60.タルコス防衛戦 決着
……脳内イメージって、上手く文章に出来ませんね……
(メアリー・ズンダルク・レブラトラ視点)
ああ、思考がはっきりとしますわ……
「何だ……お前の……変化は!……」
「【$₩€&#%₩$】発動ですわ……」
ードバピキバチボォォォ!ドバピキバチボォォォ
依然として続く私とバーバの戦い。
しかし、先程とは違って私はバーバと互角に戦えていましたわ。
『そりゃ、私がわざわざ力を与えましたのですから、寧ろ勝って貰わないと困りますわ……』
「……言ってくれますわね……あ、追加の【$₩€&#%₩$】ですわ!」
ードバピキバチボォォォ!ドバピキバチボォォォ!
私は、脳内に直接響く声に返事をしつつ、魔法を撃ち出しておりました。
まあ、私の魔法は【多重詠唱】の影響で何を言ってるか分からないでしょうし、脳内に直接響く声も周りからはただの鳴き声にしか聞こえてないでしょうが……
『ほんと、まさか小鳥の姿でこの世界に残されるとは思いませんでしたわ……』
ードバピキバチボォォォ!ドバピキバチボォォォ!
「消滅寸前の貴女を何とか形にしただけでも褒めて欲しいですわね!」
ードバピキバチボォォォ!ドバピキバチボォォォ!
『私は残して欲しいだなんて言っておりませんわ!』
ードバピキバチボォォォ!ドバピキバチボォォォ!
「でも、あのまま消滅するなんて今の私が納得出来ませんわ!」
ードバピキバチボォォォ!ドバピキバチボォォォ!
「おい……その鳥と……何を話している?……」
【多重詠唱】の効果は絶大で、あらかじめ発動予定の魔法も時間差で設置しておけばこうして会話しながら魔法も撃てますわ!
……改めて、多分本来の【多重詠唱】からかけ離れている気がするのは気のせいだと思いたいですわね……
まあ、それはそれとして……
「貴女には教えませんわ!」
ードバピキバチボォォォ!ドバピキバチボォォォ!
「うおぉ……まさか……【無詠唱】か?……」
「あら?……バンッ!」
ードバピキバチボォォォ!ドバピキバチボォォォ!
「…………………。」
「…………………。」
『…………………。』
……【無詠唱】、修得出来てしまいましたわ……
「あ……あり得ぬ……あり得ぬぅぅぅぅぅ!」
「……あれ、完全に激昂してませんこと?」
『まあ、自分の十八番をこんな簡単に真似されたらそうもなりますわね……そう言う私も驚いてますすけど……』
いや、どうして出来ましたの?
未来の私ですら到達出来ておりませんでしたのに……
「我の境地が……こんな年端もいかぬ小娘に……真似されるなど……」
「小娘とか言っておりますが……お前は魔王に生成された魔物ではなくて?」
「それがどうし……あっ……」
「ええ、私は確かに年端もいかない小娘ですわ。ですが……それを言うならバーバ、お前は誕生してからたった1年しか経っていない赤子同然の魔物ですわ!」
まあ、その赤子同然の魔物に良いようにされ続けて来たのが私達なのですが……
「なっ……なっ……それが……どうした!……」
「いいえ、別に。……取り敢えず食らいなさいな!」
ーブワンブワンブワンブワンブワンブワン……
「……またか……」
ードバピキバチボォォォ!ドバピキバチボォォォ!
言ってはみましたが赤子同然だから何だという話でしかないので、私は再度魔法をぶっ放しましたわ。
『……といいますか、本当にどうして【無詠唱】を修得していますの?私ですら修得出来なかったのに……』
ードバピキバチボォォォ!ドバピキバチボォォォ!
「……貴女が【多重詠唱】を修得したのっていつになりますの?」
ードバピキバチボォォォ!ドバピキバチボォォォ!
『え、それは勿論この時点から数十年後……あ、まさか私が先に渡してしまったから……』
ードバピキバチボォォォ!ドバピキバチボォォォ!
「そこに、バーバという優れた見本を合わせれば……まあ、修得は不可能ではありませんわ!」
つまり、本来ならもっと修得に時間のかかる【多重詠唱】を先んじて修得し、加えてバーバという優れた見本が目前に居る……
いや、これで修得出来る私っておかしいですの?
と、その時……
ードゴォォォォォォォォォォォォン!
「ん?」
『これは……』
「……むぅ……ミノガルが……殺られたか……」
おや、ミノガルが討伐されたようですわね?
……ロウルが殺ったのだと思いたいですわ。
「……お前が……急に強くなったせいで……支援に向かえなかった……」
「やはり、支援に向かうつもりでしたのね。」
「……殺す!……」
ーブワンブワンブワンブワンブワンブワン……
「でしたらこちらも!」
ーブワンブワンブワンブワンブワンブワン……
「……死ね……小娘ぇぇぇぇぇ!……」
「先程までの冷静さがどこへやらですわよ!」
ードバピキバチボォォォ!ドバピキバチボォォォ!
『……ここまでしても互角……やはり、バーバは魔王軍全体で見ても最強の魔法使いですわね……』
魔王軍最強の存在は言わずもがな魔王ですが、魔法使いに限れば確実にバーバが最強でしょうね……
それ程までに、バーバは強いですわ。
「殺す!……殺す!……殺すぅぅぅぅぅ!……」
ードバピキバチボォォォ!ドバピキバチボォォォ!
「……しかも、激昂してる割に魔法は正確とか……本当に嫌になりますわ……」
確実にバーバは激昂してる筈。
なのに、魔法の正確さは落ちていませんでした……
「当たり前だ……感情に呑まれて……攻撃の精度を落とすなど……愚の骨頂……」
ードバピキバチボォォォ!ドバピキバチボォォォ!
「そこまで言いますのね。……で、その怒りはミノガルを殺された怒りですの?それとも私がすぐに【無詠唱】を修得した事に対してですの?」
ードバピキバチボォォォ!ドバピキバチボォォォ!
「……確かに……ミノガルは……有用な駒だったが……死んだ所で心は痛まん……それより……我が境地を……お前の様な小娘がぁぁぁぁぁぁ!……」
ードバピキバチボォォォ!ドバピキバチボォォォ!
「後者でしたのね……とはいえ、このままではまた魔力切れに追い込まれて……」
ードバピキバチボォォォ!ドバピキバチボォォォ!
「ああ……魔力を切らせ!……お前如きが……我が境地など……烏滸がましい……」
ードバピキバチボォォォ!ドバピキバチボォォォ!
これはジリ貧になるのも時間の問題ですわね……
……と、私が思った瞬間でしたわ。
『いえ……もう数十秒だけ粘ってくれませんこと?』
「え、何を言って……」
ードバピキバチボォォォ!ドバピキバチボォォォ!
「おい……我を無視す……」
ーバビューン!
「え?」
「むぅ!?」
突然、私の右隣を掠める様に魔力弾が何処からか放たれ、それはバーバへと飛んで行き……
ードカ~ン!
「なっ、今のを防御しますの!?」
『いえ、背後にまでは手が回っておりませんわ!』
「……なるほど、そういう事ですの!」
ーボォォォォォォォォ!
「……なっ……」
魔力弾を防ぐために防御結界を張ったバーバ。
ですが、咄嗟の判断だったのか結界は前面に壁の様に展開されておりましてので……
……【地獄の業火】、背後に叩き込んでやりましたの!
「死に晒してくださいませ~!」
ーボォォォォォォォォォォォォォ!
「結界展開……いや……強度が……間に合わ……」
「……バーバ、これで終わりですわよ!」
ーパリ~ン!……ゴォォォォォォ!
「ぐぉぉぉぉぉ!……この我が……こんな小娘如きにぃぃぃぃぃぃぃ……」
ーパチパチパチ……
……よほど悔しかったのでしょう。
バーバは私への恨み言を吐きながら、【地獄の業火】に燃やされて灰になっていったのでしたわ……
「……さて、後は魔力弾を放った者を特定するとしましょう……」
そうして私はバーバが死に絶えた事を確認すると、最後にバーバの隙を作った魔力弾を放った者を探しに行くのでしたわ……
ご読了ありがとうございます。
バーバが最後の魔力弾に対して前面にしか結界を展開出来なかったのは、メアリーが【無詠唱】を使用し始めた事に対して激昂するあまり視野が狭くなっていて反応が遅れたからです。
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後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。