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イケメン妖怪ハンターリックの冒険シリーズ

イケメン妖怪ハンターリックの冒険(闇の仕事編)

作者: 神村 律子

 リックは古今無双のスケベな妖怪ハンターです。


 今日は愛妻の遊魔と共にハンターの元締めの邸に来ています。


 元締めはハンター業界の最高責任者です。


 決して、レコードの買取業者ではありません。


 リックはボーっとして歩いている遊魔に冷や冷やしながら、元締めの待つ一番奥の部屋に向かいました。


 リックは元締めの部屋に入る時、思わず唾を飲み込みました。


「どうしたのですかあ、お前様?」


 遊魔は呑気全開でリックに尋ねました。するとリックは真顔で、


「元締めは礼儀に厳しい方にゃん。粗相のないようにして欲しいにゃん」


「そうなのでございますか」


 遊魔は笑顔全開で応じました。


「リックです。只今戻りました」


 リックは部屋に入るなり直立不動で言いました。


「よくぞ参った、リックよ」


 元締めはすだれの向こうで言いました。でも、決して「すだれ頭」ではありません。


「遊魔でえす。よろしくお願い致しますう」


 遊魔は緊張感の欠片もないのんびりした調子で言いました。


 真っ青になるリックです。


「おうおう、可愛いのお。もっと近くに来い、遊魔とやら」


 すだれの向こうで元締めが言ったので、リックは唖然としましたが、


「行くにゃん、遊魔。元締めの命令は絶対にゃん」


 遊魔に言いました。


「はい、旦那様」


 遊魔は笑顔全開で元締めに近づきました。その時でした。


「かかったな、愚か者め!」


 どこかから声がしました。リックがハッとした時には、すだれの向こうから現れたガマガエルのような風貌の男が遊魔を羽交い絞めにしていました。


「きゃああ、旦那様!」


 遊魔が叫びました。リックは身構えて、


「お前はレック!? 元締めはどうしたにゃん?」


 するとガマガエルはニヤリとして、


「今頃、地獄の一丁目だろうよ」


 どうやら元締めは旅行に出かけたようです。お土産を期待しましょう。


「何て事を……。そんな事をしたら、他の仲間が黙っていないにゃん!」


 リックが叫ぶと、レックは、


「その仲間達も皆賛同してくれたのさ。あんな強欲ジジイの味方なんて、一人もいねえぜ」


 ゲコゲコと笑いました。気持ち悪いです。


「今日から俺が元締めだ。俺の言う通りにしていれば、怪我はしねえし、このカワイコちゃんも助けられるぜ」


 レックの言葉にリックは歯軋りしました。


(遊魔は確かに怖いにゃんけど、このガマガエルの言う事を聞くなんてできないにゃん!)


 リックは意を決して、


「お前の言う事なんか聞かないにゃん!」


「偉そうな事言いやがって、この女がどうなってもいいのか!」


 レックが遊魔の胸当てに手をかけました。


「僕の奥さんに何するにゃん!」


「お前様!」


 リックがレックに飛びかかろうとした瞬間、彼を取り囲むようにして五人のハンターが現れました。


「ミック、カック、タック、ナック、ワック!」


 リックはかつて一緒に修行した者達を見て驚愕しました。


 一目でやられキャラだとわかる安直な名前です。


「お仕置きしてやれ」


 レックが目を細めて命じました。五人の雑魚キャラが一斉にリックに襲い掛かりました。


「みんな、目を覚ますにゃん!」


 リックは得意の火炎の術を使い、たちまち五人を倒しました。


「やるな、リック。だが、そこまでだ。大人しくしないと、この子の顔に一生消えない傷がつくぞ」


 遊魔の顔に刀を押し当て、レックはこれ以上はないというくらいの悪い顔で言いました。


「く……」


 リックはまた歯軋りしてレックを睨みました。


「やれ!」


 レックの命令で、倒れていた五人が立ち上がり、リックを袋叩きにしました。


「お前様!」


 遊魔が泣き叫びます。


「遊魔、逃げるにゃん……。そして、この事をマックに、兄さんに伝えて欲しいにゃん……」


 マックとはリックが幻術で作り出した偽の兄です。


 リックは傷だらけになりながら、堪えていました。


「どうだ、言う事を聞く気になったか?」


 レックが勝ち誇った顔で言った時でした。


「ぐほお!」


 強烈な肘鉄がレックの腹に炸裂しました。


「お前様!」


 遊魔が助走からの踵落としと真空飛び膝蹴りであっと言う間に五人をなぎ倒しました。


「お前様、しっかりなさいませ」


 遊魔は泣きながらリックの傷をペロペロと舐めました。


「おのれえ、リックめ!」


 レックは刀を振り上げて突進して来ました。


「元締めは俺なんだよ! 言う事を聞けえ!」


 刀が振り下ろされました。リックは遊魔を庇いながら、それを真剣白羽取りしました。


「元締めに謝りに行くにゃん、レック」


 紅蓮の炎がレックを包みました。


「ぐあああ!」


 ガマガエルの断末魔です。リックは悲しそうにそれを見ていました。


(レックは嫌な奴だったけど、こんな悪い奴じゃなかったにゃん。何が起こってるにゃん?)


 リックは遊魔に身体のあちこちをペロペロされているうちによこしまな気持ちが湧いてきました。


(今夜はハッスルするにゃん)


 あくまでもスケベなリックです。


 


 めでたし、めでたし。

まだ続きます。

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― 新着の感想 ―
[一言] うわ、雑魚キャラうぜーっ (>ω<*) やっぱリックは、すぐ敵に寝返ったりとか、とことん卑怯者やってたほうが性に合ってるみたいネ (´・ω・`) ところでいつも思うんだけど、子ネコたちはふだ…
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