91.怨念に終止符を
スカルサタゴーラ戦、決着です!
(エルリス・フルウィール視点)
100年前、堕天魔王 サタゴーラとの戦いでは……
「グハハハハ!この堕天魔王 サタゴーラ、お主等に殺られる程やわではない!」
「チッ!……全然ダメージが通らんのじゃ!」
「ガルァ!……これじゃあ終わりが見えねぇガルァ!」
ウチ等の攻撃は、何も通ってへんかった。
「……これはもう、思い切って心臓を刺してみるでありんすか?」
「いやいやいや……それが出来てへんのが今やろ?」
「でも、手はあるでありんす。……受けるダメージは度外視して、命を捨てる覚悟でサタゴーラに向かうんでありんすよ……」
「せやから、どうやって……」
サタゴーラは、多種多様な魔力弾を放って来とった。
それこそ、隙なんかあらへんかった。
そんな状況でミツエはんが変な事を言い始めた時は、狂ったんかと思ったわ……
「……あちきの世界に昔居た"武士"は、自分の命を捨ててまで敵を倒したと聞いたでありんす。……なら、この技の出番でありんすね……」
「……何するつもりや?」
「……今からあちきが発動するスキルは、受けたダメージを60秒程度後回しに出来るスキルでありんす……だから、それに合わせて全員で突撃するでありんすよ!」
「ガララララ……どんなダメージも60秒後に後回しってんなら、60秒以内に勝負を決めねぇと行けねぇガルなァ……」
「や、やってやるのじゃ!」
「……死なんといてな?」
ミツエはんの奥の手……あらゆるダメージを60秒後に後回しにするっちゅうスキルで、ウチ等は最後の勝負に出る事にしたんやった。
「ふぅ……【救世主】から派生したスキルでありんすから、まだまだ使い勝手は良くないでありんすけど……【救世の進軍】でありんす!」
そうして、後方支援のメサイアはんを除いたウチ等は同時に駆け出した。
「ふん……小癪な虫共だ!」
ードガドガドガドガドガドガドガドガドガドガ!
「止まるなでありんす!」
ウチ等を襲ったんは、サタゴーラの放った魔力の絨毯爆撃やった。
ほんで、その結果は………サタゴーラは倒せたけどミツエはんが死んで、タイガーラはんは利き腕を欠損して、ウチは魔術師を続けれんくなった。
せやけど、ウチ等は確かに……命を懸けてサタゴーラ相手に勝ったんや!
時は戻って現在……
「……どうしたのじゃ?」
「あ~……やっぱり、サタゴーラは大幅に弱体化しとるわ……」
「そうじゃよな?……生前のサタゴーラなら、あんな簡単に隙は出来なかったのじゃ……」
「後、今なら浄化も効くと思うで?」
「まあ、アンデッドじゃしな……」
見るからにスケルトン化したサタゴーラやし、分類も十中八九アンデッドやろ。
……ちゅう訳で……
「ウチが【神速】で"伝播札"をばら蒔くさかい、メサイアはんは……」
「"伝播札"に浄化魔法をかけて、浄化魔法を広範囲に伝播させるんじゃろ?」
「……頼んだで?」
「分かっておるのじゃ!」
ウチ等は確かに喧嘩ばっかりや。
せやけど……コンビネーションはバッチリやで!
「【神速】や!」
ーバビュン!……ヒラヒラヒラヒラヒラ……
「グゴォォォォォォォォ~!」
【神速】でスカルサタゴーラの周囲を走って、"伝播札"を広範囲にばら蒔く。
そうしてスカルサタゴーラを囲む様に"伝播札"がばら蒔かれると……
「ふぅ……浄化魔法、【葬送の鐘音】じゃ!」
ーゴォ~ン……ゴォ~ン……
「グガァァァァァ!?」
メサイアはんの浄化魔法で鳴り響く鐘の音を聞いた瞬間、スカルサタゴーラは苦しみ出して悶え始めた。
「よし、これで攻撃は止む筈や!……後は、そろそろ来る筈の増援に託そか……」
ウチ等の仕事は一旦ここまでや。
こっからは……増援組の出番やで。
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(浅山 藤四郎視点)
「す、スカルサタゴーラが悶え苦しんでやがる……」
「でも、ここからどうするつもりでしょうか?」
「知らん。……どうせ、俺達に出来る事なんて……」
「ニャン!?……ご主人様、何をボケ~っとして居るんですニャンか!?」
「うおっ!?……って、ナフリー!?」
俺の背後から現れたのは、まさかのナフリー。
どうも、少し遅れて装備屋から戻って来たらしい。
「……今からあたしとメアリー様とロウル様は、上空からアレに向かって攻撃を仕掛けますニャン!」
「え、他の2人は?」
「一足先に空中ですニャン。……あ、ロウル様はメアリー様が飛ばしてますニャン……」
「わ、分かった。……で、ナフリーが攻撃を仕掛けるという事は……」
「はい。……【無制限の愛】をあたしにかけていただきたいのですニャン!」
「……まあ、ナフリーがそうしてぇなら……」
少なくとも、スカルサタゴーラを倒すのにはかなりの火力が必要になる。
今だって、茜とシトラの同時攻撃で両腕を壊され、その後もしばらくシトラを相手にし、更にエルリスさんとメサイアさんによって浄化魔法をかけられた。
……だというのに、スカルサタゴーラはまだ原型を保ってやがる……
「では、あたしがカブお爺様より落下した瞬間にかけてくださいニャン!」
「……分かった。……だが、無理はするなよ?」
「承知しておりますニャンよ。……後、一応これもしておきますニャン……ちゅっ……」
「んん!?」
「ぷはっ……それでは、行って来ますニャン!」
ナフリーは俺との別れ際にキスをして、満面の笑みでキャノンビートルに向かって行った。
ちなみに、ナフリーはキャノンビートルで飛ぶ時は角に跨がっている。
……とまあ、そんな感じでナフリーは上空へと向かって行ったのだった……
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(ナフリー視点)
「……キュ~?」
ーブブブブブ……
「そんなに心配しなくても、ちゃんと生還はするつもりですニャン……まあ、大怪我はしますニャンが……」
あたしには分かるニャン。
今のアレ……詳細はよく分かりませんニャンが、アレは両腕を壊され、全身に浄化魔法を受けているニャン。
つまり……今のアレを大火力で叩けば、アレは木っ端微塵に砕け散るニャン!
「……ナフリー、準備は出来ましたの?」
「メアリー様……あたしも準備は万端ですニャン!」
「そうですか!……では、先陣はこの私めが務めますぞ!」
そう言うロウル様の手には、赤盾竜の鱗で作られた"赤鱗の大盾"が握られていたニャン。
「じゃあ、降ろしますわよ?」
「ええ、いつでもどうぞ!」
そんなやり取りをした後、メアリー様はロウル様をあの巨大骸骨に向けて飛ばしたニャン。
「グガァァァァァ!」
ーギュン!
「防ぎますぞ!」
ードゴォォォン!
巨大骸骨はロウル様に向けて口から光線を放ちましたニャンが、それが"赤鱗の大盾"を貫通する事はありませんでしたニャン。
「やはり、防御力が高いですわね……」
「さて、今の一撃でかなりのダメージを稼ぐ事が出来ましたぞ!……【報復の盾】!」
ーブンッ!……ドゴォォォォォォン!
「グ、グガガ……」
ーパラパラパラ……
「え、えげつないですわね……」
ロウル様の【報復の盾】を食らった巨大骸骨は、上顎より上を失いつつも未だに活動を続けていたニャン。
「ど、どうしますニャン?」
「なら、次は私の出番ですわね。……さあ、氷の檻に閉ざされるのですわ!」
ーピキピキピキピキ……
「グガ……」
ロウル様の攻撃に続く形で放たれたメアリー様の攻撃は、巨大骸骨を氷漬けにしたニャン。
「……火や雷は延焼の危険性がありますし、この魔法が適切ですわね……では、トドメは頼みましたわよ?」
「分かりましたニャン!」
氷漬けにされた巨大骸骨に向かって、あたしは落下を始めたニャン。
すると……
「……ああ……うぐっ……来ましたニャンね……」
全身に走り始めた激痛……
チャンスは1回、ご主人様の体も心配だから出来るだけ短時間で済ませるニャン!
「全身全霊の……【飛斬】ですニャン!」
ーパリパリパリィィィィィ~ン!
「グガァァァァァ!?」
ーパラパラパラ……
「……意外と呆気なかったわ~……」
あたしが放った全身全霊の【飛斬】は、氷ごと巨大骸骨を木っ端微塵にしたニャン。
ただ、その直後に何故かエルリス様に受け止められて……そこであたしの意識は途切れたのニャン……
ご読了ありがとうございます。
呆気ない終わりになってしまいましたが、元々先代魔王の残留魔力から無理矢理再生された動くだけの屍なので、こんなもんです。
気が向いたらいいね、ブックマーク登録してくれるとありがたいですが、あくまでも気が向いたらで大丈夫です。
後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。