22.魔王軍との初戦闘 欲豚
……この作品が面白いか、自身が無くなってきました。
(ナフリー視点)
あたしはただひたすらに駆けたニャン。
「お父様、お母様、お兄様……やっと、あたしは皆の無念を晴らせるニャン……」
見える場所に、皆の仇が居る……
敬語は崩れ、他の事は考えられなくて……
でも、そんなの気にしていられなかったニャン。
「……っと、流石に冷静を保つニャン。」
いくらご主人様に強化して貰ってるとはいえ、慢心していては勝てる勝負も勝てないニャン。
っと、そろそろかニャン?
「ここからなら、攻撃も当たるニャン!」
……憎きタブルドの姿が、攻撃範囲に入るニャン。
「……タブルド、ここがお前の墓場ニャン!【獣化】、からの【飛斬】ニャン!」
ーブンッ!
……あたしは、全身全霊を込めてタブルドに攻撃を放ったニャン。
なのに……
ーボヨン……
「ニャン!?」
あたしが放った斬擊は、以前戦ったクイーンスライムの時と同じく弾かれたのニャン。
「ブホォ?……オ゛ンナ?」
ードシッ……ドシッ……
「き、気付かれたニャン……」
あたしを視界に収め、ゆっくりとこちらに進んで来るタブルド。
その様子を見て、あたしは咄嗟にある事を思い出していたニャン。
それは、タブルドは理性が無いにも関わらず将軍の地位に居る……つまり、圧倒的な実力を有しているという事だったニャン。
「……まあ、理性も無いのに将軍の地位に居る怪物を、すぐに倒せると思う方が愚かニャンね……」
タブルドは腐っても魔王軍の将軍ニャン……
それをご主人様の力があるとはいえ、簡単に倒せる訳がないのニャン。
「でも……諦められるかは別問題なのニャン!」
ータッタッタッ……ヒュン!
「ブホォ!?」
あたしはタブルドの前まで走ると、そのまま高く跳躍したニャン。
そして……
「だったら手刀ニャン!」
ーシュッ!
あたしは1度に込められるありったけの魔力を爪の先に集中させ、タブルドを貫こうとしたニャン。
でも……
ーボヨン……
「っ!?……これでも駄目ニャン?」
あたしの攻撃は、再度タブルドに防がれたニャン……
直後、タブルドは持っていた棍棒を振り上げ……
「オ゛ンナァァァァァァァァァァ!」
「ニャニャッ!?」
ーシュタッ……ドシーン!
「ウ゛?……オデノ……ゴヴゲギ……ヨゲダ?」
「ハァ……ハァ……やっぱり力は段違いニャン……」
あたしはタブルドの攻撃をバックステップで何とかかわしたニャン。
ただ、さっきまであたしが立っていた地面は原型を留めてなかったのニャン……
「……オデ……オ゛ンナ……」
「っ!……それ以上下品な言葉を喋るなニャン!」
ーヒュン!……シュッ!
「ブホォ?」
ーボヨン……
「まだまだニャン!」
ーシュッ!ボヨン……シュッ!ボヨン……
「オ゛ンナ……ヨワイ……オデ……ヅヨイ……」
ーブンッ!
「……ガハッ!」
ーミシミシミシ……
効きもしない攻撃に夢中になっていたあたしは、タブルドの繰り出した棍棒の横薙ぎに反応出来ず……
ーブンッ!……ドシーン!……ドン!ザザザザザ……
吹っ飛ばされたあたしは地面を1度バウンドし、その後地面に沿って回転し……やがて止まったニャン。
「ア゛~……オ゛ンナ……ゴロジヂャッダ……」
……どうも、タブルドはあたしを殺したと思い込んでるようニャン。
でも、その言葉は当たらずも遠からずニャン……
「ハァ……ハァ……ゲホッ……ゲホッ……」
ービシャッ!
「……と、吐血……多分、内蔵の幾つかと肋数本、手足の骨が逝ったニャンね……」
ご主人様のバフかけを加味してもこのダメージ……これは、マズいニャン……
「ま、まずは【HP自動回復】の効果で回復するのを待つニャ……」
「……ジダイ……デモ……イ゛イガ……」
ードシッ……ドシッ……
「ニャニャッ!?……まさか、死体すら……」
オークは性欲が強く、どんな生物でも性欲発散の道具にするニャン……でも、まさか死体まで……
「チッ……ゲホッ……」
ービシャッ!
「……駄目ニャン……ここで……死ぬ訳には……」
「ブホォ?……オ゛ンナ……イギデル?」
ードシッ……ドシッ……
「ひっ!」
立つニャン!
手足の骨が使い物にならなくても……
内臓が損傷していても……
肋の内1本が内臓に刺さっていても……
立たないと、ここで死ぬニャン!
「オ゛ンナ~……」
ードシッ……ドシッ……
「……ガハッ……ゲホッ……ゴフッ……」
ーポタポタ……ザザ……ザザ……
「どうにか……力を……振り絞るニャン……」
あたしは何とか地面を這いずりながら、タブルドとの距離を広げようとするニャンが……明らかにタブルドの方が速いニャン……
……不幸中の幸いか、あたしはかなりの距離を吹っ飛ばされたニャンから、タブルドとの距離はまだそこそこあるニャンけど……このペースだともう無理ニャンね……
「……なんて、少し前までのあたしなら思ってたのニャン……」
少し前までの復讐一筋だったあたしなら、ここで死ぬ事に悔しさは感じつつも"生きたい"なんて思わなかったのニャン。
「……でも……今のあたしには……ご主人様が……居るニャン!」
だから、あたしは生きて帰るのニャン!
「オ゛ンナ……ニゲル……オデ……ヅガマエル……」
ードシッ……ドシッ……ドシッ……
「ペースが……速くなったニャン……あっ……マズ……」
「オ゛ンナ……オイヅイダ……オデ……オガスゥゥゥ!」
……世の中、そう上手くは行かないニャン。
どう考えても、這いずって逃げ切るのは無理があったニャン。
「ニャ……」
ードサッ……
「もう……動けないニャン……」
あたしのすぐ後ろまで迫ったタブルドの声を聞いた瞬間、自分の体からみるみる内に力が抜けて行くのが分かったのニャン。
「オ゛ンナ……オガス……ダガラ……ヅガマエル……」
オークに犯されて、生還した者は居ないニャン。
だって、その巨大過ぎるモノのせいで、女の腹を突き破ってしまうから……
「……ご主人様……少しの間だけでも……恋人になれて嬉しかったですニャン……」
……後、ご主事様はまだ早いとか言って夜のアレコレをしてくれませんでしたが……せめて初めてはご主人様に捧げたかったニャ……
「ほな……そろそろ手ぇ貸したるわ。【泥人形作成】や!」
ーベタベタベタベタ……
「……ゴイヅラ……ジャマ……」
……突然地面から湧いた大量の人型の何かが、タブルドを足止めして……
「せやから言ったやん。……勝てへんて。」
そう言ってあたしを見下ろす人影の正体は……エルリス様だったニャン。
「え、エルリス様……」
「喋らん方がええ……ナフリーはん、今生きとるんが不思議な程の大怪我しとるからな?」
「は、はい……すみませんニャン……」
「……せやけど、ここでナフリーはん死なせたら、ルル坊から一生恨まれてまうからな~……」
「ルル……坊?」
あたしを保護してくれた奴隷商のルルネン様の事ニャンか?
「……ナフリーはん、このハイポーション飲んでさっさと逃げよし。」
「えっ?」
「ウチはタブルドの相手するわ。……見よし、もうウチが山程作った泥人形が破壊され尽くしとる。」
「ブホォォォォォ!……ジャマナ……ドロ……ガダヅゲダ……」
「……エルリス様なら……やはり倒せますニャンね。」
「いや、無理やろな。」
……え?
だって、エルリス様は先代勇者パーティーで……
「……先代魔王との戦いの後遺症が激しいんよ。」
「あっ……」
「……頼むから、ウチより若いナフリーはんだけでも逃げてぇな。」
「あ、ありがとうございますニャン……ごくごく……」
そうしてハイポーションを飲んだあたしは、すぐに壁内への入り口へと走ったニャン。
でも……その後ろでタブルドに挑むエルリス様を思うと、後ろ髪を引かれる思いだったのは言うまでもなかったのニャン……
ご読了ありがとうございます。
……タブルド、どうやって倒そうか作者も悩み始めました。
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後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。