母神エデル
土日投稿できずにすみませんでした。もう少しで学校始まるのでその準備に忙しくて投稿できずにいました。ここ一週間は更新不定期になりそうなので宜しくお願いします。
今回は少し短いです。
「グラディオは少し下がっててくれ。あんたじゃ荷が重い。」
「すまない。頼んだ、」
グラディオが物陰に隠れたことを確認すると、前から近づいてきているポイズンバジリスクに注意を向ける。
「今回話あまり神様の力を借りるわけにはいかないな。」
そう口にはしているが、実際のところ不安は大きい。あのべヒモスの体を引きちぎることは出来るが、それは死体であって生きた魔物ではない。それに、何の抵抗も無い死体と何らかの抵抗をしてくる生身とではかなり勝手が違ってくると思うからだ。
そんな不安をよそに、視界の隅にポイズンバジリスクを捉える。
また潜られたらたまったもんじゃない。そんな風に思いながら先手を打つべく、奴のもとへ一直線に走り出す。
しかし、ポイズンバジリスクは全く別の行動に出てきた。そして、バジリスクがまた潜るとと踏んでいた仁は奴の次の攻撃に対応出来なかった。
「!?なんだ?うおっ!?」
本来ポイズンバジリスクが使う潜って相手の真下から飛び出し手でひっかく攻撃、あれは奴にとっては、まだ相手に気づかれる前に使う奇襲用の攻撃であってメインの攻撃方法ではない。
バジリスクにとってのメインの攻撃方法は今まさにくり出さんとしている、口を大きく開けて放つ毒のブレス攻撃なのだ。
だがそんな事を知る由もない仁は、自分の勢いを殺しきれず自ら毒へ向かっていく。
そして、毒を直接体全体にくらい奴の目の前で地面に倒れてしまう。
「やばい!体が動かない…、さっきの攻撃よりも毒がっ!」
ポイズンバジリスクが勝ちを確信しゆっくりと仁の元へ近づいてくる、そして丁度顔が仁の目の前に来ると再び口を大きく開けとどめの一撃を加えようと毒を吐き出した。
「あ、これ死んだわ…」
そう思った瞬間だった。
「ピロン 【八柱の契り】の条件が解放されました。これより使用者八雲仁を媒体に母神エデルを顕現します。」
「あっ、」
頭の中に流れるそんなアナウンスとともに前回同様体が眩しく輝き始める。
輝きから解放されると、白をモチーフにした神官のような姿で立っていた。
「さっき気を付けるように意識したばかりなんだけどな…どうしてこうなるかな、」
はぁ~、とため息をつきなってしまったものはしょうがないと割り切り改めて自分体を確認する、すると頭の中にこの前とは違った声の持ち主が声をかけてきた。
《こんにちわ~仁さん、私は母神のエデルていいま~す!》
第一印象はなんだかゆるい人だなと言う感じだった。
「あぁ、どうも仁です」
《は~い私のことはエル姉さんって呼んでくださいね~》
「えっと、エルさん俺今動けないんでどうしたらいいですかね、」
《……》
「あの、エルさん?」
《……》
これはまさかと思い、最初に指定された呼び方で呼んでみる。
「エル姉さん…どうしたら…」
《は~い!エルで~す!そうですね~まず私の回復魔法で毒、消しちゃいますね~》
そういうタイプですかと半ば強引に飲み込む。
だが、エル姉さんがそうつぶやくと急にさっきまで感じていた体の重さがなくなった。
《はい!これで大丈夫ですよ~》
「どうもありがとうございます…」
《最初に言っておきますね。私は回復専門なので攻撃は期待しないでくださいね~》
聞こうと思っていたことが聞く前に言われてしまったので、どうしようかと悩んでいるとまたエル姉さんから声がかかった。
《そういえばね~、アーレスちゃんも力だけだけど降りてきてるから~、アーレスちゃんが僕の槍をイメージしろ~っていっていましたよ~》
その言葉を聞いてすぐにべヒモスとの戦闘で使った、赤と黒の槍をイメージする。すると、小さい光を伴って右手にアーレスの槍が握られていた。
そういえば、普段は力だけ貸すって言ってたな。
だが、これで攻撃手段を確保できたので、今だ視力が回復してないのか頭をぶんぶん降っているポイズンバジリスクに槍を突き立てる。
だが、決定打に欠けるようでポイズンバジリスクは槍を抜こうと必死になっている。そんな中無い頭で別の方法を考えていると、不意にアーレスが使っていた黒煙の文字が頭に浮かんだ。
「(今俺にはアーレスと同じ力が顕現しているという事はあの技も使えるかもしれない。)」
そう思い、できるだけあの黒い炎をイメージしながら口ずさむ。
「黒煙」
すると、自分の中から勢いよく何かが抜け落ちていくのと同時にポイズンバジリスクの体から黒い炎が噴き出した。
「ハァハァ…、一応は成功という事で。」
何となく、体が重い原因も予想がついてる。
《お疲れ様です~いや~まさか黒煙を使うとは思わなかったですよ~》
そのあとのエル姉さんさん話によるとさっき俺が使った黒煙はアーレスしか使えないオリジナルの攻撃方法だそうだ。それをまさか俺が使うとは思っていなかったらしく相当びっくりしたらしい。全然そんな風には見えないが。
《それじゃあ、私はそろそろ戻りますね~顕現も結構疲れるので~》
「はい、有難うございました、エル姉さん。」
最後に名前を呼ぶとエル姉さんはあらあら、またお話しましょと言って俺の中から消えていった。
それから、呆けているグラディオの所へ行きポイズンバジリスクを担いでグラディオの妹を救うべく駆け出した。
「なあ、お前は一体何者なんだ?」
今回はエル姉さんを出したいがための一話です、完全に私利私欲に走りましたw次話は話を進めると思うのでよろしくお願いします!