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96.複合人形と先代勇者

最近、小説を読んでて執筆が出来ていません。

(浅山 藤四郎視点)


「いや~、本当にラッキーだったっす!」


「マスター、今後は気をつけて欲しいのデス……」


旅の道中で拾う事となった2人組、ダレスさんとダルクさん。


正直に言うと、俺は未だにこの2人を警戒していた。


「んん~?……そこの青年、何か私達を見る目が警戒心MAXじゃないっすか?」


「そりゃ、見るからに怪しいからな。……逆に、行き倒れてた発明家と何かよく分からねぇ人形相手に警戒を解ける程腑抜けてもねぇよ……」


「まあ、この者の言う事も一理ありマス。……私だって、マスターとの初対面が行き倒れだったら警戒していたデショうし……」


「何か酷くないっすか!?」


ダルクさんはダレスさんに比べると、まだ多少はマトモそうだ。


まあ、それでも警戒は解かねぇが。


と、その時……


「……ねぇねぇ、2人って好きな人とか居るの?」


「ん?」


「貴女は……誰デスか?」


「私は茜!……今2人が話してた人の妹だよ!」


突然、茜がダレスさんとダルクさんに話しかけた。


「え、そうなんすか!?」


「ところで、貴方の名は何といいマスか?」


「俺か?……俺は藤四郎だが……」


「ふむ、トウシロウデスか……」


ダレスさんは驚き、ダルクさんは意に介さず俺の名を聞く……


もう、この場の状況は滅茶苦茶だった。


「……で、結局2人は好きな人って……」


「別に居ないっすね……」


「居ないデスね……」


「じゃあ、私とか……」


「でも、男が良いっす!」


「マスターと同じくデス!」


「……茜も懲りねぇな……」


茜は自身を恋人候補として売り込み、そして案の定玉砕した。


……というか、茜はシトラ一筋……じゃなくなったんだったか……


「い、良いもん!……私にはまだ、シトラスちゃんと名前も知らない兎ちゃんが……」


「だったら普通、その2人と付き合える様に頑張るのが先じゃねぇか?」


「うぐっ!?……でも、私は百合ハーレムを……」


茜の気持ちは痛い程分かるが、それでも通すべき筋はあるだろうに……


と、ここで……


「ご主人様、このお方達もご主人様の……」


今まで黙っていたナフリーが、何か爆弾発言をしようとしていた。


「……それに関してはノーコメントで……」


俺は否定も肯定もせず、ナフリーの言葉を遮った。


「あら、否定しないんですの?」


「だって、この先好きになるかもしれねぇし……」


「では、今はどうなのですかな?」


「今は……警戒対象だな……」


結局、怪しい雰囲気がある訳でもねぇんだが……


何故か、警戒しちまう。


とまあ、こんなやり取りをしていたのだが……


「……というか、誰も聞きそうにないから私が聞くんだけど……複合人形(キメラロイド)って何?」


茜が、誰も聞こうとしたかった件に触れ始めた。


「いや茜、それは多分深く詮索しちゃ駄目な事だと思うんだが……」


「ん?全然大丈夫っすよ?」


「大丈夫なのかよ!?」


俺としては、てっきり深く詮索しねぇ方が良い話かと思ってたんだが……


複合人形(キメラロイド)っていうのは、自動人形(オートマトン)をベースに色んな魔物の能力を混ぜ込んだ存在っす!」


「私はマスターに作られマシたが、複合人形(キメラロイド)なんて物を作ろうとする物好きなんてそうそう居マセんので……多分この世界には私だけデショう……」


自動人形(オートマトン)をベースに、様々な魔物の能力を組み込んだ、か……


「ちなみに、結構生体パーツも使ってるっすから、普通に人間と子作りも出来るっすよ!」


「ブフォ!……いや、突然何を言ってやがる……」


生体パーツって……もはや、自動人形(オートマトン)の範疇を逸脱しまくって……って、それで複合人形(キメラロイド)か……


「聞けば聞く程、生命への冒涜みたいだね……」


「い~や、私はダルクを自分の子供の様に可愛がってるっすから、冒涜なんかしてないっすよ!」


「理屈が訳分かんねぇよ……」


もう、ダルクさんの存在そのものが生命への冒涜みてぇなんだが……ダレスさんは可愛がってるからセーフ理論を出して来た。


そんなの、何の反論にもなってねぇのに……


そう、考えた時だった。


「そうは言うがのう……ま、別にこの世界じゃもっと酷い実験がまかり通っておった時代もあったのじゃし、この程度で目くじらを立てんでも……」


「メサイアさん、何でここに……」


突然、俺達の真上にメサイアさんが現れた。


と、次の瞬間……


「うぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!ゴーストっすぅぅぅぅぅぅぅぅ!」


「ハァ……マスター、このゴーストは友好的個体と推測されマ……」


「だとしても怖いものは怖いっすよ!」


「……そうデシたね……それはそうと、このゴーストはやけに存在がハッキリしていマスね……」


ダルクさんは半ば呆れながらも、そのままメサイアさんを観察し始めた。


「妾は1度、冥界に行っておるからのう……そこから、死神長とやらを打ち倒して、この現世へと舞い戻ったのじゃ!」


「そうなのデスか……後、先程メサイアと呼ばれておりマシたが……まさか、あの伝説の勇者ミツエ様のパーティーメンバーだったメサイア様デスか!?」


「そうなのじゃ!」


「何と……これは良い経験になりマスよ~!」


ん?


何かダルクさんのテンションがおかしく……


「お、おい……」


「はっ!……となると、御者をしていマシたあのエルフの女性はまさか……」


「ん?……エルリスがどうかしたかのう?」


「や、やはりエルリス様デシたか……」


どんどん変なテンションになるダルクさんを前に、俺はダレスさんの方を向いて無言で説明を求めた。


「あ~……ダルクは勇者ミツエの大ファンなんすよ。……それこそ、そのパーティーメンバーに出会ったらこうなってしまう程には……」


「あ、あの!……勇者ミツエ様や、戦士タイガーラ様はいらっしゃいマスか!?」


「え、えっと……タイガーラは、条件が1人だけだったのもあって冥界に残ったのじゃ……」


「そ、そうデスか……なら、ミツエ様もいらっしゃらないのデスね……」


……い、言えねぇ……


ミツエさんはこの馬車に居るのだが、その性格は生前とは大きく変わって陰キャそのものになっている。


とてもじゃねぇが、会わせる事は出来ねぇな……


そう、思っていたのだが……


ーガチャ……


「ん~?……誰か、あちきを呼んだでありんすか?」


「あっ……」


「……誰デスか?」


「えっ……あ、例の行き倒れでありんすか?」


現在、ダルクさんはミツエさんが勇者ミツエだと気付いてねぇ。


なら、まだ手は……


「……まさかとは思いマスが、この方が勇者ミツエ様デスか?」


「な、何で分かったのじ……あっ……」


「……そうなのデスね……」


「……そうじゃ……」


メサイアさん、思ったより嘘つくの向いてねぇな……


「私が読んだ本に描かれていた勇者ミツエ様は、こんな性格ではなかった筈デスが……」


「いや、寧ろこっちが素でありんす……」


「……なるほど、状況次第で"仮面"を変えるタイプだった訳デスか……」


「いや、よくそんな一瞬で分かったな……」


てっきりもっと混乱するのかと思ってたが、ダルクさんはいたって冷静に対応していた。


「……あ、あちきがこんな性格だったのには失望したでありんしょ?」


「いや、別にそうでもないデスよ?」


「え?」


「……逆に聞きマスが、本に描かれていた貴女の優しさは全て嘘だったのデスか?」


「い、いや……そういう訳じゃないでありんすが……」


ダルクさんは、推しの素の性格が陰キャでも構わず推し続けるらしい。


ある意味、狂信に近い程に……


「……それはそれとして、今の貴女ってどんな状態デスか?……ゴーストとも違いマスし……」


「い、今のあちきは死神でありんす……」


「死神デスか!?……いったい、何がどうなってそうなったんデスか!?」


「ひ、ひぃ……」


その後、ミツエさんはダルクさんに根掘り葉掘り質問をされまくっていたが……何を話しているかは聞き取れなかった。


ただまあ、今の一連のやり取りで、ダレスさんとダルクさんを警戒する必要はないと感じたのだった。 

ご読了ありがとうございます。


ダルクは、ミツエパーティーの大ファンです。


気が向いたらいいね、ブックマーク登録してくれるとありがたいですが、あくまでも気が向いたらで大丈夫です。


後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。

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