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真相⑥


「ふふふ、続けましょうか」


 静まり返る食堂内に志穂の楽しそうな声だけが響く。


「義将会長の絵梨花さんに対する想いは想像以上に強かった。その為、絵梨花さんの霊が視えるという三条さんに義将会長がかなり好意的に信頼を置くようになってしまった。

 そして調子に乗った三条さんはあなた達に報酬のアップを要求してきた。『私の一言であなた達は斗弥陀グループの役職に就ける。なのに私の報酬が一回きりの百万円なんて安過ぎる。今回の報酬は一千万円にしてもらう』と。

 これを聞いたあなた達は当然拒否をしますよね?ですが三条さんは更なる暴挙に出る。『もし報酬をアップさせないのなら、あなた達が企んだ計画を全て公にする。そして私が斗弥陀グループのお抱えの霊能者になってやる』そんな感じで脅されたんでしょ?

 まぁ厚かましいというか、何というか。ただ、あなた達も自分達が立てた計画を乗っ取られては堪らないと、三条さんと話し合いの場を持つ事にしたんですよね?三条さんもひとまず納得し後日、森の中で落ち合う事になった。

 もしここまでで間違ってる所があったら仰って下さいね。ちゃんと訂正しますから」


 志穂がにこやかに問い掛けるが、志穂の口調や態度からどういう訳か既に裏が取られているのは明白だった。

 実際志穂がここまで述べた事柄も事実と異なる所もなく、誰も反論出来る者もおらず朱里は苦虫を噛み潰したような顔をしていた。


「そして我々が集められて二日目、朝食も終わり私と嵯峨良先生は義将会長を訪ねた。そして我々には絵梨花さんの霊は視えず、代わりに小夜子さんの霊が視える事を伝えた。私達はその後屋敷の周りなんかを見て回ったんだけど、その間に三条さんは私達が絵梨花さんの霊が視えないと言っていたのを伝え聞いたみたい。先生が屋敷に戻ると凄い剣幕で捲し立てて来たものね。

 そして三条さんは私達と一悶着起こした後、屋敷の外へと歩いて行った。私は頭に血が上った三条さんが落ち着く為に外に散歩にでも行ったのかと思ってたんだけど違ったのよね?三条さんは朱里さんと義人さんと三人で話し合う為に森の中へと歩いて行った。まぁ屋敷の中で話してたら誰かに見られたり聞かれたりするリスクがあるから賢明な判断だとは思うよ。

 そして三条さんが出て行ったのを見計らい神谷崎さん、貴方が私達に近付いて来た」


 皆が神谷崎を見つめるが、神谷崎は視線を泳がせ、誰とも目を合わせようとはしなかった。


「神谷崎さん、貴方は私達に自分の占いを披露してくれましたね。あの時私は貴方が何の目的で私達に近寄って来たのかわからなかった。だけど今思えば、貴方は私達の誰かが万が一にでも森の中に入って行かないように、この屋敷に私達を足止めするのが本当の目的だったんですよね?

 それを証明するように、貴方は二時間もかけて私達を占っていた。いやぁあの時、はじめに鬼龍ちゃんが冷たく袖にした時は焦ったでしょうね」


 志穂が笑って問い掛けるが神谷崎は無言のまま俯き唇を噛んでいた。

 そんな神谷崎を見つめて志穂は微笑むと、次は朱里の方へと顔を向ける。


「そして私達が神谷崎さんに足止めされている間にあなた達は森の中で三条さんと落ち合った。そして交渉はするものの話し合いは平行線を辿り、互いに苛立ちを募らせて行った。

 そして三条さんの『もう話し合いは無理ね。私が全てを晒して終わりにしてあげようか』というセリフを聞いて朱里さんの中で何かが切れた。

 朱里さんは三条さんに掴みかかり押し倒すと、倒れた勢いで三条さんは後頭部を強打してしまった。ここまでなら不可抗力とも取れるけど、朱里さん、貴女は後頭部を強打して悶える三条さんの髪を掴んでそのまま何度も地面に叩きつけながら何かを叫んでいたそうね。

 そして呆気に取られていた義人さんが慌てて貴女を止めに入った頃には時すでに遅し。三条さんは頭から激しく血を流し絶命していた」


 志穂が静かにそう言うと食堂内は水を打ったように静まり返り、全員の蔑むような視線を受けながら朱里がゆっくりと立ち上がる。

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