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20.魔王軍との初戦闘 王虎

vsシトラ戦です。

(浅山 茜視点)


これは、数ヶ月前の出来事……


「ぐすっ……ぐすっ……」


「……茜、また失恋したのか。」


「お兄ちゃんには分からないでしょ!……自分の想いを伝える事すら出来ない気持ちなんて……」


私はその日、何度目かの失恋をした。


……自分の想いを伝えるまでもなく、名前も知らない男子が私の想い人への告白を成功させた場面に出くわしてしまったという理由で。


「ああ、分からない。……そもそも、俺は恋なんてした事がないからな。」


「……私としては、そっちの方が羨ましいよ。」


「そうか?」


「だって、恋さえしなければこんなに苦しまずに済むって事でしょ?……どうせ同性愛者の恋なんて実らないのが普通なんだから、そもそも恋をしない方が……」


「……まあ、そんなに悲観するな。」


「お兄ちゃんは何も知らないから、そんな事が言えるんだよ!」


「……すまん。」


失恋の度に、胸が張り裂けそうになる。


どうせ叶わない恋をして悲しむくらいなら、最初から恋なんてしない方が良いに決まっている。


いや、或いは……


「……惚れた女の子に殺されるのも、アリかも……」


「茜、何かヤバい思想に片足突っ込んでるぞ!?」


「はっ!……駄目だよね、そんなの……」


……大真面目に良いかもと思ってしまった。


好きな人に殺される……それが、とても良く見えてくる程に、私は度重なる失恋に嫌気が差していた。


そして、それは異世界に転移しても同じだった……





時は戻り、現在……


「【戦乙女(ワルキューレ)】の神器15番、【破魔の剣】!」


「……来たガルか……」


シトラちゃんを明確に視界へ収めた私は、【破魔の剣】を顕現させて……


「シトラちゃん、この程度で死なないでね!」


ーブンッ!……ドガーン!


思いっきり振って攻撃した。


当然、前方は爆炎に包まれたものの……


「ガルァァァ!」


ーブンッ!……グシャ!ゴキャ!ブチュ! 


「チッ、【戦乙女(ワルキューレ)】の神器14番、【最硬の大盾】!」


ーギーン!


「なるほど、テメェがオレの指定した(つえ)ぇ奴って訳ガルかァ!」


「そうだよ!」


ーブンッ!……ドガーン!


「ガハハ!効かないガルァ!」


爆炎の中から現れたシトラちゃんは周囲の魔物を潰しながら、巨大トゲ付きハンマーを振り回して来た。


対する私は【最硬の大盾】という神器で間一髪防御して、お返しにもう1回斬擊を放ったけど案の定効いてなかった。


……多分、私より強いね……


「……でも、その方が燃えるよね。」


ーブン……ブン……


「さて、テメェはオレが初めて殺す人間になれるガルかァ?」


「さあね。……でも、1つだけ言える事はあるよ。」


「……そうガルか。ま、何にせよオレ達がやる事は決まってるガルな。」


「うん、そうだね。」


シトラちゃんはお兄ちゃんの身長よりも大きなトゲ付きハンマーを振り回しながら、私と向かい合う。


そして、お互いに口を開いて……


「オレは魔王軍幹部、王虎将軍 シトラ!」


「私は異世界から召喚された勇者が1人、アカネ・アサヤマ!」


「「いざ……」」


「尋常に殺し合うガルァ!」


「真剣に愛し合おう!」


私達は辺りに魔物が溢れかえる中、お互いに名乗りを上げた。


「……ガルァ!?」


……でも、シトラちゃんは鳩が豆鉄砲を食らったかの様な反応を見せた。


うん、可愛い。


「ん?どうかした?」


「……テメェ、今何っつったガル?」


「真剣に愛し合おう、って……」


「……ど、どういう意味ガル?」


「そのまんまの意味だけど?」


……元の世界なら、確実にドン引きされていた。


多分、この世界でもドン引きされる。


でも……


「……あ~、何となく分かったガル。」


「ありがとね。」


「ハァ?……訳が分からんガル。」


……シトラちゃんは、深くは追求しない。


「さて、何か脱線しちゃったけど……続き、やる?」


「勿論だガル!……オレに本気、出させろガルァ!」


ーブン……ブン……ブンッ!


「っ!?ハンマーを投げ……」


ーギーン!


私が戦闘再開を促すと、シトラちゃんは巨大トゲ付きハンマーを私めがけてぶん投げて来た。


何とか【最硬の大盾】で防げたけど、これはマズ……


「まだ終わりじゃねぇガル!」


ータッタッタッ……ブンッ!……グッ……ミシミシ……


「うぐっ……」


シトラちゃんは一瞬で私との間合いを縮めると、【最硬の大盾】に当たってからまだ地面に落ちてなかった巨大トゲ付きハンマーを私めがけて蹴り直した。


当然、思わぬ連続攻撃に私の腕は悲鳴を上げる。


「おらァ、次の攻撃だガル……」


「……ハンマー、回収した?」


ーブンッ!……ドガーン!


「うがっ!?」


巨大トゲ付きハンマーが私からシトラちゃん側に戻ったタイミングで、私は再度【破魔の剣】を振る。


当然、周囲の魔物にしっかり被害は出たけど……


「……うん、そうでなきゃね。」


「ゴホッ……ゴホッ……至近距離で浴びると煙たいガルなァ!」


やっぱり、シトラちゃんに大きな怪我は見受けられない。


「なら、畳み掛けるだけだよ!」


ーブンッ!ブンッ!ブンッ!……ドガーン!


「ガハハ!効かないガルァ!」


ーブンッ!……ギーン!


「またハンマー投げ……うん、私なんかより強いね。」


多分、【破魔の剣】じゃ駄目かな。


「オレはまだ本気じゃねぇガルァ!」


「私だって!……もっと愛し合うには、同等の存在だって認めて貰わなきゃ……」


いや、愛し合うなんて烏滸がましい……まだ、私はシトラちゃんに認めて貰えてない。


「おいおい、そんなにオレと愛し合いたいガル?」


「勿論!」


「だったら、オレに勝ってみろガルァ!」


「……うん、そのつもりだよ!」


多分、遠隔攻撃じゃ駄目だ。


となると……


「……ん?どうしたガル?」


「【戦乙女(ワルキューレ)】の神器18番、【鈍重の大剣】!」


私が顕現させたのは、シトラちゃんの巨大トゲ付きハンマーと同じレベルの大剣。


その効果は……


「……それ、かなり重いガルな?」


「うん。見た目以上の重さを敵に負荷して、ミンチ状になるレベルで押し潰しちゃうよ?」


「だったら、やってみるガル!」


ーブンッ!ブンッ!……ギーン!


「……これでも……駄目なの?」


ーギギギッ……ギギ……


「確かに重いガルなァ……でも、それが何ガル?」


ーギンッ!


「うぐっ!?」


「ガハハ!」


私の大剣とシトラちゃんのハンマー、同時に振って鍔迫り合った結果、勝ったのはシトラちゃんだった。


と、ここで……


「ハァ……ハァ……まだ……負けてない……」


思ってたより早く、私の体力が底をつきかけていた。


「……やっぱり、テメェはオレが殺す程の奴じゃねぇガル。……さっさと戻って、タブルド辺りでも倒しとけガル。」


「でも、そうしたらシトラちゃんは……」


「オレは帰ってやるガル。……せっかく(つえ)ぇ奴に会えると思ってたガルが、とんだ肩透かしだったガルからなァ。」


シトラちゃんは帰ってくれると言った。


……でも、それじゃあ駄目なんだよ!


「うおぉぉぉ!」


ーブンッ!


「ハァ……」


ーギーン!


「まだまだ!」


「いい加減にするガル!」


ーブンッ!ギーン!ブンッ!ギーン!


私が振るった大剣は、全てシトラちゃんのハンマーに受けられる。


……私の能力、最強じゃなかったの?


「ハァ……ハァ……まだまだ……シトラちゃんに認めて貰うんだ……」


「どうして、そこまでオレに執着するガルかァ?」


「それは……」


……放っておけなかった。


……シトラちゃんが本当は心優しい娘なのは、すぐに分かった。


……それでも、魔王軍に所属しなきゃならない"何か"がある事も分かった。


……そんなの、放っておけないよ。


「それは……何ガルか?」


「……まだ、言えない。……シトラちゃんが……私を認めるまでは……」


「……そうガルか。」


私は絶対に負けられない。


絶対に……勝ってみせる……


……そんな事を心の中で誓いながら、私は再度シトラちゃんに大剣を振るい続けるのでした……

ご読了ありがとうございます。


茜は充分チート染みた性能をしているんですが、シトラは更にその上に居ます。


気が向いたらいいね、ブックマーク登録してくれるとありがたいですが、あくまでも気が向いたらで大丈夫です。


後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。

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