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55.タルコス防衛戦 猛牛

……ナンドレアvsミノガルです。

(ナンドレア時点)


……小生の故郷が蹂躙された日の事は、今でも鮮明に覚えてますニャン。


焼ける家屋、死んだ同胞、鼻をつんざく血の臭い……


それ等全てを、今でもはっきり夢に見ますニャン。


ですが、それを誰かに言うつもりはありませんでしたニャン。


「……小生は復讐を諦めた身ですニャン。それ故、小生は例え心の中に怨嗟の炎が燻っていても、絶対にそれを表には出しませんニャン。」


あの日からずっと、小生の心には魔王軍に対する恨みが存在していますニャン。


けれども、それを表に出すなんて事は絶対にしませんニャン。


小生はあくまでも復讐を諦めた身。


例え魔王軍と戦う事になっても、その理由は復讐以外でなければならないですニャン……


「まあ、つまり小生が何を言いたいのかと言えば……貴方と戦う理由に、恨みはないという事ですニャン。」


「……ンモォォォォォォォォ!何を言ってるか分からんモォォォォォォォォォ!」


まあ、殆んど小生が心中で呟いた独白でしかありませんニャンからね……


「まあ、簡単に言えば小生の戦う理由は……貴方の()()()と、()()()()()()()()()ためですニャンね。」


「ンモォ?俺様に勝つ気はないモォ?」


「ははは……では、試してみますニャンか?」


「ふん、御託は良いからさっさと来るモォォォォォォォォォ!」


ふむ、喋りで出来る限り時間稼ぎをしたかったのですニャンが……まあ、現実はそう甘くありませんニャン。


「ハァ……【獣化】と【硬質化】ですニャン。」


ーシュン!


「ンモォォ!?……速過ぎるモォォォ!」


「よし、これなら上手く時間を……」


ーシュン!シュン!シュン!


小生はロウルさんにした様に、高速移動の合間に硬質化した拳で殴る戦法を取ろうとしましたニャン。


しかし……


「モォォォォォォォォ!……お前が速さなら俺様は筋肉、【筋肉増強(マッスルインクリーズ)】だモォォォォォォ!」


ームキムキムキ……


「ニャン!?」


ーシュン!シュン!シュン!


「フシュゥゥ~!……ンモォォォォォォォォォォ!」


筋肉増強(マッスルインクリーズ)】というスキルを発動したミノガルの体に、どんどん新たな筋肉が付いていきましたニャン。


しかも……


「筋肉の付け方に無駄がないですニャンね……」


筋肉を増やすにしても、付ける場所を間違えれば逆に関節部分等の可動範囲を狭めかねない……


……だというのに、ミノガルは増えた筋肉が足枷になっていない辺り、ただの脳筋ではないですニャンね……


「ンモォォォォォォォ!」


ーブンッ!……ドシ~ン!


「ニャンッ……凄い威力、当たれば小生の命は確実に無いですニャンね……」


ーシュン!シュン!シュン!


ミノガルが振るった両刃斧の斬撃は、地面に大きな亀裂を作りあげましたニャン。


「ンモォォォォォォォォ!」


ーブンッ!……ドシ~ン!……ブンッ!……ドシ~ン!


「チッ……これじゃあミノガルに近付くだけで精一杯ですニャンね……」


ーシュン!シュン!シュン!


「逃げてばかりで攻撃もせず……俺様に攻撃を当ててみろだモォォォォォォォォォ!」


ーブンッ!……ドシ~ン!……ブンッ!……ドシ~ン!


「だったら……お望みの通り当ててあげますニャン!」


ースタッ……ブンッ!


小生はミノガルの背後で止まり、そのままミノガルの背中に拳を振るって……


ードンッ!


「へ?……何ですニャンか、この硬さ……」


小生が振るった硬質化した拳は、ミノガルの筋肉を前に止められましたニャン。


「ンモォ?何かやったかモォ?」


「……タブルドと違ってもう少しやれば行けそうですニャンが……この攻撃を掻い潜っては厳しそうですニャンね……」


ーシュン!シュン!シュン!


タブルドの様な、あらゆるダメージを弾く肌ではないですニャンが……これを小生……いや、物理攻撃を主力とする者が相手するには、何処かに弱点を作らねばいけませんニャンね……


「ンモォォォォォォォォ!ちょこまか動き回って鬱陶しいんだモォォォォォォォォォ!」


ーブンッ!……ドシ~ン!……ブンッ!……ドシ~ン!


「ふぅ……飛ぶ斬撃なんかは放たない分、被害は比較的抑えられていますニャンが……そろそろ、地面が持ちませんニャン……」


ミノガルの、結界を割る程の攻撃を食らい続けた地面は、亀裂だらけでいつ陥没してもおかしくありませんでしたニャン。


「ンモォォォォォォォ!」


ーブンッ!……ドシ~ン!


「保って後一撃……いや、これは使えますニャン。」


ミノガルの強烈な攻撃、陥没ギリギリの地面、小生の拳……これなら行けるかもしれませんニャンね。


「ンモォォォォォォォォォ!」


ーブンッ!……ドシ~ン!……ガラガラ……ピキピキ……


ミノガルの攻撃によって地面の亀裂が繋がり、不穏な音も鳴り出しましたニャン。


……ここが勝負時ですニャン。


「よし、後は小生が……」


ースタッ……ドゴォォォォォン!


「ンモォ!?」


小生がミノガルの前に降り立った瞬間、地面が陥没してミノガルの下半身が埋まりましたニャン。


……命をかけるなら、ここですニャンね。


「ミノガル、隙を見せましたニャンね!」


「ンモォ!?」


ミノガルは、急いで両刃斧を振るおうとしましたニャンが……小生の方が速かったですニャン。


「ふぅ……秘技、【魂殺魔硬拳】ですニャン!」


小生の奥の手……


全身を巡る魔力を(・・・・・・・・)()()()()()()()()()()()()()()()()()()()……


並の相手なら絶対に殺せる秘密の拳技……


ミノガル相手にどれだけ効くかは賭けですニャンが、やるだけやってやりますニャン!


「ンモォ!?」


「食らえですニャン!」


ーフッ……ドゴォォォォォォォォン!


小生の拳は、ミノガルの腹筋にめり込み……


「ゴフッ……な、何をしたモォ……」


……ミノガルの内臓にまで達し、ミノガルは情けなくも吐血しましたニャン……


ですが……


「ゴフッ……これは……小生の負け(・・・・・)ですニャンね……」


……小生にはもう、戦える力は残っていませんでしたニャン。


そもそも、この技は持てる力全てを放出する最終手段であって、これを使えば完全に役立たずになるというデメリットが大き過ぎる技ですニャン。


つまり、ミノガルが生き残った以上は小生の負けが確定した訳ですニャン。


……狙い通り(・・・・)になったとはいえ、少し悔しいですニャンね……


「ンモォ?……よく分からないが、俺様の攻撃を避けられないみたいだモォォォォォォ!」


「ええ、そうですニャン。……皆、今そっちに行きますニャン……」


小生はもはや、助かりませんニャン。


そして、無情にもミノガルによって両刃斧は振り上げられ……


「さぁぁぁぁせぇぇぇぇまぁぁぁぁせぇぇぇぇぬぅぅぅぅぞぉぉぉぉ!」


「ンモォォォ!?」


「え!?」


ーボゴォォォン!……クルクルクル……ドシ~ン!


……突然ミノガルに"何か"がぶつかった事で、小生に振り下ろされる筈だった両刃斧は少し離れた場所まで吹き飛ばされましたニャン。


「ふぅ……間一髪、間に合いましたな!」


「ろ、ロウルさん……どうしてここに……」


小生を助けた"何か"は、ロウルさんでしたニャン。


「ふむ、ナフリー殿に行けと言われましてな!」


「え?……ああ、やはりナフリーは何だかんだ甘いですニャンね……ロウルさん、次ナフリーに会ったら甘さは捨てろと言っておいてくださいニャン。」


「分かりましたぞ!……もっとも、"生きて帰れたら"の話ですがな。」


「ははは……そうですニャンね……」


そう。


まだ戦いは終わっていませんニャン。


「ンモォォォォォォォォ!お前は誰だモォォォォォォォォォ!?」


「ロウルさん、道は切り拓きました(・・・・・・・・・)ニャン。」


「ふむ、腹筋の傷ですな。……ナンドレア殿、後は私めに任せてお下がりを。」


「ええ、そうさせて貰いますニャン。」


ータッタッタッ……


「さて……私めの名はロウル・バルガイア!……いざ尋常に勝負と行きましょうぞ!」


「ンモォォォォォォォォ!望むところだモォォォォォォォォォ!」


小生は後退しながら、ロウルさんとミノガルの勝負を見守りますニャン。


こうして小生はミノガルに負け、新たにロウルさんとミノガルの戦闘が展開されるのでしたニャン……

ご読了ありがとうございます。


ナンドレアは、良くも悪くも自分の仕事は全うするタイプです。


気が向いたらいいね、ブックマーク登録してくれるとありがたいですが、あくまでも気が向いたらで大丈夫です。


後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。

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