迫り来る災難
二章に向けてのプロローグ回です
あの事件から早十年の時が流れて今ではすっかり見違えるような綺麗な王国になった
勿論白と黒の境界線は崩れ去った
そしてアダムとイヴとそれからそれ以外の民全てが仲良く平和に暮らしている
因みに王国の名前は満場一致で”エリューシュオン”になった
それから今までに色々な出来事があったので話そうと思う
まず最初に俺とヴァイスの間には2人の子供が出来た
名前はノワールとノエルという子供が生まれた
俺達アダムとイヴの子供は例がいなく男性体で生まれてくるのだ
それは後々神様に会い直接聞くことになったんだよね
あの時は本当に驚いたよ
そしてこの国の名前にもなった城がある地区が”エリューシュオン”である
王族になってしまった父さんと母さん、それから俺達家族が住んでいる所だ
城とはいうものの・・・どちらかと言えばパ○テノン神殿の様な作りに近いような・・・・・
仕事着としてそれぞれの色をした軍服が用意されたのだが、夫婦揃って同じ色を着ている人もいる
俺もその一人でヴァイスと同じ黒の軍服を着用している
それ以外は普通の人たちと同じように生活をしている
そしてウチの国民は力の大小はあるけど等しく力を持った人間になった
俺達は禁断の果実の中で二種類を国民全てに等しく分け与えた結果そうなったのである
これも女神様の薦めで行ったのだが思わぬ嬉しい誤算だ
その為俺の国はある意味でファンタジー世界の様な光景が広がっている
なんでそんな風に思うのかって?
それがですね・・・・
それはとある日午後の事
俺は父さんと母さんとそれからヴァイスと四人でお茶の時間を楽しんでいたとき
この城に何か欲しい場所はないか?と父に質問されて
「そうだな・・俺は俺が見た神様の像とか建てた神殿が欲しいな
俺としては感謝してるし・・あっ!それと母さんと父さんが見た女神様のも一緒につくったら?」
「まぁ!それは素敵ね!?私達が見た女神様はこんな感じよ」と母さんが紙に絵を描き始めた
「そうそう。こんなかんじだったな」
「俺達の方はこんな感じの男性の神様だったよな?」とヴァイスもサラサラと描き始めた
やだ!ウチの奥さん・・・・絵も上手いのか
「うん。俺達のはそんな感じの神様だよな。どう?建てない?」
「「「いいんじゃない?」」」
そんな感じの軽いノリでエリュシュオンと街の中に神殿を建てた
そこに二体ずつ銅像を奉納した
そして一応供物を捧げるようの大きな台座を用意した
エリュシュオンの神殿の方にはなぜか俺達の禁断の果実が成り終った木が一緒に奉納された
なんでも・・”最初の子供が生まれた記念すべき木”だからだそう
ご神木見たいな扱いのようだけど、なんだかおそれ多い気もする
それからその他にもその神様の絵が描かれたものが街に多く出回り各家庭でも飾っているらしい
そのお陰なのかは知らないが・・・
俺達夫婦が神殿に入るといつもと違う空気を感じ取った
景色は変わっていないのに。こう・・・違う世界にいるような感覚だ
”こんにちは。二人ともあの日以来だね”
”はじめまして、よろしくね”
は?え?銅像が・・・・動いてるッ!?
”ウフフフフ・・驚いてるわね!
改めて、私はアルテミス・・私は夜の女神。それから森の神であり出産の女神でもある
女神よよろしくね♪”
”私はタナトス。冥府にいる死の神だ
寿命を迎えた人々の魂を冥府につれていき、死を司る神だ”
ほうほう・・・で?
何故にこうなった・・・?
”実はね・・私達貴方に伝えたいことがあって来たのよ
本来ならばここに来るのは難しくて手をこまねいていたのだけどね
貴方達が私達を信仰してくれたお陰で道が開けたのよ!
本当に助かったわ!”
”そうだな、本当に助かった
異世界の神である我らが他の世界に干渉するのは本来は難しい
しかし、信仰するものが多くいれば話は別だ
私たちもその世界の神として認識される”
そんな事になってたのか・・
俺達はただ助けて貰った神様を信仰しただけに過ぎなかったんだけどな
「それで、お話とはなんでしょうか?」
”それわね
実は私達の世界の魂をこの世界の女神が誘拐してしまって・・・魂の数が合わないのよ
私も彼も魂を管理する神様だから、困ってるの
魂の数が減れば世界のバランスが崩れてしまうわ”
”私が迎えにいった魂を目の前で拐われてな
私はそんな軽率な事をした女神に非常に腹が立っている
あのマリアとかいう女は前世の記憶はなかったものの、この世界の魂ではなかった
そしてまだ他にも数人・・この世界に異世界の人間がいるのだ”
”そうなのよね・・・
それでね、その異世界人を見つけたら報告だけして欲しいの
回収とかそういうのはいうのはいいわ
とにかく現状を把握したいのよ”
そりゃ・・大変ですね
ってかその女神・・・女神さまとか呼びたくないな・・
魂を誘拐って、それ犯罪ですよね?
「そんなアホな事をする女神もいるんですね・・・
わかりました。もし見つけたらすぐにここに報告に来ます!」
”ありがとう・・それとね。実は・・あなた達も被害者なのよ
前世の記憶はもし必要であればなんとかしてあげたいけど・・もう少し時間がかかるわ”
”そうだな。お前達の魂も誘拐されたのだが、私達二人が気がついてなんとか加護を与えられた
ただ・・その時の弊害か、前世の記憶が受け継がれなくてな。すまない”
「いいえ!神様達が悪いわけじゃありません
それに今俺達は幸せです!それで充分です!」
「そうだな。俺もお前と家族がいればそれでいい」
”なんていい子達なのかしら!”
”本当にな”
「お願いがあるとしたら、これからもお二人に俺達を見守っていて欲しいです
それとお二人は何が好みですか?
うちの国民が何を捧げたら喜ぶのかなって気にしていましたので・・教えて頂けると助かります」
”あら?お願いはそんな事いいの?
それに・・・・そうね、私は森の神でもあるから美味しい果物や小麦を使った料理がいいわ”
”私は・・・酒や銀等で作られた装飾品等が好ましい・・・”
「わかりました!そのように伝えておきますね」
「料理と装飾品か・・・母上や息子と作ろう」
「そうだね。それがいいよ」
”ウフフ・・仲が良くて素敵ね!
それじゃあ私達はこの辺で変えるわね。また何かあれば遊びに来るわ”
”そうだな。では・・・また”
そういうと妙な雰囲気は消えていつもの神殿に戻った
と・・・いうか
流石神様・・・・オーラが半端ない
「祈りを捧げたら帰ろうか」
「そうだな。あと次いでに買い物をしてもいいか?」
「捧げる物を作るんだろう?俺も手伝う」
「うん。家族で作ろう」
俺とヴァイスは手を繋いで街に買い物に出掛けた
次いでに街の皆にも神様の好むものを伝えると喜んだ
それから各家でそれぞれ絵の前に供物を捧げて、それから神殿にも足を運ぶ
その次の年からは豊穣祭と称して俺とヴァイスが神様と出会った日にはお祭りが行われるようになった
実は神様と会って以降・・ベビーラッシュが起きたのだ
それから俺達は病気や事故などの不慮の死以外では死ななくなった
死の代わりに寿命が来ると100年間の眠りに付き、100年経つと目を覚ますというサイクルになった
因みに俺達アダムとイヴは番を得た年齢以降は大体20歳~30歳程度の容姿で止まる
それ以降老けることはない、但し怪我や病気にかかり死ぬということはあるらしく不死ではない
死んだ場合は記憶を引き継ぎまた生まれ変わるのだ
それも後で神様に聞くと加護の力でそうなったらしいと教えてくれた
そして今までの予言について聞いて見たことがあるのだが
あれはアルテミスさまが行った予言らしい
なんでも異世界の人間はこの世界の住人よりも何らかの能力に長けているらしく
それに対抗すべく行った措置だったそう
と・・言うことはだ
この世界の女神は誘拐の常習犯ということに・・・ダメじゃん!
それに比べてあの二人の神様は素晴らしいと改めて痛感した
それでそんなこんなで色々あったわけだけど
あの神様達のありがたいお言葉と忠告がこんなに早く災難として降りかかるとは思わなかった
本当にこの世界の女神様ロクな事しないなッ!
次回から本編に入ります