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第二十五話:気づかぬ恋は戦火の中で



 アランがそう言った時――

 彼の声は、いつになく真剣だった。


 そして、すぐ隣でルカが返した言葉。

 その表情は、少年らしいあどけなさを消していて。

(……どうしたの、二人とも)


 私の知らないところで、何かが始まっている。

 胸の奥が妙にざわつく。理由は分からない。

 ただ、落ち着かない。


「リディア」

 呼ばれるたび、視線を奪われる。

 金の瞳が真っ直ぐに捕まえてくる。


「具合は? 顔色が悪い」

「えっ……あ、アラン殿下。いえ、大丈夫……です」


 近づかれるだけで、心臓が痛い。

 でも、それは嫌な痛みじゃない。


(どうしてこんな……)


「無理するな」

 言って、そっと私の額に触れた指。

 熱を測るだけのはずなのに、体が熱くなる。


 けれど――


「距離が近すぎる」

 その手を遮るように、ルカが入り込んできた。


「……リディアが驚くだろ」

「驚かせるつもりはない。心配しているだけだ」


 アランは動じない。

 ルカは一歩も引かない。


 二人の空気が火花のようにぶつかり合う。

 私は一歩遅れて、その意味を探す。


(……こんな関係だった?)


 と、その隙間に影が差す。


「ふふ、恋路の真ん中に立ち続けるのは罪ですよ、リディア」

 軽く笑いながら、セラフが私の耳元へ顔を寄せて囁いた。


「誰が、あなたを勝ち取るのか……

 楽しみで仕方がない」


 甘く、意地悪な声。

 それがなぜか、背中を震わせる。


「セラフ、君は――」

「黙れ、セラフ」

「お前は引っ込んでろ」


 アランとルカの声が重なる。

 まるで示し合わせたように。

 そして互いに気づいた瞬間――視線が更に鋭くなった。


(えっ……えっ……?)


 分からない。

 どうして、この二人が。

 どうして、私を挟んで。


「私は……何も知らないのに」


 声が震えた。

 でも誰も、否定してくれない。


 ただ戦いは静かに始まり、

 その中心に、気づかぬ私だけが取り残される。


――恋の戦場に立っていることも知らないまま。

三つ巴、始まりました

リディアだけが知らない恋の開戦。

アランは静かに距離を詰め、

ルカは必死にラインを引き、

セラフはにこにこ火種を撒き散らす。


恋とは戦争であり、政治であり、

時に誰よりも残酷な戦場ですね……(作者語り)


そして読者諸君は知っている。

この中に 元・夫婦が2人 混じっていることを。

そりゃややこしいわ!!!!!!( ‘ᾥ’ )


リディアの鈍感力が世界を救うのか、滅ぼすのか……

それはまた次回。


次回、

三者三様の「宣戦布告 —各視点編—」

ついに開戦の狼煙、あがります

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