみにしていますって返事をして、すぐに身支度をした。

 すると今度は待ち合わせの場所と時間のメールがきた。11時に駅前の噴水か。あそこは待ち合わせのメッカだからな。早めに行動するとしても10時に家を出ればいいか。

 こうしてその時間までウキウキしながら過ごすことができた。けれど、頭の中では涼子先輩の姿がちらつく。山本さんと二人でいるところを見られたら、今度は何を言われるかわからない。ちょっとだけそれが怖い。誤解されていないといいんだけど。

 不安を抱きつつも、待ち合わせの場所に十分ほど早く到着。驚いたことに山本さん、もうそこにいる。

「遅くなってごめんなさいっ」

「いやいや、まだ待ち合わせよりも早い時間だよ。ボクが勝手に早めに来ちゃってるだけだから。さ、行こうか」

 山本さんのエスコートで、ランチはビュッフェ形式のレストランへと連れて行ってもらった。ここ、ランチにしては高いのに。

「ここなら好き嫌いがあっても大丈夫だと思ってね。さ、遠慮なく食べてね」

 恐縮しながらもランチをいただく。でも、こんなにしてもらっていいのかしら。まだ素直に喜べない。

「貴子くんってふだんはおとなしい子だなって思っていたけど。金丸社長とあんなにやりあえるなんて驚きだったよ」

「いえ、私はただ素直に謝っただけです。私っていつも不幸なことばかり起きているから、謝るのは慣れっこなんです」

「不幸なことばかり?」

「はい、何かしようとするといつも困難が降ってきて。昨日も本当は涼子先輩に飲みに誘われていたけど、急に残業になったし。子供の頃も買いたいものがあってもずっとガマンしてきたし。夏休みも涼子先輩に旅行に誘われていたけど、ボーナスは生活費にあてないといけないから」

「なるほど、貴子くんもいろいろと苦労をしているんだね。でも、ボクは派手にふるまうよりも、堅実に生きている人のほうが好きだなぁ」

「えっ!?」

 好きだなぁ、というセリフを耳にして思わず赤面してしまった。違う違う、私のことを好きだって言ったわけじゃなく、そういうタイプがいいって言っているだけなんだから。

 ランチの後は一緒に街をぷらぷら。どこか喫茶店にでも行こうかということになって、良さそうなお店を探していた。すると、私の目に黒板で書かれた看板が目に入った。そこにこんなふうに書かれてあった。

「苦難・困難は幸せを開く扉です」

 どういうこと?その意味が知りたくて、これを書いた人に聞いてみたくなった。その看板には「Cafe Shelly」と書かれてある。どうやら喫茶店みたいだ。

「ここ、ここに行きませんか?」

「へぇ、カフェ・シェリーか。こんなところに喫茶店があったなんて知らなかったな」

 ビルの階段を上ると、そこには木の扉。山本さんがそれを開く。

カラン・コロン・カラン

 心地よいカウベルの音。同時に聞こえてくる女性の「いらっしゃいませ」の声。コーヒーと甘い香りが同時に私たちを包み込む。なんかいい気持ち。

「こちらにどうぞ」

 私の目から見ても、とてもかわいらしくてきれいな女性店員から、窓際の席をすすめられた。こんな女性に生まれたら、私も幸せだったろうなぁ。今の私はあきらかに田舎娘ってしてるし。涼子先輩もきれいな人だし。ちょっと落ち込んじゃうな。

「このコーヒー、おもしろそうだよ。これ、飲んでみない?」

 山本さん、早速メニューを見て一番上にあるコーヒーを押してきた。そこには「あなたが今、欲しがっているものの味がします」と書いてある。どういう意味だろう?

「この、シェリー・ブレンドというのを二つお願いします」

「はい、かしこまりました。マスター、シェリー・ブレンド、ツー」

「かしこまりました」

 カウンターには渋い男性がいる。このお店のマスターなんだな。あ、そうだ、あの看板の言葉の意味、これを教えてもらわなきゃ。

「あの…」

 女性店員に話しかけようとしたとき、山本さんが先にこんなことを言い出した。

「このお店、すごくいい雰囲気ですね。いやぁ、こんなところがあるなんて、今まで知らなかったですよ」

「ありがとうございます。お二人もとてもいい雰囲気でお似合いですよ」

 女性店員の言葉に思わず赤くなってしまった。

「いえ、私たちは…」

 女性店員の言葉を否定しようと思ったときに、山本さんから意外な言葉が飛び出した。

「ありがとうございます。いやぁ、そう見られているなんてうれしいです」

 えっ、ど、どういうこと?山本さん、否定しないんだ。

「あ、あの…」

 ふたたび看板の言葉の意味を聞こうとした。けれど、私の声が小さかったからなのか、山本さんが女性店員にさらに言葉をかける。

「この、欲しがっているものの味がするってどういう意味なんですか?」

「ふふふ、シェリー・ブレンドには魔法がかかっているんです」

「魔法?」

「はい、飲んだ人が今欲しがっているものの味がするんです。ですから、一人ひとり味の感想が違うんですよ」

「なんだか不思議なコーヒーですね。早く飲みたくなってきましたよ」

 本当にそんなコーヒーがあるんだ。けれど、欲しがっているものの味ってどいういうことだろう。甘いのが欲しいと甘い味がするのかな?

 不思議に思っていたところに、マスターが直々にコーヒーを運んできてくれた。

「おまたせしました。シェリー・ブレンドです」

 早速コーヒーを手に取る。コーヒーってそんなに飲んだことないけれど、いい香りがするのはよくわかる。

 早速コーヒーを口にする。独特の苦味、これがおもったよりも強い感じがした。けれど、その苦味の次に私の舌に広がったのは甘い感じ。なんていうんだろう、苦味を打ち破って甘みが広がっていった。そんな印象を受けた。

 私の人生もそうなりたい。今の状況を打ち破って、もっと幸せな人生を送ってみたい。そんな考えが頭に浮かんだ。

 このとき、あの看板の言葉が頭に浮かんだ。

「苦難・困難は幸せを開く扉です」

 この意味がわかりそうな気がしたが、もう一歩何かが足りない。

「お味はいかがでしたか?」

 女性店員の言葉でハッと我に返った。

「いやぁ、なんかすごく面白い味ですね。最初は普通のコーヒーだと思っていたんですけど、口の中で徐々に香りと味が広がっていく。そして最後はすごく満足感を感じました。こんなコーヒー飲んだことないですよ」

 山本さん、私とは違った味の感想を言っている。

「ということは、今は平凡だけれどそのうち一花咲かせたい、そういう願望がおありなんじゃないでしょうか?」

「えっ、バレちゃいました?ボク、今はしがない営業マンですが、そのうちもっと大きなことやってみたいと思っているんです。そして、そのときには…」

 ここで山本さん、私の方をチラッと見る。女性店員さん、何かを悟ったようで微笑んでから私に話を振ってきた。

「じゃぁ、そちらの方はどんな味がしましたか?」

「私ですか。私は最初に苦味を感じました。けれど、それを打ち消すように甘みが広がってきたんです」

「苦味の後に甘み、ですか。それで何か思ったことや感じたことはありますか?」

「はい、私っていろいろと不幸なことばかり起きていました。まさに苦味の状態です。でも、いつかは甘さが広がる、幸せな人生になりたい。これが私の願望なんです」

「あはっ、まさに今日の言葉と同じだ」

「今日の言葉って、あの看板に書いてあったのですか?」

「そう、苦難・困難は幸せを開く扉って言葉」

「その意味をもっと詳しく知りたいって思ったんです。だから、このお店を選びました。その意味、教えてください」

「意味は言葉通りだよ。あなたが今、不幸と思っている出来事、苦難や困難は実は幸せを開くために起きていることなの。けれどほとんどの人はそこに気づかずに、不幸を不幸で終わらせちゃっているんです」

 不幸を不幸で終わらせている。確かにそうだ。不幸だと思ったらそれ以上のことはなにもしていない自分がいた。

「じゃぁ、どうやったら不幸が幸せの扉になるんですか?どうやったら幸せな人生を送ることができるんですか?」

 その答えが知りたい。どうやったら幸せになれるのか、その方法が欲しい。

「そうですね、具体的に何か今困っていることはないですか?」

「はい、先日会社の先輩に海外旅行に誘われました。ボーナスで行けるでしょって。でも、我が家にはそんな余裕はありません。お母さんと二人暮らしだし、生活費をまかなうのにいっぱいいっぱいなんです。旅行とかで贅沢するなんて、この先できそうにありません」

「なるほど、あなたはそれを不幸だと思っているんですね」

「はい、そう思います」

「でも、ボクはそう思わないなぁ」

 突然、その会話に山本さんが割り込んできた。

「ボクは貴子くんってすごいと思う。親孝行だし、熱心に働くし。贅沢をしないというのは、家計にシビアになれるってことでしょ。だったら、いい奥さんになれると思うけどなぁ」

「私も同じようなことを思いました。確かに私たちは、自分を満たすために贅沢をしたいと思うものです。けれど、まずは周りを満たしてこそ、自分の幸せって感じるものなんですよ」

 周りを満たす。この言葉が私の心を響かせた。

「私、今までいろんなことを周りから押し付けられていました。高校時代とか、クラスから一人文化祭実行委員を出さないけなくて、なぜか私にその役割を押し付けられました。文化祭実行委員って、まったく遊ぶ余裕がなかったんです」

 私はふと、高校時代の自分の不幸を思い出して自然と話を始めてしまった。

「あのときは役割を押し付けられて、自分は不幸だって思ってしまいました。けれど実行委員の仕事は一生懸命やりました。おかげで文化祭は大盛り上がりで、達成感を感じることができたんです。これが今言われた、まずは周りを満たして自分の幸せを感じるってことなんですか?」

「貴子くん、すごいじゃない。ボクはそういう縁の下の力持ちのようなところ、とても好きだな。普段からボクたち営業マンを縁の下で支えてくれる、貴子くんのような存在がいるからこそ、成果を出すことができるんだ。この前の金丸商事のこともそうだし。あそこの社長を口説いてくれたのは、とてもありがたかったからね」

 山本さんからそんなふうにほめられると、顔が赤らんでしまう。このとき私は幸せを感じることができた。

「金丸商事の社長さんって、このお店にもよく来られますよ」

 マスターがそう言ってきた。話は続く。

「金丸さん、ガンコで厳しい人ですがとても人情の厚い方だと私は思っています。涙もろいし、親切な方ですよ」

「へぇ、意外だなぁ。ボクは何度か金丸社長にはお会いしたことがありますが、商談の場ではコストや納期にとても厳しい方だと感じています」

 そのとき、お店のカウベルが軽快に鳴り響いた。

「いらっしゃいませ。あっ!」

 女性店員が思わず声を上げた。その方向を向いて、私も声を上げてしまった。

「お、お母さんっ!」

 驚いたのはそれだけではない。山本さんの言葉がさらに衝撃的だった。

「金丸社長っ!」

 なんと、私の母と金丸社長が一緒に入ってきた。私は金丸社長を拝見するのは初めてだったが、どうして母と一緒なのか、そこが理解できなかった。

「あらら、貴子がまさかこんなところにいるなんて」

「えっ、じゃぁこの子がさっき話してたりっちゃんの娘さん?」

 りっちゃんとは私の母のこと。

「そう、慶三くんの電話の相手。っていうか、慶三くん、貴子の言葉に感動しちゃったんでしょ?」

 どういうことだろう。とりあえず二人はお店の真ん中にある三人がけの席に私たちの方を向いて座った。なんか緊張するな。

「マスター、いつもの二つ」

「かしこまりました」

「あなたたち、このお店はいつも来てるの?」

 お母さんがそう質問する。

「私たちは初めて。たまたま通りかかって入ったの。それよりも、どうしてお母さんと金丸社長が一緒なの?」

「りっちゃん、まだ話してなかったの?」

 金丸社長がお母さんの顔を覗き込みながらそう言う。このとき、お母さんはちょっとひきつった笑いをしている。

「ま、まぁもうちょっとしてからって思ったから。しかたないなぁ、もうここで話しちゃうか。貴子、慶三くんとは高校時代の同級生でね。慶三くんも五年前に奥さんを亡くしちゃって。それでね、今おつきあいさせてもらってるの」

「えぇっ!」

 これには驚いた。お母さんの話は続く。

「私ね、離婚をしてからなんとかしてあなたたちを育てなきゃって必死だったでしょ。昼も夜も働いて、それでやっと生活できるくらいだった。そんなとき、新しい事務の求人が出ていたから面接に行った会社が慶三くんのところだったの」

「ここからは私が話そう。面接の時に久しぶりにりっちゃんに会って驚いたよ。高校時代のマドンナが、やつれて見る陰もなくなっていたからね」

 お母さん、マドンナだったんだ。

「りっちゃんの姿を見て、なんとかしてあげたい。私はそう思ったんだ。だからといってウチで採用してしまうと、周りからひいきをしていると思われるかもしれない。だから、りっちゃんに別の会社を紹介したんだよ」

「あ、それで今の仕事をしているんだ」

 母は今まで肉体労働中心の仕事をしていたけれど、今は事務の仕事をしている。おかげで楽になったと言っていたのを覚えている。

「それでね、慶三くんにお礼をと思って足を運んでいるうちに…ね」

 母は金丸社長の方をちらっと見た。なるほど、それが高じてつきあうようになったんだ。

「災い転じて福となす、という言葉があるがまさにこれがそうだと私は思っている。りっちゃんは今まで苦労をしてきたけれど、その苦労を私の手で幸せに変えてあげたい。りっちゃんは苦労をしたからこそ、今の力があると思っているからね」

 苦労をしたからこそ、か。でも、私はそんな苦労なんかしていない。

「社長、すばらしいお話ありがとうございます。ボクは勇気が出ました。ボクも今、まさに同じ気持ちだからです」

 山本さん、金丸社長の話になぜか猛烈に感激をしている。そして急に私の方を向いた。えっ、今から何が始まるの?

「貴子くん、君が入社してからボクは貴子くんの働き方をずっと見てきた。地道にボクたちの仕事を支えて、すごくありがたいと思っていた。だから、貴子くんが困った時の支えになってあげたい。今はそう思っている」

 山本さんの目、すごく真剣。このとき、シェリーブレンドの味を思い出した。今までずっと苦味を感じてきたけれど、今この瞬間、甘みが広がっている。

「山本くんだったよな。ほら、もっと肝心なことを言わなきゃ」

 金丸社長が山本さんをけしかける。肝心なことってなに?

 山本さん、今度は私の両手をとって、さらに私との距離を近づける。

「貴子くん…」

「はい」

「好きです。つきあってください」

 このとき、頭の中が爆発した。こんな告白、生まれて初めて。私なんかが恋してもいいのかしら。すごくとまどう。

 お母さんの方を見る。すると、にっこりと笑ってうなずく。山本さんの気持ち、受け入れてもいいんだよね。それを確信した。

「はい、よろこんで」

「おめでとぉ!」

 金丸社長が山本さんに抱きついてきた。マスターも店員さんも拍手を贈ってくれる。お母さんは涙ぐんでいる。

「貴子くん、ありがとう、ありがとう」

 山本さんも涙を流している。

 一騒動も落ち着いたところで、山本さんがこんな話をしだした。

「貴子くんは自分のことを不幸だって言っているけど。ボクこそ不幸だって思っていたよ。運がなくて、常にダメ人間の烙印を押されていたんだ」

「そんなことないですよ。山本さん、営業成績だって悪くないし、それにカッコイイし…」

 最後の方はちょっと照れながら、小さな声でボソリと言った。

「ありがとう。でも事実なんだ。いや、事実だった、かな。よくピンチはチャンスって言うじゃない。ボクの営業成績が悪いのは、自分自身の言動を見直すいい機会だったんだ。ボクは今まで、営業で傲慢に接してきたことに気づいたんだよ。上から目線で『おたくの商品をうちが売ってやる』という態度をとっていた事に気づいたんだ」

「そういえば君が我が社に来た最初の頃はそうだったなぁ。まったく、鼻持ちならない若造だと思ったもんだよ」

 金丸社長がそう言うのだから、山本さんはそんな態度をとっていたんだろう。今の私には想像がつかない。

「そこに気づいて、自分の悪いところを素直に変えていったら。今ではおかげさまで営業もかなり楽になって、いい成果を出せるようになったんだ」

 山本さんも苦労したんだ。

「まさに、困難・苦難は幸せを開く扉ですね」

 私は看板に書かれてあった言葉を思い出した。そうか、そうなんだ。私が不幸だと思っていた出来事はすべて、それを乗り越えれば幸せになれる。そのための門だったんだ。

「貴子くん、ボクも今その言葉を思い出したよ。ボクね、ずっと貴子くんを見ていて、どうにかして幸せにしてあげたい。それを考えていた。そんなときにチャンスが訪れたから、勇気を出してこうやって誘ってみたんだ」

「ハッハッハッ、君もなかなかやるやないか。実は私もりっちゃんをこうやって誘ったときに同じように思ったもんや。だからね、あらためて私も勇気を持って言うよ」

 今度は金丸社長、お母さんの方を向いてさっき山本さんが私にやったことと同じようなポーズを取った。

「あらためてりっちゃん、一緒にならないか。こんな歳を取ってしまっているけれど、りっちゃんをきっと、いや間違いなく幸せにしたる」

「慶三くん、わざわざ娘のいる前でプロポーズだなんて。ホントにバカなんだから」

 お母さん、笑いながら涙ぐんでる。このとき、私の頭のなかにはお母さんがずっと苦労をしていた姿が思い起こされていた。私も思わず涙ぐんでしまう。

 こうして私たち親子が、不幸だと思っていたところから幸せへと歩みだした時を過ごすことができた。

 不幸というのは自分の意識がつくっているもの。本当はそこにはきちんと幸せに続くための道が用意されている。そこに気づくかどうかが問題であるということが、今回のことでよくわかった。

 とはいっても、私には一つだけ気がかりがある。

「山本さん、涼子先輩のことなんですけど…」

「涼子くんかぁ、困ったな」

 涼子先輩、山本さんに恋い焦がれているのは昨日の夜のことでよくわかった。その気持ちを知っていながら、私が山本さんと付き合うというのは気が引ける。

 当然ながらお母さんや金丸社長が何のことだと聞いてきた。そこで昨日の夜のことを一通り話してみると、金丸社長からとんでもない提案が飛び出した。

「山本くん、我が家には娘が一人おるんやが、自分のやりたいことがあるといって海外に行ってしもうとるんや。やから、娘婿に会社の跡継ぎを、なんてことは期待できん。けれど、りっちゃんと私が一緒になれば、娘である貴子ちゃんは私の娘になる。ということは…」

「あ、ボクが貴子くんと結婚しちゃったら…」

「そうや、あんたは私の息子になるわけや」

 山本さん、顔つきが急に変わった。さっきまでは優しい笑顔だったのに。今は真面目なビジネスマンモードになっている。

「私には跡継ぎがおらん。山本くん、どうや、いっそのこと貴子ちゃんと一緒になって、我が社にきてくれんか?」

 急に話が進んでしまい、私の気持ちが追いついていない。けれど、決して悪い話ではない。って、よく考えたら山本さんに告白されたばかりなのに、もう結婚という話にまで発展しちゃってる。私、まだ二十歳なのに。

「さすがに即答はできませんが。なにしろ、結婚となると貴子くんの気持ちの問題もありますし。それにボク自信の覚悟もまだ…」

「今返事をくれとはいわん。よく考えたら、私もまだりっちゃんと入籍しとるわけじゃないからな」

「じゃぁ慶三くん、帰りに役所によって婚姻届とってこようか。さすがに印鑑は持ち歩いてないから、すぐに入籍ってわけにはいかないけど」

 お母さん、あっけらかんとそう言い放つ。なんだか恐ろしいほどにトントン拍子に事が運ばれていく。

 不幸だと思っていた私の人生。今、この瞬間に全てが好転し始めた。

 私がなにを変えたわけじゃない。変えたのはこのシェリーブレンドを飲んでからの意識の問題だけ。

 この日から私の生活は変わった。不幸の名のもとに生きてきたと思っていたけれど、不幸は幸せのために訪れるものと感じられるようになってきた。

 ちなみに、涼子先輩の山本さんへのあからさまなアタックが始まったけれど、山本さんはそれを軽やかにスルーする。山本さんいわく、これも困難の一つだけれど、自分のコミュニケーションの修行だと思って対応しているということ。ちょっと笑えるな。

 お母さんも金丸さんとの入籍を済ませ、私たちは金丸社長のところに引っ越すことになった。今までとは違う生活が始まった。お母さんは金丸商店の事務仕事をやりながら社長を支えていくとのこと。

 さて、私は…まだ山本さんからちゃんとしたプロポーズを受けたわけではないけれど。山本さん、水面下で着々と会社を辞めて金丸商店に移る段取りを進めている。もちろん、簡単にはいかないので一年は待って欲しいと言われた。

 ということは、一年後には私にプロポーズしてくれるってことかな?

 その日を夢見て、今日もいろんな試練に立ち向かう。これが明日の幸せを開く扉だと確信して。

 苦難・困難は幸せを開く扉、この言葉をしっかりと胸に刻んで、毎日を楽しんでいかなくちゃ。


<不幸の名のもとに 完>

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