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24.魔王軍との初戦闘 希望

この小説ではHPとMPが出てきますが、それぞれ体力残量、魔力残量をそう訳しているだけなので、現実にそう言ってる訳ではありません。

(エルリス・フルウィール視点)


「……エルリス、貴女が私をそんな呼び方で呼べる理由、理解してますの?」


「勿論、先代魔王を討伐した功績やろ?」


「チッ……今後はもう少し敬意を持って欲しいですわね。」


「まあまあ、メアリー殿下。……今は目前の敵に集中すべきかと。」


「そ、そうですわね……」


ウチが連れて来た助っ人ことメアリーはんとロウルはんは、偶然にも防壁から近い所に()った。


どうも、今回の侵攻に援軍として来たらしいけど……


「……オ゛ンナ……ブエダ……」


「っ!……こいつ、何ですの!?」


「欲豚将軍 タブルドやよ。……って、それも知らずに来たんか!?」


「し、侵攻を受けたと聞いて……急いで【流星移動(シューティングスター)】という魔法を使って王城から来ましたもの……」


「その結果、細かい進行方向を誤って壁に激突しましたがな。本当に、私めが咄嗟に防御しなければどうなっていたか……」


「ロウル、それは言わない約束ですわ!」


……ほんま、この人等で大丈夫かいな?


せやけど、もう四の五の言ってられへんわ!


「……オマエラ……ゴナイ?……ダッダラ……オデ……イグ!」


ードシッ……ドシッ……


「そっちが来るなら、私めの出番ですな!」


ーガシャ……ガシャ……


迫り来るタブルドに対し、同じく歩みを進めはったロウルはん。


その直後、タブルドは棍棒を振り上げて……


「オ゛ンナァァァァァァァァァァ!」


「ふん!」


ードシーン!


「んんっ……」


「ロウル、大丈夫ですの!?」


ロウルはんは、タブルドの攻撃を正面から大盾で受け止めはった。


「ふふっ……私めは、この程度で倒れませぬ!」


「ブホォ?」


「……私めの攻撃を食らいなさい!」


ーボヨン!ボヨン!ボヨン!……ズズッ……ズザッ……


「ブフォッ……オマエ……ヅヨイ……」


攻撃直後の隙を狙って、タブルドを大盾で殴りまくっとるロウルはん。


攻撃は弾かれとるけど、確実に後退させる事には成功しとった。


「……よし、そんだけ後退させたら充分やろ。」


「はっ!」


ーボヨヨ~ン!


「ブフォッ!」


ロウルはん、最後に一際威力を込めてタブルドを殴っとったけど……まあ別にええわ。


「メアリーはん、とびきり熱いの頼むで!」


「私に任せなさい!……【地獄の業火(インフェルノ)】ですわ!」


ーボオォォォォォ!


「お~、燃えとる燃えとる……」


「これは、こちらの勝ちですな!」


メアリーはんが放った業火をモロに食らったタブルドを見て、勝ちを確信するロウルはん。


どうせ燃やしたら終わりやと思っとるんやろうけど……


「アヅイィィィィ!……デモ……ギガナイィィィ!」


「「なっ……」」


「まあ、この1年間で誰も倒せとらん奴がこの程度で倒れるかいな。……それよりロウルはん、盾構えよし。」


「えっ?」


「ブホォォォォ!……グヂノナガ……アヅイィィィ!」


ーブオォォォォォォ!


「なっ……火を吹いたですと!?」


「……燃えとる口内の炎を吹き出しよったか……」


何とかロウルはんの大盾で防いだけど、火だるまになったタブルドは口内の炎を利用して火を吹きよった。


「ど、どうしますの!?」


「ハァ……しゃあない。キンキンに冷やしたって。」


「は、はいですの!……【地獄の氷結(コキュートス)】ですわ!」


ーピキピキピキーン!


「ウガッ……」


「おお、今度こそ!」


欲豚将軍が炎豚将軍に進化してまいそうやったから、咄嗟に冷却の指示を出したけど……ミスったかもな。


氷漬けにしたタブルドが、少しずつ動いとる。


「……やっぱあかんか。」


「エルリス殿、何を言っておられ……」


「ブホォォォォォ!」


ーパリパリパリーン!


「……ほらな。」


氷漬けにしたタブルドが、自身を覆っとった氷を割って脱出しよった。


「ヅメダイィィィ!……ゲド……ギガナイィィィ!」


「ほんま、しぶといわ~。」


……ちょいと【鑑定】スキルでタブルドのHP覗いて見たけど、全く減っとらんわ~……


これ、ちまちま減らすんは無理があるな……やっぱ、全身全霊の強力な一発で決めるんが得策やな。


「……問題は、そんな高火力の使い手が()らへんっちゅう事や。」


少なくとも、ズンダルク王国随一の魔術師とも言えるメアリーはんの魔法が弾かれた(・・・・)となると、そう簡単には行かへんやろ~な~……


……多分やけど、攻撃性能皆無の【封印魔法】さえ弾かれてまうんやろう。


「え、エルリス殿……またタブルドの様子がおかしいのだが……」


「ん?」


「オデ……グヂ……ヅメダイィィィィィ!」


ーヒュゥゥゥゥゥゥゥ!


「ロウルはん!」


「はっ!」


全身が冷えに冷えまくっとったタブルドが吐いた息は、ウチ等を凍えさせるんに充分やった。


……何とかロウルはんの大盾が間に合ったけど、流石に冷気は防げへん。


「……メアリーはん、程々に暖めてぇな。」


「む、難しい事を言わないでくださる!?……えっと、程々となりますと……」


ードシッ……ドシッ……


「あ、タブルド来とる!後退や!」


「はっ!」


あかん、このままやとジリ貧や……


「……期待しとったトウシロウはんもあの様やったし、どうしたもんかいな……」


ここでタブルドを倒さへんとマズい。


せやけど、今のウチ等はタブルドを倒す手段を持ち合わせとらんかったんやった……



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

(浅山 藤四郎視点)


「おいおい、あの何かヤバそうな魔法でも死なねぇのかよ……」


「……タブルドがあの程度で死ぬ相手なら、今の今まで生きていませんのニャン。」


「それもそうか。」


いや……兼人の言葉を信じるなら、メアリー第二王女殿下ってこの国で随一の魔法使いなんだろ?


その攻撃を受けて死なないとか……本当にタブルドを倒せるのか?


まあ、それはそうと……


「……違う……違う……これも違う……」


「なあ、俺達も手伝……」


「邪魔しないでください!……少なくとも僕が図書館(ライブラリー)で出した【補助全般】について詳しく書かれている本がこの1冊しかなかった以上、手伝うも何もないんですから!」


「あ、はい……」


現在、俺達は兼人に【補助全般】について詳しく調べて貰っていたが、未だに有力な情報は得られていなかった。


「これは……使えないですね。……こっちも現実的じゃないと……」


「……本当に、俺の能力って微妙なんだな。」


「あたしが弱いせいで……本当に申し訳ございませんニャン。」


「いや、ナフリーのせいじゃねぇよ。」


「ご、ご主人様がそう言っくれるだけでありがたいですニャン。」


やはり、ナフリーは自分を卑下していた。


大方、自分の実力不足が原因だと思ってるんだろう。


と、その時だった。


「っ!……ありました!」


「本当か!?」


「本当ですニャン!?」


突然、兼人が何かを見つけた。


「ええ、この【無制限の愛(アンミリテッド・ラブ)】というバフなら行ける……かもしれません。」


「ん?【無制限の愛(アンミリテッド・ラブ)】?」


「そ、それって何ですニャンか?」


名前を聞く限り、俺が持つ【補助全般】のバフには聞こえねぇんだが……


「【無制限の愛(アンミリテッド・ラブ)】は、【補助全般】のスキル所持者とバフをかける対象者に確固たる信頼関係……というより恋愛関係がある事がキーになるとか……」


「……んなスキル、見た事が……」


「……でしょうね。何せ、これは【補助全般】の中でも禁忌……とされている訳ではありませんが、危険度はその位あります。……というのも【無制限の愛(アンミリテッド・ラブ)】、下手するとスキル所持者とバフかけ対象者の命を奪いかねないものでして……」


「「え?」」


いや待て、何でそうなる?


「つまり、肉体の限界を遥かに越える様な強化をする訳です。……当然、バフかけ対象者の肉体は耐え切れませんし、ついでにスキル所持者もそのダメージを共に味わう事になります。」


「いやだが、そんなの俺は……」


「……このバフは、どうもスキル所持者が自身の命を懸ける覚悟が出来た時に出現するとか……今の藤四郎さんに、命を懸ける覚悟はありますか?」


「そ、それは……」


確かに、そう言われたらその通りだ。


俺は、死ぬのが怖い。


「ただ、これが本に掲載されていた中では1番現実的なんです。……本当に、頼みます。」


「そう言われても……俺は死ぬのが怖いし、ナフリーだって死なせられねぇ。」


「……話は平行線ですね。」


……確かに、その【無制限の愛(アンミリテッド・ラブ)】がありゃ勝てるかもしれねぇが……


「……命、か……」


俺はそうして模索した。


ナフリーも俺も王都の皆も、魔王軍以外の全員が生き残れる道を……

ご読了ありがとうございます。


ようやく、作者もタブルドを倒す方法を見つけられた気がします。


気が向いたらいいね、ブックマーク登録してくれるとありがたいですが、あくまでも気が向いたらで大丈夫です。


後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。

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