表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
65/98

閑話Ⅺ:新年という名の、どうでもいい一日

新年。


 それは、昨日まで山積みだった問題を、

 なぜか一斉に「来年考えよう」にしていい日である。



 王立学院では、なぜか「初詣」が開催されていた。


「……ここ、どこだ?」


 ルカが見上げた先には、

 それっぽく飾られた中庭の一角。


「初詣用特設祈願所」

 と書かれた紙が、風に揺れている。


「誰が許可出したんだ、これ」


「風紀委員長」


「俺かよ!!!」



 並ぶ学生たちは、なぜか真剣だった。


「何お願いする?」

「平穏」

「わかる」

「試験免除」

「現実的すぎない?」


 リディアは少し考えてから、

 静かに手を合わせた。


(……無事に、一年が終わりますように)


 誰よりも切実だった。



 一方、セラフ。


 なぜか賽銭箱の前で、

 風が妙に落ち着いている。


「……?」


「大吉が確定している気がする」


「何その理不尽」


 実際、引いた札は大吉だった。


「納得いかない……」



 ルカはというと。


「……凶」


「ですよね」


 周囲の反応が温かすぎて、逆に腹が立つ。



 午後。


 今度は「書き初め」が始まった。


「今年の抱負を一文字で!」


 誰が言い出したのかは不明だが、

 なぜか全員参加になった。


 最初に書いたのは、リディア。


『責』


「……重くない?」


「現実ですので」


 アランは少し悩んだ末、


『護』


「……殿下、ブレませんね」


「うるさい」


 セラフは、迷いなく書いた。


『風』


「説明はいらないね」


「腹立つな」


 最後にルカ。


 しばらく筆を握りしめてから、


『無』


「今年もそれか」


「生きてるだけで上出来だ」



 夕方。


 王宮では正月料理が振る舞われていた。


「……これは?」


「雑煮、に相当するものだ」


「何で透明なんですか」

「縁起がいい」

「誰基準で」


 誰も深く考えないことにした。


 ルカは無言で食べ、

 一拍置いて言った。


「……今年も耐えた」



 その頃、年始手当の話題が出ていた。


「功績者に支給、だそうだ」


「計算大変そうですね」


 書類の山を見て、全員が目を逸らす。


「減らないな……」


「正月ですから」


「そうだな……」


 正月は魔法の言葉だった。



 夜。


 一日の終わりに、皆で外を見る。


 雪はない。

 星は見える。

 世界は、ひとまず静かだった。


「……今年も、色々ありそうだな」


 誰かが言う。


「そうですね」


 誰も否定しない。


 でも。


 今この瞬間だけは、

 選択も、責任も、覚悟も、

 少しだけ脇に置いていい。


 正月だから。


 それだけで、十分だった。

新年一発目の更新です!


というわけで、

正月はとことん遊びました。

本編は一切進みません。

安心してください。


初詣も書き初めも料理も、

深く考えてはいけません。

正月なので。


今年も、

選択と政治と恋が待っていますが、

今日は忘れていい日です。


改めまして、

今年もどうぞよろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ