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閑話Ⅹ:王立学院と王宮の、とてもどうでもいい大晦日

大晦日。


 それは、どんな国でも「何となく全部を後回しにしていい日」である。



 王立学院では、年越しの鐘を鳴らす準備が進められていた。


「百八回、だな」

「誰が数える?」

「……ルカでいいんじゃない?」


「なんでだよ」


 即座に却下されるが、

 最終的にルカが数えることになった。


「納得いかねぇ……」



 鐘は鳴る。


「一!」

「二!」

「三!」


「……今、何回目だ?」


「二十七」

「いや二十八だろ」

「風が一回多く鳴らした」


「風のせいにするな」


 途中で完全に分からなくなり、

 最終的には「多分この辺」で終わった。



 一方、王宮。


 年末大掃除が行われていた。


「これは?」

「機密」

「これは?」

「もっと機密」

「これは?」


「それ去年の地雷案件」


 誰も触りたがらない箱が、隅に積まれていく。


 リディアは黙々と整理していた。


「……これは廃棄で」

「それも廃棄で」

「これは分類ミスです」


 周囲が静まり返る。


「……君、こういう作業得意だな」


「普通です」



 夜。


 年越しの宴(という名の軽食会)。


「これが、年越し料理だ」

「何で緑色なんですか」

「縁起が良い」

「誰基準で?」


 ルカは一口食べて、静かに箸を置いた。


「……今年も生き延びた」



 アランは、窓の外を見ていた。


「静かだな」


「嵐の前、かもしれませんね」


 リディアの言葉に、誰も否定しなかった。



 そして、鐘が鳴る。


 何回目かは、もう誰も気にしていない。


 ただ、年は越えた。



「……来年も、色々ありそうだな」


「ですね」


 それでも今夜だけは、

 誰も剣を抜かず、

 誰も選択を迫られず、

 誰も血を流さなかった。


 ――大晦日だから。


 それだけで、十分だった。

今年最後の更新です!


本編があまりにも本編なので、

大晦日は「何も起きない回」にしました。


鐘の回数は数えてはいけません。

料理の色も気にしてはいけません。

来年のことは、来年考えます。


今年も読んでくださって、本当にありがとうございました。

来年もどうぞよろしくお願いいたします。


それでは、良いお年を!

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