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72.キマイラによる襲撃?

……朝投稿したばかりですが、また投稿します!

(浅山 藤四郎視点)


エルリスさんの悩みを聞いてから3週間は経過しただろうか。


あれから、エルリスさんとはあまり会話は出来ていない上に……


「……暇だな……」


「暇ですニャン……」


「暇ですわ……」


「暇ですぞ……」


……俺、ナフリー、メアリー、ロウルさんは暇を持て余していた。


「……マジで、何かねぇか?」


「イチャつきますニャンか?」


「ですが、そればかりだと堕落してしまいますわ!」


「う~む、難しい問題ですな……」


イチャついてばかりでも堕落する。


だからこそ、どうするべきか悩んでいると……


「お兄ちゃ~ん、何か暇潰しする方法は……なさそうだね……」


「ねぇよ。……あったらこんなに暇を持て余してねぇからな!」


「ニャン……そういえば、他のお三方はどうされましたニャンか?」


「ん~?……兼人君は本読んでたし、司ちゃんと正義(ジャスティス)君は2人でスキルの拡張をしようとしてたけど……」


「……俺達が特訓しようにも、室内じゃ色々と危ねぇんだよな……」


同じく暇を持て余していた茜から他の3人の動向を聞きつつも、室内で特訓は出来ねぇと判断する。


と、ここで……


『皆、来てくれへんか~!?』


「……十中八九、魔物だな……」


「ここまで魔物に会わずに来れたのに……お兄ちゃんが暇とか言ってるから……」


「んな訳ねぇだろ!……ねぇよな?」


エルリスさんからのヘルプ依頼……まあ、十中八九魔物だろうな……


実際、いつの間にか馬車が止まっている。


「とにかく、行きましょうニャン!」


「ああ、そうだな!」


「行きますわよ!」


「行きますぞ!」


そうして俺達は無駄話も程々に、馬車の外へと向かったのだった……



そして、馬車の外では……


「「「ガルルルゥゥ……」」」


「「「メェェェェ~……」」」


「「「シャァァァ~……」」」


「……確かあれって……キマイラだっけか?」


馬車を取り囲んでいた3体の魔物は、ライオンの上半身にヤギの下半身、背中から生えたヤギの頭と完全に蛇の頭が付いた尻尾が特徴的な魔物……元の世界でもゲームに登場していたキマイラそのものだった。


「ご主人様、よく知ってましたニャンね……」


「……となると、当たりか?」


「ええ。……あたしは見た事はありませんでしたが、特徴が特徴なので一目で分かりましたニャン!」


「私も見るのは初めてですが……この見た目はキマイラですわね……」


「私めもそう思いますな!」


やはり、これはキマイラだった。


ただ、茜はずっと警戒しており……


「……お兄ちゃん、こいつ等強そうだよ?」


「だろうな。……明らかに、これまでの雑魚魔物とは違うのが分かる……」


キマイラはこれまでの魔物より強そうだった。


……というか、リアルでライオンとヤギと蛇が混ざった魔物を見ると、気持ち悪いとしか思えなかった。


「……キマイラは強いで!……ただ、そろそろ助太刀(・・・)が来てくれると思うんやけど……」


「ん?助太刀?」


エルリスさんは助太刀が来ると話した。


すると、その直後……


「ピィィィィィ!」


「ん?笛の音……いや、鳥の鳴き声?」


空から、笛とも鳥の鳴き声ともとれる音がけたたましく鳴り響いた。


そして……


「……来たで、サトタヘヒコはんや!」


「サトタヘヒコ?」


エルリスさんが告げたのは、サトタヘヒコという変わった名前。


だが、その正体はすぐに分かった。


「よう来たな~、エルリスの嬢ちゃん!」


「んな呑気な事言ってへんで、こいつ等下がらせてぇなぁ~!」


空から現れたのは、猿の頭、虎の手足、黒っぽい体毛の胴体、そして蛇の頭が付いた尻尾が特徴的な、人間の言語を喋る魔物で……


……元の世界では()という妖怪として知られていた見た目だった。


「あ?……って、またあんた等かいな!……いい加減旅人に絡むんは辞めろって、ワイこれまでも何回か言うとるやんけ!」


「「「ガルル……」」」


「「「メェェ……」」」


「「「シャァ……」」」


突如現れた鵺に一喝されたキマイラは、途端にシュンとした態度に軟化した。


「え、何こいつ……」


「えっと、あれは確かヌエというキマイラの上位種ですニャン……」


「え、鵺がキマイラの上位種なのか!?」


「はい。……人間の言語を喋り、剛力を誇り、幻術を扱う複合魔物……これがキマイラの上位種でなければ何だというのですニャンか?」


「た、確かに……」


この世界の鵺は、色々と能力が豊富らしい。


「あ~、こいつ等がすまんかったな~?……ワイからも言い聞かせとくわ……」


「別にウチは気にせんよ。……そもそも、敵意が無いんはすぐに分かったわ。」


「え、あれで敵意無かったのか?」


「まあ、ウチの見立てではじゃれようとしとっただけやわなぁ~。」


襲おうとしていたのではなく、じゃれようとしていたって……お騒がせな魔物だな……


「ハァ……それよりエルリスの嬢ちゃんがここに来たっちゅう事は……メサイアの嬢ちゃんの墓参りかいな?」


「せやよ。……それより、何で4匹ともここに()るんや?……住み処はメサイアはんの墓の近くの筈やろ?」


……どうも、サトタヘヒコさんを始めとしたキマイラの方々は、普段はメサイアさんの墓の近くに住んでいるらしい。


「あ~、せやせや。……それもあってこいつ等は普段、旅人を通してへんのやったわ!」


「ん?どういう事や?」


「実はなぁ……メサイアの嬢ちゃんの墓に安置されとる財宝の数々に赤盾竜レッドシールドドラゴンちゅう魔物が引き寄せられてもうてな~?」


「……ウチ、頭が痛くなって来たわ……」


……メサイアさんの墓に、赤盾竜レッドシールドドラゴンなる魔物が居る……


それを聞いたエルリスさんは、頭を抱えていた。


「その魔物は強いのか?」


「強いわ。……少なくともウチが知る限り、ここに居るサトタヘヒコはんよりも……」


「……一応聞くが、どんな魔物なんだ?」


「全身を硬い鱗に覆われとる赤い(ドラゴン)で、特に前足の鱗と背中に生えとる翼の鱗が盾みたいに発達しとるんが特徴の魔物やけど……」


「性格は?」


「ウチが知る限り平時こそ温厚なんやけど、何故か宝を守るっちゅう習性があってなぁ……宝物庫なんか見つけた日には、そこに侵入しようとするあらゆる者を排除しようとするっちゅう迷惑な魔物なんよ……」


「そ、そうか……」


要するにメサイアさんの墓にある財宝を、習性で守り続けてる(ドラゴン)か……


「あ~もう、取り敢えずどうにかせんと……」


「倒すのか?」


「いや、宝を守るっちゅう行動自体は有効活用出来るから、ちゃんと排除対象を区別させれば共存は出来る筈やよ……まあ、それがまた大変なんやけど……」


赤盾竜レッドシールドドラゴンとの共存は可能だと語るエルリスさんは、何故か遠い目をしていた。


多分、説得が大変なんだろうな……


って、そういえば1番聞きたかった事が後回しになってるじゃねぇか!


「……取り敢えず赤盾竜レッドシールドドラゴンについては分かったが……その前に、サトタヘヒコさんは何なんだよ!?」


「……あ、言っとらんかったわ!」


「今更かよ!?」


何かもう、エルリスさんがどんどん頼り無くなってるような……


いや、よく考えたらラフロンスに近付けば近付く程に頼り無くなってるから、多分悪友の墓参りが近くなって余裕が無くなっているんだろう。


「で、何なんだ?」


「サトタヘヒコはんはキマイラの上位種、ヌエの更に長命による特殊個体でな?……人間との共存を望んどる珍しい魔物なんよ……」


「……その割に、キマイラ制御出来てねぇけど?」


「そこの坊っちゃん、痛いとこ突いて来るな~。……エルリスの嬢ちゃん、何か言ってぇよ!」


「いや、ウチも擁護出来ひんわ……」


「ちょいちょい!」


……割とノリ良いな、サトタヘヒコさん……


「ま、それはそれ。……まずは赤盾竜レッドシールドドラゴンをどうにかしよか~……」


「そ、そうだな……」


こうして、俺達は赤盾竜レッドシールドドラゴンの説得に駆り出される事になったのだが……これがまた大変な事になるのは、今から何となく予想出来たのだった……

ご読了ありがとうございます。


次回、赤盾竜レッドシールドドラゴンとの戦闘です!


気が向いたらいいね、ブックマーク登録してくれるとありがたいですが、あくまでも気が向いたらで大丈夫です。


後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。

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