81.王子とチャラ男 告白
……何かこう、上手く書けません……
(扇羽 司視点)
「正義君、何か食べたい物は無いかい?」
「ん~?……だったら、向こうのカフェで食事でもするっしょ!」
「ああ、良いね……」
……じゃないだろ!
明らかに、正義君がボクに合わせて来ている……
これじゃあ、ボクがエスコートされてしまっているじゃないか!
……おっと、平常心平常心……
「……司チャン、大丈夫っしょ?」
「だ、大丈夫だとも!……だから、早く行こうか!」
「明らかに焦ってるっしょ……」
ああ、ボクは何をしているんだ……
こんな姿、"格好良い王子様"から程遠い……
「あ、焦ってなんか……」
「い~や、焦ってるっしょ!……とりま、カフェで一息ついて落ち着くっしょ!」
「う、うぅ……」
ああ、ボクはここぞという時に限って駄目だな……
……せっかくの正義君とのデート、上手く正義君を導きたかったのに……
「司チャンは普段こそ格好良いのに、少しでも平常心を崩すと残念になるっしょ……」
「わ、悪かったね!」
「あ、お客様ご注文は……」
「あ、サンドウィッチと紅茶を2人分頼むっしょ!」
「は、はい……」
ああ、注文も正義君任せ……
……いやはや、やはり正義君を上手く導くとか無理があったかな……
……とまあ、そんな事を考えていると……
「……司チャン、あんまり肩に力を入れ過ぎても良い事ないっしょ!」
「わ、分かっているさ!……でも、正義君とのデートだなんて初めてで……」
「2人で行動するのはいつもの事っしょ?」
「……今日は、いつもと違うんだよ……」
そう。
今日のデートはいつもの2人1組での行動とは訳が違うんだ……
だって……今日でこの中途半端な関係を終わらせるつもりなんだから……
「そうっしょか。……だったら尚の事、今のままじゃ駄目っしょ!」
「うっ……正義君の事だ。……ボクの気持ちには気付いてるんだろ?」
「……ノーコメントっしょ……」
「否定しない時点で答えてるも同然だよ。……正義君が鈍感じゃない事くらい、ボクも知ってるからね……」
「……そんな事、言わないで欲しいっしょ……」
ボクの気持ちを知っていても、ボクの信念に合わせてくれるのが正義君だ。
……少なくとも、正義君に告白されるボクは格好良くない。
やるなら、ボクから告白しないと……
「……本当なら、もっとムードのある場所でやるのが正解なんだろうけど……ボクは正義君の事が……」
「それ以上は駄目っしょ……」
ーグッ……
「んぐっ!?」
ボクの唇を、正義君の人差し指が塞いだ。
それが、これ以上ボクを喋らせないためなのは明白だった。
「……こんな形でその言葉を言ったら、きっと司チャンは後悔するっしょ。……いついかなる時も格好良く……それが、司チャンのやり方っしょ?」
「そ、それはそうだけど……」
「俺チャン、いつでも司チャンを受け入れる準備は出来てるっしょ。……だから、せめてその言葉は司チャンが満足する形で言って欲しいっしょ!」
「……分かった。……そうするよ……」
……そうだ。
ボクは正義君にとっての"格好良い王子様"であるべきなんだから……
「……司チャンは俺チャンの"格好良い王子様"、俺チャンは司チャンの"英雄"……お互いがお互いの理想を完璧に遂行する……それが俺チャンと司チャンの関係の筈っしょ?」
「……ああ、そうだね……」
「だったら、司チャンはどうするっしょ?」
「ふむ……先程までのボクは、とても愚かだったとしか言えないね……」
不思議だ。
先程までの緊張がどこかに吹き飛んだ。
「……一応言っとくと、このやり取りの中で俺チャンはスキルを使ってない訳で……」
「ああ、分かってるさ。……これは、ボクが単純なだけなんだから……」
好きな人から発破をかけられるだけで平常心を取り戻すとか……本当にボクは単純だ。
と、このタイミングで……
「……ご注文のサンドウィッチと紅茶それぞれ2人分になります!」
「うおっ!?」
「ああ、すっかり2人だけの世界に入ってしまっていたようだね……」
どうも、少し前から注文の品は来ていたらしいが、2人揃って気付かないとは……
正義君も意外と抜けてるものだ。
「……何かやらかした気分っしょ……」
「正義君もボクに夢中になってくれたようで何よりさ!」
「司チャン急にポジティブっしょ……ま、とりまサンドウィッチと紅茶でも食べるっしょ!」
ポジティブ、か……
確かに、今なら何でも出来る気がする……
よし……
「いや、少し待ってくれないかい?」
ーぎゅむっ……
「え、何っし……」
ボクはサンドウィッチを食べようとした正義君の両頬を挟むように手を添えて……
「ちゅっ……」
「んむっ!?」
……そっと、キスをした。
「ふぅ……さ、ボクのファーストキスはどんな味だったかな?」
「……な、何やってるっしょ?」
「いや、気付いたのさ。……ボクみたいな"格好良い王子様"が、わざわざそれらしいムードに頼る必要あるのかってね……」
ムードに頼るなんて三流だ。
……少なくとも、"格好良い王子様"はムードを自分で作り出すものなのだから。
「つ、つまり?」
「……正義君、今後はボクの伴侶として共に生きてはくれないかい?……勿論、拒否権は無いに等しいが……」
「司チャン……デリカシーが無いのは百も承知で言うと、告白の言葉が凡庸過ぎるっしょ……」
「正直な感想ありがとう。……まあ、今後のためにも要改善だね……で、答えは?」
「……勿論、OKっしょ!」
「……だと思ったよ……」
告白の言葉が凡庸なのは、ボクも自覚していたが……やはり、"格好良い王子様"への道はまだ厳しい……
……とはいえ、告白が成功した事に変わりはない。
今すぐ飛び跳ねたいけど、我慢我慢……
……と、その瞬間……
「「「「うおぉぉぉぉぉ!」」」」
ーパチパチパチ!
「あっ……何か、いつの間にか注目の的になってたみたいっしょ……」
「まあ、ボクが居る時点で当然だと思うけどね?」
鳴り響く他の客達の拍手。
正に、ボク達は良い見せ物という訳だ。
「それはそうなんだけど……俺チャン、まさか気を取り直しても司チャンがここで告白するとは思わなかったっしょ……」
「……言っておくけどヤケクソじゃないよ?……ボクにそれらしいムードなんて不要だし、何より……そういう場所には恋人になった状態で行きたかったからね……」
「司チャン……」
ムードのある場所は、恋人になってから……
その方が、きっと万倍楽しい筈……
「ヒュ~!ヒュ~!」
「なあ兄ちゃん、念のため聞くがあのイケメンって女なのか?」
「そうっしょ!……流石に俺チャン、男色の気はない訳よ!」
「お客様、あまり店内を騒がしくさせるのは……」
「ふふ、ボクが美し過ぎるせいかな!」
もはや、カフェの店内はボク達を祝福する声で溢れていた。
まるで、この場をボク達が支配しているかの様に……
「司チャン、いきなり黙り込んでどうしたっしょ?」
「今の状況を見て……何か思い付かないかい?」
「……場を、支配してるっしょ……」
「そういう事さ……後は、分かるだろ?」
……賢い正義君なら分かる筈さ。
「……せめて、ここは交際開始の余韻に浸らせて欲しかったっしょ……」
「まあ、それはそうだね……」
……とはいえ、これでボク達が目指すべき方向性も分かったし、何より2人の繋がりが更に強固になった。
「じゃ、今後は恋人としてよろしく頼むっしょ!」
「うん、ボクの方こそ!」
そうして、ボク達は恋人としての新たな関係を築き始めた。
……ただ、まさかこの日の夜にあんな事をする羽目になるとは……この時のボクは予想だにしていなかった……
ご読了ありがとうございます。
上手く書けない……頭で思い浮かべてるイメージを出力出来ない……
気が向いたらいいね、ブックマーク登録してくれるとありがたいですが、あくまでも気が向いたらで大丈夫です。
後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。