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52.今更でも茜は知りたい

早く、この章の山場に行きたい……

(浅山 茜視点)


ーガチャ!


「ただいま帰りましたぞ!」


「ハァ……ハァ……帰っ……たぞ……」


「……お兄ちゃん、大丈夫?」


「いや……大丈夫じゃ……ねぇ……」


ロウルさんとお兄ちゃんが、馬車に帰って来た。


……お兄ちゃんは退院した初日の筈なのに、何故か死にかけみたいな事になってたけど。


……いや、それより気になる事がある。


「聞いたよ、お兄ちゃん。……ロウルさんとも付き合い始めたんだって?」


「ハァ……ナンドレアさんに……ハァ……外堀……ハァ……埋められちまってな……」


「そうらしいね。……本当にお兄ちゃんが羨ましいやら妬ましいやら……リア充死すべし慈悲はない、だよ。」


「ハァ……怖い事……ハァ……言うなよ……」


「……だってお兄ちゃんだけハーレムとかズルいんだもん!」


「お前は……ハァ……シトラ一筋……ハァ……だろ……」


うぐっ!


それを言われると何も言えない……


というかお兄ちゃん、見るからに限界なのに私の話し相手はしてくれるんだよね。


「あ~うん、お兄ちゃんはもう休んで良いよ。」


「ハァ?……まあ、限界だし……ハァ……俺は部屋で少し休むわ……」


「そうしてそうして~。なんなら永遠に休んでても良いよ~。」


「ハァ……ハァ……煩いな……」


そうしてお兄ちゃんは、息も絶え絶えになりながら自室へと向かって行ったのだった……


「……にしても、ナフリーちゃんやメアリー第二王女ちゃんだけじゃなくて、まさかロウルさんまで……ねえ、ロウルさんは本当にお兄ちゃんで良いの?」


「アカネ殿もおかしな事を聞きますな?……私めはトウシロウ殿を選んだ。それが全てですぞ。」


「……まあ、それなら良いけど……」


とてもじゃないけど、お兄ちゃんがこんなに好かれる器とはどうしても思えない……


でも、ナフリーちゃんもメアリー第二王女ちゃんもロウルさんも、全員がお兄ちゃんにベタ惚れしてる。


「そう言うアカネ殿から見たトウシロウ殿は、いったいどんなお方なのですかな?」


「う~ん……頼りないお兄ちゃんって感じかな?」


仮に私がお兄ちゃんの妹じゃなくて異性愛者だったとしても、多分好きにはならない。


でも、そんなお兄ちゃんが今や3人の恋人が居るハーレムを築いてるとか、頭おかしくなりそう……


「……まあ、家族は付き合いが長くなる分、相手の様々な所を見せられますからな……私めも、ラウル兄様は尊敬しておりましたが、仮に家族でなかったら結婚できていたかと言われると……」


「ま、実際の妹なんてそんなもんだよね。」


ロウルさんのお兄さんについては、簡単な概要程度には聞いてる。


……本当に、立派な騎士だったんだろうね。


と、その時……


「お、茜チャンにロウルチャンじゃん!2人で何話してるっしょ?」


「うわっ……正義(ジャスティス)君……」


「おや、ジャスティス殿ではありませぬか。」


私達が話してるところに、急に正義(ジャスティス)君が割り込んで来た。


正義(ジャスティス)君、性格は良いんだけど見た目がモロにヒロインを寝取るチャラ男っぽいから苦手なんだよね……


「……ま、茜チャンからそういう反応されるのも想定内っしょ。」


「いや、何それ……」


「で、ジャスティス殿はどうしてこの話に関わろうとお思いになったのですかな?」


「う~ん……言ってなかったけど俺チャン、元の世界では兄貴が居た訳よ。」


「え?」


へ、へぇ~……意外かも……


「おお、ジャスティス殿にも兄が……」


「そ、俺チャンと違って品行方正な兄貴で、親父と同じ()()()になろうとする良い奴だったっしょ。」


「ふ~ん……って、正義(ジャスティス)君の父親は警察官だったの!?」


「む?ケイサツカンとは何ですかな?」


「あ~……簡単に言うと、国防に携わらない騎士団って感じかな?……まあ、分かりやすく言うと犯罪者専門の衛兵って感じの役職だよ。」


「ほう、ジャスティス殿は立派なお父様をお持ちになられたのですな!」


正義(ジャスティス)君の父親が警察官か~……


まあ、正義(ジャスティス)君の性格を考えたら全然おかしくないけど……


「ちなみに、キラキラネームなのは俺チャンが小さい頃に病気で死んじゃったお袋の案っしょ。」


「……あ、母親は死んじゃってたんだ……」


「そんな気にしなくても良いっしょ。……逆に、下手に同情される方が嫌な気持ちっしょ……」


「あ、ごめん……」


「別に良いっしょ。」


……私は正義(ジャスティス)君を知らない。


いや、正義(ジャスティス)君だけじゃなくて司ちゃんや兼人君の事も知らない。


多分、お兄ちゃんも3人の事はよく知らないと思う。


「……ねえ、正義(ジャスティス)君。」


「ん?アカネちゃん、いきなり畏まってどうしたっしょ?」


「話はガラッと変わるけどさ。……正義(ジャスティス)君、司ちゃんの好きな人に気付いてるでしょ?」


「……どうしてそう思ったっしょ?」


……まあ、話としては脈絡ないけど……


少しずつ、知っていかないとね。


「いや、正義(ジャスティス)君って意外と頭が回るから、気付いててもおかしくないって思っただけだよ。……でも、今の反応は当たりだよね?」


「……まあ、一応察してはいるっしょ。でも、司ちゃんは自分が"かっこいい王子様"でなきゃ気が済まない性格だから、俺チャン野暮な事はしないって決めてる訳よ。」


「ふ~ん、そっか~……」


やっぱり、気付いてたか~。


でも、その上で司ちゃんのやり方を尊重するのは好ましいのかもね。


「……ま、今日はこのくらいにしとくよ。」


「む?もう終わりですかな?」


「あ~うん、あんまり1度に新事実を聞き過ぎると脳が処理し切れないしね。」


「むう、残念ですな……」


私としては、ちょっとずつ皆の事を知っていきたい。


……これまで、あんまり皆の事を知ろうとしたなかった事が悔やまれるよ。


「じゃ、また暇な時にでも話そ~。」


「はい!また今度お話しましょう!」


「俺チャンも賛成っしょ!」


こうして、私達は雑談を終えた。


……皆の事、少しずつでも知りたいと思いながら……



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

(エルリス・フルウィール視点)


「ハァ……ラビリンスにバーバ、もしかしたらミノガルまで()る可能性まであるっちゅうのは流石に厳しいわ~。」


ーパラ……パラ……


「……エルリスさんも大変そうですね。」


「お、カネヒトはんか~。……何の用や?」


ウチが1人で魔王軍幹部の資料を読み漁っとると、いつの間にかすぐ横にカネヒトはんが立っとった。


「いえ……それ、もしかしなくても魔王軍幹部の情報ですか?」


「せや。……ウチとしては稽古のつもりで立ち寄った街のつもりやったんやけど、まさかまた魔王軍幹部が関わって来るとは思わへんかったわ……」


「……大変そうですね。」


「ほんまやわ。」


……とはいえ、ここでバーバとミノガルも片付けれたらどんなにええか……


「それにしても……魔王軍の幹部はどれもこれも強敵ですね……」


「……調べたんか?」


「ええ。……もっとも、僕からは誰にも説明していませんけどね。」


「よう心折れへんかったな~……」


「いえ……僕でも心が折れかけたので、魔王軍幹部の詳しい情報は誰にも話していないんですよ。」


「……やろうな。」


どいつもこいつも強過ぎる。


勇者が召喚されるまでの1年間、誰も倒せへんかっただけはあるっちゅう説得力の塊みたいな強さしとるんが魔王軍幹部やからな~。


「あ、後1つ気になったんですが……」


「ん~?」


「迷兎将軍 ラビリンスの本体とも言える迷宮(ダンジョン)、迷都 ラビリンスですが……どうも500年程前までは別の呼び名だったらしい事って知ってました?」


「まあ、一応はな。」


……あの迷都 ラビリンスがそう呼ばれ始めたんは500年くらい前……って、ウチも聞いとる。


そんで、その前があった事も……


「……夢都(・・) ワンダーランド(・・・・・・・)、かつて存在した地上の楽園にして……今はラビリンスに乗っ取られたという、泡沫の夢……」


「実際のところ、ワンダーランドを管理しとった妖精が未だにラビリンスに捕まっとるっちゅう噂もある程、謎と憶測が多い古代都市やけどな。」


「……これ、ラビリンスの攻略に使えますかね?」


「いや、そもそも本体を叩かな意味あらへんから、まだ無意味やよ。」


夢都 ワンダーランド……長く生きとるウチもおとぎ話でしか知らへん古代都市やけど……ロマンあるわ~。


「……とにかく僕達は今回、バーバとミノガルの情報を漁りますか……」


「……しかあらへんな~。」


そうしてウチ等は調べる。


……お互いが持っとる知識を使って、人間側を勝利に導くために……

ご読了ありがとうございます。


ちょっと、ぶつ切り感が凄いですね……


気が向いたらいいね、ブックマーク登録してくれるとありがたいですが、あくまでも気が向いたらで大丈夫です。


後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。

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