表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/106

閑話Ⅰ:紅茶戦争と一杯のココア

【閑話Ⅰ:紅茶論争】


※注意※

この話は本編の息抜き用・完全ギャグ回です。

登場人物の一部に深刻なキャラ崩壊が発生しますが、

作者は至って真面目です(たぶん)。


シリアスと政治と恋愛の合間にお届けする、

“学院カフェテラスの戦場”──

推しの人格が一時的に崩壊しても、温かい目で見守ってください☕



 昼下がりの学院カフェは、いつになく騒がしかった。

 窓から柔らかな陽光が差し込み、香ばしい紅茶の香りが漂う。

 ――本来なら、穏やかな昼休みのはずだった。


「紅茶は王家御用達の茶葉が一番だ。君にはこれがふさわしい」

 アランが自信満々に差し出したカップ。

「いや、味が強すぎるだろ。リディアにはもっと繊細な香りが似合う」

 即座にルカがツッコミを入れる。

「繊細すぎて香りしかしねぇ紅茶なんて飲み物じゃねぇ!」

 カイルが庶民派の意地を見せ、ミルクをどぼどぼと注ぎ始めた。


「茶葉の抽出温度で成分が変わりますよ。実験してみませんか?」

 エリオルが湯温を測る魔道具を取り出す。

「……私は水で十分です」

 セラフが淡々と呟き、全員の動きが一瞬止まる。

「お前は黙っててください」

 全員の声が見事に揃った。


 テーブルの上には、湯気を立てるカップが五つ。

 紅茶の香りよりも、プライドのぶつかり合いの方が濃かった。

 その中心で、リディア・アルヴェーヌは優雅な笑みを浮かべながらも、

 内心では深い溜め息をついていた。


(これが……王国の未来を担う人材……?)


 議論は次第にヒートアップしていく。

「茶葉は産地が命だ!」

「いや、抽出時間が全てだ!」

「砂糖を入れるのは邪道だ!」

「それは文化の違いだろ!」

「戦争だな」

「誰が言ったんですか今の!?」


 カフェ中の客が振り返る。

 店員は完全に固まり、厨房では「……またあの人たちだ」とささやかれていた。


 リディアはついに、両手を机に置いて立ち上がった。

 紅茶の香りに包まれながら、静かに――しかし確実に、堪忍袋の緒が切れる。


「……もうっ!! 私はココア派ですっ!!」


 瞬間、時間が止まった。


 アランはカップを落としかけ、

 ルカは「論点が……!」と頭を抱え、

 カイルは即座に立ち上がり「ココア買ってきます!!」と叫んだ。

 セラフはわずかに笑みを浮かべ、「純粋で、温かい。……貴女らしい」と呟く。

 エリオルは静かにメモを取った。「砂糖比率の魔力安定値を……」


 背後では、ミリエルがそっとため息をついた。

「お嬢様、また恋愛戦線を拡大なさいましたわね……」


 リディアは頬を赤く染め、両手でココアのカップを包むように持った。

「……忘れなさい」


 その瞬間、アランがぼそりと呟く。

「……甘いの、好きなんだね」

 ルカが即座に肘で突く。「殿下、それ今言うタイミングじゃない」

「おっと……」

 どこかで椅子が倒れる音がして、再びカフェに喧騒が戻る。


 ――こうして学院は、一時的に“紅茶派”と“ココア派”に分裂したという。

 なお、その混乱は午後の講義開始まで続いたらしい。


* * *


To be continued.

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ