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47.退院からの鍛練

アイデアがなかなか湧きません。

(浅山 藤四郎視点)


「じゃ、俺は先に退院するからな?」


「昨日キスした……トウシロウの唇……思っていたよりも……柔らかかったですわ……」


「……聞いちゃいねぇ。」


入院してから5日目、ようやく退院の時を迎えて上機嫌な俺とは反対に、メアリーはずっと上の空だった。


「え、あっ……トウシロウ、もう行きますのね。」


「悪いか?」


「いいえ。……ですが、やはり寂しいですわ。」


「ハァ……メアリーまで俺が居なきゃ駄目とか言うつもりか?」


「恋人ですわよ?」


「恋人でも離れて暮らすもんだろ。」


ヤバい……


何か、マジでメアリーまで俺に依存し始めてる。


「あ~……見舞いには顔出してやるよ。」


「約束ですわよ?」


「ああ、約束だ。」


「……絶対ですからね?」


「分かってるよ。」


こうして、俺はメアリーの未練たらたらな視線を背中に受けながら病室を出て、建物の外へと向かう。


「……にしても、改めて見てもそんなに科学技術は発展してそうにねぇな……ま、その代わりに魔法があるから成り立ってんだろうが……」


実際に中世レベルの文明だと、俺達は最初の数日で()を上げてただろう。


本当に、魔法である程度文明が進んでて助かった。


「さて、そろそろ出口か……お、誰か居るな。」


少し考え込んでいると出口が見えて来た。


そして、そこに居たのは……


「ご主人様、退院おめでとうございますニャン。」


「ナフリー、出迎えご苦労だな。」


「全然平気ですニャン!」


病院と思われる建物を出た俺を待っていたのは、当然と言うべきかナフリーであった。


……ほんと、俺は誰に説明してるんだか知らねぇが、こういう感じで言っていくと自分でも情報を整理しやすいんだよな……


「取り敢えず、何か依頼でもするか……」


「あ、その前に実はご主人様に紹介したい方が居りますニャン。」


「ん?誰だ?」


ナフリーが紹介したい人?


まさか、愛想を尽かされたとかじゃねぇよな?


俺もそれだけは嫌だ。


とまあ、俺がネガティブな心配ばかりしていると……


「じゃあ、今呼びますニャン。……カブお爺様~!」


ーブブブブブ……


「……やけにでっかいカブトムシだな……って、何で魔物が結界内に居るんだよ!?」


ナフリーが"カブお爺様"なる人物を呼んだ瞬間、空から大型トラック程の大きさをしたカブトムシが飛来した。


というか、魔物は都市内部に入れない筈じゃ……


「あ、ご主人様は知らなかったですニャンね。……都市の結界は、基本的に従魔には無効なんですニャン。」


「え、そうなのか?」


そういや、ヘビーとネズも普通に結界内部に入ってたっけ……あの2匹、見た目だけは普通の蛇と鼠みたいだから時々分からなくなるんだよな……


「……というか、この話の流れだとまさか……」


「はいですニャン。……このキャノンビートルの特殊個体こと森の主が、あたしの新しい従魔のカブお爺様ですニャン。」


「森の主……メアリーが言ってたっけ……」


いや、何でそんな凄い魔物を従魔にしてんだよ!?


「蟲毒の迷宮で他の魔物に襲われて防戦一方だったところを助けたんですニャンけど、それで何故か気に入られてしまったのですニャン……」


「それで従魔にしたのか?」


「……その通りですニャン。」


うん。


ナフリーにとっては確実にパワーアップなんだろうが、このサイズだととにかく場所をとりそうだな……


「……そういや、森の主を従魔にしたの驚かれなかったか?」


「そうですニャンね。……アカネ様達勇者の皆様やロウル様、エルリス様は驚かれませんでしたニャンが……冒険者ギルドの皆様は驚かれてましたニャン。」


「……だろうな。」


腹が座ってる同行メンバーと違って、ただの冒険者やギルド職員は腰を抜かすだろう。


「……呼んでおいて何ですニャンけど、流石に邪魔になるのでカブお爺様には1度馬車の方に行って貰いますニャン。」


「まあ、普通に往来の邪魔だからな……」


こんな道の真ん中に大型トラックサイズのカブトムシが居るとか、邪魔以外の何物でもねぇな。


「カブお爺様、ごめんなさいニャンけど馬車に戻って貰えますニャンか?」


「キュ~!」


ーブブブブブ……


「……何だったんだよ、マジで……」


「も、申し訳ございませんニャン……」


恐らく、ナフリーはすぐにでも新しい仲間を紹介したかったんだろうが……普通に困惑しっ放しだった。


「ハァ……別に気にしてねぇよ。」


「あ、ありがとうございますニャン!」


「……やっぱりナフリーは可愛いな。」


「ニャン!?」


ああ、ナフリーを見てると撫で回したくなってくる。


「なあ、撫で回して良いか?」


「……ご主人様なら、良いですニャン。」


「なら、遠慮なく……」


ーくしゃくしゃ……


「ニャッ、ご主人様……激しいですニャン!」


「あ、悪い悪い……」


本当にナフリーは行動1つ1つが可愛……いや、戦闘時は割とワイルドだが、それ以外は基本的に可愛い。


「ニャン……本当にご主人様は……」


「なあ、今度は頭を吸わせてくれないか?」


「ニャン!?」


「頼む!……ナフリーで猫吸いしたいんだ!」


……自分でも変態みたいだと思うが、やはり猫獣人のナフリーで猫吸いをしてみたい。


いや、やっぱり俺ってキモいな……


「……そんなにあたしばっかり可愛がってると、メアリー第二王女殿下に嫌われますニャンよ?」


「心配しなくても、メアリーはメアリーで可愛がるつもりだ。……とはいえ、ナフリーは本当に良いのか?」


「何がですニャンか?」


「恋人が自分を含めて2人以上の恋人を侍らせてるなんて、普通なら嫉妬しそうなもんだが……」


実際、これが元の世界なら破局してるか刺されてるかのどちらかだろう。


「……あたしは、家族を失ってますニャン。」


「そうだな……」


「だから、心のどこかで沢山の家族を欲してるんだと思いますニャン……」


「……そうか。」


失った家族の穴を埋める様に、俺のハーレムと家族関係を築いていく……これがナフリーの目的か。


「ただ、あたしとしてもメアリー第二王女殿下がご主人様の恋人になるのは予想外でしたニャン。」


「別に良いだろ。……ナフリーに不都合な事がある訳じゃねぇんだし……」


「メアリー第二王女殿下が居る上であたしが正妻を名乗るのは、流石に烏滸がましいにも程がありますニャンよ……」


……まあ、そういうもんか。


確かに、俺も本来なら自分より権力がある人間が自分の下に就いてるとか嫌だが……


「……じゃあ、正妻の座をメアリーに渡すか?」


「いや、それも嫌ですニャン……」


「なら、ナフリーはメアリーが俺の恋人になるのが反対なのか?」


「別に、そういう訳じゃないですニャン。……ただ、何と言いますか複雑な気分なんですニャン!」


「……どうしたもんかな……」


メアリーが自分より下に居るのも、自分が正妻の座を明け渡すのも、どちらも嫌だと語るナフリー。


ナフリーなりに悩んではいる様だが、答えが出る気配はないな……


「うん……ナフリーは1回、ちゃんとメアリーと話し合ってみろ。」


「……分かりましたニャン。」


こういうのは当事者同士で話した方が良いだろう。


答えが出ないなら特にだ。


「よし、これでこの話は終わりだな?」


「はいですニャン。」


こうしてナフリーの悩みを聞き終えた俺は、ナフリーと何かしらの依頼でもしようかと思っていた。


と、その時……


「……あ、トウシロウ殿にナフリー殿ではございませんか!」


「お、ロウルさんか。」


「……ロウル様、何のご用ですニャン?」


突然、いつも通り全身鎧姿のロウルさんに話しかけられた。


「いえ、今日も私めは鍛練に向かうのですが……お二人もどうかと思いまして。」


「ん?……ああ、俺なら良いが……」


「……あたしはお断りしますニャン。」


「え?」


ロウルさんの鍛練に興味があったので承諾したが、何故かナフリーは行かないようだ。


「ふむ、まあナフリー殿はそうでしょうな。」


「あたしは、あの人とは会いませんニャン。」


「ええ、それで良いですぞ。……トウシロウ殿はお借りいたしますがな。」


「……あたしはご主人様の意思を尊重するだけですニャン。」


こうして、俺だけがロウルさんの鍛練に付き合う事になった。


……にしても、ナフリーが断るとか……いったい、ロウルさんは誰と鍛練をしてるのだろうか?


……とまあ、そんな事を考えながら、俺はロウルさんに引っ張られて行くのであった……

ご読了ありがとうございます。


ロウルの鍛練相手……ナフリーが会いたがらないその人物とはいったい……


気が向いたらいいね、ブックマーク登録してくれるとありがたいですが、あくまでも気が向いたらで大丈夫です。


後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。

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