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誤字脱字ありますが、ご了承ください。

「ねえ、さっきから気になってたんだけど。何の本読んでるの?」

「えっ、は、はいっ?」

 すっかり本の世界に入っていたため、急に訊かれて飛び上がってしまった。そんなわたしを、美祢さんは気分良く笑い飛ばしてくれた。

「ごめんね、邪魔しちゃって」

「い、いえ。邪魔だなんて、そんなこと思ってないです」

 首を左右に慌ただしく振る。

「そう?じゃあ、改めて訊くけど。何の本読んでるの?」

「『寝台列車』っていう本なんです」

「へえ。今の凛ちゃんにぴったりだね。その本も、凛ちゃんみたいに主人公が寝台列車で旅をする話なの?」

 わたしは読んでいたページにしおりを挟むと、本と閉じて表紙を見た。列車の絵が描いてあるのは確かなんだけど。

「いえ。まだ途中しか読んでいないんですが、寝台列車はもちろん、電車も、そのような話題も出てきてないんです」

 美祢さんは、意外そうに相槌を打った。わたしだって、まさかこんな話だなんて思わなかった。

「これから出てくるのかもね」

「そうですね……」

 要らないから、子供を捨てる。そんな親なんているのだろうか。せっかく生まれてきたのに、可哀想すぎる。もし、そう思っている大人がわたしの周りにいるとしたら、ぶん殴ってやりたい。

「いきなりなんだけど、凛ちゃんのお父様とかお母様ってどんな人?」

 美祢さんにとっては、いきなりの話題かもしれないけど、今の今まで子供を捨てる親のことを考えてたわたしにとっては、いきなりではなかった。むしろ、グッドタイミングとでも言うべきか。

「どんな人って、別に普通ですよ。普通の農家の」

 ありのままに答えたつもりだが、美祢さんには納得しないようだった。

「でも、凛ちゃんのお父さんって、亭主関白そう」

「亭主関白って、奥さんに威張ってる旦那のことですよね?わたしのお父さん、そんな昔の人みたいな親じゃないですよ」

 わたしは声を上げて笑った。

「えー、そう?じゃあ、タバコは吸ってるよね?」

 タバコ、といえば絵梨だ。いくら本の中の話だといっても、タバコを吸う絵梨を許すイーサンっていう先生はおかしい。吸っても、何もいいことはないのに。逆に肺ガンとかになる確率が上がって、危ない。絵梨はまだ中学生だし、病気になる確率は成人と比べて、はるかに高い。――なんて、本にケチつけてもしょうがないか。所詮、物語の中の話だ。

「どう?正解でしょ?」

 黙っていたわたしを見て、美祢さんは嬉しそうに尋ねた。当たったと思ったんだろう。しかし、わたしは片手を顔の前で振る。

「ハズレでーす。体に悪いって言って、吸っていませーん」

「どっちも?」

 お父さんだけのはずだったのに、いつの間にか「母親も」に、なっている。

「どっちも」

 眉をしかめて身を乗り出す美祢さんに、わたしは大きく頷いた。美祢さんは、がっくりと項垂れる。

「うう……負けたー」

 十九歳っていうと、すごく大人なイメージがあったけど、美祢さんを見てるとそうでもない気がしてくる。喜怒哀楽が大きいし、ちょっと子供っぽいところもあって、一緒にいるととても楽しい。学校の友達と喋っているときと同じくらい、楽しい気分になれるのだ。

「残念でしたー!じゃあ、美祢さんのご両親は?」

 つい、流れに乗って、言ってしまった。口を押さえたときには、もう遅かった。身を小さくして、頭を下げる。

「ごめんなさい」

「え?何で?確かに私は、親のこと好きじゃないけど、話にすることを拒むほど嫌いじゃないよ」

 恐る恐る顔を上げた。美祢さんは、きょとんとした顔だった。

 表情からは、今美祢さんがどんな気持ちでいるのかわからなかった。本当にそう思っているのか、実は全く逆のことを思っているのか。どっちなのか、わたしには訊く勇気がなかった。

 なおも黙り込んでいるわたしに気を遣おうとしているのか、美祢さんはひとりでに話し始めた。

「母親のほうは吸わないけど、父親のほうは吸うよ。私が見る限り、一日五本程度だったかな。他の人と比べると、少ないほうなんだよね。でも、大体タバコ吸うときって家の中では吸わないよね?ベランダに出るとかしない?けど、父親はいつもリビングで吸ってたなあ。母親、特別タバコ嫌いじゃないらしいから、何も言わないんだよね。ただ単に、衝突を避けるだけかもしれないけど。あのね、タバコってさ、吸ってる人の周りにいる人も害があるんだよ。しかも煙いから、私は父親がリビングでタバコ吸おうとしてたら、一目散に自分の部屋に逃げ込んでたなあ。あの臭いだけは好きになれないや。でも、ライターって持ってると格好良くない?ティーンズ向けの雑貨屋さんでも百五円くらいで売ってるじゃない?あれ、ずっと欲しいと思ってたんだけど、火って怖いから。結局は買ってないんだけど。それからね――」

 ついに私は堪え切れなくなって、笑い声を上げてしまった。

「もー美祢さん、喋りすぎですよ。どれだけ話してるんですか~。おもしろくて、おもしろくて――」

 美祢さんはあっけに取られていたが、つられて笑い始めた。

 大きな理由もなく、しばらく笑い転げていたら、誰かが部屋をノックした。

「はい?」

笑いながら美祢さんが立ち上がって、ドアを開けると男の人が立っていた。

「すみません、寝ているので静かにしていただけませんか」

 どうやら、隣の部屋の人のようだ。

「す、すみませんっ」

 わたしは笑うのを止めて、慌てて立ち上がり、頭を勢いよく下げた。

「ごめんなさい」

 止めることができなかった美祢さんは、顔を微妙な感じにして謝った。そんな美祢さんを、乗客は不満げに睨んで、自分のベッドに引っ込んだ。

「これ以上やってるとまた怒られそうだから、もう寝ようか?」

 笑い足りないのか、名残惜しそうに美祢さんは言った。

「そうですね」

 もう怒られるわけにはいかないから、わたしは同意した。なんとなくだけど、美祢さんはわたしに「まだ話したいです」とでも言って欲しそうだった。でも、そういうわけにはいかない。

 わたしは自分の個室に戻ると、部屋の明かりを消してベッドに潜り込んだ。目を閉じると、これからのことを思い浮かべた。

 意地を張って、一人で行くと言ったけど、とても不安だ。見知らぬ地は、わたしを挙動不審にさせる。心臓もいつもより多く脈打っている。何も問題なしに、楽しくテーマパークで遊べることができるのだろうか。道に迷ったり、財布落としたり、ひったくりにあったりしたらどうしよう。

 わたしは目を開けて、美祢さんの部屋があるほうを見た。実際に目に移るのは、ただの壁だけだけど。

 美祢さんが付いて来てくれると心強い。

 都合いい考えを振り払うように頭を振ると、わたしは窓の外を見た。もう少しで夜が明ける。できたら、ずっとこのままがいいんだけど。でも、まだ空は暗い。あと少しは、心配事のことは考えなくていいだろう。

 でも、確認として、わたしは体を起こすとバッグの中を見た。テーマパークのチケット、帰りのチケット、財布。必要なものはちゃんと入っている。

 ほっと一息つくと、わたしはベッドに横になった。

 わたしは、『寝台列車』を開いた。これを読むとますます不安になりそうだから、できたら読みたくない。だけど、眠る気にもなれないから、仕方ない。

 明かりを付け直して、照らされた文面をわたしは読み始めた。

‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐

 優れない気分のまま学校に行ったが、どうしてもあの幻のことが気になって、授業に身が入らなかった。

「綾、熱あるんじゃないの?大丈夫?」

 休み時間、クラスメイトで友達の蘭が机に突っ伏しているわたしに、訊いてきた。

「んーだいじょーぶ」

「本当?なんか上の空って感じなんだけど」

「そんなことーないよー」

「……って、そんなことあるから!」

 そんなやり取りをしてると、同じくクラスメイトであり友達の寧々が駆け寄ってきた。

「具合悪いんでしょ?保健室行ってきたら?」

「んー……」

 熱なんてこれっぽっちもなかったが、こんなことずっとしてると皆に心配させてしまうから、保健室に行くことにした。

 寧々は「ついていこうか?」と言ってくれたが、わたしは丁重に断った。別に辛いわけでもないのに、そんなことさせられない。

 時々ため息をつきながら、保健室へ向かった。

「失礼します」

 と言って入ると、保健の先生はいなかった。いたらいたで、「異常なし!」と追い返されてしまうんだけど。でも、かわりに絵梨がベッドに座っていた。

「絵梨……」

 今朝のことがあったから、なんとなく話しづらい。

「何、あんたもサボりかよ」

「わたしはサボりじゃないよ。病気」

 そっけなく返すと、わたしは絵梨から一番離れた丸椅子に座った。絵梨の隣に腰掛けてもいいと思ったけど、今はそんな気分じゃなかった。

「熱あるんだ。じゃあ、帰ったら?」

「絵梨は帰んないの?」

「帰らないよ。病気じゃないし。今のところは体調悪くないし」

 絵梨がさりげなく流した一言を、わたしは聞き逃さなかった。

「……もしかして、具合悪いときとかあったりするの?」

 自分が失言してしまったと気付いたのか、絵梨は慌てて否定し始めた。

「ち、違う!今のは、えっと……そう!言葉のあやだよ!」

「『体調悪くないしな』のどこが言葉のあやなのよ!そのまんまの意味じゃないの!違わないじゃない!」

 言い訳は無理だとわかった絵梨は、黙ることに決めたらしい。わたしから顔を逸らして、何も聞こえないフリをする。

「本当は、辛いんじゃないの?毎日タバコ吸ってるんだもんね!そんなことしてたら、体調崩して当たり前だよ!いい加減、やめたらどうなの?法律違反してるってわからない?それに、今に死んじゃうかもしれないだからね!」

「うるさい!」

「うるさいのは自分が原因じゃない!」

「黙れ!」

「あんたが大人しくしてれば、黙ってやるわよ!」

 絵梨がわたしの絵梨を掴んで、自分に引き寄せる。

「あんたには関係ない!」

「あるよ!これでも一緒に住んでるんだからね!」

「それだけのことじゃん?あんたが口出しする権利なんてないの!」

「権利とか関係ないでしょ!」

 お互い一歩も譲らず言い合っていると、保健の先生が戻ってきた。わたしたちを見ると、慌てて間に入った。

「ちょっと、やめさない!どうしたの?」

 わたしは、最後に絵梨をきつく睨むと、ただ「早退します」とだけ言って、保健室を出た。


 ウィングに帰ってドアを開けると、柊先生が驚いた様子でわたしを見ていた。

 柊先生は、二十代後半の男の先生だ。細身で、顔も悪くない。

「綾じゃないか。どうしたんだ?」

 両手には洗濯物を抱えている。

「早退してきた……」

「熱があるのか?大丈夫か?」

 カゴ床に置くと、靴下のままでわたしの額に手を当てた。

「熱はないようだが。きっとこれから出てくるんだろう。部屋であったかくして寝てるんだよ」

「熱があって早退したわけじゃないんだけどね」

 わたしが苦笑すると、柊先生は首を傾げた。

「じゃあ、どうしてだ?」

「なんとなく」

「ああっ、もしかしてサボりかあ。うん、一回ぐらいなら、先生はサボりは許す!あ、昼飯食うよな?用意しないと」

 わたしは靴を脱ぎながら、尋ねた。

「そんなことより、先生は?イーサン先生」

 カゴいっぱいの洗濯物を抱き上げながら、柊先生は答えた。

「今日は出かけてる。夕方ぐらいまで帰ってこないと思うよ」

「ええー……」

 先生に、絵梨のことを言おうと思っていたのに。体調が優れないこととか、タバコを止めさせて欲しいとか。

「相談事でもあったのか?」

「まあね」

「先生でよかったら聞こうか」

「いい――あ、やっぱり聞いて」

 断ろうと思ったけど、愚痴ぐらいは聞いてくれるだろう。柊先生手作りの昼食を食べながら、今日の保健室での出来事を先生に愚痴った。イーサン先生は、相談するとすごい親身になってアドバイスとかしてくれるけど、柊先生も同じくらい聞き上手だ。頷きながら、耳を傾けてくれる。

「うん、うん。そうか。でも、絵梨にそこまで言えるなんて、仲がいい証拠じゃないか。そらでも、対立するのは難しいんだよ」

「ええっ、そらちゃんが?ありえない……」

「いや、あれでもそらは小心者だ。絵梨になんか言われたら、きっと身を竦ませるんだろうな」

 やろうと思えば、そらちゃんだって絵梨と互角で言い合えると思っていた。意外。

「さすがの先生も、絵梨には勝てない」

「先生が勝てるわけないじゃん。このみ相手でも惨敗だよ」

「なんだとーっ」

 パスタをほぼ食べ終えると、わたしは急に声を低くして尋ねた。

「先生は、絵梨のこと、どう思ってる?」

「絵梨のこと?可愛いな。あ、もちろん綾も可愛いからな」

「そうじゃなくて」

 なんとなく深沢先生と言ってることが似てるのは気にせず、わたしは更に声を潜めた。

「タバコ吸ってること」

「別にいいんじゃないか?」

 大人なのに、そういうこと言うなんて思わなかったわたしはびっくりした。

「よくないよ!タバコ吸ってるから、絵梨はからだ――」

 体が悪くなっている、と言おうとして、わたしは慌てて口を噤んだ。このことを一番初めに言うのは、イーサン先生だと決めていたからだ。

「からだ、がどうしたんだ?」

「何でもない」

 わたしはコップの麦茶を飲み干すと、席を立った。

 部屋に入ると、ベッドに飛び乗った。勉強なんてしたくないから、寝ることにしたのだ。

「綾?もし暇だったら、五時にこのみと昌哉を迎えにいってくれないか?イーサン先生いないし」

 ドア越しに柊先生が訊いてきた。昌哉は三歳の男の子だ。

「いいよー」

 わたしはそう返事をして、目覚まし時計を四時四十五分に鳴るようにセットした。

 目が覚めたのは、目覚まし時計のおかげではなく、鈴香のせいだった。心地よく寝ていたわたしの鼻を摘んだのだ。違和感を感じて目を開けると、至近距離に鈴香の顔があった。

「綾子ちゃん、なんでいるの?」

 今朝泣いたことは忘れたのか、それとも遠い記憶の一部になったのか、ケロッとした様子で鈴香はわたしに馬乗りになっていた。

「ちょっとねー。あ、今何時?」

「四時半」

 予定よりは少し早いが、わたしは二人を迎えに行くことにした。

 鈴香に退いてもらうと、わたしは私服に着替えた。

「どこに行くの?」

 部屋を出ようとすると、寂しそうに鈴香がわたしの服の裾を掴む。

「このみと昌哉を迎えにいくだけ。ついてくる?」

 てっきり、「うん」と言うのかと思ったが、いかにも嫌そうに鈴香は拒否した。

「ヤ。面倒くさい」

 そんな言葉、どこで覚えたのか。鈴香に訊かなくても、検討はつく。幸介兄ちゃんだ。鈴香の前でそんな年寄り臭い言葉使うから、覚えちゃったじゃないか。帰ってきたら、言ってやろう。

「じゃあ、いってきます」

 玄関まで見送りに来てくれた鈴香にそう言うと、まずはこのみがいる幼稚園へ向かった。

 わたしも同じ幼稚園に通っていたから、久しぶりに歩く道のりが懐かしい。昔より建っている家が多くなった気がするが、道沿いの木の幹はそのままだ。あんなに高く感じられた木は、今はそうは感じられない。

 成長したってことなのかな。

 五分ぐらい歩くと、幼稚園が見えてきた。

「あ、綾お姉ちゃん!」

 外の遊具で遊んでいたこのみがわたしを見つけて、フェンス越しに駆け寄ってきた。幼稚園の先生らしき人も近づいてくる。初めて見る先生に、戸惑いながら軽く頭を下げると、このみを受け取った。

 手を繋いで歩きながら、このみはわたしを見上げた。

「イーサン先生は?」

「出かけてるから、代わりにわたしが迎えに来たの」

「どこ行ったの?」

 柊先生は、そこまでは言わなかったから、わからない。

「ね、このみ。昌哉の保育園ってどこだかわかる?」

 幼稚園は同じだったけど、昌哉が通っている保育園は新しくできたものだ。詳しい場所は知らない。それに、わたしよりもこのみのほうが正しいだろう。毎日こうやっているんだから。

「あっち」

 このみは短い指で左に折れた道を指した。自信満々なところを見ると、やはり、わたしの見解は当たっていたようだ。

「鈴香ちゃん、大丈夫かな?」

 ぽつり、とこのみが呟いた。断言はできないけど、さっきのあの様子なら心配する必要はなさそうだ。

「大丈夫だよ」

「鈴香ちゃんのママの病院、行かなくていいの?」

「それも大丈夫だよ。何かあったら、ウィングに電話がかかってくるだろうし。それに、鈴香のお母さんの病院まで遠いでしょ?」

 鈴香のお母さんが入院している病院は都内の有名な病院だ。電車で五時間はかかってしまう。

「……電話がかかってからじゃ、遅いよ」

「え?」

「遅いよ。だって、もしかしたら、会えなくなるかもしれないのに……」

「このみ……」

 なぜだか、ウィングの子たちはこういうのには大人だ。最近の大人たちより大人。ど真ん中を付く。

「このみはさ、ウィングは楽しい?」

「うん」

 当たり前だよ、と言いたげに見上げて頷く。訊くべきではなかったが、訊かずにはいられなかった。

「このみは自分のお父さんとお母さんのこと、どう思ってる?」

 このみも確か、小さい頃に親に捨てられたのだ。しばらく黙った後、か細い声で言った。

「このみ、覚えてるもん。ママが、このみに『少しだけ待っててね。絶対迎えに来るからね』って言ったの。だから、もう少し待てば、ママはこのみを迎えに来て、一緒に住めるようになるんだよ」

 このみの中での「もう少し」はどれくらいなんだろう。きっと毎晩、明日だ、明日だ、って思いながら寝ているんだろうな。そうしてどれくらい経ったのか。このみにとっては何倍もの時間が経っているんだろう。それに、記憶もあやふやなものだ。自分のためにそう思い込んでいるだけなのかもしれないし。あと五年はこのみの母親は迎えに来ないほうに、わたしは賭ける。

「あ、あれだよ」

 このみが前方を指差す。淡い黄色の壁、それに合っている色の屋根、いろいろな遊具の数々。何人かが滑り台やらブランコやらで遊んでいる。

 わたしは入り口まで行くと、保育士さんに名前を告げた。その先生の手に曳かれて、昌哉が来た。わたしを、目を見開いて不思議そうに眺めている。

「いーしゃんしぇんしぇいは?」

 まだ上手く呂律が回らないのか、「さしすせそ」が「しゃししゅしぇしょ」になってしまう。それがくりっとした目の昌哉の可愛さを一層強くしているのだ。将来はモテる男の子になって欲しい。

「イーサン先生はお出かけしてるから、今日はわたしが迎えに来たの」

 わたしは、このみに言ったのと同じようなことを繰り返した。

「へえー」

 別にどうでもいいのか、昌哉はそう答えただけだった。

「村野しぇんしぇい、ばいばい」

 保育士さんに小さな手を振り終えた昌哉も手を繋いで、帰り道を進んだ。右手にはこのみ、左手には昌哉という状況なので、わたしの両手は完全に塞がっている。これが結構キツい。どうか二人が転ばないように祈った。

「綾ねーちゃん、お腹すいたー」

 いきなり昌哉が言った。この時期の子はエネルギーが多く必要だから仕方ないんだけど。

「お家帰ったら、すぐに食べられるよ。今日の当番は佳奈とそらちゃんだから、きっとおいしいよ」」

「カレーがいいなあ」

 目をキラキラと輝かせて昌哉が弾んだ声を出す。前回の二人の当番のときカレーだったから、またカレーが食べられると思っているらしい。

「カレーは、一昨日幸介兄ちゃんが作ったから、違うと思うなー」

「じゃあね、クリームシチュー!」

 今度はこのみが跳ねた。しかし、わたしは苦笑いを浮かべながら首を振った。

「それは一昨日の昨日わたしが作ったじゃない。今日はそれじゃないよ」

 このみは「むー」と頬を膨らます。

「グランタンは?」

 懲りずに昌哉が挙げた。

「ハンバーグ!」

 このみも声を一層張り上げて言う。

「もう、どれもこのみと昌哉の好物ばっかじゃない」

「綾お姉ちゃんは何だと思うの?」

 しびれを切らしたこのみがうざったそうに尋ねる。わたしはほんの少し考え込むと、自信満々に言った。

「鯖の塩焼き」

 昌哉は「えー」と顔をしかめ、このみは思い切り「うえー」と苦虫を噛み潰したような表情をした。二人は魚が嫌いなのだ。すると、急に足を止めて駄々を捏ね始めた。

「やだやだやだー」

 道のど真ん中でこんなことやられたら、恥ずかしくってたまらない。わたしはとにかく頭に浮かんだ言葉を適当に使って宥めた。

「わわっ、多分デザートもついてくると思うから、ね!ストロベリーアイスが最後に食べられるから!昌哉にはチョコアイスだから!ほら、帰ろ!」

「ほんと?」

 二人が大声を出すのを止めて、わたしを見た。昌哉はともかく、このみは半信半疑だ。

「ほんと」

 とは言っても、ウィングの冷凍庫にはアイスのアの字もない。しょうがない、家に帰ったら速急でコンビニに行ってでもアイス買ってくるか。

 大人しくなった二人を曳いて帰り道を歩いていると、制服姿の蘭が通りかかった。

「あ、蘭」

 わたしが呼びかけると、なぜかびくっと肩を震わせて蘭が振り向いた。今にも冷や汗が吹き出てきそうな様子だ。ドラマでよく見る、何かやましいことをした後で誰かにばれないかビクビクしている人とよく似ている。でも、蘭に限って万引きとかするはずがない。わたしは特に気にはかけなかった。

「部活は?吹奏楽部だよね?」

「ぶ、部活?ああ、今日は休みなの」

「部活が?」

「え、ななな何が?」

「部活が?それとも蘭が休みなの?」

「ああ……?う……うん?あ、あたし急いでるの。じゃあまた明日ね」

 曖昧な答え方をすると、蘭はそそくさと去ってしまった。

「あれは、何かありますね」

 アニメで見たのか、探偵の口真似をこのみがした。

「ありぇは、なにかありましゅねー」

 昌哉はこのみの真似をする。

「何かワケありなんだよ」

 蘭の姿を勝手ながら見送ると、わたしたちはしばらく歩き出した。家に着く間中、二人は「ホームズとワトソン」ごっこをして遊んでいた。わたしは知らないけど、子供向けの探偵もののアニメが放送されているらしい。わたしは推理小説なんて読まないから、あまりそういうのには興味がない。ホームズ書いた人って誰だったっけ?アガサ・クリスティだっけなあ。

「ただいまー」

 そう言いながらドアを開けると、深沢先生が出迎えてくれていた。今朝と同じ笑顔で、右手を振る。

「おかえり、綾ちゃん」

「深沢先生、ただいま」

「たたいまぁ」

 このみ、昌哉が続いて挨拶する。

「このみちゃんと、昌哉くんもおかえり」

「ねえ、今日の夕飯って何?」

 靴を脱ぐ前に、わたしは尋ねた。このみと昌哉も、はっとして深沢先生をじっと見つめる。カレーか、クリームシチューか、グランタンか、ハンバーグか、鯖の塩焼きか。気になるところだ。

 深沢先生は不思議そうに首を傾げて、なぜわたしたちが夕飯のメニューにそんなに真剣なのか納得がいかない様子で、さらり、と告げた。

「カツ丼よ」

 わたしたちは指先一つ動かすことなく、あ然とした。

「……か、かつ、どん?」

「そうよ。そらちゃんと佳奈ちゃんは、トンカツ好きだから、カツ丼にするって張り切ってたけど。それに、最近食べていないじゃない?――どうしたの?もしかして、カツ丼嫌いなの?」

 わたしはその質問に答えず、白けた顔の二人を連れて洗面所へと向かうことにした。

 カツ丼は、思いつかなかったな。そらちゃんと佳奈が、トンカツ好きなのは知ってたけど。

「あれ?どうしたの?」

 わたしは初め、それがわたしたちの態度に対することの呼びかけかと思っていた。しかし、振り返ると深沢先生は怪訝そうにこのみのツインテールのヘアゴムを眺めている。そういえば、いつもは星がついたもので結んでいた。このみに近寄ると、イチゴのついたヘアゴムにそっと手を添えて、このみに訊いた。

「これ、どうしたの?このみちゃん、こんなの持ってなかったよね。今朝結んだときは、これじゃなかったよね?」

 その眼差しは鋭かった。深沢先生は、誰からか盗ってきたものだと疑っているのだ。このみは小さいから、いいこと、悪いことの分別がつかなかったから、盗んでしまった、というのは考えられないことはない。

 しかし、当のこのみはきょとんとした顔で素直に答えた。

「貰ったの」

「誰に、貰ったの?」

 深沢先生は「誰に」のところを強調して言った。

「絵梨お姉ちゃん」

「絵梨ちゃんに?……なんだ、そうだったの。ごめんね。手を洗っていらっしゃい」

 深沢先生はそこで引き下がったが、今度はわたしが尋ねた。絵梨がこのみのためにわざわざ買ってきたとは思えないし、こんな可愛らしいのを持っているはずがなかった。

「絵梨に貰った、ってどういうこと?」

 わたしの厳しい口調に驚いたのか、このみは肩をすくめて話し始めた。

「深沢先生にいつもどおり髪を結んでもらった後に、廊下で絵梨お姉ちゃんとすれ違ったの。そのとき、これを落としたの。あたしが拾って『可愛いね』って言って渡したら、『あげようか』って言ってくれたの。本当に可愛かったから貰って、このヘアゴムに絵梨お姉ちゃんに結び直してもらったの」

 落としたってことは、たまたまポケットから出てしまったんだろう。問題は、なぜそれを持っていたのか。髪が邪魔でまとめるにも、絵梨がイチゴのヘアゴムなんて使うだろうか。というより、絵梨が髪を結んでいるところなんて最近は見たことがない。もし使うにしても、絵梨ならビニール製の暗い色を利用するはず。

「あ、あとね、絵梨お姉ちゃんいつもより悲しそうだったよ」

「悲しそう?……いつもより、っていつも悲しそうなの?」

 このみは「知らなかったの?」と、びっくりしたようだった。わたしだったてびっくりしている。絵梨が、悲しい?

「絵梨お姉ちゃん、毎日泣きそうな顔してるよ。だから、あたし心配だったんだ。でも、泣いたことは見たことないから大丈夫なのかなあって……」

 常に偉そうな態度の絵梨が?わたしは信じられなかった。

 ふと、わたしは頭に思い浮かんだことを確かめるために深沢先生のもとへと走った。いきなり駆け出したわたしを訝しげに眺める二人の視線を背中に感じた。

「先生、深沢先生!」

 キッチンで佳奈とそらちゃんの隣に深沢先生が立っていた。

「あら、どうしたの?カツ丼はもう少し待ってね」

 わたしは、大股で先生近づき、ぐっと顔を上げた。

「このみが絵梨から貰ったって言うヘアゴムのことなんだけど」

 すると、先生はさっと顔を曇らせた。

「……それがどうかしたの?」

「深沢先生、あのヘアゴムのこと知ってるんじゃないの?」

 佳奈とそらちゃんがいる場所で話すべきではないと感じたのか、先生は誰もいないリビングのほうにわたしを引いていく。声を細めて、先生は説明した。

「私もこのみに絵梨ちゃんから貰ったって聞くまで思い出せなかったんだけど、あれは絵梨ちゃんが玄関の前の前に置かれていたとき、手首にはめられていたものだったの。ずっと持っていたのね」

 わたしは、洗面所から出てきたこのみに目線を合わせてできるだけ優しい口調で頼んだ。

「このみ、そのヘアゴムを返してくれないかな」

「嫌」

 やはり、一筋縄ではいかない。せっかく手に入れたものなんだから、そう簡単には手放したくないのだ。不満そうにしているこのみの顔を辛そうな眼差しで見た。このみには悪いが、演技だ。

「お願い、ね?」

「何で綾お姉ちゃんに返さないといけないの?これは、絵梨お姉ちゃんから貰ったんだよ」

「それはね、絵梨の大切なものなの。絵梨は優しいから、このみの頼みを断れなかっただけなの。本当は絵梨がこのみより小さい頃から持っているものなの。返してもらえないかな」

 わたしの説得が効いたのか、このみは渋々髪からイチゴのヘアゴムを外してわたしに突き出した。

「ありがとう。これはちゃんとわたしから、絵梨に渡しておくから」

 そう言いながら、まだ結んだ跡が残っている絵梨の頭を撫でた。

 なおも恨めしそうに睨むこのみと事の成り行きを黙って見守っていた昌哉を後にして、わたしは部屋に入るなり、顔をこれでもか、というほどしかめた。

 絵梨は優しい、だって。カツ丼食べる前に吐きそう。

 キッチンに戻ると、すかさずそらちゃんがみんなと離れたところにわたしを引っ張っていって、問いただした。

「さっきの話、聞かせてよ」

「さっきって?」

 苦しいとはわかっていたが深沢先生に「誰にも言っちゃダメよ」と口止めされていたので、とぼけるしかなかった。

「ヘアゴムが何とかって話!深沢先生とこそこそしてたじゃん」

「ああ、可愛いヘアゴムこのみには買ってなんでわたしには買ってくれないの?ってだけの話。大したことじゃないでしょ」

「それが、眉間に皺作ってこそこそするような話には思えないんだけど」

 うっ、さすがそらちゃんだ。細かいところまでよく見てるじゃないか。でも、ここで口を割るわけにはいかない。

「わたしにとっては、それくらい深刻な話だったの。――もういい?」

 そろそろ引き下がって欲しいところだか、そらちゃんはまだ食いついてきた。

「綾は、イチゴのヘアゴムなんて趣味あったっけなあ。どっちかっていうと、綾は青とかが好みじゃなかった?」

「最近は、赤もイチゴも好きになってきたの。そらちゃんもない?そういうの。成長すると変わるんだよー」

「でも――」

 納得のいかないそらちゃんは、さらに聞き出そうとしたけど、思わぬ障壁に出くわしてしまった。

「そらちゃん」

 そう言って、そらちゃんの肩を叩いたのは真由美ちゃん。たった今帰ってきたのだ。

「あ、おかえり。今取り込み中だから、あっち行ってて」

「えー何でー。あたし、そらちゃんに勉強教えて欲しいんだけど」

「それなら、ご飯の後でもいいじゃん」

「やだやだ。今がいい!」

 小さい子みたいにダダをこねる真由美ちゃんにそらちゃんは折れて「わかったよ」と大人しく自分たちの部屋へと向かう。なぜか、そらちゃんは真由美ちゃんに弱い。それに、そらちゃんのほうが年下なのに真由美ちゃんに勉強を教えるのはいつものこと。でも、真由美ちゃんはそらちゃんにばれないようにわたしを振り返り、ウインクした。わたしが困っていたのをわかって、助けてくれたのだ。

 わたしは心の中でお礼を言った。

 真由美ちゃんが帰ってきたのが合図のように、幸介兄ちゃん、桂馬くん、絵梨も帰ってきた。

「ただいま」

「おかえり、幸介兄ちゃん。今日は、バイトはないんだね?」

 学校指定の鞄をソファに放り投げて、幸介兄ちゃんは肩を落とした。

「ああ。何か、従業員がほとんど今日休みらしくて。人数少なすぎて店開けられないらしい。その分給料も減るんだよなあ」

 将来の為、今バイトをいくつも掛け持ちして、お金を貯めているのだ。その数は尋常よりは多いから、今日が何のバイトのはずなのかはわからない。前に教えてもらったけど、忘れてしまった。

「桂馬にーちゃーん」

 短い足で、ぱたぱたと駆けて、革靴を脱ごうとしていた桂馬くんに昌哉が飛びついた。昌哉は桂馬くんのことが大好きなのだ。桂馬くんのほうはそこまでじゃないかもしれないけど。

「んーどした?」

 横髪を垂らして、桂馬くんは小さく首を傾げた。心なしか、桂馬くんも昌哉と話すときは雰囲気がふわっとなる。和む、のかな。

「ただいま」も言わず、さっさと部屋に行こうとした絵梨をわたしは呼び止めた。

「絵梨」

 足を止めて、絵梨が振り返る。わたしは、まず相手を安心させるために、変な警戒心を抱かせないために、笑顔で「おかえり」と言った。

 絵梨は怪訝そうにわたしを見る。しかし、それもほんの数秒で、すぐに踵を返して行ってしまう。わたしは、絵梨が部屋のドアを閉める直前でそれを遮られる時間の目安を取って、その後を追いかけた。計画通り、わたしはそれを実行することができた。

 いきなり邪魔されて絵梨が目を見開いて、また振り返る。わたしだとわかると、不審そうに目を細めた。

「何」

 わたしはその質問はまず流して、無理矢理絵梨を部屋に押し込んだ。

「だから、何って」

 いつもと様子が違うわたしに、少し動揺しながら絵梨が再び訊く。

 わたしはポケットから例のヘアゴムを取り出すと、絵梨の顔目掛けて投げた。もちろん、記憶投げつけたわけじゃない。アンダースローだ。

 不意をつかれても、絵梨はそれを顔面すれすれで受け止めた。手を広げてそれを見止めると、わたしを睨んだ。少なくとも、絵梨はヘアゴムを見て驚いていた。

「あのさあ、人に物投げんなよな。それに、何これ」

「とぼけないで」

「はあ?」

 絵梨はいつものように片眉を上げて、バカにしたように聞き返しているつもりだろうけど、頭の中はなぜこれをわたしが持っているのか、でいっぱいなはずだ。その証拠に、口元が微妙な感じに歪んでいる。

「これ、絵梨のでしょ。ウィングに来る前から持っていただろう、大切なヘアゴム」

「あたしが?違いますけど」

 そう言うと、絵梨はヘアゴムを投げ返してきた。予想通り、といえば予想通りだ。絵梨が素直に認めるわけがない。でも、わたしは認めて欲しかった。自分は本当は生みの親のことをいつも考えていて、寂しくて、不良行為をして親の愛を確かめたいなんていう心理的行動を起こしているんだって。そして、いつか絶対、その親に会いたいと思っていることを。

「このみが言ってたよ。絵梨はいつも悲しそうにしてるって。小さい子は敏感なんだね」

「そんなの、このみの勘違いだよ」

 絵梨はわざとらしく、鼻で笑う。

「それから、このヘアゴム絵梨に貰ったって。今日はいつもより悲しそうだって。それに、このみの髪も結んであげたんだってね。絵梨の大切なものだって言ったら、返してくれたよ」

「だから?」

「ごめんね」

「え?」

 わたしの口から、そんな言葉が出てくるなんて夢にも思わなかったんだろうな。ヘアゴムを見たときより、びっくりしている。

「気付いてあげられなくて、ごめんね。一人で寂しさ抱え込まずに、わたしたちに言えばいいんだよ。みんな同じ境遇だから、一緒に泣いてくれるよ」

「あんたがそんなこと言える立場じゃないでしょ」

 今度はわたしが驚く番だった。冷え切った声。薄暗い中だったから、余計そう感じられた。

「一人で何か抱え込んでるのはあんたのほうじゃないの。不安でたまらないんじゃないの。憎くてたまらないんじゃないの。何の理由で自分を捨てたのか、訊けば?イーサンせんせーに」

「なっ……」

「違う?」

 たった一瞬で形勢が逆転した。絵梨は、いつ気付いたんだろ。親がわたしを捨てた理由のことを考えると、怖くて震えだしそうになること。

「綾と絵梨、ご飯だよー」

 グッドタイミングにそらちゃんの呼ぶ声がする。

「今行くー」

 ドアの外に向かって返事をすると、わたしはドアノブに手を掛けた。

「絵梨は訊いたんだ?イーサン先生に、自分の親が自分を捨てた訳。それも聞いても、ヘアゴムは捨てられなかったんだね」

 絵梨は顔を逸らす。わたしはそれ以上何も言わずに、部屋を出た。後ろで絵梨の咳き込む音を聞きながら、イーサン先生に伝えることを思い出した。親が自分を「棄てた」理由を聞いてもなおタバコを吸い続ける意味はない。絵梨の体が蝕まれる前にやめさせるように説得しなければならない。

「ただいまかえりました」

 先生の朗らかな声が玄関からした。

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