170.邪神討伐を終えて
ナンドレア含め、エルリスの弟子4人は商人(※プルスレゼスは発明家も兼任)です。
……明らかに商人の強さじゃありませんが。
(ナンドレア視点)
「よう、久しぶりだニャンな!」
「……え、兄様?……も、もしかして小生は死んだのですニャンか!?」
さっきまで宙を舞っていた筈の小生は、何故か雲の上の様な場所で兄様と対面していましたニャン。
とはいえ、兄様との間にはそこそこの距離がありましたニャンが……
「まずは落ち着けニャン。……後、今のお前は臨死体験って状態だニャンから、まだ辛うじて生きてはいるニャン!……もっとも、それを利用してここにお前を呼んだのは儂なんニャンが……」
「臨死体験……まあ、そうなりますニャンよね……って、今無視出来ない言葉が聞こえた気がしますニャンが!?」
「わ、悪かったニャンな……そうそう、お前の体はあのメルシュラとかいう野郎がちゃんとキャッチしてたからその内目覚めるだろニャン!」
「ああ、メルシュラさんが……って、露骨に話を逸らしましたニャンね!?」
本当に兄様は話を逸らすのが下手ですニャン……
でも、この話しぶりから察するに、ずっと小生の事を見守ってくれていたのですニャンね……
「……ま、それはそれとして本題だニャンが……ナフリーに対するアレコレについて、儂が怒ってるのは分かるニャンよな?」
「っ……わ、分かりますニャン……」
……ナフリーに対する事で、死後兄様に怒られても文句は言えない。
それは分かっていましたニャンが……まさか死ぬ前に怒られる事になるとは思いませんでしたニャン。
「つっても、今更お前にその件でどうこう言ったりはしねぇニャンよ。……少なくとも、ナフリーとはとっくに和解したみてぇニャンし……」
「なら、何を言うために小生を……」
「いやぁ、ちょっとお前の顔を見ておきたかっただけだニャン。……その様子だと、ちゃんと生き続ける気はありそうでホッとしたニャンが……」
……なるほど、そういう事ですニャンか……
確かに、小生の生き方は心配されても文句は言えませんニャン。
しかし、小生はもう迷いませんニャンよ。
「……小生はこれから、ちゃんとナフリーと向き合って生きますニャン。……それこそ、兄様達の分までしっかりと……」
「言ってくれるじゃねぇニャンか。……腐っても儂の弟だニャンな!」
「ははは……ところで、そう言う兄様は小生をどれだけ見ていたのですニャン?」
「あ?……ここに来てからずっとだニャンが?」
……ナフリーよりも小生を観察、ですニャンか……
「ナフリーを見ようとはしなかったのですニャンか?」
「ナフリーを見るのは他の2人に譲ったニャン。……儂としては、ナフリーよりもお前の方がずっと不安だったニャンからな!」
……何というか、そう言われると悔しいような嬉しいような……
まあ、あながち間違いとは言えないですニャンが……
と、その時でしたニャン。
「……ん?……何だか小生の体が半透明に……」
何故か、小生の体がどんどん半透明になっていたのですニャン。
「そりゃあアレだニャン……そろそろ時間切れで魂が現世に引き戻されてる証拠だニャン!」
「そういう事ですニャンか……では兄様、また会う日までですニャン。……それと、次に会えるのがずっと先の未来である事を祈っていますニャンよ……」
「か~!……いくら何でも割り切り良過ぎじゃねぇニャンか!?」
そろそろ魂が現世に引き戻される。
それを聞いた小生は、すぐに兄様へと別れの挨拶を済ませようとしましたニャン。
勿論、兄様からは割り切りが良過ぎだと返されましたニャンが……
「……勘違いしないでくださいニャン。……小生だって、そこまで冷徹ではありませんニャン……」
ーポタ……ポタ……
小生はそこまで冷徹になれませんニャン。
今だって、目からは涙が溢れていましたニャンから。
「ナンドレア……ああ、そうニャンな……」
「……兄様……小生はもう戻りますニャン……でも、いずれ会えますニャンよね?」
「当然だニャン!……儂への土産話、楽しみにしてるニャンよ!」
「ええ、そのつもりですニャン!」
ース~ッ……
そうして、小生達の会話は終わりを迎え、小生の体は完全に透明に変わりましたニャン。
そして……
「ぷはっ!」
「お、気付きましたのねん!?」
「あらぁ~♥️……もうちょっとでナンドレアちゃんと人工呼吸という名のキスが出来たのにぃ~♥️!」
「無事であ~るか!?」
「だ、大丈夫でござるか!?」
「……な、何とか。……それとメルシュラさん、小生が意識が戻った瞬間に軽い冗談挟まないで欲しいですニャン!」
「あらぁ♥️……冗談じゃ……」
「貴方は緊急事態で人工呼吸をキスだとか茶化せるタイプではありませんニャンよね!?……小生の意識が戻ったから冗談に切り替えたってところですニャンね?」
「うっ……」
やれやれ、何というか……
……見る限り、邪神も復活する気配はありませんニャンし、小生達の仕事もこれで一段落ですニャン。
「……さて、他はどうなっていますニャンかね……」
小生はそう呟きながら、空を見上げましたニャン。
……いずれ行くであろう冥界を想像しながら……
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(タイガーラ視点)
『……という訳で、拙者も商人4人も無事な状態で邪神討伐に成功したでござるぅぅぅぅぅ~!』
「それはそれは……良かったでヤンスね……」
現世での邪神討伐。
その報せを俺達は、神界の海に浮かびながら聞いてたガル。
……その"俺達"の中に他の英霊共や死神共が含まれてるのは、俺としてもおかしいと思ってるガルが。
「ハッハッハ!……良かった良かった!」
「ひっ……当方が収納している墨袋について、また後で対処法を教えて貰えれば……」
「……某は新たな境地へと辿り着いた……」
「あ~もう、仕事が終わったからって全員思い思いの事を言ってるガルなァ……」
英霊共は思い思いに喋ってやがるガルし、俺も好き勝手させて貰うガルか。
「ところで死神長、いくら何でも決着が呆気なさ過ぎねぇガルかァ?」
「そりゃまあ、邪神は現世で大幅に弱体化してた筈でヤンスからね~。……加えて、無限再生を司る器官の墨袋が取られていたとなれば……」
「……そうガルかァ……」
現世に落とされ弱体化した邪神の注意をあの手この手で引きまくり、警戒が外れたタイミングで大技を防ぐ暇もなくぶつける、ガルか……
世の中、案外上手く行くもんガルなァ……
「とはいえ、それでも邪神を倒せるとか……本当に何であの人達はその強さで商人なんてやってるんでヤンスかね~……」
「知らんガルァ!」
「いやいや、かつてのお仲間のお弟子さんなんでヤンスよ?……もう少し興味を……」
「かつての仲間の弟子だろうが、俺がどうこう言う義理はねぇガル!……それと、今は喋るのも疲れるガルからもうしばらくは話しかけて来るなガル……」
「はいはい、分かったでヤンスよ!」
死神長は最終的に不貞腐れたみてぇに承諾したガルが、本当に疲れたガル……
周りを見ても疲れ果てた英霊共や死神共で死屍累々な有り様だガルし、俺もしばらくは休むガルか……
そう思った俺は、静かに瞼を閉じたガル……
ご読了ありがとうございます。
これにて邪神戦は終わりです。
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後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。