98.魔王軍会議
魔王軍の残り幹部を一斉に出します!
(シトラス視点)
「ハァ……皆さん、どうしてここに呼ばれたか分かっていまシュルか?」
魔王城にある玉座の間に呼び出されたオレ達魔王軍将軍のメンバーは、いきなりスネイラから説教を受ける事になったガル。
ちなみに、魔王様……ドラグの野郎は玉座に魂の楔で固定されてたガル。
「……勿論、分かってるガルよ……」
「同じくですピョン……」
「同じくだッキィィ……」
「同じくですグル……」
「……俺っちは皆目見当もつかないよ~?」
ここに呼ばれた将軍はオレを含めて5体。
1人は、バニーガール姿でピエロの仮面を被った銀髪女性型の自動人形で来ている迷兎将軍 ラビリンス。
1人は、軍服が特徴的な黒い人狼こと黒狼将軍 ルウフ。
1人は、手に持った長い棒が特徴的な白い猿人こと白猿将軍 ルササ。
そして最後の1人は、背中から不死鳥の羽、腰から不死鳥の尾羽を出している上半身裸の色黒男こと炎鳥将軍 フェニルム。
……オレとラビリンス以外はドラグが生成した幹部共だガルが、どいつもこいつも面倒な奴等だガル……
それはそうと、さっきの返答はスネイラ的にはアウトだったらしく……
「では、単刀直入に言いまシュルが……当初は10人も居た筈の魔王軍の将軍も、今や5人しか居ないのでシュルよ?……という訳で、皆さんにはもっと危機感を持って欲しいシュル……」
「余計なお世話だガルァ!」
「承知しましたピョン……」
「分かったッキィィ……」
「しっかりと、肝に銘じますグル!」
「はぁ~……それ、俺っちには関係ない事だろ?」
オレが言い返し、ラビリンス、ルササ、ルウフが申し訳なさそうにする中、フェニルムは欠伸をしながら我関せずを貫いていたガル。
「確かに……フェニルムさんはスキル、【不死鳥】の効果で不死身ではありまシュルが……」
「……ってな訳で、俺っちは負けませ~ん!」
「なら、さっさと何処か侵攻でもして来てくれまシュルか?」
「それはそれで面倒臭いから嫌だ~!」
……フェニルムは、圧倒的な不死性を持つ魔王軍幹部だガル。
もっとも、同時に極度の面倒臭がりでもあるから滅多に魔王城を出ねぇガルが……
「ハァ……本当に皆さんは……」
そう、スネイラが呆れ果てたその時だった。
「おい、スネイラ……話はもう終わったか?」
「っ!……申し訳ございませんシュル、ドラグ様!」
突然、ドラグの野郎が口を開いた。
「……先程スネイラが言ったばかりだが、既に5体も余の配下たる将軍が討たれた。……つまり、その5体は役立たずの愚物だった訳だが……お主等はどうなのだろうな?」
「「「「「っ!?」」」」」
「……それ、私も入っておりまシュルか?」
「勿論だが?」
「そ、そうでございまシュルか……」
この感じ、いつオレ達"将軍"の役職がなくなってもおかしくはねぇガルなァ……
「……で、どうなのだ?」
「ガルァ?……オレはひとまず謹慎するガル。……とはいえ、魔王様が出陣しろって言うなら出ても……」
「お主は黙っていろ。……余は、他の4体に聞いておるのだ……」
「……理不尽だガル……」
まあ、出ずに済むならそれで良いガルが……
「そ、その……私の本領は迷都 ラビリンスの中で1番発揮出来ますピョンし……」
「つまり、そこまで勇者共を進ませるとでも?」
「ぴょ、ピョン……」
ラビリンス、確かに本体の迷宮で挑むのが1番有利なんだろうガルが……その答えは駄目だガルよ……
「お、オイラには無敵のスキル、【猿真似】があるッキィィィィィィ!」
「それでどうするつもりだ?……まさか、何も考えてないのか?」
「そ、それはそのッキィィ……」
ルササは自身のスキルを無敵だと評したが、聞いてる身からしたら聞きたいのはそこじゃねぇとしか言えなかったガル……
「ハァ……どちらの答えも嘆かわしいですグル……」
「となると、お主には考えがあるのか?」
「ええ。……本官は、技術都市 ケールを陥落させますグル!」
「「「っ!?」」」
「お、おい……本気だガルかァ!?」
「ほう……続けよ……」
ルウフが言ったケール陥落は、とてもじゃねぇが無理な話だと思ったガル……
何せ、ケールは表向き技術都市とはなっているガルが、その本質は兵器都市とも言える武装集団だガル。
当然、結界内部の武装もえげつねぇのが多いと聞くガルし、オレ以外の将軍じゃ何人か殺せてもすぐ死ぬのがオチだガル。
だが、ルウフは尚も言葉を続けて……
「とはいえ、本官だけでは無理ですグル。……ここは、ルササとラビリンスにも力を貸していただきたいですグル……」
「ッキィィ!?」
「ピョン!?」
急な指名に、ルササとラビリンスが驚きの声を上げる。
いや、ルササはともかくラビリンスはしょっちゅう色んな将軍手伝ってたガルよな?
「まず、ルササの【猿真似】でケールの結界を破りますグル。……その後、ラビリンスが召喚した魔物で一斉に……」
「でも、それを実践したミノガルとバーバはあっさり失敗しましたピョンよ?」
「それは勿論、魔物を上手く指揮出来ていなかったのが原因ですグル。……これはタブルドにも言える事ですグルが、部下となる魔物を碌な指揮能力もないまま現地調達で賄おうとするとは……笑止千万ですグル!」
「ぴょ、ピョン……」
ある意味、集団戦に特化したルウフだからこそ出て来た言葉だガルなァ……
「徹底的な指揮のもと、ケールに魔物を解き放ち、奴等に武装を使うだけ使わせた後に本官達で一掃するのが今回の作戦ですグル!」
「ふむ……姑息な狩りをする人狼とは思えぬ策だな……」
「その様な狩りは弱者のする事ですグル。……少なくとも、本官はそんな狩りはいたしませんグル!」
通常の人狼は人に化けて狩りをするもんだガルが、ルウフはモロに将軍らしい戦い方をするんだガルよなァ……
それが奴の持つ誇りなんだと思うガル……
「ふむ……今の策で本当にケールを陥落させられれば、余としてもお主を褒め称えてやろう……」
「ありがたき幸せですグル!」
「気にするでない。……余としても、メープシーが復活させた先代魔王と戦うという楽しみが潰えてしまったのでな……」
そういう事ガルかァ……
どうして先代魔王を復活させたがっているメープシーを放置していたんだと思ってたガルが、最終的には復活した先代魔王と戦うつもりだったんガルかァ……
「では、魔王様は本官の勝利という吉報をお待ちくださいグル!」
「そうさせて貰おう……スネイラ、ルウフ共を出来る限り支援してやれ……」
「お、仰せのままにシュル!」
……どうも、ルウフが大勝負に出るのは決定事項になったみてぇだガルなァ……
ただ、このペースで行けばアカネ共とぶつかる可能性が高いガルが……まあ、あいつ等なら何とかなると信じるガル……
……アカネ共ならきっと、ルウフ共に打ち勝ってみせるガルよな?
「……って、もう敵同士だってのにオレは……」
「よ~…シトラ、どうした~?」
「フェニルム……テメェ如きに話す事は何もねぇガルァ!」
「おいおい、酷いな~。……シトラ、1度も俺っちに勝ててないのに……」
「うるせぇガルァ!」
……フェニルムは不死身だガルから、殺しても死なねぇガル……
あ~もう、イライラするガル……
「……そろそろシトラさんとフェニルムさんとの間で大喧嘩が起こりそうでシュルから、この辺りで会議は終了としまシュルか……」
「そうですピョンね……」
「そうだッキィィ……」
「そうですグル……」
何かオレとフェニルムが会議終了の言い訳に使われた気がするガルが……もう、どうでも良かったガル。
それはそれとして、ルウフによるケール陥落作戦は果たしてどうなるガルか……オレは、少しだけ興味があったガル……
ご読了ありがとうございます。
何か、ここまで来ると場面を繋ぐアイデアが湧きません。
気が向いたらいいね、ブックマーク登録してくれるとありがたいですが、あくまでも気が向いたらで大丈夫です。
後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。