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95.発明家と複合人形

新キャラ、登場です!

(浅山 藤四郎視点)


スカルサタゴーラとの戦闘から1週間が経過した。


あれから先代勇者かつ今は死神のミツエさんが勇者パーティーの旅に同行すると言い出したり、ナフリーが意識を取り戻したりと、まあ色々な事があった。


そして、そんなこんなで旅立ちの日はやって来た。


「なあ、エルリスさん。……今回の旅立ちは何か早くねぇか?」


「そうは言うけどなぁ……ラフロンスの周辺ってあんま魔物湧かへんのよ。……せやから、鍛練用の滞在場所としては寧ろ向いてへんというか……」


「ああ、なるほど……」


そういえば、ラフロンス周辺で出会った魔物は人間に友好的か、そうでなくとも知性が高い魔物だった。


逆に言えば、それ以外の魔物は居ないという訳で……


「ほな、行くけど……皆、準備はええか~?」


「俺は大丈夫だ。」


「私も~!」


「僕も大丈夫ですよ。」


「ボクもだね。」


「俺チャンもっしょ!」


「あたしも大丈夫ですニャン!」


「私も大丈夫ですわ!」


「私めもですぞ!」


「妾もばっちりじゃ!」


「あ、あちきもでありんす……」


「……ほんま、大所帯になったなぁ~……」


気付けばもう、俺達は11人の大所帯パーティーになっていた。


しかも、その内3人が俺の恋人とか……


「ハァ……エルリスさんとメサイアさんも、俺の告白受け入れてくれねぇかな……」


「せやから、しばらく様子を見るだけやって……」


「普通にトウシロウの事は好きなのじゃ!」


「……お兄ちゃんって、そこまで良いかな?」


茜が何か言ってるが、まあ良いだろう。


いやまあ、俺自身は茜と同意見なんだが……


と、そこへ……


「フォッフォッフォ……もう行かれるのですかのう?」


「あらぁ♥️……寂しくなるわぁ♥️……」


「あ、タイボルドはんにシュラ坊やん……」


タイボルド教皇猊下とメルシュラさんが、馬車置き場にやって来た。


「まあ、ただの見送りじゃからそこまで気にする必要もないのじゃ……」


「そうよぉ♥️……うっふ~ん♥️……」


ただの見送りとは言うが……ぶっちゃけ、教皇が商人だけを引き連れて来てるのはやべぇと思うんだが……


まあ、言わねぇ方が良さそうだな……


「えっと……タイボルド、この街は任せたのじゃ!」


「ええ、メサイア様から譲っていただいた教皇の職務、今度こそ立派に務め上げてみせますのじゃ……」


「……メサイアはんより、教皇向いとるやん……」


「エルリス、何か言ったかのう?」


「メサイアはんはマトモに教皇の職務しとらんかったって言おうとしたで?」


あ、これはマズい予感……


「……」


「……」


ーガシッ!


「「ぐぬぬ……」」


結局、またもやエルリスさんとメサイアさんが頬を引っ張り合う喧嘩を始めてしまった。


しかも、教皇猊下とメルシュラさんはニコニコしながらその様子を眺めていた。


「フォッフォッフォ……やはり、お二人はこうでなくてはのう……」


「そうよねぇ♥️……」


……とまあ、こんな感じでドタバタしつつも、皆は馬車に乗り込んで行く。


「ほな、ウチ等は次の都市……技術都市 ケールに行くわ~。」


「フォッフォッフォ……あの都市が、魔王城方面で確認されておる最後の都市じゃったのう……言わば、魔王軍との争いにおける最前線じゃ……」


「まあ、小規模な集団なら最前線を平気で越えて来るんだけどねぇ~♥️?」


「……せやな……」


そんな会話を聞きつつ、俺も馬車に乗り込んだ。


そして数秒後、いよいよ馬車はラフロンスを出発したのだった……



そして、数日後……


「……驚く程、何もなかったな……」


「まあ、それが1番ですニャン……」


「そ、そうですわ!」


「そ、そうですな……」


ラフロンスを出て数日が経過したというのに、特に何も起きなかった。


その間、俺はずっとナフリーやメアリー、ロウルさんとイチャイチャしていて……それはもう、アレな生活をしていた。


「も~、本当にお兄ちゃんは……もっと鍛練するとかないの?」


「鍛練っつてもな……まず、馬車の中で出来る事には限りがあるし……」


「……まあ、そうだけど……」


俺は、ふと近付いて来た茜とそんな何て事のない会話をしていた。


その時だった。


『皆、ちょっとええか~?』


「ん?」


『いや、別に魔物が来た訳やないんやけど……行き倒れが()るんや……』


「え?」


エルリスさんが言うには、どうも行き倒れに遭遇したらしい。


その後、すぐに馬車が止まり……俺達は、外に出たのだった……


「……で、行き倒れは?」


「あ~……あそこやよ?」


「ん?」


そこに居たのは、白色のタンクトップらしき服と茶色の短パンを着用した、茶髪のボーイッシュヘアーが特徴的な女性だった。


「……え、あれ大丈夫なの!?」


「分からないですニャン……ただ、辛うじて息はありますニャン……」


「なら、早急に助けないといけませんわね……」


辛うじて息はあるとの事で、俺達は行き倒れている女性に近付く。


だが、その直後……


「……貴殿方はどなたデスか?」


「「「っ!?」」」


突然、近くの林から何者かが現れたのだ。


その人物は、倒れている女性と全く同じ容貌をしており、双子か何かだと俺は考えた。


しかし……


「……ウチ等は旅をしとるだけの冒険者やよ。……ただ、その途中で行き倒れを見つけて……」


「ああ、マスターはあれだけ大丈夫と言っておきながら意識を失ってしまわれたのデスか……これだから水分は多めに持って来るよう言っておいたのデスが……」


……林から出て来た人物は、行き倒れている女性を"マスター"と呼んでいた。


つまり、双子ではないのか?


「……なあ、お前達の関係は何なんだ?」


「ふむ……開発者と発明品、デスかね……」


「えぇっ!?」


何か、話が斜め上に行ったぞ!?


と、このタイミングで……


「み、水は……何処っすか……」


「あ、マスター!……近くの水場から汲んで来た水デス!……飲んで欲しいデス!」


謎の人物は行き倒れていた女性に水筒らしき木筒を渡すと、行き倒れていた女性は中の水を飲み始めた。


それはそうと、謎の人物は何だか言葉がたどたどしかった気がするが、先程の発明品発言を考えるともしかして……


「ごくごくごく……ぷは~っ!……生き返ったっす!」


「こうなるから、私は水分を多めに持って行くように言ったんデスよ?」


「ご、ごめんっす……」


「しかも、行き倒れだと思われて旅人の皆さんに迷惑までかけて……謝るべきだと思いマス!」


「す、すみませんでしたっす……」


どうも、主導権は謎の女性の方が持っているらしい。


……もしかして、行き倒れていた方が発明品とかいうオチはないよな?


「そ、それよりお前達は……」


「あ~、自己紹介がまだだったっすね。……私はダレス・ルルペンっす!」


「そして私がマスターの最高傑作とも言える複合人形(キメラロイド)ことダルク・ルルペンといいマス!」


……2人は決めポーズをとりながら、そう答えた。


というか、やっぱりデスマス口調の方が発明品だったか……


と、その時……


「……ダレス・ルルペンやって!?」


エルリスさんが、やけに驚いたような声を上げた。


「エルリスさん、知ってるのか?」


「技術都市 ケールで1番期待されとるっちゅう噂の若い発明家やよ。……ウチも会うんは初めてやけど、まさかこんなん作りはるとは……」


「そ、そうなのか……」


「……で、2人はこっからどうするん?」


「あ~……この近くに居るっていう宝石蟹(ジュエルクラブ)の素材を集めるつもりっす!」


「ん?……宝石蟹(ジュエルクラブ)やったら、この辺には生息しとらんで?」


「「……え?」」


宝石蟹(ジュエルクラブ)が何の魔物かは察するとして、そいつはこの辺には居ないらしい。


「だいぶ昔には()ったんやけど、素材が高額で売れたから乱獲されてもうてな……宝石蟹(ジュエルクラブ)は確かに魔物やけど、後天的な魔物やから元の蟹が()らんくなってもうたら居なくなるんは当然やろうに……」


「……じゃあ、私はどうすれば良いっすか?」


「一応、こっから十数日かかる先にはまだ()るけど……」


「なら、さっさと行くっす!」


「ですが、食料が枯渇していマスよ!?」


「……先にラフロンスで食料調達をするっすか……」


「ラフロンスまでも数日かかるで?」


「えぇっ!?」


何かもう、ダレスさんってよくここまで生きて来れたよな……


「……乗せよか?」


「い、良いんすか!?」


「勿論、その分の働きはして貰うつもりやけど……」


「それでも充分っす!」


「本当に、ありがとうございマス!」


そうして、俺達はへっぽこ発明家とその発明品を名乗る人物を馬車に乗せた。


……だが、これがあんな騒動を巻き起こす事になるとは、この時の俺達は予想だにしていなかった……

ご読了ありがとうございます。


最近、PVが以前より減っています。


気が向いたらいいね、ブックマーク登録してくれるとありがたいですが、あくまでも気が向いたらで大丈夫です。


後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。

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