93.聖都騒動の後日談
迷走しまくった第3章も、これにて終了です!
改めて、文章滅茶苦茶です……
(浅山 藤四郎視点)
「zzz……zzz……んっ……んん……ん?」
眠りから目覚めると、知らない天井が見えた。
まあ、こうなった経緯は何となく分かっている。
「確か、スカルサタゴーラへ攻撃しようとしたナフリーに【無制限の愛】をかけた後、全身に副作用の激痛が走って……そこから先が思い出せねぇな……」
要するに、また意識を失って病院送りになった訳だ。
……あれから、どのくらい経ったんだ?
そう思っていると……
「ん?……トウシロウはん、目ぇ覚めたんか!」
「よ、良かったのじゃ……」
ベッドの足方向から、エルリスさんとメサイアさんの声が聞こえて来た。
「……ああ、それより俺が気絶してからどれだけ……」
俺は、上半身を起こして2人を見た。
そこに居たのは……
「ぎ、ギブアップなのじゃ!」
「ほな、諦めるか?」
「諦めるのじゃ!」
……エルリスさんにプロレス技の逆エビ固めをかけられているメサイアさんだった。
いや、何で?
「え、えっと……この状況は何だ?」
「メサイアはんが、気絶しとるトウシロウはんを性的に襲おうとしとったから止めとったんよ……」
「えぇ……」
「こ、これでも我慢した方なのじゃ!」
か、仮にも聖職者だろ?
何で気絶してる相手を性的に襲おうと思ったんだ……
「じ、事情は分かった。……で、俺が気絶してからどれだけ経ったんだ?」
「ん?……一夜だけやよ?」
「あ、言う程経ってねぇな……」
意外と短時間……というか、ほぼ睡眠と変わらねぇ時間しか気絶してなかった。
「後、ナフリーはんなら隣のベッドで寝てるで?」
「あ、そうなのか……って、カーテン閉まってて何も見えねぇぞ……」
「そりゃ、ナフリーはんは未だに意識が戻ってへんからな~……」
「……そうか……」
とはいえ、生きてくれているだけでも幸運だろう。
……そういや、他の皆は?
「あ、そうそう。……メアリーはんとロウルはんなら、スカルサタゴーラのせいでちょっと壊れてしもたマクセリス教本部の修復を手伝っとるし、ツカサはんとジャスティスはんもとっくに回復して修復の手伝いしとるよ……」
「だから、表情から俺の聞きたい事を察さないで欲しいんだが……」
「別にええやん。……後は、カネヒトはんもどっか行っとるけど……詳しくは知らへんわ……」
もう、何が何だかってぐれぇややこしい。
取り敢えず、この場には俺とナフリーとエルリスさんとメサイアさんの4人……その内、ナフリーは意識がまだ戻ってない……
「……トウシロウ、さては難しく考えておるのう?」
「悪いか?」
「いいや、別に悪くはないのじゃ。……じゃが、時にはリラックスも大事じゃと……」
「いやはや、リラックスのし過ぎで部下に仕事を押し付けていたメサイア様は言う事が違いますのう……」
「うげっ!?」
メサイアさんから話を聞いていると、病室にメサイアさんの知り合いらしき老人が入って来た。
「……誰だ?」
「マクセリス教教皇のタイボルドはんやよ。……ウチが呼んだんやけど……」
「……滅茶苦茶偉い人じゃねぇか!?」
ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい……
これ、不敬にならねぇか?
「フォッフォッフォ……別に儂の事はそこまで気にせんで良いのじゃ……にしても、本当にメサイア様がゴーストとして現世に舞い戻っておるとは……」
「べ、別に良いじゃろ!」
「……そこまで、悪友のエルリス様を大切に思っていたのじゃのう……」
「じ、事実じゃから何も言い返せんのじゃ……」
こんなんで本当に、メサイアさんは1度教皇にまで登り詰めたのか?
ぶっちゃけ信じられねぇな……
とかメサイアさんに失礼な事を考えていると……
「……今回の一件は、本当に皆様のお陰で大事にならずに済んだのじゃ……儂としても、あんな簡単に【憑依】されてしまうなど愚の極み……まだまだ修行が足りぬと再確認したのじゃ……」
「タイボルドはん、あんま頭下げんといてぇな……」
「人質をとられてたのなら、ああなってもおかしくはないのじゃ……」
完全に俺は蚊帳の外状態だった。
……今更だが、教皇猊下ってメープシーに【憑依】されてたんだよな?
正義が上手くやって解放したのか?
「フォッフォッフォ……もう少し話していたいですが、そろそろ職務に戻らなくてはのう……」
「大変そうやな……」
「……じゃが、儂は満足なのじゃ。……メサイア様とエルリス様が、2人揃って楽しそうにしている姿を見れた事が……」
教皇猊下はそう言い残すと、病室から去って行った。
「……何か、よく分からねぇまま行っちまったな……」
「ま、元々用が有ったんはウチ等の方やろうし……」
「それより、そろそろ妾を自由の身にして欲しいのじゃが……」
俺もすっかり気にしなくなっていたが、メサイアさんは未だに逆エビ固めをかけられたままだった。
……教皇猊下はこれを気にしなかったが、まさかメサイアさんは生前からかけられてやがったのか?
ただまあ、エルリスさんは逆エビ固めを解く気がないらしく……
「嫌やよ。……解いた瞬間にトウシロウはんを襲うつもりやろ?」
「ぐぬぬ……妾は生前、酒や宝石にギャンブルまで楽しみまくったのじゃ!」
「せやったな~……」
「じゃが、色恋の類はおろか一夜の関係すら教義の関係上出来なかったのじゃ!」
「寧ろ、ウチからしたらそれ以外が許されとるんが信じられへんわ……」
俺は心底驚いた。
どうも、あんな煩悩まみれなメサイアさんですら、教義の関係で処女らしい。
逆に言えば、酒もギャンブルも禁止されてねぇマクセリス教って何なんだ……
「あ~……エルリスさんにメサイアさん?」
「「ん?」」
「例の告白の答えだが……付き合っても良い……」
「いや、何でこのタイミングでそれ言うんや!」
「え、妾達と付き合ってくれるのかのう!?」
勿論、自分でも何でこのタイミングでとは思う。
だが、それでも言いたくなってしまったものはしょうがねぇだろ。
「エルリスさんはこれまで、なに考えてんだか分からねぇと思ってたが……今は、案外可愛く見える……」
「よ、喜んでええんか?」
「メサイアさんも、見た目の割に全然聖職者らしくねぇと思ってたが……1周回って、それも良いと思えるようになった……」
「け、貶してるのかのう?」
「ま、まあ……何だかんだ、交流する内に好きになったって事で……何って言ったら良いんだろうな……」
「こっちが聞きたいわ……」
「同感なのじゃ……」
今回、この2人とはあまり深い交流をしてねぇ。
それでも、2人がどういう人生を歩んだかを簡単に知れて、放っておけなくなった。
「……今更、やっぱり駄目は通らねぇぞ?」
「勿論、まだ好きなまんまやけど……こうも簡単に行くと複雑やわ……」
「もう少し、交流してから決めるのじゃ……」
「……何で逆転してんだよ……」
こうして、俺の告白はロマンも何も無かったからか、逆に保留にされてしまったのだった。
いや、何でこうなった……
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(扇羽 司視点)
「ふぅ……それにしても、改めて考えるとボク達って割と凄い事を成し遂げていないかい?」
「まあ、それもそうっしょね……」
いくら今回の相手が戦闘を苦手としていたとはいえ、ボク達は魔王軍の幹部を2人倒した訳だ。
それも、新たなスキルを使って。
「……正義君、何か聞きたそうな顔をしているよ?」
「なら遠慮無く聞かせて貰うっしょ。……司チャンの新スキルってどういう制限があるっしょ?」
……ふむ、まず制限を聞いてくるかい……
「制限は……敵の本体が目の前に居なければならないのと、敵に攻撃を弾かれたらどうにもならない事……かな?」
「じゃ、今すぐ魔王やラビリンスを倒すのは無理な訳ね……」
「悪いね。……こんなボクでも愛してくれるかい?」
「当然っしょ!……ま、俺チャンの新スキルは制限って制限はないっしょ!……その代わり、相手が強過ぎるとあんまり効いてる感がないっしょ……」
「そ、そうかい……」
ボク達の新スキルは、心境に大きく左右される。
もし、旅の途中で誰か死ぬ様な事があれば……影響が出かねないね……
「司チャン、絶対に生きて元の世界に帰るっしょ!」
「うん、ボクもそのつもりさ!」
ボク達は、改めて決意する。
元の世界に帰るためにも、まずは魔王を倒そうと……
ご読了ありがとうございます。
エルリスやメサイアとの恋路や、ラフロンス出発等は第4章に持ち越しします!
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後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。