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②第一話『Transaction』




「おうおうおうおーう! 旦那旦那〜、むっちゃ話題の的じゃないっすか、ほれほれ〜♪ アレはボクでした〜ってカミングアウトしちゃえよ〜! 一気に人気者の仲間入りだぜ〜レンレン♪」


 いつも通り教室の隅で大人しくだらけていると、ウザいのが話し掛けてきた。

 まぁ、昼休みになったって時点で、千秋のバカがちょっかいかけてくるだろう事は予測できていたわけだが……。

 得意気なニヤニヤ顔とか、妙に勘にさわる猫なで声とかが、スッゴいウザい。

 しかも、こんな往来の場で……取っ付きたくない話題を振ってきやがるし……。

 これはもう、アレだな。


「千秋……」

「ん〜♪ どしたどしたぁ〜♪ やっぱ人気者は辛いよ〜ってか!? 贅沢な悩みだね〜」

「頼むから……一発でいい」

「えっ! アタシにヤらせて欲しいってこと! もー、レンレンってば不潔〜♪ や〜らし〜♪」

「ちょっと本気で殴らせてくれないか?」

「や〜だよ〜んだ♪」

「……ちっ」


 ホント最悪だ。

 まさか昨日のアレ――昨夜の戦闘だけで、これほど噂の的にされるとか……予想外にもほどがある。

 今朝も登校中にチラホラと、噂話を耳にする事はあったが……校内に入ったらもう、それどころではなかった。

 クラスの大半が『Re:GAME〈ゲート〉』ユーザーな訳だから、もう彼方此方で『ノワール』の話題に花を咲かせるばかりである。

 邪推や真偽がほとんどとはいえ、……静かな日常を理想とするオレとしては、もう気が気ではない。

 なにより、ことの真実を知る千秋このバカが何を言い出すかわかったものではないのだ。


 コイツがいなければ、すべてを無視するだけで平穏に過ごすことが出来たというのに……。


「いや〜、人気者は辛いッスね♪ 旦那!」

「今すぐ黙れ」

「うへ〜……。そっけね〜」

「そんなことより、今日で転校してきて2日目だろ。友人の1人でも出来たかよ?」

「無理! つか、アタシにはレンレンがいるからいいんだって♪ 信頼してるぜ! 相棒!」

「誰が相棒だよ誰が」

「アタシに惚れても、いいんだぜ♪」

「ぶん殴るぞテメェ」

「やーん♪ レンレンってば、容赦なぁ〜い♪ 超DVじゃ〜ん」

「…………」

「……ちょっと、マジでドン引きしたような目でコッチ見ないでくれます? いくらアタシでも傷付く時は傷付くんだよ……?」

「そう言うならせめて態度くらいは改めてくれませんかね……」

「敬語もやめろよ! よそよそしいとか、寂しいじゃん!」

「……たくっ」


 まぁ、いなければ……ってのは撤回する。

 オレの秘密を知ってなお、普段と変わらずに接してくれる辺りは……たいへんありがたい。

 思い上がるつもりはないが、アッチではそれなりに有名人なんだと自覚はしていた。……偽者、というかリスペクト(?)ユーザーがあんなに大量発生しているとは思わなかったが……。

 正体がバレれば、きっとこれまでのような平穏な日常はおくれないであろうことは、明白だった。


 手のひらを返して……馴れ馴れしく接してきたり、友人面でちょっかいかけてきたり……。または、これまで以上に敬遠されるかもしれない。

 だが間違いなく、奇異や興味といった視線の的にされるだろう。


 被害妄想が過ぎるだろうか?

 だが、オレも人間だ。

 常に最悪を想定して生きてしまうのは性格故かもしれないが、周りの人間が『何』を餌に騒ぎ出すかなど……おおかた予想がつく。


「……ホント、嫌な世の中だな……」

「ん? 何か言った〜?」

「いや、一人言だ。ていうか場所を変えよう。昼飯を食おうにも、ココでお前と2人で食ってたら無駄に目立つし……」

「なんだよ〜、人を厄介者みたいにー!」

「今日は弁当か?」

「うい♪」

「んじゃ、屋上でも行くか。あそこなら人も少ないし……。お前にも色々言っとく必要がありそうだしな……」

「……え、なに? まさか脅迫するつもり!? 嗚呼……まさか、親友だと思っていたレンレンから、人けのない屋上に呼び出され力ずくで脅され、あんなことやこんなことを……。「この事をバラされたくなかったら、わかってるよな?」と、写真までちゃっかり撮られちゃって、アタシは逆らうことも出来ぬ性奴隷へと……。レンレンの鬼畜! 悪魔!! でもアタシ、屈しないんだからね!」

「三文芝居は終わったか……?」

「ノリが悪いぞレンレン!! ツッコミがしっかりしてくれないと、ボケたアタシが超イタい子みたいになっちゃうだろ〜」

「お前がイタいのは今更だろ」

「なっ……! 貴様、今言ってはならぬ事を言った! 思っていても口に出さないのが優しさってもんだろオイ!」

「いいから、さっさと行くぞ〜」

「はぁ〜い♪」


 周りの目も気にせず、オレの腕に抱き着いてくる千秋。

 もう一々注意するのも面倒なので、飽きるまではされるままにしてやる事にした。

 注意するのにも体力を使うのだ。こんなことで疲労を増やすとか馬鹿馬鹿しい。


 教室を出る直前、ふと足を止め教室内を見渡す。

 元気で目立つ千里は、女子達の輪の中で楽しそうに談笑しているし……。

 普段はお堅い印象の強い委員長も、昼休みともなれば友人と一緒に会話しながら昼食をとっている。

 蒼馬の姿はないが、アイツのことだ。食堂に行っては……いつも通りキャーキャー言われていることだろう。


「どったの、レンレン?」

「……いや、何でもねえよ」


 転入したばかりのコイツを、他の生徒達からすすんで遠ざけるような形になってるわけで……。

 コイツの人見知りをどうにかする為に、第三者を同席させようか……なんて、お節介なことを考えてしまったわけだが、そもそもオレに誘える相手などほとんどいない。

 千秋のコレに関しては……まぁ、自主的に何とかしてもらうことにしよう。

 オレ、しーらない。




     ◇◇◇




 というわけで、屋上。


 オレの予想通り、他に生徒はいない。

 立ち入り禁止って訳ではないのだが、あまり人気のある場所ではなかったりする。

 清掃は行き届いていないし、下はコンクリートだ。腰を落ち着けるベンチもなければ、ちょうどいい高さの段差があるわけでもない。

 身投げ防止の為に有刺鉄線でガチガチに固められた鉄柵に背中を預ける訳にもいかず、楽しく昼食をとるには……あまりに殺風景な景色とも言える。

 しかも当然だが、夏は暑いし冬は寒い!


 心地よい環境か? と問われれば、否と応えざるおえない場所だ。


「うわぁ……。昨日も来たけど、相変わらず微妙に居心地の悪い空間だよね〜……。普通アレじゃない? アニメとかじゃもうちょいさ〜……『生徒の青春ココにあり!』的な場所だったりするわけじゃん? 屋上って、一種の憧れの場所なわけじゃん?」

「お前の言いたいこともわからんではないが、整備の行き届いていない屋上なんてこんなもんだって」

「でもさでもさ! 夕暮れの告白スポットとしては、定番中の定番よ? 教室! 中庭! 伝説の木の下! それに肩を並べる最強告白スポットじゃん!」

「……まぁ」

「もうちょいさ〜……。なんか雰囲気あってもいいんじゃないかな〜……とかさ〜。うわっ、ココ鳥のフンヤバッ! テンション下がりますわぁ〜……」

「便所メシよりはマシだろうが」

「いや、どっこいどっこいよ〜コレ? 今日は天気がいいからマシだけど、曇天だったらマジ最悪だからね。オブザデッド感ハンパないからね?」

「……文句があるなら1人で食ってこい」

「いやいやいや、それこそ無いから。つか、アタシが来る前からレンレンって、ココの常連だったわけ? こんな場所でボッチメシっすか?」

「いや、普段は教室で食って中庭のベンチで昼寝するのが日課だった。つか、お前がさっさと友人つくって、ソッチに行ってくれれば、またそうなる予定だ」

「じゃあ、もう卒業までこんな昼食か〜……。今度、他に良い場所ないか捜しとくかな〜」


 まさかの、他に友人つくる気皆無ときたかこの女……。

 人のことを言えぬオレではあるのだが、コイツのソレは異常なレベルだからな。社会に出たらどうするのやら。


 なかば諦めムードのまま、オレは上着を脱いだ。


「えっちょっ!! レンレンってばマジでそのつもりだったのっ!? 昼食の前にアタシが美味しくいただかれちゃうパターンですか!? 待って待って! 心の準備とかまだ出来てないし、せめてゴムくらいは――」

「いいかげんそのふざけたピンク発言どうにかしないとマジで殴るぞクソアマ♪」

「はいごめんなさいもう言いません」


 いい加減、イライラが限界突破しそうだったので、威嚇するように指をパキポキと鳴らせば、千秋も身の危険を察したのか……大人しくなった。

 最初からそうしてりゃ、見た目は可愛いのに……、勿体ない。これが俗にいう『残念系』ってやつなのだろう。


 ため息混じりに上着を床に敷き広げ、オレはその横に座った。


「あれ? 何してんの?」

「この屋上けっこう汚いし、そのまま座ったら制服汚れるだろ?」

「それはまぁ……わかるけど」

「ソコ、座れよ」

「え、えっ! えぇっ!? やだ、なにどうしたの! レンレンってば超優しい……」

「……うっせ」

「ホントどうしたのさ? アタシ別に気にしないよ? 汚れてもまた洗えばいいし、そんな女の子扱いなんてレンレンらしくないっていうか、ぶっちゃけ似合わないと言いますか……」

「いいから座れ!」

「はい」


 言って、オレの上着にペタンと腰を下ろす千秋。

 なんで昼食をとるってだけで、こんなに疲れなければなんのか……。

 「……えへへ♪」と、少し嬉しそうにしている千秋を見ると、それすらどうでもよくなってしまうのが、なんとも言い難い。


「んじゃ、メシにするか」

「ういうい♪」


 持ってきた弁当の包みを開くと、中身は彩りと栄養バランスの考えられた綺麗な弁当だった。

 二段弁当で一段目に炊き込みゴハンと漬け物類、二段目に手作りのオカズ類だ。

 ほうれん草のお浸しやポテトサラダもさることながら、唐揚げや焼き鮭なども絶品である。

 流石は歌穂さんお手製弁当!

 自慢ではないが、オレはこれ以上に美味い弁当を食ったことがない。

 お世辞抜きで、どれも絶品なのだ! 食欲の湧かぬ日でも、この弁当だけは残した日はない。


 くっ、見てるだけでヨダレが……。



 対する千秋の弁当は、見るからに冷食ばかり……いたたまれない。


「うっはぁ〜、美味そうな弁当だね〜」

「ああ、美味い」

「うわっ、断言しやがったよコイツ」

「事実だからな。否定する理由がない」

「そ、そんなに美味いわけ?」

「マジ絶品」

「そんなにか〜」

「学園生活で唯一の楽しみって言っても過言ではないレベルだな。コレがあるから頑張れる」

「マジかよおい。そんなにべた褒めするってことは、レンレンの自作じゃないんだよね? レンレン、自画自賛ってキャラじゃないし」


 ふむ、妙に鋭いなコイツ。

 別に隠すほどの事ではないが、なんと説明したものか……。

 もちろん『愛妻弁当』ではない。歌穂さんはオレの奥さんじゃないわけだし。

 でも『母親の弁当』ってのもまた違う。

 言葉のニュアンスとは、難しい。


 普通に答えるなら、『世話になっている親戚の母親が作ってくれた弁当』なのだが……なんかソレも違う気がする。


「そうだな、一言で言い表すなら……」


 思い浮かぶ光景は、フライパンとフライ返しを手に……聖母のような笑みで振り返る、エプロン姿の歌穂さん。


「『天上界の食い物』だな」

「そこまでか! というか、アタシが聞きたいのはレンレンの感想じゃなくてさ! 誰が作った弁当なのかな〜ってことなんだけど……」

「……え? 女神?」

「その腐った脳みそ、今すぐ医者に診てもらえ」

「冗談だよ。コレはオレが今お世話になってる親戚の人が作ってくれたやつだ。ウチの学校の先輩にそこの娘さんがいてな、弁当を作るなら2人分ってことで、ってな」

「……ほぉ〜」

「つか、お前も冷食ばっかじゃ味気ないだろ……。ほれ、断腸のおもいでオレの唐揚げ1つくれてやるよ」

「大きなお世話だっつーの。つか、たかが唐揚げ一個程度で断腸って、重いな〜……」

「食ったらわかる」

「へいへい」


 特に期待するでもなく、千秋はオレの差し出した弁当箱から唐揚げを1つ取り、パクリと口に放り込んだ。

 そして、数秒咀嚼し……よく味わって飲み込むと……。


「ふあぁ……」


 なんともまぁ、だらしなく恍惚としきった顔で蕩けきっていた。

 感動にうち震えるとはまさに……。


「ヤバい。……コレ、超ヤバい! 冷めてるのに溢れる肉汁とか、衣のサクサク感とか、醤油ベースの味付けとか、……そんな全部がもうどうでもよくなるくらい美味しい……」

「理解したか?」

「悔しいけど……今までに食べたどの唐揚げよりも、美味い! くそー、毎日コレを食べられるとか羨ましすぎるぞ、レンレン!」

「あぁホント……オレは恵まれているとつくづく実感するよ。もっと食べるか?」

「いいの!?」

「オレの分もちゃんと残せよ……?」

「レンレン愛してる〜♪」


 断腸のおもいはどうした? とお思いの方も多かろうが、今回の餌付けには理由がある。

 オレの分のオカズが減るのは残念だが、仕方ない。



 というわけで、弁当を空にしたオレと千秋はご満悦なまま手を合わせた。


「「ごちそうさまでした」」

「くはぁ〜食った食った〜♪ こんな美味い昼御飯は久し振り〜」

「さてと、メシも食い終わったことだし、このまま解散でもいいんだが……」

「かまえよ」

「安心しろ。今日は大事な話があるんだ」

「あぁ〜、さっき言ってた「言っとくことが〜」ってやつ? なになに〜? もしかして告白とかしちゃったりする流れ〜? もー、レンレンってば――」

「そのネタはいい加減飽きたぞ?」

「おい、人が言い終わる前にボケを潰すなよ!」

「それよりも、だ。話ってのは当然『Re:GAME〈ゲート〉』についてだ」

「まぁ〜、昨日の今日だし、流れ的にもそうなるわな〜♪」


 何やら嬉しそうにニヤニヤする千秋。

 なにかコイツの琴線に触れるような事を言っただろうか?

 まぁどうでもいいか。


「実は、お前にいくつか頼みたいことがあってだな……」

「ほほ〜う。この千秋ちゃんに『頼み事』とな〜♪ クエストの発注は構いませんが、この大賢者を使うってことは……それなりの報酬を期待してもいいんだよね〜? にゅふふ〜」


 ふん、そう来ることは予想済みだ。

 オレもゲーマーだ。無償で引き受けて貰おうだなんて、むしのいい取引を持ち出す気はない。


「1週間……」

「……ほう、1週間……何をしてくれると?」

「弁当のオカズ、お前が好きなもの1品をトレードする権利をくれて――」

「乗った!!」


 はっ、チョロいな大賢者(笑)。

 それもこれも、この弁当にはそれほどの価値がある、ということなのだろう。ありがとうございます、歌穂さん!


「んで? 頼みって何さ? レンレンがアタシに頼むってだけでも珍しいのに、それが『Re:GAME〈ゲート〉』絡みってなると……むぅ、見当もつかないんだけど?」

「別に難しい事じゃねえよ。まず1つは、昨夜の戦闘についてだ。ここまで大事になってるからな……今さら「秘密にしろ」とまでは言わねえが、オレと『ノワール』の関係についてはなるべく口外しないでくれ。昨日も言った通り、普段はサブアカの『レン』でプレイするつもりだし、偽『ノワール』の出番は基本的になしだ」

「えっ? なんで!? 勿体ない! 本物じゃないなら気にしなくていいじゃん。あのアカウントそれなりに育ててたんでしょ!?」

「レベルなんざ後からいくらでも上げられるだろ……。それにやっぱり、『ノワール』でやって無駄に目立つよりも、新しいアカウントでやった方が集中できるし気が楽なんだよ」

「うわ出たよチキン」

「お前にだけは言われたくねぇ。他人とまともに会話すら出来ねえくせに、……どっちがチキンだよ」

「はぁ!? チキンハートどころかノミの心臓ですけどなにかぁっ?」

「開き直んなよ……」


 少なくとも胸を張って威張る事ではない。


「でもでも、そうなるとレンレン……いつまでも弱っちいままなんじゃ〜ん。アタシの知らない事とか、色んなこと教えて欲しかったし……一緒にクエストとか……」

「はぁ? そんなんサブアカでも出来るだろ」

「レベル相応なやつがいいの! レベル500以下の生温いクエストなんて何回こなしても、アタシに特なんてほとんどないじゃん!」

「……あぁ〜……まぁそうなるか」


 リアルの友人間で『オン会』をやる、と意気込んだとしても……全員で時間を合わせてプレイ出来る時間も限られる。

 千里や委員長なんかは、リアルにかける時間の方が優先される傾向があるだろうし、蒼馬に至ってはオレ達とは別に所属するギルドがある。そちらを優先するなら、余ったオレに千秋が会わせる形になるわけだ。

 それに、千秋1人だけ無駄にレベルが高い分、やはり初心者パーティに付き合わせ続けるのも面白くないはず……。


 『面白くない』……か。

 やっぱり、それはダメだな。

 オレ達は一緒にゲームで遊んでるんだ。1人だけ楽しめてないなんて……やっぱり許せない。


「お前はさ、オレと2人で高レベルのクエストに挑んで、楽しいと思うか?」

「思う! むっちゃ思います! レンレンってば、アタシの知らない事いっぱい知ってそうだし、ソレになんか……昨日のアレも、アタシ全然役に立たなかったけど……楽しかったもん♪」

「……そうか。……はぁ、わかった。わかったよ……。いくつか条件付きでなら、ホンアカでやってやってもいい」

「ほんとっ!? 呑む呑む! ちょーー呑むっ!!」

「お前な……条件を出す前から了承してんじゃねえよ……。オレが無理難題吹っ掛けたらどうするつもりだよ?」

「んなもん、『とにかくやってみる』一択に決まってんじゃん♪ つか、レンレンがアタシに、出来ない事とかさせないでしょ♪ そこら辺は信頼してるって」

「……はいはい」


 こんな無条件に全幅の信頼を寄せてくる千秋に対して、オレは素直に喜んでもいいものなのかね……?

 もちろん、オレだって千秋の嫌がる事を無理矢理やらせるつもりはないし、無駄に警戒されるよりはマシな気もするが……。

 それにしたって、少しは疑いを持つべきだろう。


 オレは千秋が思っているほど、万能な人間ではない。期待に応えてやれる保証など、どこにもないのだから……。


「それでそれで! 条件って何さ?」

「それは、あとで話す」

「もったいぶんなよー!」

「それよりも、オレの頼み事が先だ。2つ目は……」




     ◇◇◇




歌穂ママ作の弁当…………ふつうに食ってみたいな~(しみじみ)

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