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過保護

「お早うございます。朝7時半になりました。2月3日。月曜日。

音楽の設定がまだです。オススメから朝のJazzを再生します」


AIの声と共にカーテンがゆっくりと開き、外の光が部屋に差し込んできた。

軽やかなJazzの音楽が流れ始める。


朝飲みたいものはコーヒー、と設定に入れたからか、

キッチンのコーヒーメーカーが自動で作動し、コーヒーがはいり始めた。


目を閉じたままでいればまるでここはヨーロッパのよう。


優雅やん。。。。


かつて経験した事ない朝の起こされ方に

むしろこのまま寝続けて優雅な気持ちを味わい続けたい。

そんな葛藤を感じつつ、寝返りをうつ。


空調が丁度良い設定なのか、上掛け布団から足が出るが、寒くない。

5分ほどゴロゴロしていると



「メモ:寝起きが悪い」



なにやら聞き捨てならないセリフが聞こえた。

気のせいか。



「朝8時半からKCD本社にてミーティング予定です。

3階の309号室と追記がありました。

この部屋から徒歩で10分の距離です。

もう少し寝ますか?」


「お早うございます。起きます。顔洗ってきますー」


むくりと起き上がり、どこへともなく、返事をしてみた。


8時まで寝ていたらどんな対応をしてくるのか気になるが

出社初日なので起きることにした。


ベッドから起き上がり、洗面所へ向かおうとすると、


「備え付けされています洗顔石鹼は泡立ててからお使いください。

もしお好みの香りなどありましたら設定ボタンからご登録ください」


白い壁にスクリーンが浮かび上がり、

ホーム画面が映し出され、設定ボタンがピコピコ光っている。


試しに設定ボタンに触れてみた。


音楽、食事、香り、色、洗剤、光加減、空調、アレルギー等など。

設定を始めたら3日はかかるんじゃない?


質問の数にビビりながら、見なかったことにした。

週末にゆっくりやろう。


「了解」


通り過ぎ、洗面所へ。

電気が付き、タオルの入っている引き出しが開いた。


早い早い。


お湯も流れ出すから慌てて顔を洗う。


早い早い早い。


洗い終わり、タオルを引き出しからとると、引き出しが勝手に閉まった。


怖い怖い怖い。


タオルを洗濯籠にいれようと探していたら

壁の一部が「ここに入れるがいい」といわんばかりに、開いた。



えー



「あ、有難うございます」


「洗濯物はその中へお入れください。

洗い終わりましたら、後ほど部屋に届きます」



か、過保護過ぎない?

慣れるの?慣れたら良いの?


え?




慣れたら私、ダメ人間にならない?




一抹の不安を胸に、初日の朝を迎えた。

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