97.発明コンビの実力
この章の内容、現在精一杯考えてます。
(浅山 藤四郎視点)
「何か、騒がしい人が増えてますね……」
「ふむ、ボクが言うのも何だが個性的だね……」
「でも、良い人達っぽいっしょ!」
ダルクさんがミツエさんを質問責めにしていると、兼人、司、正義の3人もこの場にやって来た。
すると、ダレスさんの様子がおかしくなり……
「こ、こんなイケメンが居て良いんすか!?」
「……もしかしなくとも、ボクの事だよね?」
「当然っす!……こんなにイケメンな男装女子、初めて見たっす!」
「……え?」
ダレスさんは初対面にも関わらず、司が女子だと見破った。
俺ですら、初対面時は男性だと思っていたのに……
「ん?皆、どうしたんすか?」
「よ、よくボクが女性だと分かったね……」
「……いや、見りゃ分かるっすよ?」
「そ、そうかい……」
ダレスさん、観察眼がえげつねぇな……
いや、発明家ともなるとこのぐれぇは出来ねぇと駄目なのか?
と、その時……
『魔物が出たで~!』
「……久しぶりだな……」
最近は魔物の襲撃がなかったのだが、単純に魔物の生息地ではなかっただけか……
「じゃ、パパッと片付けちゃお!」
「あ~……可能なら私達が片付けても良いっすか?」
「ん?」
やる気満々だった茜はさておき、何故かダレスさんが魔物を片付けると言って来た。
「これはダルクに魔物の能力を組み込む良い機会っすからね!……私達に任せて欲しいっす!」
「えぇ……私はミツエ様からもっと話を聞きたいのデスが……」
「良いから行くっすよ!」
「ハァ……分かったのデス……」
渋々といった様子で、ダルクさんはダレスさんの後に続いて外に向かった。
それを追う様に、俺達も外に出たのだった……
そして、馬車の外にて……
「フシュ~……フシュ~……」
ーチョロチョロ……
「グルルルル……」
馬車を取り囲んでいた魔物は、鉄の様な鱗が特徴的なオオトカゲの大群と、1匹の黒い狼だった。
「これは……アイアンリザードにコマンダーウルフっすか……」
「え、何だって?」
アイアンリザードはまあ、ぶっちゃけそのまんまだ。
だが、コマンダーウルフって……
「アイアンリザードはまあ、そのまんまっす。……で、コマンダーウルフもその名の通り指揮に優れた魔物っす。……ただ、アイアンリザードを従えてる個体は珍しいっすね……」
指揮を得意とする狼型の魔物……
これは、意外とキツいんじゃ……
「マスター、アイアンリザードは私の方で片付けマス!」
「なら、私がコマンダーウルフを片付けるっす!」
どうも、ダレスさんがコマンダーウルフを、ダルクさんがアイアンリザードの大群を相手にするらしい。
でも、厳しいんじゃ……
「ふぅ……【生体再現・クラーケン】デス!」
ーボゴッ!……クネクネクネ……
「た、蛸足が生えた!?」
ダルクさんが【生体再現・クラーケン】と唱えた瞬間、ダルクさんの右腕から巨大な蛸足が何本も生えたのだ。
「行きマス!」
ーガシッ!ガシッ!ガシッ!
「「「ウガァァァァ!?」」」
「潰れるのデス!」
ーグシャ!グシャ!グシャ!
ダルクさんは巨大蛸足でアイアンリザードを3匹捕獲すると、蛸特有の怪力で捕らえたアイアンリザードを潰したのだった。
「ふっふっふ……ダルクは強いんすよ!」
「そ、そうみてぇだな……」
ぶっちゃけ舐めてた。
まさか、ここまでとは……
「じゃ、アイアンリザードはダルクに任せて……私はさっさとコマンダーウルフを倒すっす!」
「グルルルル……グルァ!」
自身が従えていたアイアンリザードがダルクさんの巨大蛸足によって潰されるのを見て、警戒を強めるコマンダーウルフ。
ダルクさんには勝てないと悟ったコマンダーウルフは、躊躇なくダレスさんに攻撃を仕掛け……
「ふぅ……"自動追尾式荷電粒子砲"っす!」
ービュン!……ぶしゃっ!
「ギャオンッ!?」
ードサッ……
「い、一撃かよ……」
ダレスさんは手荷物から取り出した"自動追尾式荷電粒子砲"なる銃型の武器から光線を発射し、コマンダーウルフをたった一撃で仕留めた。
「……お兄ちゃん、あれ魔法じゃないよね?」
「ああ……いくら翻訳されてるとはいえ、あの名前は明らかに科学の領分だ……」
言語自体は翻訳されているとはいえ、"自動追尾式荷電粒子砲"なんて名前は科学の領分としか思えなかった。
「……ふっふっふ、これは私が開発した魔法を少ししか使わずに高威力の攻撃を出せる武器っす!」
「な、なるほど……魔法と科学のハイブリッドか……」
"荷電粒子砲"は、俺達の世界でも理論自体はあった武器だ。
だが、技術的な問題が大きかったために実現しなかった武器でもある。
それを、魔法でどうにかしたって訳か……
「……にしても、コマンダーウルフがこんな所に居る訳ないと思うんすけどね……」
「確かに、ここはコマンダーウルフの生息地域から大きく外れていマスしね……」
「お、ダルクの方も殲滅出来たみたいっすね!」
「はい。……所詮は雑魚デシたので……」
多分、あの魔物達はそこそこ強かった筈だ。
なのに、ダレスさんとダルクさんはあっさりと倒してしまった。
「それにしても残念っすね~。……能力をダルクに取り込ませようと思ってたっすけど、どっちもケール付近でよく見る魔物っす……」
「アイアンリザードは既に能力コピー済みデスし、コマンダーウルフはただ指揮能力が高いだけデスし……」
「だからまあ、今回は外れっすね!」
「そうデスね……」
どうも、今回の魔物の能力は既にコピー済みだったらしく、2人は少しがっかりしていた。
「せやけど、コマンダーウルフがここに居った理由は何や?……ケールまではまだまだ距離あるで?」
「う~ん、何でっすかね~?」
「分かりマセん。……ただ、コマンダーウルフは賢いので、ケールを発った私達を追って来た可能性もありマスね……」
「……それだけやとええんやけど……」
エルリスさんの声は、かなり不安そうだった。
そして、この時の俺達は知らなかった。
この一件に、魔王軍幹部が関わっていたなんて……
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(シトラス視点)
「グルルルル……ワオォォォォォォォン!」
「煩いッキィィィィィ!」
ーブンッ!……バシィィィン!
「痛っ……本官に何するグルァ!」
あれは……魔王軍の犬猿コンビが、また喧嘩してやがるガル……
「それはこっちの台詞だッキィィィィ!」
「なっ……本官はただ、部下の死を悼んで……」
「いや、無限に湧いて来る様な雑魚魔物が死んだ程度で騒ぐんじゃないッキィィィィ!」
「……例えコマンダーウルフ1体といえど、本官にとっては大事な部下だグルァ!」
確か、奴……黒狼将軍 ルウフは、部下のコマンダーウルフの生死を察知する事が出来るとか何とか聞いた事があるガルなァ……
そしてその喧嘩相手である白猿将軍 ルササの言う事も分かるガルが、ルウフは本気で雑魚魔物も大事な部下として扱ってるガルからなァ……
まあ、それはそれとしてオレはどっちの将軍も嫌いだガルが……
「ハァ……って、そこに居るのはシトラだッキィィィィ!?」
「グルァ!?……どうして反逆行為を行ったお前がここに居るんだグルァ!」
「反逆行為だガルァ?……生憎、オレが倒すのを手伝ったのは先代魔王の成れの果てだガル。……この程度なら、"お願い"の範疇に収まるガル……」
「グルル……」
「でも、これで最後だッキィィィィ!」
「ガルァ……もう、次はないガルなァ……」
そんな事を話しながら、オレ達は魔王城の玉座の間へと向かうガル。
……魔王様からの招集を受けた、幹部全員で……
ご読了ありがとうございます。
次回、魔王軍幹部集結です!
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