67.王子とチャラ男 絶望
今回の話はいじめ描写がございます。
ただ、文章が下手なのであまり気にならない可能性もあります。
……後、念のため言っておくと、作者はいじめられた経験もいじめた経験もありません。
(扇羽 司視点)
「おいお~い、変態王子サマはよくもまあ未だに登校出来る面の皮が残ってんだなァ~?……被害生徒は不登校だって知ってんのかァ?キャハハハハ!」
「……何度も言うが、ボクはやってない……」
「んなもん、信じられる訳ねぇだろうがァ!キャハハハハ!」
……ああ、まただ。
ここ最近、この男子生徒がボクを嘲りに来る。
名前は確か……
「……大蔵山 義泥君、いい加減にボクを嘲るのは……」
「ごちゃごちゃ言ってんじゃねぇぞゴラァ!」
ードンッ!
「……あまり、机に足を乗せるものじゃないよ?」
義泥君は罵詈雑言の落書きだらけになったボクの机に足を乗せて脅して来たけど、この程度じゃボクは驚かない。
「あァ?……ナマ言ってんじゃねぇぞ……」
「言ったつもりはないよ。……それと、何度でも言うけどボクは……」
「だから黙れっつってんだろうがァ!」
ーパチン!
「……いきなりビンタとは酷いね……」
……多分、これも周りから見たら義泥君の方が正しく見えるんだろうね……
人間、どうしてこんな噂を信じるのか……
と、ここで義泥君は顔をボクの耳元に近付けて……
「……おいおい、俺様に抵抗すんのは辞めとけ。何せ、俺様の親父はこの町の有力者だぜ?」
「……だから、皆が君に従うとでも?」
「少なくとも、担任は従ってるぜ~?……俺様がお前を犯人に仕立て上げた時だって、素直に従ってくれたしなァ~?」
ーにちゃあ……
「……なるほど、義泥君の差し金か……」
ボクにしか聞こえない声量で、自身がボクを犯人に仕立て上げた張本人だと語った義泥君。
まあ、そんな所だと思ったよ……
「……犯人に仕立て上げてからしばらくは見て楽しむだけにしてたんだが、そろそろ俺様自身で楽しみたくなってなァ~……一応、俺様のオンナに盗ませた下着はまだオンナに持たせてるから、その内お前の荷物に仕込む事だって出来るんだぜ~?」
「……荷物の物色は、疑われた初日にされたよ。」
「関係ねぇよ。……全員、俺様に従うに決まってんだろうがァ……」
「……そうかい。」
何が目的かは、何となく察せる。
多分、女子にキャーキャー言われてたボクが邪魔だったんだろう。
「じゃ、身の振り方は考えとけよ……」
ースッ……
「……どうせ、ここで言ったって信じられないんだろうね……」
思えば、義泥君は周到にやっていた。
まず、ボクに関する悪い噂を流す。
その噂が蔓延し、ボクの信用が無くなった辺りで事件を起こして、ボクの居場所を徹底的に無くす。
そして……その後に何をするつもりかは分からないけど、多分碌な事じゃないね。
「また、義泥の奴に罵られてたね……」
「ま、自業自得でしょ!」
「いい加減に認めりゃ良いのに……」
……どうして、信じてくれないのか……
ああ、もう嫌だな……
そして数時間後……
ーザバァァァン!
「……まさか、ここまでやるとはね……」
トイレの個室に入ってたボクは、扉の上からバケツいっぱいの水をかけられてしまった。
「恨むんなら、義泥を敵に回しちまった自分を恨むんだね!」
ータッタッタッ……
「……ふむ、義泥君の彼女かな?」
義泥君の企みを知ってるみたいだったから、多分義泥君の協力者……十中八九、例の下着を盗ませたっていう彼女だね……
ーベチャ……ベチャ……
「……おい司、何をしてるんだ!」
「ああ、先せ……」
「廊下を汚すんじゃない!……ったく、これだから義泥様に楯突いた奴は……」
廊下で偶然会った担任教師は、ボクの心配なんてしてくれなかった。
「……今時本当に居るんだね。そこまで権力者に媚を売る教師なんて……」
「何だ?文句があるなら言ってみろ。……世の中、勝った者が正義なんだよ!」
「……本当に、腐ってるね……」
……一応、この晩華高校の一部が腐ってるだけだと思いたいけど……どうなんだろう……
「とにかく、廊下は汚すな!」
「……わ、分かったよ……」
……もう、本当に嫌だ……
何でボクが、こんな目に……
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(数時間後、金村 正義視点)
「お~い、司チャ……って、大丈夫っしょ!?」
「……ああ、正義君かい……」
色々と調べた俺チャンが今日も司チャンと会うために昨日初めて会ったのと同じ場所に行ったけど、そこに居た司チャンはとても辛そうだった。
「な、何があったっしょ!?」
「いや……机に罵詈雑言を書かれて、町の有力者の息子に脅されて、トイレでバケツいっぱいの水をかけられて、びしょ濡れのボクを見た担任教師から心配どころか文句言われただけさ……」
「……く、腐ってるっしょ……」
俺チャンが通ってる鬼不山高校なんて、ちゃんと生徒の心配をする先生ばかりなのに……
「まあ、仕方ないさ……あ、そういえば例の犯人が分かったよ……」
「誰な訳よ?」
「……大蔵山 義泥君……この町の有力者の息子で、動機は多分女子生徒にキャーキャー言われてるボクが邪魔だったから……」
「ど、どうやって更衣室から下着を盗んだ訳よ?」
「彼女に盗ませたみたい。……で、トイレでボクに水をかけたのはその彼女だと思う……」
「……分かったっしょ。……とりま、ゲーセンで気分転換するっしょ……」
「うん……そうしようか……」
勿論、司チャンはゲームなんてするテンションじゃないかもしれないけど……ここで下手に腫れ物扱いすると、多分一生取り返しがつかなくなる……
「……今日こそ俺チャンに勝てると良いっしょ!」
「ふふ、文章が滅茶苦茶だね……」
そうして俺チャンは数時間ぶっ通しで司チャンとゲームをして楽しんだ。
「……ふむ、悔しいけど明日こそ勝つよ!」
「俺チャンはいつでもウェルカムっしょ!」
……そして、帰る頃には何とか悔しがったり明日の勝利を渇望出来る程にまで司チャンのテンションを回復させたのだった……
そして数十分後、自宅……
ーガチャ……
「ただいま帰ったっしょ~!」
「遅い。……正義、何をしていた?」
「うげっ!?……誠の兄貴!?」
普段は俺チャンより帰りが遅い筈の、大学生の誠の兄貴が玄関で俺チャンを出迎えた。
「ハァ……どうせお前の事だから人助けなんだろうが、あまり私を心配させるな……」
ーカチャッ……
「いや、そんな心配する時間じゃないっしょ?」
「普段は帰りが早いお前なら心配にもなる!」
「ううっ……」
「いいか?お前は……」
誠の兄貴はズレた眼鏡を上げながら、俺チャンに説教を始めた。
とはいえ、誠の兄貴の言ってる事は正論だった。
「……という訳で、私は本当に心配したんだぞ?」
「それは分かってるっしょ……」
「……で、今回はどんな事に足を突っ込んだ?」
「いや、それが……」
俺チャンは誠の兄貴に、今回の司チャンを中心とした騒動の概要を説明した。
すると、誠の兄貴は再度眼鏡を上げて……
「それはまた……胸糞悪い話だな……」
「まさか、俺チャンも近くの高校がそんなおぞましい事になってるとか思わなかったっしょ……」
「……分かった。……この話は私から、親父に伝えておこう。……何かもう、親まで出張られたらどうしようもなさそうなんでな……」
「それはそうっしょ……」
この辺で有力者の大蔵山と言えば、町一番の大地主で町長すら下手に口答え出来ないと言われてる大蔵山 蒼泰くらいしか思い浮かばなかった。
「……おい、それくらいで諦めないよな?」
「当たり前っしょ!」
「それで良い。……心配ではあるが、1度助けたんなら最後まで責任を持つべきだからな……」
「……とはいえ、どうしたものかっしょ……」
……とまあ、そういう訳で町の有力者の息子を引き摺り落とすために、俺チャンは思考を巡らせるのだった……
ご読了ありがとうございます。
司と正義の過去話、まだ少し続きます。
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