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171.行商人vs毒蛇

思いの外呆気ない結末になります。

(時は少しだけ遡り邪神落下直後、スネイラ視点)


「早急に創造主様の援護に向かわねば!……そういう訳で今すぐ道を開けて欲しいでシュル!」


「拒否の【神速】祭りや!」


ーヒュン!ヒュン!ヒュン!ヒュン!


私を【神速】という高速移動スキルで翻弄して来るのはエルリス……否、エルリスさんというエルフでシュル。


しかもこのエルリスさん、ただ高速移動するだけに留まらず……


「ほれほれ、【泥人形(マッドゴーレム)作成】や!」


ーベタベタベタ……


……泥で作られた人型存在を作って差し向けて来る始末。


「小癪でシュルよ!」


ーブンッ!……ベチャッ!


私は手に持った魔法杖で泥人形(マッドゴーレム)共を薙ぎ払うも、その直後にはエルリスさんの次なる一手が既に放たれていて……


「お次は(ドラゴン)にも効いた激辛攻撃や!」


ーポイッ!……パリン!


「シュル!?……お、おのれ……ゴホッ!ゴホッ!」


うぅ……


決定打には欠けるでシュルが、着実に私の体力を削って来まシュルね……


解毒に泥人形(マッドゴーレム)、挙げ句の果てには刺激物……


……ほんと、舐められたものでシュル……


「うんうん、そのまんま他の事忘れてウチに集中してくれてええんやで~?」


ーヒュン!ヒュン!ヒュン!ヒュン!


「ぐぬぬ……呪いさえ上手く発動出来れば、貴女なんて簡単に殺せるんでシュルよ!」


敵軍の後方で発動され続ける聖属性魔法……


そのせいで私の毒や呪いは敵に全く効かなくなっているのでシュル……


そして、それに対するエルリスさんの反応は……


「せやから何や?……って言いたいところやけど、ここは素直にメサイアはんを褒めとこか……」


「メサイア……なるほど、道理で私の呪いすら無力化する訳でシュル……」


「せやろせやろ?……ウチの自慢の悪友なんや!」


……快活に笑うエルリスさんの声……


ハァ……やはり敵を"さん付け"は気持ち悪くなってきまシュルね……


「ならば、私は毒と数で押し切りまシュル!……【毒沼】、【毒霧】、【毒雨】でシュル!」


ージュバッ……ブワッ……ポツポツ……サ~……


私が発動したのは【毒沼】、【毒霧】、【毒雨】の3つの毒魔法でシュル。


とはいえ、どうせ毒の効果はあの聖属性魔法で無効化されるのは分かっていまシュル。


その上でこの3つの毒魔法を選んだ理由、それは……


「うっ……堪忍やわ……」


ーベチャッ……ベチャッ……


「毒の効果を無効化しても、沼や霧や雨が消える訳ではないでシュルよ?……足を取られ、視界を奪われ、目を開け続けるのすら厳しい……相手を翻弄するのが自分だけだとは思わない事でシュルね!」


……エルリスさんの行動を阻害するためでシュル。


沼で足を取られ、霧で視界を奪われ、雨から目を守るために目を閉じざるを得ない……


そんな状況になれば、私の方が有利でシュル!


「あ~あ、してやられてもうたわ……」


「む、やけに諦めが良いでシュ……」


「何てな!……"水爆弾"や!」


ーポイッ!……バシャァァァァァァァァン!


「シュルッ!?」


エルリスさんが何かを投げた瞬間、大量の水が発生して沼や霧や雨を吹き飛ばしましたシュル……


……っと、呆けている場合では……


「さ~て、今度はどんな手で翻弄されるんがええやろな~?」


ーヒュン!ヒュン!ヒュン!ヒュン!


「何を言って……まさか、私を馬鹿にしているのでシュルか!?」


エルリスさんの態度は、完全に私を馬鹿にしているとしか思えませんでしたシュル。


でも、当のエルリスさんは……


「……んな訳あらへんやろ!……今やって、メサイアはんに呪いやら何やらを無効化して貰ったり、他の皆に雑兵を任せたりしとる事で何とかあんたの相手を出来とるんやで!?……馬鹿に出来る程、簡単な相手やとは思っとらん!」


……そう、返しましたシュル。


「そうでシュルか……なら、その余裕も薄氷の上という事でシュルね!」


「それはそうやけど……それとは関係なくあんたの終わりも近付いとるで!」


む?


それはいったい……


そう、思った直後でしたシュル。


「ヒヒィィィ~ン!」


ーパカラッ!パカラッ!パカラッ!


こちらに走って来る、1つの影を見つけましたシュル。


それは……


「ば、バイコーンでシュルか!?」


あ、あれは確か……


虎人族の里に囮として差し向けたバイコーン……


まさか、勇者の皆さんに回収されていたとは……


しかし、それで終わりではなく……


「スネイラ、あたしの事も見るのですニャン!」


ータンッ!


「っ!?」


突如としてバイコーンの背中から跳び立ったのは、猫人族のお嬢さん。


あれは確か、タブルドさんを倒したという……


その瞬間、私が警戒すべき相手はエルリスさん、バイコーン、そして猫人族のお嬢さんの2人と1頭に増え……


そして……


「カブお爺さん、お願いしますニャン!」


それが、私の敗因になりましたシュル……



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

(ナフリー視点)


「スネイラ、あたしの事も見るのですニャン!」


ータンッ!


「っ!?」


バインさんの背中から跳び、宙を舞うあたし。


スネイラの視線はあたし、エルリス様、そしてバインさんの3方向を見ようとして必死になっていたニャン。


……だからこそ、これは計算外からの一手。


あたしに出来る、最大限の大物殺し(ジャイアントキリング)だニャン!


「カブお爺さん、お願いしますニャン!」


ーバビュ~ン!


「なっ……」


ードゴォォォォォォン!


……スネイラが気付いた時には既に遅く……


遠くに待機させていたカブお爺さんに発射させた魔力弾はスネイラの胸に着弾し……


その周辺の肉諸共、大きく円状にスネイラを穿っていたニャン。


そして、そのタイミングは奇しくも……


「……今、何となく分かりましたニャン。……ナンドレア叔父様もまた……いえ、何も言わないでおきますニャンか……」


遠くにうっすらと見えた光景。


それが本当なら……


いや、これは後で再会した時にでも。


と、スネイラとの戦いが終わったと思った、その時だったニャン。


「あっ……あっ……あぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


いきなり、大穴を穿たれたスネイラが絶叫を上げたのだったニャン……



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

(スネイラ視点)


「あっ……あっ……あぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


私の胸……否、上半身の大半が穿たれたシュル!?


馬鹿な……馬鹿なぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!


「みっともなく嘆いたって変わらんで?……なんて言ってられへんかもな……」


「エルリス様、どういう事ですニャン!?」


ああ、この者達を殺しても、意味はないでシュル……


総合的に見ても、戦力としてはイマイチ。


ならば……あのメサイアさんという者を殺し、呪いをばら蒔きまシュル!


そうと決まれば……


「最期に一花、咲かせまシュルゥゥゥゥゥ!……【狂魔獣化の呪い】ィィィィィィィィィ!」


ーグジュグジュグジュ……


私は自身に【狂魔獣化の呪い】をかけ、その身ヲサイセイサセテ……


……ア?


ワタシ……ハ……ナニ……ヲ……


アア……ソウデシュル……


「アハハ……アハハハハハハハハハハハハ!」


ーガシガシガシガシガシ!


ワタシ……ススム……


アノ……メサイア……ナルモノ……ムケテ……


「うわ、いきなり走り出したやん!」


「って、何かもう原型がありませんニャン!」


「せやな、もう蛇ってか百足や……それより、狙いはまさか……」


「総員、避難してくださいニャン!」


ワタシ……マモノ……フミツケナガラ……ススム……


ネライノ……メサイア……マダ……ミエナイ……


「……あらあら、まさか自分から最前線に来てくれるなんて嬉しいですわ。……でも、ここから先へ進むのは味方も多いのでお断りですの!」


……ン?


アレハ……タシカ……


……タシカ……ダレダッタ(・・・・・)


ワタシハ……ダレ?


コロシタイノハ……ダレ?


アルジハ……ダレ?


ダレ?ダレ?ダレ?ダレ?ダレ?ダレ?ダレ?ダレ?ダレ?ダレ?ダレ?ダレ?ダレ?ダレ?ダレ?ダレ?ダレ?ダレ?ダレ?ダレ?


「ダレェェェェェェェェェェェェェェェ!」


「こうなると最早哀れですわね……最後まで魔王軍に尽くそうとした貴女に哀悼を……」


ーボォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!


アレハ……ホノオ?


アッ……


……アツイ……


アツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツ……


「アヅイィィィィィィィィィィィィィィィ!」


「……せめて、燃え尽きて眠りなさい……」


ワタシハ……ナニガ……シタカッタ?


イナ……ワタ……シ……ハ………………………



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

(俯瞰(ふかん)視点)


そうして、魔王軍の宰相スネイラは散った。


最期には自身が誰だったか、誰を殺したかったのか、仕えた主が誰だったのかすら分からなくなった彼女は、メアリーの【地獄の業火(インフェルノ)】によって灰も遺さず燃やされ尽くした。


メサイアを殺し、呪いをばら蒔くという目的すら誰にも知られず、彼女はただ……


ただ……意思なき化物として、無様に散る羽目になったのだった……

ご読了ありがとうございます。


そもそもスネイラは自ら戦闘するタイプではないので、毒と呪いをどうにかされた時点で割と詰みです。


気が向いたらいいね、ブックマーク登録してくれるとありがたいですが、あくまでも気が向いたらで大丈夫です。


後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。

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