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88.羊の最期

数日空いてしまい、申し訳ございませんでした!

(扇羽 司視点)


「か、勝った……」


ードサッ……


……ボクは辛うじて、チューグロスに打ち勝った……


でも……


ーパラパラパラ……


「ああ、流石に魔力切れか……」


……ボクが魔力切れを起こした事により、ボクを飾り立てていた王冠とマントと細剣(レイピア)が消滅していく……


「……正義(ジャスティス)君、後は頼んだよ……」


そうしてボクは正義(ジャスティス)君に後を託し、意識を失ったのだった……



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

(金村 正義(ジャスティス)視点)


「【夢遊の誘い】だメェェェ!」


ーフワ……フワ……


「ん?……黒い……羊毛っしょ?」


メープシーが【夢遊の誘い】と唱えた瞬間、辺りに無数の黒い羊毛の塊が浮かび始める。


そして、その直後……


「儂に従い、サタゴーラ様の下僕となるメェェェ!」


『『『『『『メェェェェェェェ!』』』』』』


「うぐっ!?」


メープシーの命令に呼応する様に、羊毛の塊から羊の鳴き声が鳴り響き始める。


「フォッフォッフォ……これで儂の勝利だメェ~……」


「なっ、何を言ってるっしょ?」


いや、待て……


まさか洗脳をかけられたのか?


……試しに1度、自分を振り返ってみよう……


えっと、確か俺チャンは『メープシー(・・・・)様の配下(・・・・)』かつ、『()()()()()()()()()』な訳で……


「さあ、これで新たな手駒が増えたメェ~!」


「これは……」


……うん、異常あり(・・・・)だな……


「……ん?どうしたメェ~?」


「ははは……【意識改変(マインドチェンジ)】、メープシーの洗脳を無効化するっしょ!」


俺チャンは右手で頭を押さえて、【意識改変(マインドチェンジ)】を使う。


この上でもう1度……


俺チャンは勇者かつ、司チャンの英雄(ヒーロー)な訳で……


……うん、異常なし!


「……まさか、洗脳されている事に気付いて自分で解除するとは思わなかったメェ~……」


「ま、これは俺チャンのアイデンティティーなんで、流石に変わったら気付くっしょ!」


……とはいえ、俺チャンでなければ危なかった。


少なくとも、【意識改変(マインドチェンジ)】がなければ終わっていただろう。


「チッ……同じ洗脳スキル持ちを相手にするのは大変だメェ~……」


「ふぅ……やっぱ、戦闘能力そのものはそこまで、って感じな訳ね……」


言わば、洗脳特化の相手……


ただ、そう簡単にも行きそうにない……


「儂に従い、サタゴーラ様の下僕となるメェェェ!」


『『『『『『メェェェェェェェ!』』』』』』


怯むな!


意識改変(マインドチェンジ)】を使え!


「【意識改変(マインドチェンジ)】、メープシーの洗脳を無効化するっしょ!」


「ならば……徹底的にいたぶって、自分に洗脳解除をかけられないようにするメェェェ!」


……まあ、そうするのが最善手ではある。


あるのだが……


「……判断が遅かったっしょ!」


「メェ?」


生憎、こっちの準備は終わった。


今から放つは、俺チャンの新必殺技。


「全員、俺チャンが今から紡ぐ英雄譚の礎になるっしょ!……【ありきたりな英雄譚ヒーローズ・ストーリー】!」


ーシ~ン……


「……メェ?……何も起きな……」


「いいや、これからっしょ……」


ーバタバタバタッ……


「メェ!?」


メープシーが洗脳し、俺チャンを捕らえていた人達がその場に倒れ始めた。


「ここの人達全員の洗脳を解いて寝かせた訳よ。……ま、これで人質は居なくなったっしょ!」


「め、メェ……」


意識改変(マインドチェンジ)】からどうにか派生させた俺チャンの新スキル、【ありきたりな英雄譚ヒーローズ・ストーリー】。


その効果は……


「ふぅ……悪は英雄(ヒーロー)によって必ず打ち倒される……それがよくある英雄譚の中身っしょ?」


「ま、まさか……それを実践させるとでも言う気かメェ~!?」


「悪は善……つまり英雄(ヒーロー)によって倒されるっしょ。……そして、これは俺チャンが"善"側である限り有効っしょ!」


「そ、そんなの認めないメェェェェェ!」


今、この場は"善"側である俺チャン側が有利な状況になる様にしている。


だから……このまま、一気にチェックメイトまで持って行くとするか……



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

(メープシー視点)


マズいメェ……


手駒の洗脳を解かれたメェ……


「だが、まだ儂の方が有利ではあるメェ……」


この教皇、無駄に魔法は持ち合わせてたから少しぐらいの抵抗なら……


『フォッフォッフォ……儂の体を使っての狼藉も、これで終わりじゃよ……』


「メェ!?」


儂の脳内……否、精神世界に響く声……


この声は……


『意外そうな顔じゃな……儂が精神世界で自由を手にしておる事がそんなに不思議かのう?』


「メェ!?……何故……お前の事は精神の奥底に幽閉した筈だメェ……」


教皇……名は確かタイボルドだったかメェ……


こ奴の精神が何故、精神世界において自由の身になっているんだメェ!?


『フォッフォッフォ……先程、あの者が言っていたではないか……"()"()()()()()と……』


「……チッ、そういう事かメェ……」


洗脳スキル使いの勇者……確か、名はジャスティスといったかメェ……


あの者の能力が、まさか儂の精神世界にまで影響を及ぼすとはメェ……


『さて……無駄話も何じゃし、さっさとお主をこの体から放逐するかのう……』


「メェ……返り討ちにして、また幽閉してやるメェェェェェェェ!」


儂は、また勝てると思っていたメェ~。



だが……


『ふん!』


ーブンッ!……ドゴッ!


「ゴフッ!」


『ふん!』


ーブンッ!……ドゴッ!


「ゴフッ!……ど、どうして儂が押し負けているんだメェ!?」


精神世界とはいえ目の前の老人1人に、儂は何一つ出来ずに殴られ続けていたメェ……


『これは推測じゃが……あの【ありきたりな英雄譚ヒーローズ・ストーリー】というスキルには、"()"()()()()"()"()()()()()()()()()があるのじゃろう……勿論、相手が強ければ弱体化させても効果は薄いかもしれんが……お主は物理面では弱かったのじゃな……』


「ば、馬鹿にするなメェェェェェェェ!」


『ふん!』


ーブンッ!……ドゴッ!


「ゴフッ!」


儂はどんどんと劣勢になるメェ……


そして……


『ふん!』


ーブンッ!……ドゴッ!


「ぐはっ!」


ーポワン……


……儂は、タイボルドの体内から追い出されてしまったメェ……


しかも……


「待ってたっしょ!」


ーガシッ!


「メェ!?」


儂は勇者ジャスティスに腕を掴まれ……


「背負い投げっしょ!」


ードシィィィィン!


「ぐはっ!?」


……床に、叩きつけられたのだったメェ……



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

(金村 正義(ジャスティス)視点)


「……まさか、ここまで羊っぽいとは思わなかったっしょ……」


多分、教皇猊下に押し出されたと思われるメープシーを背負い投げでダウンさせたものの……その姿は、黒い羊に人間の手足を与えて二足歩行させたものとしか言えなかった。


「メェ……メェ……まだ……儂は……死なんメェ……」


「いや、お前はここできっちり倒しておくっしょ!」


「くっ……な、なら儂が美女に変身してお前に従うのはどうだメェ!?」


メープシーは、自分が悪魔というのを利用して美女に変身するからと命乞いをして来た。


でも……駄目だな。


「……お前、これまで何人の罪の無い人を殺めて来たっしょ?」


「メェ?」


「俺チャン、私利私欲で罪の無い人を殺す奴を許せる程には慈悲深くない訳よ……」


「め、メェ……」


残念だが、俺チャンは甘くない。


……メープシー、お前はここで終わりだ。


「……【意識改変(マインドチェンジ)】……」


「い、嫌だメェ!……儂はまだ……」


今の弱り切ったメープシーなら、俺チャンの洗脳も効くだろう。


つまり……


「メープシー、考えられる限り(・・・・・・・)()()()苦痛(・・)を味わいながら死ぬっしょ……」


「や、辞めろメェ!……うぐっ!……い、痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いメェェェェェェェ!」


ーパラパラパラ……


「お、やっぱ耐え切れなくなったっしょ?」


メープシーは精神的苦痛に耐え切れなくなったらしく、自壊を始めた。


「い……だい……メェ……サタゴーラ……様……先に逝く……儂を……許して……欲しい……メェ……」


ーパラパラ……


「……終わったっしょ……」


俺チャンの洗脳通り、メープシーはかなりの苦痛を味わいながら消滅した。


そうして、これで終わりだと思っていた次の瞬間……


「グゴォォォォォォォォ~!」


「え?」


突然、何処からか大きな獣の様な鳴き声が聞こえて来たのだった……

ご読了ありがとうございます。


まだ終わりません。


気が向いたらいいね、ブックマーク登録してくれるとありがたいですが、あくまでも気が向いたらで大丈夫です。


後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。

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