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16.下水道探索 終

これにて、下水道探索編は終わります。

(??視点)


「ハァ~、今頃クイーンスライムちゃんはぶくぶく成長してますピョンかね~。」


私は呟きますピョン。


それが当然と言わんばかりに。


「でも、あの商人の様子ならやってくれる筈ですピョンし、王都ではビッグスライムの増殖が問題になってるので問題ないですピョンね。」


名前は忘れましたが、あの商人は上手くやってくれたようで何よりですピョン。


「ま、どうせ最終的には侵攻で殺すので、約束を守るつもりはありませんピョンがね。」


人間なんて弱くてくだらない生物、さっさと滅ぼした方が楽しいですピョン。


「さあさあ、準備も大詰めですピョンし、そろそろ面白い事でも起きて欲しいですピョンね~。」


私は笑いますピョン。


……でも、本心では何も感じていないですピョン。


所詮、私は意志ある迷宮核(ダンジョンコア)


感情なんて、ないんですピョン……


「……それで、私に手を差し伸べた者も居ましたピョンね~。」


きっと、私に感情の何たるかを教えれば、人間の味方になるとか甘い理想を持ってたんでしょうピョン。


「ま、すぐに殺しましたピョンけどね。」


私に感情はなくても、意志はありますピョン。


……分かり合えない害獣を判断出来ない人間には、これを見せればイチコロですピョンね。


「じゃ、そろそろ私も侵攻準備に戻りますピョン。」


私は依然として笑いますピョン。


……感情を持ったが故に、私より下等に落ちぶれた人間という生物を嘲笑うように……



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

(浅山 藤四郎視点)


ーギュルギュルギュルギュル~!……ドガドガドガ!


「チッ、まだ諦めませんニャンか!」


「……多分、諦めないんだろうな……俺達が諦めないように、向こうだって必死な筈だ。」


「だからって……コイツをどうにかしないと、あたし達は生還出来ませんニャン!」


「分かってる!……だが、これ以上は限度がある!」


ナフリーがどうにか逃げてくれてるお陰で今も生きてるが、正直に言って限界かもしれねぇ。


「ご主人様?どうかしましたニャン?」


「……もう、無理だ……」


「えっ……」


「俺のメンタルはもうとっくに限界なんだよ……俺は死にたくねぇし、ナフリーだって失いたくねぇ……」


ーギュルギュルギュルギュル~!……ドガドガドガ!


「うるせぇ!……お前のせいでこうなってんのに、何でお前は何も喋らねぇんだ!」


「ご主人様、クイーンスライム……というかスライムに自我はありませんニャン。」


「……分かってる!だが、そうでもねぇとやり切れねぇだろうが!何で俺達は自我もねぇ魔物に殺られそうになってんだ!こんなの聞いてねぇぞ!正義(ジャスティス)の野郎、俺とナフリーが死んだら呪ってやる!」


……分かってる、こんなの八つ当たりでしかねぇ。


第一、正義(ジャスティス)もこんなのが居るなんて知らなかっただろうしな。


「ご主人様……」


「ははは、やるせねぇよな……せめてナフリーだけでも生かしてやりてぇが、俺より強いナフリーがどうにもならんならもう無理だ。……何か、俺のスキルに拡張性はねぇのか?なあ、どうなんだよ!」


もう、手も足も出ないとこうなるのか……


俺が読んでた小説や漫画で、危機的状況に絶望してたキャラの気持ちがよく分かる……


「ご主人様、そんな事を言ったら……」


ーギュルギュルギュルギュル~!……ドガドガドガ!


「そもそも、俺は駄目野郎だ!……他者を強くさせるだけのスキルで調子に乗って……自分は後ろで何もしねぇとか虫が良すぎるだろ!」


「そんな事はありませんニャン!……だって、ご主人様は弱かったあたしに力をくれて……」


「それでナフリーを矢面に立たせてるんだから最低じゃねぇか!……幻滅したろ?俺は所詮、平和な国の一般家庭で育っただけの非力な一般人だ。異世界転移で強い能力を貰えなかった時点で、冒険者としての俺の人生は詰んでたんだよ!」


ーギュルギュルギュルギュル~!……ドガドガドガ!


「あ~もう、クイーンスライムは攻撃して来て、ご主人様は悲観して、こんなのもうどうすれば良いんですニャン!?」


……すまん、本当にすまん。


でも、もう耐えられなくなったんだ。


こんな事なら、この依頼は受けなきゃ……いや、いつか同じ目に遭ってたな……


まあ、どうせ駄目ならこの気持ちを言ってみるのもアリかもしれねぇな……


「……ナフリー、さっきは拒絶したが……俺は、ナフリーの事は好きだったぞ?」


「ニャン!?何言ってますニャン!?」


「でも、ナフリーからの気持ちは尊敬だろ?だから、その気持ちを歪めてまで俺の恋人になられても困るから、さっきは拒否したんだ。」


「ニャ、ニャン……」


そもそも、ナフリーは可愛い。


そして、そんなナフリーと2週間も一緒に居れば、好きにならない方がおかしいんだ。


「だから、せめて最期にこれは伝えておく。……ナフリー、愛してるぞ。」


「あ、あ、あたしだってご主人様の事、愛して……」


「尊敬だろ?」


「いや、あたしだって年頃の女の子ですニャンよ!?コロッと言ってもおかしくないですニャン!」


俺を背負って走りながら、ナフリーは叫んだ。


それは、ナフリーも俺を愛してるという事を意味していて、つまり……




……というところで……


「おんどりゃよっこいせ~!」


ードゴーン!


「「えっ?」 」


……突然、塞がれた通路の1つが爆発した。


そして、そこに居たのは……


「ふぅ~……って、お兄ちゃんにナフリーちゃん!?え、こんな所で何してんの!?」


……【破魔の剣】を持った茜だった。


そして……


「アカネはん、今はそれどころやない!」


茜の背後から、エセ方言エルフのエルリスさんが現れた。


直後、クイーンスライムの標的が茜やエルリスさんに移り……


ーギュルギュルギュルギュル~!


「うおっ!?危ないな~!」


ーブンッ!


ースパパパパパパッ!……ドカーン!


「よし、ほな次はトドメと行こか~。」


「あ、えっと……エルリスさん、奴には何故か攻撃が通らなくて……」


「知っとるよ。……せやから、これを浴びさせるんがええんよ。」


ーザバッ!


「え、白い粉?」


エルリスさんはクイーンスライムに向けて白い粉を大量にかけた。


次の瞬間、クイーンスライムの白い粉を浴びた部分から弾力性が無くなって……


「……ツカサはん、よろしゅう頼むで。」


「ふむ、茜君だとやり過ぎるから、程々のボクを使うという訳か。良いさ、やってあげるよ。」


「ほな、(コア)を撃ち抜いて~な。」


「エルリス様のお望みのままに。【美しき神弓(ビューティーアロー)】!」


ーヒュン……パリン!


ージュバッ……シュー……


「ふぅ……あ、もう逃げんでも大丈夫やで~。」


「「……え?」」


待て待て待て!


何か司が魔力で作った弓と矢を使ってクイーンスライムの(コア)を撃ち抜いて討伐したが、だとしたらこれまでの俺達の頑張りは何だったんだよ!?


「……というか、この白い粉は何ですニャンか?まさか、かなり貴重な代物では……」


「ん?塩やけど?」


「し、塩ですニャンか……」


「し、塩なのか……」


もれなく、逆転の一手が塩とか……本当に俺達の頑張りは何だったんだよ!スライムはナメクジか何かかよ!


……こほん、熱が入り過ぎた。


「……ご主人様、お気持ちはあたしにも分かりますニャン。」


「そうか……分かってくれるか。」


俺達の頑張りが茶番になった気がするが、あまり深く考えてはいけないのだろう。


「……ちゅうても、早々に対応出来たんは不幸中の幸いやったわ~。ほんま、ありがとさん。」


「いえいえ~。」


「ふむ、当然の事をしたまでさ。」


「……何か納得行かね~……」


結局、最期まで俺は納得出来なかった。


いやまあ、助かったのは事実だが……


「まあまあ、終わり良ければ全て良しとしましょうニャン。……それはそうと、先程のお言葉は本心ですニャンか?」


ービクッ!


「え、先程の言葉って……」


「あたしが……好きだと言う言葉ですニャン……」


「……ああ、本当だ……」


エルリスさん達の乱入で忘れてたけど、そういや言っちまったな……


……この後、俺とナフリーは気まずいまま下水道を後にするのだが、それはまた別のお話である。

ご読了ありがとうございます。


こんな結末で、大変申し訳ございません。


なお、ラビリンスの性格を一言で表すと、フ○ー△ンに出てくる魔族みたいなものです。(あちらはまだ感情自体はあるらしいですが……)


気が向いたらいいね、ブックマーク登録してくれるとありがたいですが、あくまでも気が向いたらで大丈夫です。


後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。

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