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閑話XVIII:白兎と侍女は、今日も主を甘やかす


 午後の陽射しが、学院寮の一室をやわらかく照らしていた。


 机の上には書類の山。

 政治史、経済論、魔法法規。


 そして、その中央。


「……あまい……」


 リディアは、幸せそうな顔でカップを抱えていた。


 湯気の立つココア。

 砂糖たっぷり。

 さらに、これでもかと浮かべられたマシュマロ。


 完全なる糖分の暴力である。


「お嬢様……それはもう飲み物ではなく、液体菓子では?」


 呆れ半分、微笑半分で言うのはミリエルだった。


「いいの。頭を使うと、糖分が必要なのよ」


「それは存じておりますが……限度というものが」


「大丈夫よ。三杯目だから」


「十分アウトです」


 即答だった。



 足元でもぞ、と白い影が動く。


 ふわふわの毛玉――ソラスだ。


 ぴょん、と軽やかに跳ね、

 当然のようにリディアの膝へ乗る。


「……ソラスも飲む?」


「お嬢様、うさぎにココアは駄目です」


「冗談よ」


 くすっと笑い、耳の後ろを撫でる。


 ソラスは気持ちよさそうに目を細めた。


 金と銀のオッドアイが、光を反射する。


「……本当に、懐いていますね」


「ええ。私が座ると、必ず来るの」


「完全に主だと思われていますね」


「光栄だわ」


 そのやり取りを見ながら、

 ミリエルは小さく息を吐いた。


(……昔から、変わりませんね)


 前世の記憶を持ち、

 大人びて、

 誰よりも理知的で。


 それなのに。


 甘いものを前にすると、

 年相応どころか子供みたいな顔をする。


 そして、小さな動物を抱くと、

 とても優しい顔をする。


 それが――


(私の、お嬢様)



「ミリエル」


「はい」


「この後、購買に行きたいのだけれど」


「また甘味ですか?」


「……どうして分かるの」


「長年の勘です」


 図星だったらしい。

 視線が泳ぐ。


「期間限定の焼き菓子があるって聞いて……」


「……」


「……半分こする?」


「買いに行きましょう」


「早い」


 結局、甘い。


 主に甘い。


 世界で一番、甘い。



 立ち上がった瞬間。


 ソラスがぴょん、と肩に乗った。


「きゃっ」


「……同行する気満々ですね」


「ふふ、一緒に行く?」


 白い毛玉が誇らしげに胸を張る。


 まるで「当然」と言わんばかりに。


 ミリエルはくすりと笑った。


「では、今日も三人で参りましょうか」


 甘党の主と、

 過保護な侍女と、

 世界一ふわふわな白兎。


 今日も、平和で。


 今日も、穏やかで。


 きっとこの時間こそが、

 彼女にとっての――


 いちばん大切な日常なのだろう。


はい、というわけで。


政治どこ行った。


陰謀どこ行った。


宰相令嬢とは???


……な、閑話でした。


だってさ。

だってさ???


リディア、

・激甘ココア一気飲み勢

・マシュマロ山盛り派

・うさぎ(オッドアイ)飼ってる

・侍女が過保護


とかいう属性盛り盛りセットなんですよ???


可愛いの暴力では???


書かない方が罪では???


そして我が家の癒し枠・ソラス。


まさかの「主の膝が定位置」系うさぎです。

完全に猫ポジ。


ちなみに作者の脳内では

ネザーランドドワーフの丸っこいフォルム+短い耳+もふもふ

=尊死兵器

です。


あれは生物兵器。


存在が可愛い。


あと地味にミリエル。


気付いたら「実質お母さん」になってました。


有能。

常識人。

ツッコミ担当。

でも最終的に主に甘い。


この人がいないと寮生活たぶん崩壊してます。


にど恋世界、

政治家と騎士と重感情男ばっかりなので、

この人が最後の良心です。


大事にしましょう。


さて。


次回はたぶんまた本編に戻ります。

(戻るよね?作者?)


糖分補給したので、

そろそろ金眼とか国家とか情緒破壊とかやります。


温度差ァ!!!


ではでは、

ここまで読んでくださってありがとうございました!


ソラスを撫でたい作者より。

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