7.聖戦
今回はこの章の最終回です
主人公とヴァイスVSマリアの最終決戦です
俺達は見た目は豪勢だがえらく無機質で不気味な城の中を歩いていく
廊下にはあの女の肖像画と父アダムの肖像画が並べられている
俺はそれを見た瞬間に炎で焼き付くした
ぼうっ!と音を立てて一瞬で灰になる
それからあの女を探して廊下を歩いていると
一匹の綺麗な蝶がひらひらと俺達の前に来てこっちだと言わんばかりに前を飛んでいく
俺はこの蝶に着いていき歩いていく
すると大きな扉の前で蝶はふっ・・と消えてしまった
俺は目の前の大きな扉を開けると・・・・・そこには何かの装置に入れられている父を見つけた
その前にはあの女がいて
「アダム・・・私の・・アダム・・誰にも渡さないわ・・」と恍惚の表情を浮かべていた
気持ちが悪い・・虫酸が走る
「父さんから離れろよ!気持ち悪いッ!」
「チッ・・どうしてここが・・まぁいいわ!
ふふふふ・・・彼の目の前であなた達を殺してあ・げ・る」
女は注射のようなものを取り出して
「これがなんだかわかるかしら?
これは禁断の果実の中でも・・・最後の果実よ
これで私は強く、そして美しくなるのよ!」
「そんなものを刺してどうなる?
アンタのそれは扱うことは不可能さ」
「あら・・そんな事ないわ!だって・・はら、あたしも仕方なくだけどイヴの因子を移植したの♪
だからこれを扱えるのよ!見てなさい!」
彼女が注射をすると
彼女の髪が長く伸びて背中には羽が六枚羽えた
そして彼女の魔力の桁が上がっていく
「ふふふふ・・・私はこれであなた達を越えたわ!
それに今の私は天使よ・・・素敵でしょう?」
俺達はその姿を見たが・・・何も反応しない
「何よ!その反応はッ!いいわッ、殺してあげる!」
彼女がそう叫ぶと三ツ又の槍を俺達に向けて来た
「これは偉大なる海の神の槍と同じよ!死になさいっ!
”絶望の槍”ッ!」
俺とヴァイスは
「「共鳴」」と叫んだ
そして大きな鎌で彼女の槍を弾き返すっ
今の俺は黒く長い神に血のように紅い瞳、それから黒のローブを纏っている
手に持っている鎌は上と下に刃が付いた両刃で黒い棘と薔薇が付き長柄は人骨で頭蓋骨が不気味に光る大きな鎌だ
「な・・・何よ!何で!何で私の攻撃が通用しないの!」
彼女は翼をバサバサと振り乱しながら何度も槍をつき出してくる
「この!この!死になさいよッ!それに何よその姿!」
「俺達の力さ」
「お前達なんて最後の番号の癖にッ!あり得ないわ。いったいどんな事をしたの!」
「なにもしていないさ
俺達は確かに666人目さ・・・だからだよ」
「どういう意味よ!」
「俺達は666人目
俺達は666は黙示録を意味する
その意味は俺達アダムとイヴという”人間の体の復活
女神様からの信託を守り”最後の審判”
そして”新天地へ”と導くもの
それが俺達666人目の役目さ」
なんですって!
そんな・・・・そんな意味があるわけないわッ
「そんなのはハッタリよ!嘘言わないでッ!
アンタが神の使いですって?神の使いは私よッ!」
「フフフフ・・・そんな攻撃じゃぁ・・届かないよ」
「馬鹿にして・・・忌々しい・・・
これはどうかしら!凍てつきなさい”凍土の嫉妬”ッ!」
「”憎しみの火葬」
俺は氷の魔法に対し、炎の魔法でそれを溶か尽くす・・・
「ちっ・・・!早く死ねばいいものを!」
「死を誘う毒蛇」
黒い蛇が女の足元から絡み付き這い上がっていく
「ヒッ・・・何よこの蛇ッ!」
女が槍で蛇を殺そうとするが・・・・切れないのだ
見える蛇・・だが切れない
「いやっ!なによこれっ!切れないわ!何で!」
「その蛇は冥界の蛇さ・・お前が死ぬまでその蛇は消えることはないよ」
「なっ!私は・・こんなところで負ける分けないわッ!」
なおもみっともなくあがき続ける女
「私は・・死なないわっ!く・・・・死な・・・な・・・」
身体中を蛇に噛まれた女はやがてそのままパタリと床に転がった
そして俺を睨み付けて来る
「どうし・・て・・・あの果実で・・強くなったの・・に」
「あの果実は俺達アダムとイヴが揃ってはじめて口に出来る果実だ
お前の様なものには毒になるもの
過ぎたる力は身を滅ぼすってね」
「なぜ・・お前達は・・・生きているッ!」
「いったろ?俺達が揃ってって
俺も俺のイヴもお互いが番になったその時にお互いの力を取り込んだ
つまりお互いが揃ってはじめて完全体になれるのさ
そうなったときこの果実の本当の意味を理解するのさ
お前が接種した果実は紛い物さ
本当の禁断の果実には力を増幅させるような効果は・・・・・ない」
「うそよッ!じゃあ何で私はッ!」
「お前の体はイヴの因子で蝕まれていっただけさ
人から魔物に近いからだへと・・・
そこにさらにイヴの因子を接種したアンタはそんな姿になった
どんな奇跡なのかは知らないが・・魔物にならなかっただけさ」
「そんな馬鹿なっ!」
「自分の姿を見てもそういえるか?」
鎌の刃に女の顔を見せると・・・・
そこには到底美しいとは思えぬ醜い醜女で禍々しい黒い山羊の様な角が生えてボサボサの髪
それから長い爪と黒くくすんだ六枚の羽・・・まるで悪魔のようだ
「イヤァァァァ!」
「さて・・そろそろ終わりにしようか」
「殺されて・・なんて・・やるものかッ!」
”おやおや・・・まだ生きていたのかい?しぶといねぇ・・
でもね・・これでやっと君を冥界につれていけそうだ
ご苦労だったね・・ヴァイスくんもシュバルツくんも”
突然俺の持つ鎌の骸骨からヌゥ・・・とヴァイスと似たような容姿の美しい男が現れた
「っ!」
”さてと・・もうおやすみ・・・死の呻き声”
ヴゥゥゥ・・ギィヤァァァ!と死の間際の絶叫の様な声が聞こえた
すると女は事切れた人形のようにドサッ・・と倒れて息耐えた
そしてさらさらと灰になると目の前の男の持つ小さな小瓶のなかに吸い込まれて行った
”さてと・・・君達には面倒をかけたようだね
でもね・・君達への試練はこれでおわりじゃない
寧ろこれからが本番さ
この女はイレギュラーな存在でね。私達も中々手が出せなかったんだよ
君達のお陰でこうして回収できた。ありがとう
今日は先を急ぐ・・君達への俺は今度させて貰うよ。じゃあね”
といって煙のように消えてしまった
「「解放」」
「ふぅ・・終わったようだな」
「そうだね。ようやく、父さんを助けられる」
俺達が奥にいこうとすると
「あら?こっちも終わったようね」
「そうみたいだな」
「ママ~お祖母ちゃん凄く強かったよ!」とノワール
ノワール曰く俺とあの女が戦ってるときにあの強化兵みたいなやつらが父さんを連れ出そうとしていたらしい
そこを母さんがボコボコにして父さんを保護したそうだ
あ・・・・母さん、そこ・・ついてるよ?
何が?って・・ほら赤いの
”あらやだ・・・なんかついてるわね?何かしら?”ととぼけるのだ
「どれどれ・・・本当だ。私がとってあげよう♪」
寝起きのハズの父さんはというと・・のんきにいちゃいちゃし始めた
「しかし、目覚めてすぐに孫と会えるなんて・・思っても見なかったよ
なんか変な感じだけど、はじめまして息子達」
「うん。お帰り父さん」
「お帰りなさい、父さん」
「お祖父ちゃん、おかえりなさい?」
「ありがとう。ヴァイスにシュバルツ。それから可愛いノワール」
ノワールはアダムの腕に抱き上げられて皆でこの建物を出た
そして不思議な事に俺達が建物を出るとその建物は見事に崩れ去っていく
「うわ・・・崩れちゃった」
「そうだな。まぁ・・いずれは壊すんだ。必要ないだろう」
「「そうだね」」
それから俺達がもとの住みかに向かって歩いていく
すると・・エデンの町は閑散としてそこかしこに人形の様な強化兵が転がっている
そのまま俺達は皆のもとに向かって歩いた
そして大きな門を開くと・・・・
「「「「「お帰りなさい!!」」」」」
そこには664組のアダムとイヴが揃っていた
俺達は
「「ただいまっ」」と彼らの輪の中に入っていく
それからは皆で再開を祝してお祭り騒ぎだ
それぞれが愛しい人と出会えた再開を喜び、そして改めてお互いの愛を確かめあった
それからはあれよあれよと色々な事が決まっていく
まず俺を含む、上位ナンバーを持つもの達を中心にこの国を纏めていくことになり
この度父さんは王様に母さんはその后になった
そして上から数えて20番目までの兄と俺達夫婦を中心に纏める事になった
俺達エデンとゲヘナは統合しなくなった
その代わり新しい”エリュシュオン”という名前の場所が出来た
そこには俺達の様な番が住む城があり、そして様々な研究をしたり色々な施設がある
勿論門はあるが住民との関係は良好だ
そして俺達の国の周りには大きな壁が建設されて外界の国からは事実上の孤立状態
後に詳しく調べてわかったのだが、あのマリアという女は他国からの患者だった可能性が高いのだ
そのため今回の内乱の原因である他国ないし・・その血筋が入ることを嫌いそうなった
そしてもうひとつ、父さんからの話によると他国は俺達の信託を信じておらず馬鹿にしていたそうだ
それにうちは記憶を取り戻し、力の戻った人達のお陰で自給自足が出来るために何の問題もないそう
因みに俺達の様な人間以外の普通の民も多く暮らしているが、そのもの達も多少の力が使えるようになったのだ
そう・・例の果実のお陰でだけどね
しかもあの果実の恩恵はこの国の民にのみ有効らしい
というわけでますますなんの問題もなくなった
そんなこんなで今のところ俺達の国は栄えているのだ
そして嬉しい事に俺達の息子達はすくすく育っている
ここが俺達の新しい”楽園”
これから先何があっても俺達はここを守って行きます
女神様・・どうか我らを導きたまえ
はい・・
とりあえずこれで一旦は終了です