表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

152/172

152.夢都の再建

ラビリンス戦後のアレコレ。

(浅山 藤四郎視点)


「さて、それじゃあ本格的にこの場所を再建するピョン!」


俺の目の前で、ラビィネルはそう呟く。


「……で、どうやって再建するんガル?」


「う~ん、そのまま再建しても良いピョンけど……どうせなら、ラビリンスの力を有効活用するピョン!」


……ん?


ラビリンスの力?


「……どういう事だガル?」


「こういう事だピョン!」


そう言ってラビィネルは、破壊されたラビリンスの(コア)へと近付いて……


「ん?……ラビリンスの(コア)がどうしたガ……」


「これをこうして……えいだピョン!」


ーブワ~ン……


「っ!?……作動したガル!?」


破壊されていた筈の(コア)から起動音が鳴り、淡い光を放った。


そして……


「ピョンピョン♪……これを使えば元よりも良い夢都を作れるピョン!……【迷都は崩れ(ブレイクラビリンス・)夢都は甦るリボーンワンダーランド】だピョン!」


ーブワ~ン……ゴゴゴゴゴ……


ラビィネルが何やら唱えると、迷都全体が揺れ始めた。


「ん?……何や壁が崩れそうな予感が……」


ーガラガラガラ……ゴロゴロゴロ……


「……喜ぶのじゃ、エルリスの予感通り壁が崩れたのじゃ……」


「喜べんわ……」


そうする内にあちこちの壁が崩れ始め、都市の景観が大きく変わり始める。


元々の廃墟群は崩れ去り、新しい建物が建ち始める。


その街並みは遊園地を思わせ、俺ですらここが迷都の新しい姿と言われても信じねぇだろう。


「ピョンピョンピョン♪……ここはこうしてそうやって、あれはああして……」


「ラビィネルちゃん、楽しそ~♥️!」


「……本当ガルな……」


ラビィネルは、とても楽しそうに都市建築を楽しんでいた。


が、俺は気になる事がある。


「……なぁ茜、これさっきまでオーバーヒートしてたシステムだよな?」


「あ~うん。……そうだけど?」


「……使えるのか?」


「……あっ……」


ーボンッ!ボンッ!ボンッ!


……案の定、建築途中の夢都はあちこちで爆発を始めてしまった。


やっぱり、そんなすぐに直らねぇよな……


「ピョ、ピョン……」


「……こ、ここまで直せただけで奇跡ガル!」


「……す、すぐに修復に取り掛かろっか?」


「……ラビリンス、お前は数百年したら殺してあげようかと思ってたピョンが……やっぱり無期懲役にするピョン!」


『ピョォォォォォォォォォン!?』


……今、何処かからラビリンスの嘆きが聞こえた様な気が……


ま、自業自得か……


こうしてラビリンスの無期懲役という名の永遠にも及ぶ終身刑が確定しつつも、ラビィネルは少しずつシステムの復旧を始めるのだった……



そして数時間後……


「ふぅ……復旧と再建は完了だピョン!」


ラビィネルは数時間かけて、システムの復旧と夢都の再建を完了させていた。


「えっと……ラビィネルちゃん、例の空き空間は出来てる?」


「勿論だピョン!……ラビリンスの能力で空間拡張も出来るピョンから、その辺も抜かり無いピョン!」


「ありがと~♥️!……ラビィネルちゃん、愛してるよ~♥️!」


……どうも、ラビィネルは茜から何かを頼まれていたらしい。


にしても、空き空間って何のために?


「……にしても、あんな空き空間……下手な集落と同じ大きさはあるピョンけど何に使うピョン?」


「そんなの、そこにシトラスちゃんの仲間が住んでる集落を移設するために決まってるじゃん♥️!」


「……ピョン!?」


「……ガルァ!?」


茜の言葉に、ラビィネルとシトラスが驚きの声を上げる。


なお、他のメンバーも絶句しているだけで驚いてねぇ訳じゃねぇ。


「……え、集落って言ったピョン?……本当に集落なんピョンか!?」


「そ~だよ♥️?……まあ、信じれなくて当然だし、寧ろ信じられた方が怖いけど……」


「……これからオレの仲間達は未来永劫夢都暮らしなんガルか!?」


「その方が安全でしょ♥️?……あ、これまでの生活が良いなら謝るけど……」


「いやいや、寧ろ破格ガルよ!?」


……まさか、虎人族の里をこの地に出すつもりかよ……


まあ、深く考えるのも疲れたから別に良いが……


「ピョンピョン……まあ、この夢都で住ませる以上は不幸にだけはさせないから安心するピョン!」


「そ、それは良かったガル……」


……うん、俺は向こうに行こう……


そうして俺……というか茜、シトラス、ラビィネルの3人以外は情報に追い付くのに疲れてその場を離れた。


後の事は、あの3人に任せよう……


そんな諦めに満ちた事を考えながら、俺達はその場から逃げたのだった……



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

(数分後、シトラス視点)


「……ってな訳なんだけど、大丈夫そう?」


「……うむ、深く考えぬ方が良さそうじゃガル……」


「「「「「異議なしガル……」」」」」


……他の奴等が逃げてから、アカネはすぐに虎人族の里を異空間からラビィネルに指定された位置へと出したガル。


それから今までの経緯を説明したんガルが……


当然、こんな不思議体験をしたタイガリア婆さんを含む皆は驚いてたガルが……概ね深く考えない事で意見を一致させる方向で落ち着いたみてぇだガル。


「え~、これから君達にはあたちの庇護を受ける形になって貰うピョン。……あ、食料はこっちで用意するから気にしなくても大丈夫ピョン!」


「おや、すまないガルねぇ……」


「何のこれしきピョン!……ラビリンスを殺さず取り込んだお陰で、前よりも夢都の機能が拡充してて色々と試したいってのもあるピョンし……」


「……そ、そうガルかい……」


……うわ~、タイガリア婆さんドン引きしてるガル。


でも、こういう自分の理解の範疇を越えた事例に対してスルーって選択肢を選べる辺り、伊達に長く生きてねぇって思わされるガルな……


「……えっと、それじゃあ後の事は……カチカチに任せるピョン!」


「任されたピョン!」


……ラビィネルはラビィネル・ストーリー・カチカチに皆へのアレコレを任せ、オレ達の方へ寄って来たガル。


しかしまあ、ラビリンスと違って同一の自我だってのによく正気を保ってられるガルなぁ……


「なぁラビィネル、あの分身体って精神的にはどういう感じになってるんガル?」


「ピョン?……ああ、別に各々が自立して考えてるピョンよ?……強いて言えば、1つの人格をあたちを含め6つに分裂させたって表現が正しいピョンか?」


「……つまり、自分で自分に指示を出してたんガルか……」


……深く考えたら負けガルな……


そう思ってすぐ……


「だから、6人全員がアカネの恋人だピョン!」


「ブフォ!……マジで言ってるガルァ!?」


6人全員がアカネの恋人って……


……アカネ、オレを含めて7人の彼女持ちになったんガルか……


「ふふふ♥️……これからは私も酒池肉林だ~♥️!」


「……本当にアカネはブレねぇガルな……」


「そうだピョンね~!」


ま、それでこそアカネだガル。


「えへへ♥️……あ、ちょっとお手洗いに~……」


「お手洗いはここから少し離れた場所ピョンが……」


「うん、ちゃんと分かってるから♥️。……また後で会おうね~♥️!」


こうしてオレ達はお手洗いへと向かったアカネの背中を見送り、また歩き始めたんだったガル……



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

(浅山 茜視点)


「……ここまで離れたら良いかな?……ラビィネルちゃんには丸分かりだろうけど、遅かれ早かれだし……」


「………………………………」


私は何もない空間に向けて、そう告げる。


「……にしても、君には色々と裏で動いて貰っちゃったね~?……"旅の狐(・・・)"ちゃん?」


「……本当でござるよ。……拙者がラビリンスのシステムに細工をせねば、オーバーヒートまでにかかった時間はもっと……」


私がもう少し話してみると、何もなかった筈の空間に穂だ(・・)……"旅の狐"ちゃんが姿を現した。


「ごめんごめん!……事前に(・・・)打ち合わせ(・・・・・)てた(・・)とはいえ、危ない橋を渡った自覚はあるよ……」


この狐ちゃんが私に接触をして来たのは、昨夜の事だった。


……その時点で、こういう方向でやる事は話し合って決めた。


今日だって、この子には裏で色々と暗躍して貰ったし。


「ハァ……であれば、次はいよいよ魔王軍との最終決戦に関する話し合いをするでござるよ?」


「うん、そうだね……」


……さ~て、ここからは怒涛の展開になるぞ~。


私はそんな事を考えながら、静かに"旅の狐"ちゃんの話を聞き続けた。


……今晩が(・・・)最後の夜(・・・・)になる(・・・)かもしれない(・・・・・・)と思いながら……

ご読了ありがとうございます。


ここから最終決戦に移行します。


気が向いたらいいね、ブックマーク登録してくれるとありがたいですが、あくまでも気が向いたらで大丈夫です。


後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ