3.冒険者ギルドとゴブリン退治
読まれなくても更新する、それが私です。
(※ただし、ノクターン連載でR18小説を1つエタらせた事はある。)
(浅山 藤四郎視点)
「さて、こっからどうするか……って、あっ……」
「ん?お兄ちゃん、どうかした?」
「……金、持ってねぇ……あの王族共、人の事を呼ぶだけ呼んどいて金も渡さずに……」
俺はふと、この世界の通貨を渡されていなかった事に気付いて憤慨しかけた。
と、その時……
「勇者様のお連れ様、金貨100枚にございます。」
「「……え?」」
突然、通行人が金貨100枚を渡して来た。
「……あんた、何者だ?」
「私は王家直属の暗部にございます。……もし勇者様方が何か必要になった際は、それを準備するよう命じられておりました。」
「あ~……まあ、普通に考えたら私達を何の監視も無く野に放たないよね……」
「……だな。」
結局、俺達が得たのは王家による監視付きの自由だったって訳だ。
と、ここで再び暗部の人が口を開き……
「……アカネ様、トウシロウ様、少々よろしいでしょうか。」
「「ん?」」
「この世界において、身分証明は重要です。なので、冒険者ギルドで登録しておくのが良いかと。」
「へぇ~、冒険者ギルドがあるのか~。……この辺りはファンタジー小説っぽいね。」
「ただ、他に登録出来る場所はねぇのか?」
「無い訳ではないのですが、そこが一番手っ取り早いですね。……あ、登録料は金貨1枚ですよ。」
「そうか……よし、それじゃあ行くか。」
「まあ、そうするしかなさそうだしね。」
こうして暗部の人から身分証明のために冒険者ギルドで登録しておく必要があると聞いた俺達は、最寄りの冒険者ギルドへと向かうのであった……
そして数分後……
「はい、登録完了いたしました。トウシロウ・アサヤマ様にアカネ・アサヤマ様ですね。」
「あ、はい。」
「OKで~す。」
俺達は特に何事もなく、冒険者登録を行っていた。
「……にしても、本当に何事もなく終わったな。」
「普通、ガラの悪い先輩冒険者が絡んで来たりしそうなのに……」
「あはは……ここはズンダルク王国の王都ネルフラにある支部ですから、所属している冒険者の治安は良いんですよ。まあ、辺境の支部に行くにつれて治安も悪くなってますけど……」
「ああ……」
「どこの世界も世知辛いんだね……」
冒険者ギルドに関する小話を耳に挟みつつ、俺達は冒険者登録を終えて冒険者カードを受け取った。
なお、ここに来るまでにこの世界の通貨のだいたいの価値も把握した。
まず、この世界には鉄貨、銅貨、銀貨、金貨、白金貨の5種類の硬貨が存在する。
これを元の世界の通貨に換算すると、鉄貨は1円、銅貨は10円、銀貨は100円、金貨は1000円、そして白金貨は10万円だと俺は推測した。
「……って、誰に向かって言ってんだろうな。」
「ん?お兄ちゃん、どうかした?」
「いや、何でもない。」
ヤバい、マジでそろそろヤバい。
勝手に脳内で誰かに解説始めてる辺り、突然異世界に召喚させられたストレスがだいぶ俺の心に悪影響を与えてやがる……
ま、自分で整理してると思えば良いか。
「……ちゃん……お兄ちゃん!」
「ん?あ、どうかしたか?」
「も~、さっきから呼んでるのに、全く返事しないんだもん!」
「あ~、悪い悪い。」
……取り敢えず、この考え込むと周囲の音が聞こえなくなるのは改善しないとな……
「えっと、話の続きを進めますね?……冒険者にはランクがありまして、鉄、銅、銀、金、白金という風に高くなっていきます。」
「おお、何かweb小説でよく見たランク制度!」
「お兄ちゃん、静かに!」
「基本的に登録当初は鉄からです。……このランクでは、町の雑事や低ランクモンスターの討伐依頼、薬草等の採取依頼をこなせます。」
「そうか……」
依頼、か……金は有るとはいえ多分10万円弱だよな。
しかも、王家から渡された金だ。
「……で、お兄ちゃんはどうする?取り敢えず何か依頼受けとく?」
「まあ、王家から貰った金貨にこれ以上手を付けるのは怖いし、何か依頼で金を稼いだ方が良さそうだな。」
ぶっちゃけ、後から返せって言われる可能性は0じゃないんだよな……
「じゃあ、これとかどう?ベタだけど簡単そうなゴブリン退治!ほら、ゴブリン1匹につき銀貨5枚だって書いてるよ!」
「いや、簡単じゃないだろ。もっとこう、薬草採取とかに……」
「お兄ちゃん、私のスキルを忘れちゃった?」
「……ああ、そういう事か……」
茜はどうも、強力なスキルで相手を圧倒するつもりで居るらしい。
……まあ、俺も試しにやってみるか。
「えっと、依頼達成条件はゴブリンの体内から採取されるゴブリン魔石の納品……ま、何とかなるでしょ。」
「楽観的だな……とはいえ、やってみる価値はありそうだな。」
こうして最初の依頼を決めた俺達は、ゴブリンが出るという王都外の平野へと向かうのだった……
数時間後……
「……お兄ちゃん、今度からは近場の依頼受けない?」
「そんなの、ドブ掃除とかペット探しとかしかなかったぞ。」
何とか平野に辿り着いた俺と茜だったが、道中の道のりが長過ぎた。
……というか、王都が広過ぎた。
お陰で一時的に外に出るだけで数時間ぶっ通しで歩く羽目になった。
あ、王都の境界にはファンタジー小説に有りがちな高い城壁が有ったのだが、それも冒険者カードを門番の衛兵に見せるだけで外に出れた。
本当に、冒険者カード様々だな。
……と、そんな事を考えていると……
「グギャ!」
「グギャギャ!」
「お兄ちゃん、ゴブリンだよ!」
「こんな近くに出るのかよ……あ、バフかけるぞ?」
「うん、よろしく!」
俺達めがけて走ってくるゴブリン (見た目は元の世界のアニメとかに出てくる緑色のモンスターそのもの) を視界に収めた俺と茜は、とっさに戦闘準備を始める。
「【補助全般】……お、色々と有るな……」
俺が【補助全般】を唱えると、脳内に使える魔法が溢れ出した。
「お兄ちゃん、早く!」
「お、悪い悪い。……それじゃあ【体力増強】に【攻撃力上昇】に【魔力上昇】に【HP自動回復】に【MP自動回復】に……」
「うお~!力が湧いて来たよ~!」
「……上手く行ったか。」
しかし、こう考えるとこれってある意味チート……って呼ばれてるアレでは?
どうも自分自身を強化する事は出来ないようだが、それでも他者を強化するだけで充分強い。
……と、思っていたのだが……
「じゃ、行くよ~!……【戦乙女】の神器15番、【破魔の剣】!」
ーブン!
「グギャ……」
ードガドガドガーン!……プスプス……
「「………………………………………。」」
茜が【戦乙女】の効果で出現させた光る剣……通称【破魔の剣】を振ったところ、斬撃が飛んでゴブリンを両断し、そのまま爆発させた。
そして、先程までゴブリンが居た場所は、何も残っていない焼け野原に……
「いや、ゴブリン魔石はどうした!?」
「……多分、魔石ごと爆発させちゃった……」
「……マジか……」
あ、これ攻撃力が強過ぎるパターンだ……
「なら、今度は【攻撃力上昇】は辞めとくか。」
「そ、そうだね……」
だが、結果は先程と同じになった。
「なら、今度は攻撃変えるぞ!」
「うん!」
また駄目だった。
その後も何度か試行錯誤した結果、茜の攻撃ではどうやっても体内のゴブリン魔石ごと爆発させてしまう事が分かった。
そして、出した結論は……
「……うん、誰かマトモな基準の戦力雇おう!」
「お兄ちゃん、私も同感……」
こうして心が折れた俺と茜は、新たな戦力を雇う事を決めたのだった……
ご読了ありがとうございます。
スキル【戦乙女】は攻撃力が高過ぎてドロップ品も纏めて爆発させてしまうという欠点があり、スキル【補助全般】は当該スキル所持者自身には魔法をかけられないという欠点があります。
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後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。