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156.神殺しを前に

まだもう少しこの時間は続きます。

(エルリス・フルウィール視点)


アカネはんによって"夢都 ワンダーランド"内に移設されてしもた"虎人族の里"、その片隅で……


「……タイガーラはん、墓参りが遅うなってしもてごめんやで?……何せ、あの時は解呪やら何やらでてんてこ舞いやったから……」


「う~ん、実際その墓って本人の霊魂と繋がっておらんのじゃが……ま、墓参りは大事じゃからのう……」


ウチとメサイアはんは、タイガーラはんの墓参りをしとった。


「……父はこの里の英雄じゃったガルからのう……お二人に墓参りをして貰えるとは、父もあの世で笑っておるでしょうガルて……」


「タイガリアはんも案内おおきにやで?……それはそうと、この里の人達も戦いに行くん?」


「ええ、若い男衆は勿論赴きますガルのじゃ。……いつまでも守られてばかりでは、虎人族の名が廃りますガルからのう……」


……墓までの案内をしてくれたタイガリアはんによると、この里の若い男衆は今回の作戦に参加する事にしたみたいや。


いやはや、流石はタイガーラはんの故郷の人等やわ。


「……聞いた話やと、この国の兵士や聖職者、冒険者に技術者にウチの弟子……挙げ句の果てにはサトタヘヒコはんとお供のキマイラまで来とるとか……余程、ウチ等だけやと勝てへん様な相手が待っとるんやろなぁ……」


「あの死神長がそう判断するとか、残りの敵は何なんじゃ!」


……今の時点で残っとる魔王軍の幹部格は、炎鳥将軍 フェニルムと毒蛇宰相 スネイラの2人や。


それに魔王と邪神を加えたとしても、この数を引き連れる理由がよう分からん。


……半端な雑兵を幹部格にぶつけても、無駄に犠牲者が増えるだけやのに……


「……考えられるんはスネイラやけど、あれも能力は毒と呪いやろ?……やったら雑兵を駆り出すのは言わずもがな悪手やし……」


「ハァ……今考えられる範囲では取り敢えず警戒するべきって事だけじゃ。……妾としては、そんな先の事は置いておいて夢都の賭場(カジノ)で遊び尽くしたいんじゃが……」


賭場(カジノ)まで有ったんかい!……いやまあ、遊ぶんは構へんけど……ちょいと寄りたい所があるからその後でや!」


「むぅ~……仕方ないのう……」


そんなやり取りをメサイアはんとしつつ、ウチはある場所へと向かう。


……にしてもメサイアはん、どうやっても賭け事で勝てへんっちゅうのに懲りへんなぁ……


「ん?……何か失礼な事を考えておるのう?」


「メサイアはん、賭け事弱いのに懲りへんもんやなって思っとっただけやで?」


「……そこで正直に言うのはどうなのじゃ?」


「隠す程の事でもないやろ?」


「………………」


「………………」


正直に言うたら、メサイアはん沈黙してもうた。


んで、ウチも黙るしかなくなったし……


「つ、次こそは勝てるのじゃ……」


「どうやろなぁ……」


ハァ……


メサイアはんの根拠のない自信は何処から来るんやろうな~。


そんな事を考えつつ、ウチは目的地へ歩みを進めるんやった……



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

(ダレス・ルルペン視点)


「うっひょ~!……これ、凄いっすね~!」


「そうであ~る!……凄いのであ~る!」


「……ネーミングセンスは壊滅的デスけどね……」


「む?……"ゴッドキラー1号"じゃ不満であ~るか?」


私は今、ダルクやプルスレゼス様と一緒に例の秘密兵器を見ていたっす。


……にしても、これは……


「プルスレゼス様、これってどういうタイプの兵器なんすか?」


「ふむ、それであ~るが……基本的にこの兵器には、3つの強みがあるのであ~る!」


「3つの強み、デスか?」


「そうであ~る!……まずは神界にある邪神の根城とこの現世を繋ぐ【異空間開通音波いくうかんかいつうおんぱ発生装置(はっせいそうち)】、次に邪神を現世に引き摺り下ろす【神獲(かみと)りの(もり)】、最後に邪神を殺す【崩雷砲(ほうらいほう)】……この3つと仲間の協力で、邪神を討伐するのであ~る!」


「「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」」


プルスレゼス様の言葉は結構意味不明だったっすけど、私とダルクは取り敢えず賞賛の声を上げたっす。


理由?


そんなの、ノリと勢いっす!


と、そこへ……


「ただまあ、そんな簡単には行かないのねん……」


「そうなのよねぇ♥️……」


……何やら気の良さそうな小太りのおっさんと、ガッシリとした体格の女装おじさんが現れたっす。


「えっと、お二人は確か……」


「私はデルレン商会奴隷部門担当のルルネンと申しますのねん!」


「アタシはデルレン商会ラフロンス支部支部長のメルシュラよぉ~♥️!」


「……そ、そうだったっすね……」


私も初対面だったっすけど、話はプルスレゼス様から聞いてたっす。


確か、プルスレゼス様と同じエルリス様のお弟子さんだとか……


「ほう……お主等も来たであ~るか。……って、ナンドレアの奴は居ないのであ~るか?」


「あの子なら姪っ子ちゃんに呼ばれて行ったわよぉ~♥️?」


「これを機に仲直りしてくれる事を祈るのねん……」


あ~、結構複雑そうっすね……


この件には首を突っ込まない方が良さそうかも……と思っていると……


「あ、ウチの予想よりえらい勢揃いしとるやん!」


「……妾が見る限り、全員ではないがのう……」


エルリス様とメサイア様まで、ここにやって来たっす。


しかも、2人の横には……


「わっはっは!……これはこれは揃いも揃ってやる気満々やなぁ!……となると、ワイも全力を出さな面目丸潰れやで……」


……1匹のヌエが居たっす。


「まさかサトタヘヒコはんに出くわすとか……」


「しかもそこからウザ絡みされるとか……本当に運がないのじゃ……」


サトタヘヒコ……


確か、"聖都 ラフロンス"周辺に住むヌエの名前だったっすね……


……ほんと、これを動員するとか相手は何なんすか?


「……で、プル坊?……これで邪神を倒せるっちゅう確証はあるんやよな?」


「勿論であ~る!……もっとも、それには弟子仲間3人の協力が必要であ~るが!」


「……逆に、私達の協力だけでどうにかなるものなのねん?」


「流石にアタシ達を買い被り過ぎじゃないかしらぁ~♥️?」


……プルスレゼス様は言い切ったっすけど、ルルネン様もメルシュラ様も半信半疑だったっす。


ただまあ、それが正しい反応なんすけどね……


「問題ないのであ~る!……死神長達がいくらか弱らせてくれる作戦になっているのであ~るし、何より吾輩が邪神討伐のために心血を注いだ傑作……勝てない道理はないのであ~る!」


「プル坊……断言するんはええけど、ウチとしては気になる事があるんや。……何で、このタイミングなんや?……何で、今回の魔王討伐のタイミングやないとあかんかったん?」


あ、それは私も気になってたっす。


邪神を討伐する理由がこのタイミングだったのには、何か理由が……


「う~む、それであ~るが……死神長曰く、そもそも邪神は魔王が現世に居る間しか神界でも探知出来ないらしいのであ~る!」


「……それで、魔王が現れとるタイミングが討伐のチャンスなんやな?」


「で、次であ~るが……邪神を現世に、現世側の戦力だけで引き摺り出す手段が確立されたってのも大きいであ~るな。……そもそも死神長から聞いた話ではあるのであ~るが、邪神は自身が勝てない相手からは即座に逃走するとかで神界でも駆除出来ずに居たのであ~る。……かといって、邪神以下の戦力で邪神を討伐するには、邪神を現世へ落とす必要があるのであ~る……」


「でも、神界は基本的に現世に不干渉の立場をとっているのじゃ。……いくら邪神討伐のためとはいえ、現世で神界の戦力がドンパチするのはいくら何でも……あっ!」


「そういう事であ~る!……ケールの技術がここまで発展した事で、神界側がちょっと唆すだけで神界から邪神を引き摺り出せる機械を作れる……死神長としてはこれが他の手段でも良かったのであ~るが、とにかく現世側の技術で邪神を引き摺り出す手段が確立されるまで待っていたらしいのであ~る!」


「何やそれ……」


「呆れたのじゃ……」


……えっと……


うん。


訳が分かんないっすよ!


「……考えるだけ無駄っすね……」


「私もそう思いマス……」


結局、私とダルクは理解が及ばない事柄を無視する事に決めて、その場からそっと抜け出したっす。


……にしても死神側、いくら何でも賭け要素が強過ぎじゃないっすか?


そんな事を言葉にするのを押し留め、私達は"ゴッドキラー1号"の観察に集中したっす……

ご読了ありがとうございます。


魔王軍との戦いに招集される商人って何なんでしょうね?


気が向いたらいいね、ブックマーク登録してくれるとありがたいですが、あくまでも気が向いたらで大丈夫です。


後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。

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