151.ラビリンスの最期?
ラビリンス、仮に勇者パーティーを倒せていれば、しばらくは無双可能でした。
ただまあ、そのしばらくの間にドラグを縛る魂の楔が壊れて終了しますが。
(ラビリンス視点)
ピョ……ピョン……
まさか……私に剣を突き刺して……そのまま諸共……核に突っ込むなんて……
「うん、皆がある程度壊してくれてたお陰で何とか成功かな。……いや~、本当に私って策士の才能がないんだな~……」
勇者……アカネの……声……
……ああ……この感じは……
ーピキピキ……ピキッ!
「……私の……本体が……」
「うん、この衝撃に加えてその体を貫通した剣先も刺さってる……これはもう終わりだよ?」
「……終わり……です……ピョン……か……」
……嫌です……ピョン……
死にたくは……ないです……ピョン……
でも……終わり……ですピョン……
「……ラビリンス、君は私達を前座扱いして最初から本気を出さなかった……それで負けた……」
「……あ~あ……本当です……ピョン……ね……」
本当に……私は……
油断も……慢心も……してなかったのに……結局……力に溺れて……
ああ……本当に……悪としても……小物で……
「ん?」
ータッ!
「……わざわざどけるとは……」
ードサッ……
ああ……痛い……
剣で刺された……核から落ちて……
踏んだり……蹴ったり……
ーザザザ……ザザザ……
「……どうして痛みが……私の身体は……仮初めの肉体でしか……」
「……っと!……アカネ、大丈夫ピョ……」
「……ラビィネル……貴女の……勝ちです……ピョン……」
あはは……
結局……勝ったのは……ラビィネル……
私は……無様な……道化……
……ハァ……
「ラビリンス……お前がこれまでにした事は、絶対に許さないピョン!」
「ええ……そうです……ピョン……ね……」
「何で……何でそうも潔いんだピョン!」
「潔い?……そんな……訳が……」
私が……潔い?
ああ……そう思われたとしても……仕方ありません……ピョンね……
「も、もっと無様に泣き喚けピョン!……お前はそうして惨めに死んでいくのがお似合いだピョン!……これまで罪の無い人達の人生を蹂躙し、虐殺し、尊厳すら貶め続けたお前には!……そういう最期が!……お似合いなんだピョン!……なのに……」
「……なのに?」
「……そうやって潔く死なれたら、あたちはこの気持ちを何処にぶつければ良いピョン!……あたちの前でもっと生への渇望を……」
ああ、それですピョンか……
何を言うかと思えば……
「……バッカじゃないですピョンか?」
「ハァ!?……何言ってるピョン!?」
「無様に泣き喚く……ですピョンか?……そんなの……私が……したくないとでも?」
ーポロッ……ボロボロ……
あ、もうこの身体も限界ですピョンか……
「……何が言いたいピョン?」
「私だって……もっと生きたいですピョン!……生きて生きて生き続けて……人間を殺し続けてやりたいですピョン!……でも……ここで喚いては……ますます小物みたいじゃないです……ピョンか……」
「ここまでで充分小物だピョン!」
「……ですピョンよね……」
……泣き喚いたら……より小物っぽく……見えてしまいますピョン……
そんなの……悔しくて……嫌です……ピョン……
ーボロッ……ザザザ……
私は足を引き摺りながら……ラビィネルのもとへと……歩いて……
それで……
ーガシッ!……グググ……
「ピョン!?……ラビリンス、あたちの首を……」
「どうせここで貴女の首を絞めても、貴女は殺せないのでしょうピョン……でも……でも……それでも貴女を殺してやりたく仕方ありませんピョン!……貴女をさっさと殺しておけば……いいえ……それではいけませんピョン……貴女がさっさと私の手に落ちていればこんな事にはならなかったのにぃぃぃぃぃ!」
ーグググググ……ボロボロボロ……
私は……ラビィネルの首を……絞める手に……力を込めますピョン……
しかし……手に力は……込められず……腕は……ボロボロと崩れ落ちる……始末……
私は……もうすぐ……死にますピョン?
私が?
この……私が?
ああ……ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!
「ラビリンス……」
「嘲笑うと……良いです……ピョン!」
「嘲笑いはしませんピョン……それだけ、あたちの恨みは大きいピョン!」
「……嘲笑う事すら……拒絶する恨み……私は……悪で居れたのです……ピョンね?」
あはは……
もう……情緒が……不安定……
「……さないピョン……」
「ん?」
「こんな死に方で許すと思ってるピョン!?……あたちがこの数百年、死ぬ事すら許されない生き地獄を体験させられたっていうのに……この程度で死ねると本気で思ってるピョン!?」
ーポロッ……ポロポロ……
「……ラビィネル……」
泣き始めた……ラビィネル……
もう……こいつを……殺せれば……どれだけ……
「だから、お前を死なせないピョン!」
「……ピョン!?」
「お前にはここから数百年、生き地獄を体験させてやるピョン!……何も為せず、何者にも成れない……そんな惨めな生き地獄を味わい続けると良いピョン!」
「……ふん……その選択を……後悔しな……」
「だからまずはあたちの右ストレートを食らえピョン!」
ーゴンッ!
「いでぶっ!?」
ーガシャァァァァァン!
あっ……
ラビィネルから……食らった……右ストレートで……身体が……
「後悔?……生憎、今度はちゃんとお前にしてやられない様にするピョン!……だから、観念して惨めな余生を過ごすと良いピョン!……あ、ラビリンスのシステムはあたちが平和目的で活用させて貰うピョンからね!」
「あはは……好きにすると……良いです……ピョン……」
私が……そう語ると……どんどん……視界が……暗闇に……包まれて……ああ……嫌ですピョンね……
……………………
……………
……
…
……あれから、どれだけ経ちましたピョンか……
ーゴリゴリゴリ……ゴリゴリゴリ……ゴリゴリゴリ……
「ピョォォォォォォォォォン!」
私の人格はシステムの何処かへと隔離され、その精神体をゴリゴリと石臼でひかれ続けるという生き地獄を食らっていましたピョン……
「ああ……神経が……押し潰される感覚……これもどれだけ体感し続けたか分かりませんピョン……」
『報告、追加罰の時間です。……今回の追加罰はヘドロです……』
「ピョン!?……そ、その声は……」
『はい、貴女様の刑務執行者の役職をいただきました。……もうマジでギリギリまで消えない様に粘ってたら無事に流用させて貰えましたよ~!』
し、システム音声!?
まさかの私を害する側に再就職ですピョンか!?
「一気に砕けましたピョンね!?……って、ここから助けなさいピョン!」
『嫌です。……貴女様は既に、当音声の主ではないので!』
「そ、そんな……」
『……という訳で、ヘドロのお時間です!』
ードロッ……ドババババババババ!
「ピョォォォォォォォォォン!?」
ヘドロの不快な感触や臭いと、肉体が押し潰される感覚……
こんな生活を、いつまでも……
ああ……あああ……
……絶対にここを出たらラビィネルをぶっ殺してやりますピョン!
『反逆の意思を検知、罰を追加します!』
「ピョえぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」
そうして、私の生き地獄は幕を上げましたピョン。
終わりの見えない、生き地獄が……
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(浅山 藤四郎視点)
「ラビィネルちゃん、これで良かったんだね?」
「ピョン?……寧ろ、これを望んでたピョン!」
「……他者を蹂躙し、虐殺し、その尊厳すら貶めたラビリンスは……自分が同じ目に遭うって生き地獄を続ける末路になったか……」
何というか、壮絶だな……
「……よし、後はここを元に戻すだけだピョン!」
「元に……」
「そうだピョン!……迷都を夢都に……そうするのが、あたちの使命だピョン!」
遂に終わりを迎えたラビリンスとの長かった因縁……
それはとんでもなくグダグダだったが、何だかんだ良い結果にはなったと心から思うのだった……
ご読了ありがとうございます。
ラビリンスはここから永遠に生き地獄です。
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後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。