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とくべつな愛
とくべつな
愛されかたをしたかった
紅色かかった燃えるている声。
悲しみの
水分すべてを暴き出す、
慈悲なき冷たい、蛙の眼つきで。
寂しさよ
ひとり寝くらしの寂しさよ、など、
ほざくいやらしい、蛇の舌つき。
ひとつ星
夕闇かがやくあたたかい
忘れられない明日への指標よ
散る桜
見上げてしまう戸惑いの
瞳に問うな、諦めないから。
ぬくもりが
心に広がる孤独ゆえ
泣かない決意をその夜屹立。
小さな虫
泣かない決意の生命が、
降り立つ涙の、軌跡をみつめる。
ぼんやりと
声すずらんの香り嗅ぎ、
子らの、夜の闇、遠き透る朝。
(とくべつな愛されかたをしたかった)
(紅色の、燃えるような声で。)
牛乳を
飲んでいまだに寒い部屋。
いつもいつもの、寒い朝食。




