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82.読書家とエルフとオカマ

……何かこう、退屈な話が続いています……

(エルリス・フルウィール視点)


あれは、確か100年近く前の事やっけ……


「ふぅ……エルリス、理想論だとしても人間と魔物が共存する事は叶わないのでありんすか?」


旅の道中で魔物を倒したミツエはんが、ふいにそう呟いた。


「……不可能やないよ。……キャノンビートルみたいに種族単位で温厚な魔物も()るし、サトタヘヒコはんみたく人間と同じ価値観を持って共存を願う個体も()る……(ドラゴン)も、一部の種類は共存可能や……」


「そ、そうでありんすか!」


ウチの話を聞いたミツエはんは、希望に満ち溢れた表情を浮かべとった。


「……せやけど、魔王軍との共存は不可能や。……あいつ等は、最初(ハナ)から人間を滅ぼすために生み出されとる様な奴等や……」


「そ、そうでありんすか……」


同じ台詞(セリフ)の筈やのに、今の反応からは諦念が感じられた。


「……だが、改めて考えると魔王が何かは俺もよく分かってねぇガル……」


「そうじゃのう。……まるで、何者かが人間を滅ぼすために生み出してる様にすら感じるのじゃ……」


「メサイアはん、今ウチが言った事と同じ事言っとるやん……」


「わ、悪いかのう?」


「悪くはないけど……人の話聞いてないか、人の言葉パクっとるとしか……後、単純(シンプル)にムカつくわ!」


ーガシッ!


「やったのう!」


ーガシッ!


……ここからしばらくメサイアはんとの頬の引っ張り合いが始まったんやけど、取り敢えず割愛しよか……



ほんで、数分後……


「……じゃあ結論としては、魔王軍との和平は不可能って事でありんすね?」


「せやな……」


「そうなのじゃ……」


「……なら、あちき達が魔王を倒さないと終わらないんでありんすね……」


「……ミツエはん……」


思えば、ミツエはんは魔王を倒す意外で平和を実現させる方法を模索しとった。


せやけど、これは頭お花畑な考えとちゃう。


「……とは言っても、また100年後には次の魔王が生まれるんでありんしょ?……あちき達が倒しても終わらない……この戦いは、いつまで続くんでありんすか?」


……仮に魔王を倒しても、100年経てば次の魔王が誕生する。


ミツエはんは、そんな終わりのない戦いを終わらせようとしとったんや。


「……いつまでも、続くんや……」


「嫌でありんすね……」


結局、あれから100年近く経って次の魔王も生まれてしもた。


こんな世界を見たら、ミツエはんは何て考えるんやろうな~……



……とか思い返しとると……


「エルリスさん、やっと見つけましたよ……」


「……カネヒトはんか……」


ウチの隣に、カネヒトはんが座って来た。


……わざわざ何の用や?


「……従魔競争……元の世界で言うところの競馬みたいなものですか……」


「ん?興味あるん?」


カネヒトはんは、ウチが熱中しとった従魔競争っちゅう公営賭博に興味があるみたいやった。


「いや、僕が居た元の世界に似た競技……競技?……があったので気になっただけですよ……」


「何や、つれへんな~。」


「……で、儲けてますか?」


「勿論、ガッポガッポやで~。」


ウチはひたすら、1位になる従魔を当て続けて大儲けしとった。


「……そういえば、メサイアさんは?」


「自分の予想が外れてヘソ曲げとるわ……もっとも、こうなる事は薄々予想しとったから、メサイアはんが予想した従魔券は買ってへんのやけどな?」


「はは……メサイアさんって金運ないんですね……」


カネヒトはん、遠慮なく言うな~。


『う、煩いのじゃ!』


メサイアはんもウチの中で喚いとるし……


「……で、何の用や?」


「ああ……単刀直入に言いますが、僕からお二人にお伺いしたい事がありまして……」


「……何や?」


カネヒトはん、未だに勇者の中でも性格が掴みづらいんやよな……


「……恋愛と友情の違い(・・・・・・・・)って、何ですか?」


「……ん?」


一瞬、何を聞かれたんか分からへんかった。


「……まあ、その反応にもなりますよね……僕はこれまでの人生で、恋をした事がないんですよ……」


「それで?」


「だからこそ、僕は恋愛と友情の違いすら分からない……いや、物語上での違いは分かるんですけど、物語っていわばフィクションですからね。……実話をもとにした小説だって、多少のフィクションを織り混ぜてるくらいですし……」


……確かに1度も恋心を抱いた事のない人が()るのは知っとったけど……カネヒトはん、えらい拗らせとる予感がするわ~。


「事情は分かったわ。……せやけど、ウチ等に聞く理由は何や?」


「……お二人が、恋愛と友情の両方を知っているからですよ。……藤四郎さんへの恋心と、友人への親愛……この2つがどう違うのか、教えてください……」


「……ほんま、難しい事言ってくれるな~……」


確かに、その条件に会うのはウチ等くらいやろう。


せやけど、いざ言われるとな~。


「……言っておきますが、恋心はドキドキするなんてありきたりな言葉、僕は求めていませんのでそのおつもりでお願いしますよ?」


「それ言われたら何も言えんよ……」


恋っちゅうんはドキドキするもんやろ?


それこそ、友情との違いなんてそんなもんや……


「……本当にそれだけですか?」


「まあ、相手を求めるっちゅうんは友情でもあるし、生涯を共にするんも友情の範疇やし……」


「……やはり、僕が恋を理解出来る日は来ないんですかね……」


「それをウチ等に言われても困るわ……現に、メサイアはんは巻き込まれたくないからか表に出て来んし……」


『余計な事を喋るでない!』


……カネヒトはんからは回答不可能な問いを投げられて、メサイアはんはウチの中に籠っとる……


もう、ウチですら嫌になってきたその時やった。


「あっらぁ~、そこに居るのはエルリス様と……アタシ好みの坊やじゃなぁ~い♥️……」


「……えっ……誰ですか?……この()()()()()()()()()()()は……」


「うっふっふ……何か言ったかしらぁ~♥️?」


「いや、何でもありません……」


……まあ、カネヒトはんの気持ちもよう分かる。


何せ、女装した屈強な中年男性が現れたんやから、その反応が当然やわ……


「……取り敢えず自己紹介が先やろ?」


「はぁ~い♥️……アタシの名前はメルシュラ♥️……デルレン商会ラフロンス支部の支部長よぉ~♥️。」


「……これでも、ウチの弟子の1人や……後、本名はシュラメルクっちゅうんやけど……」


「もぉ~♥️……余計な事は言わないでぇ~♥️……」


「……本当に何ですか、この人……」


「ほんま、すまんな~……」


別に悪い人やないんやけど……性格に難があり過ぎるんやよな~……


「……あ、エルリス様ぁ~♥️?……タルコスでの諸々は聞いてるけど、久しぶりにナンドレアちゃんに会った感想はぁ~♥️?」


「別にどうもないよ。……ただ、ちょっとだけ失望しただけや!」


「もぉ~♥️……ミノガル相手に立ち向かったんだから、少しぐらい甘やかしても……」


「あのなぁ、いくらナン坊がウチの弟子で最年少やったからって、ウチが甘やかす思たら大間違いやで?」


……そういえば、1番ナン坊を甘やかしてたんもシュラ坊やっけ……


「……甘やかすって、アタシ別にそんなつもりはないわよぉ~♥️?」


「どうやかな~……かつて"溺愛のメルシュラ"って呼ばれたシュラ坊の事やからな~……」


「うぐっ……って、本題が逸れたわぁ♥️……」


「せや、シュラ坊いったい何の用や!」


あまりのキャラの濃さに忘れとったけど、そもそも何でシュラ坊は話しかけて来たんや?


「……会ったのは本当に偶然だけど、話しかけたのには訳があるの♥️……坊や、恋愛ってのは理屈で語れるものじゃないの♥️……自分がこの人と添い遂げたいと本能から思った相手と添い遂げる♥️……そういうものなのよ♥️!」


「は、はぁ……何か、心はこもってるんですけど……長い前フリに対して言う事が凡庸ですね……」


「……坊や、アタシの言葉に何か文句ある?」


「いえ……」


カネヒトはんは、何かもうどっと疲れとった。


……とはいえ、シュラ坊の言った事はある意味では真理なんやよな……


……とかまあ考えとると……


「エルリスさぁぁぁぁぁん!」


「どこに居るガルかァ!」


……何か、どう聞いても碌な事にならなさそうな呼び声が聞こえてきたんやった……

ご読了ありがとうございます。


なお、ナンドレアはルルネンから技を教わりましたが、メルシュラからは基礎的な体術を教わっています。


気が向いたらいいね、ブックマーク登録してくれるとありがたいですが、あくまでも気が向いたらで大丈夫です。


後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。

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