ああ、やっぱりな
動画の再生をタップする。
動画の時刻は十時五十三分、今から三分後だ。
ぶれた動画の中には、虐めっ子陽菜が廊下を曲がって、階段に向かう後ろ姿を映していた、陽菜は階段の一番上で何かにつまづき、一番下まで転落して行った。
画面には止めようとするような動きをした、手だけが虚しく残っていた。
まさかね、と思いながら同じ道を辿ると陽菜が階段に差し掛かるところだった。
「あっ!」
と思うまもなく陽菜は階段を転げ落ちて行った、私は慌てて手を差し伸べたが間に合わなかった。
慌ててその場を後にした。
背後から
「きゃあああ」
という声が聞こえた、誰かが発見したようだ、そっと胸を撫で下ろして教室に入る。
結局陽菜は右足を複雑骨折したらしい、虐めっ子達はその事に夢中で、私に何もしてこなかった。
悪いとは思いつつも安息の日が確立されたことに、心の中で大きく拍手をしてしまっていた。
家に帰るとすぐにお風呂に入った。
落書きを必死で擦って、全身赤くなるまで擦り続けた。
久しぶりに安心したのか、その日の夜はいつもより早く眠りについた。
いつものようにアラームが鳴る。
時刻は午前零時三十六分。
何も考えずに再び眠る。
今日も何も起きない!陽菜のお陰だ。
帰り道いつもの歩道橋を渡ろうとすると、スマホが鳴り出した。
「LINE一件」
宛名はいつも通り私。
スマホをタップすると、同じ歩道橋の反対側にいる妹の背中を追っていた。
時刻は五分前。
妹の背中が揺れる、階段から今にも落ちそうだ!
慌てて私は走り出した、妹を助けなきゃ!必死だった
反対側にたどり着き妹の腕を掴む。
「痛っ!おねえちゃんじゃん、どうしたの?」
きょとんとする妹に、
「偶然見かけたから一緒に帰ろうと思って」
と言うと。
さっき自分が渡ってきた方向から、ごん!がん!
とすごい音が聞こえた。
二人で見に行くと、そこには手足が変な方向に曲がった美咲が、虚ろな目で階段の一番下にいた。
そばには数人の人だかり、救急車は既に呼んだようだ。
怯える妹を落ち着かせて、私たちは家に帰った。
家では今日見た事の話題で持ち切りだった、私がクラスメイトだと言うと余計に身近に感じられたのか、みんな深刻な顔をしていた。
夜中
時刻零時十分
就寝
翌朝学校に行くと、美咲の席には花が飾られていて、虐めっこ達が全員啜り泣いていた。
私はそれを見て
「ああ、やっぱりな」
と、なんの感情もないただの思考を頭に浮かべた。
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