167.英霊VS邪神 追放
自作が面白くない自覚はある。
でも、これが私の限界なんです……
(狐塚 穂魂視点)
ーカタカタカタ……カタカタカタ……
「むっ……死神長様からの連絡でござる!」
「……何というか悪趣味な連絡機器であ~るな……」
「拙者も同感でござる……」
……死神長様からの渡されていた頭蓋骨型の連絡機器が歯を鳴らし始めたのを見た拙者は、いよいよ"その時"が来たのを察したでござる。
ーガチャ……
「こちら現世、そちらは……」
『あ、繋がったでヤンス!……神界でヤンスが、取り敢えず良い報せと悪い報せがあるでヤンス!』
「……では、良い報せを聞きたいでござる!」
何やら不穏な事を言い始めた死神長様でござるが、まだ余裕がありそうなのでここは乗っておくでござる。
『良い報せでヤンスが、邪神の墨袋の回収に成功したでヤンス!』
「おお、それは誠に良い報せでござるな!……となると、悪い報せは?」
邪神の墨袋を回収した……
これ自体は、言葉通り良い報せでござった。
しかし、まだ悪い報せが残っているので素直に喜べないでござる……
『悪い報せ、それなんでヤンスが……』
「ご、ごくり……」
「……わざわざ口で"ごくり"って言ったであ~るか?」
「べ、別に良いでござろう!……そんな事より、悪い報せは!?」
く、口で"ごくり"って言っても良いでござろうよ!
こういうのはノリと勢いでござるし!
『えっと、悪い報せなんでヤンスが……墨袋を取られた邪神がいよいよあっし等を敵と認識して大暴れを始めちゃったんでヤンス!』
「……滅茶苦茶マズい事態でござるぅぅぅぅぅ!」
邪神の大暴れ……
想像すらしたくないでござる……
英霊と死神の皆様には同情するでござるよ……
『だから、早く邪神を現世に……ってうおっ!?……あ、ちょっと蛸足が当たりそうになったでヤンス!』
「え、あっ……早く邪神を現世に持って来るでご……」
「もうやっているのであ~る!」
「あ、感謝でござる!」
死神長様、緊急事態でも余裕そうなのはややこしいから辞めて欲しいでござる……
そんな事を思いながら、拙者は銛を飛ばすのを見届けようとして……
「……ああ、それと今回の神界と現世を繋いだ穴を通せるのはあの銛で捕らえた物だけであ~るから、神界側の海水が落ちて来る事もないのであ~る!」
「別に聞いてないでござるよ……」
まあ、それはそれでありがたいでござるが……
ーバシュン!
……あ、そうこうしてる間に銛が飛んでって空中に出来た大穴に入ってい行ったでござる……
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(タイガーラ視点)
「ーーーーーーーーーーーーーーーッ!」
ーブンブンブンブンブンブンブンブンブンッ!
「「「「「「ぶへっ!?」」」」」」
「……もう滅茶苦茶だガル……」
今の状況、どうなってるガル?
……さっきまで意味不明な鳴き声を発していた邪神が音とすら言えねぇ謎の咆哮を上げながら、英霊や死神を蛸足でぶっ飛ばしまくってたガル。
しかも邪神の奴、体表全体に赤黒い波みてぇな模様が浮かび上がってるガルし……
「ーーーーーーーーーーーーーーーッ!」
ーブンブンブンッ!……ドボォォォォォン!
「ぷはっ!……おお、タイガーラ殿ではないか!」
「おうゴルマ、さっきぶりだガルなァ……」
さっきまでは邪神が俺達を敵とすら思ってなかったガルが、そのお陰で墨袋を取るまで行けたガル。
……それが完全に敵と認識された途端、どんな攻撃も全部蛸足に払われちまってるガル……
「ーーーーーーーーーーーーーーーッ!」
ーブンブンブンッ!ブンブンブンッ!
「……あれが邪神本来の実力ガルかァ……」
何か特殊な技がある訳でもない、ひたすら蛸足をブンブン振り回すだけの戦法……
そんな単純な戦法なのに、こちらは誰も邪神に決定打を与えれてなかったガル。
と、そんな時……
「ただ、怒りのあまり結界を張らずに応戦して来てるので未だにチャンスタイムは継続中でヤンス!」
「ガルァ!?……って死神長、それは本当にチャンスなんガルか?」
突然話しかけて来た死神長が放った言葉……
それが本当なら……
「ーーーーーーーーーーーーーーーッ!」
ービィィィィィ!
「ガルァ!?……何か目から光線放って来やがったガルァ!」
「うむ、邪神もなりふり構わなくなって来たな!」
せっかく希望が見えたってのに……
邪神は蛸足ブンブンだけに留まらず、目から光線まで放って来やがったガル。
……ただでさえ邪神の攻撃力と防御力が上がってるっていうガルのに、これはいよいよ早く現世に追いやらねぇとやべぇガル。
「ガルァ……結果的に現世に押し付ける事になるんは気が進まねぇガルが、これ以外に手はねぇガル。……よし、総員あの邪神を現世に落とす準備を……」
……俺が覚悟を決め、全員に邪神を現世へと落とす準備を始める様に言おうとした、次の瞬間……
ーズズズ……ザシュッ!
「ーーーーーーーーーーーーーーーッ!?」
突如として巨大な銛が海中から現れ、邪神の体に刺さったガル。
「ガルァ!?……あ、あんな簡単に……」
「そりゃ、プルスレゼスさんには銛の強度やら隠密性やらを強化する様に頼んでたでヤンスからね。……刺すまでは何とかなるでヤンス!」
「な、なるほどガル……」
にしても、邪神に巨大な銛を刺して現世へ……
……ん?
邪神、抵抗してるガルなァ?
「……ってな訳で皆さん、最後の仕事でヤンス。……邪神が下手に抵抗出来ない様に、思いっきり相手するんでヤンス!」
「ガルァ……やっぱそうなるガルかァ……」
「ハッハッハ!……その大役、喜んで務めよう!」
結局、俺達じゃ邪神を倒せねぇんガルなァ……
何せ、この神界に居る限り邪神を倒す方法はねぇに等しいらしいガルし。
……悔しいガル……
「ハァ……苦労して無限再生用器官の墨袋を回収したってのに、それやったら俺達を敵認定して来て攻撃力と防御力が大幅上昇とか……最初から俺達に勝ち目なんてなかったんガルかァ……ほんと、悔しくて悔しくてたまらねぇガル……」
いくら俺達が過去の英霊だからって、ここまでしか力になれねぇガルとは……
……ま、分かってた事だガル。
「……タイガーラさん、そこまで気落ちしないで欲しいでヤンス……」
「……分かってるガル。……これだって、最初から分かってた事だガルし……でも、出来る事なら俺達で討伐してやりたかったガル……」
あの邪神が魔王を生み出した元凶?
んな事、今更言われたって実感湧かねぇガル。
なら、何で倒してぇガル?
……そんなの、こんな災厄を現世で今を生きる奴等に押し付けるのが嫌だったからに決まってるガル。
「ハッハッハ!……何を言っても我等がアレに勝てる道理はなし!……となれば、現世に落として大幅な弱体化をさせるしかないだろう!」
「……そう、ガルな……」
今だって、他の英霊は蛸足の動きを封じ込めたり、邪神本体の動きを制限させてるガル。
だったら、俺達だって……
「ふぅ……行くガルかァ!」
「ハッハッハ!」
「さ、〆の大仕事と行くでヤンス!」
俺達は跳んだガル。
……邪神を現世へと追いやるという、最後の大仕事を果たすために……
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(俯瞰視点)
「ガルァァァァァァァァァァァ!」
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
「ヤンスゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!」
英霊達は戦った。
返しが付いている銛から何とか逃げようとする邪神の相手をする事で注意を引き、少しずつ現世と神界を繋ぐ大穴へと邪神を追い詰めたのだ。
そして、その末に……
場面は変わり、現世側。
「……む、そろそろであ~る!」
「そ、そうでござるか!」
穂魂が持つ連絡機器は沈黙していた。
しかし、プルスレゼスも穂魂も分かっていた。
神界で、過去の英霊や死神達が戦っている事を。
「くっ……貴重な鉱石を使って作った超強度ワイヤーでもここまで苦戦するであ~るか!」
「良いから頑張るでござるぅぅぅぅぅ!」
プルスレゼスは操縦用のレバーを握りながら汗を垂らし、穂魂も握る拳に力が入る。
やがて……
「あ、穴から蛸足が見えて来たのであ~る!」
「も、もうすぐでござる!」
現世と神界を繋ぐ大穴から、巨大な蛸足が覗き始める。
もうすぐ、神界で隠れていた邪神を現世に引き摺り下ろせる。
そう確信した直後だった。
『『『『『『『『いい加減にしろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!』』』』』』』』
ースポッ!
「ーーーーーーーーーーーーーーーッ!?」
ードシィィィィィィィィィィィン!
「あ、あれが邪神……」
「……さあ、こちらも大仕事の時間でござる!」
遂に英霊によって神界から追放された邪神が、現世へと落ちて来たのだった……
ご読了ありがとうございます。
邪神、現世へと追放成功。
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後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。