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閑話Ⅸ:王立学院・どうでもいい一日

その日、王立学院は平和だった。


 何も起きない。

 陰謀もない。

 血も出ない。

 誰も選ばない。


 ――奇跡である。



「なぁ聞いたか」

「何を?」

「購買のパン、味変わったらしいぞ」


「それは事件だな」

「いや、ガチで」


 学生たちは真剣だった。

 国家の未来より、昼食が大事。



 中庭では、意味のない論争が起きていた。


「噴水の水って飲めるのかな」

「飲むな」

「でも王宮の水源だし」

「飲むなって」


 結果、

 一人が飲んで怒られた。



 図書室。


「……この本、上下逆じゃない?」

「ほんとだ」

「誰が戻したんだ」

「知らん」


 本の内容はどうでもよかった。



 風紀委員室。


「今日は静かだな」


 ルカが言った。


「何も起きてない日は珍しい」


 その瞬間。


「ルカくーん!」

「購買のパン、どれが一番美味しいと思う!?」


「……仕事しろ」



 廊下の隅。


「セラフ伯爵ってさ」

「うん」

「たまに壁と話してない?」

「風だろ」


 納得された。



 医務室前。


「アラン殿下、回復食これでいい?」

「塩が薄い」

「重傷患者が文句言うな」


 静かに口論。



 その頃、当のリディア。


 ……いない。


 今日は珍しく、

 学院の外で普通に散歩していた。


「……平和ですね」


 誰にも聞かれない独り言。



 こうして今日も、

 王立学院はどうでもないことで満ちていた。


 ――たぶん、明日はまた地獄。

 でも今日は、これでいい。

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