動きだす闇とイザベラ
いつもいつも遅くなってもうし訳ないです。では本編どうぞ。
「役者はそろった…我々の前には神すらもかすんで見える、さあ始めよう理を超えた宴会を!」
黒一色の男の言葉には平然を装いながらも感情の高ぶりが読み取れる、そしてその言葉の後にニヤリと唯一見えている口元を歪め続けてこう言った。
「我々は時の支配者クライストズ、悠久の時を超えて世界の安寧を保つもの、すべてを無に帰し再び世界は創造を迎える。」
そういうと黒に染まった男は手のひらに先ほどと同じ黒い球を発現させる、仁はまた自分に飛んでくるのではないかと身構える。
「グガァァァァァァ!!」
ゴブリンキングはそんな叫び声と共に手に持っている剣を一番近い仁に向かって振りかぶる。
「さあこれを始まりの兆しとしよう!無に帰せブレッドレイズ、、」
黒づくめの男は仁に向かっているゴブリンキングに標準を合わせるようにその手をかざす、その瞬間男の手にあった黒い球が消えたかと思うと次の瞬間その球がゴブリンキングの頭上に現れゴブリンキングに降り注ぐ。
「!?」
ゴブリンキングはいきなりあられた球体にとっさに反応し持っている剣の軌道を無理やり変える。
だが、そんなものは最初から関係ないというように黒い球体は剣に触れそれを飲み込んでいく。
ゴブリンキングは異変に気付いたのかその手を引っ込めようとする、だが時すでに遅し。
黒の球体はゴブリンキングに触れると瞬く間にその体を包み込んでいき、やがてその存在を消滅させる。
「……」
仁が絶句する中再び男がしゃべりだす。
「余裕はこれぐらいにして私はもう行くとするよ、次会うときは宴会で八雲仁くん…」
「!?」
男はそう言い残すと虚空の中へ消えていった。
「なんで俺の名を……」
あの男とは初対面のはずなのになぜ…そんな疑問を胸に残りのゴブリンを討伐すべく駆け出す。
「八雲仁君、君には期待しているよ……!!」
消えたはずの男はそんなことを言って不気味に笑うのであった。
イザベラは今一人でゴブリンプリンセスと対峙している。
「くっ!このままだと…」
イザベラは自分の体に身体強化のスキルを使いバフをかけ、ゴブリンプリンセスの魔法攻撃を時に弾き、時に自分の魔法で相殺しながらなんとか対応している。
「はぁぁぁぁーーー!!」
ゴブリンプリンセスの攻撃が止んだ一瞬の隙に右足に力を入れ前傾姿勢になると勢いよく飛翔する。両手に構えた剣を横に流れるように一閃。
バギィィィィン!
だがイザベラの決死の攻撃もゴブリンプリンセスに当たる寸前で勢いを殺される。
「魔法障壁ですか…厄介ですね…」
後ろに飛びゴブリンプリンセスと距離をとる。どうあの障壁を攻略するか頭に思考を巡らせると、今度はこちらの番というようにゴブリンプリンセスは空中に水の球を三ついっきに出現させる。
イザベラは思考を一時中断し意識を水の球に集中して、体の前に剣を構える。
ゴブリンプリンセスによって放たれた水の球は一直線にイザベラ目掛け飛んでいく。
「ふl!はっ!せい!」
飛んできた相手の攻撃をすべて叩き落すと相手の膠着時間を利用して攻撃を仕掛けようとするが、目に飛び込んで生きたのは先ほどと同じように空中に球を浮かべたゴブリンプリンセスが立っていた。
「、、複製スキルまで…クっ!?」
複製スキル、説明すると自分が一つ前に発動した技を詠唱なしで再び発動できるというものだ、しかもこの時使用魔力は実際の三分の一までに落ちるかなり優秀なスキルになる。
そんなスキルを会得しているゴブリンプリンセス、イザベラは少し冷静さを欠いていた。なんて言ったって自分は身体強化系と剣技スキルしか持っておらず魔法に関してはからっきしだ。
要するにこれまで何とか自分の身体強化と剣技で相手との均衡を保っていたがここにきて相手の新たなるスキルのせいで完全に均衡が崩れ劣勢に追いやられてしまったというわけだ。
「グギャァ!!」
ゴブリンプリンセスはそんなイザベラの思考を感じ取ったのか、歪んでいる顔をさらに歪め先程と同じ攻撃を繰り出す。
「はぁぁぁぁーーー!!」
それでもイザベラは冷静に対処していく、もはや無限といってもいいゴブリンプリンセスの攻撃をひたすら観察してその時が来るのをひたすら耐えながら待つ。
そして、イザベラが粘り強く耐えているとゴブリンプリンセスの攻撃が一瞬止む、ここだと思い僅かに出来た隙をつくため、守りの体制から攻めの体制に切り替える両手に構えた剣を今度は大きく弧書くように右上から左下に振り下ろす。出来るだけ体に身体強化をかけ障壁を破れるように。
「グギャ、、」
切りかかる瞬間ゴブリンプリンセスの口が吊り上がる。
次の瞬間イザベラは中を舞っていた。
「ぐ、はぁっ!」
何が起きたかわからず体を地面に強く打ち付ける。襲撃の影響で体の中から空気が強制的に吐き出される、無理にでも起き上がって次の攻撃に備えようとするが、体が思うように動かせない。
「くそ動け!私はこんなところでやられるわけにはいかないんだ、、っ!動けぇっ!」
絶体絶命なイザベラに対してゴブリンプリンセスはゆっくりと近づいてくる。
イザベラは自分の剣を最後のあがきというようにゴブリンプリンセスに投擲する。
カラン、、そんな攻撃もむなしくゴブリンプリンセスの障壁に阻まれる、ゴブリンプリンセスはそんなイザベラの姿を見てグギャァグギャァと嘲笑う。
そしてついに目の前までゴブリンプリンセスが迫る。
自分ではかなわない敵を前にイザベラは完全に腰が抜けてしまっている。
「やっ、あ、うっ、来ない、で…やめろ!」
今にも泣きそうな顔をしているイザベラに対して無慈悲にもゴブリンプリンセスはその持っている杖で魔法を発動させる。
イザベラは諦めたというように目をつむり脱力する。
そして最後に、
「誰か、、助け、て…」
そんな言葉が漏れ、頬に涙が伝う。
そしてついにゴブリンプリンセスは準備が整ったのかイザベラのことを見ながら杖を振り下ろす。
「……」
空を仰ぐように顔を上げ目をつむり出来るだけ苦痛がないように自然に身を任せる。
ゴブリンプリンセスが放った攻撃が近づいてくるのがわかる、
やはり恐怖からか体が縮こまり衝撃に備える。
もうダメだ!そう思った次の瞬間横の木と木の間から颯爽と何者かが現れた。
「大丈夫ですか?、イザベラさん。」
目を開けるとそこには自分を盾にしイザベラをかばうように立っている仁の姿があった。
次回はイザベラに異変が…
いつも読んでもらいありがとうございます!中々学校が落ち着かないので更新が不定期になっていて申し訳ないです、誤字脱字ありましたら言ってもらえると嬉しいです。よろしくお願いします。