136.迷都突入!
執筆ペースが遅くなり始めました。
(浅山 藤四郎視点)
ラビリンス対策を話し合ってから、更に数日後……
「……とうとう着いちまったな……」
「そ、そうですニャンね……」
俺達は、"迷都 ラビリンス"の前に居た。
……"迷都 ラビリンス"は某巨人が登場する漫画に有ったウォール何とかを思わせる城壁で囲まれており、内部は正門から少しだけ覗ける程度だった。
「さ~て、それじゃあ行くんだけど……メンバーは取り敢えずパーティー全員と……ナフリーちゃんの従魔はバイコーンのバインだけにして、残りの子達は危険のなさそうな所で待機ってのが無難かな~?」
「あ~……確かに、カブお爺様は小回りが苦手ですニャンし、ネズさんとヘビーさんはそもそも戦闘に駆り出せないですニャンからね……」
まあ、それが無難だよな……
「それこそ、上空から侵入出来れば良かったんやろうけど……迷都は上空から侵入しようとしても迷ってまう筋金入りの迷宮やからな~……」
……エルリスさんは惜しいとばかりにそう呟いた。
まあ、迷路が上空からの侵入でクリア出来たらどれだけ楽かは想像出来るから何も言わねぇが……
「えっと、後の確認事項……兼人君は……」
「もうあちきと交代してるでありんす!」
「そ、そっか……じゃ、ほぼ準備万端だね~?」
「そうなるな……」
俺、茜、兼人改め光枝さん、司、正義、ナフリー、バイン、メアリー、ロウルさん、エルリスさん、メサイアさん、ダレスさん、ダルクさん、そしてシトラス……
迷都へと足を踏み入れる13人と1頭は、もう準備万端だった。
「……ほな、改めてアカネはんの作戦を聞きたいんやけど……」
「うん。……多分、入ってすぐにラビリンスは数少ない動作してる転移罠で私達を分断しに来ると思うから、ここは敢えて抵抗せずに転移させられてね。……一応、転移時にグループで固まってた方が一緒の場所に飛べるからそれだけは忘れないでくれるとありがたいかな……」
「茜チャンの作戦だと、転移させられるのは甘んじて受け入れる訳ね……」
「そこはね。……で、転移させられた先で各々が特殊なラビリンス分身体と戦う羽目になると思うけど……そこはまあ、教えた通りにお願いね?」
「……わ、分かりましたニャン……」
「わ、分かりましたわ……」
……茜のこれは現時点での情報を知れるというだけで、未来を予知出来る訳ではない……らしい。
なので、ここまでラビリンスが練っている策略は分かっても、どちらが勝利するかまでは分からねぇみてぇだ。
「肝心の転移罠の位置や、その先でどの特殊なラビリンス分身体と出会うかに関しては、下手に教えてこっちの動きが不自然になるかもだから自分の目で確かめて欲しいかな……」
「ま、怪しまれてラビリンスにこっちの予定と違う動きされても困るから、言いたい事自体は俺チャンも分かるんだけど……」
……う~ん、そこを教えてくれねぇのは何か引っかかるが……
流石に考え過ぎだよな?
「……ってな訳で各自撃破して貰うんだけど、その内の1ヶ所にここの元管理人……ラビィネルちゃんが捕まってるから、確実に解放する!」
「例の、前まで茜が"名前も知らない兎ちゃん"って呼んでた奴か……」
「そうそう!……ただまあ、この娘は個人的観点から助けるって面も大きいんだけど、それ以上にラビィネルちゃんが少しでもここの支配権を持ってるってのも大きいかな。……これを使えば本来なら空間の歪みやら何やらで行くのに数ヶ月かかる迷都中心地までの攻略要素をスキップして、ラスボスとのバトルが出来るんだから!」
「……RTAしてる気分だな……」
「……あ~るてぃ~え~?……が何かは分からへんけど、迷都の中心地へ行くんに本来なら数ヶ月かかるってアカネはんに聞いた時は驚いたわ~……」
というか、本来なら空間の歪みやら何やらで中心地に行くまで数ヶ月かかるって……
道理でこれまで全然攻略されて来なかった訳だ。
ってか、アカネが【全能の長槍】を覚醒させてなかったら、ここで数ヶ月足止め食らってたのかよ……
「む?……そういえば聞こうと思ってたんじゃが、どうしてラビリンスはそんな重要な者を転移罠の先に配置させておるのじゃ?」
「ん?……そんなに難しい事じゃないよ?……要するにラビリンスは、自分を助けてくれるかもしれない相手が目の前で殺されるって絶望をラビィネルちゃんに与えたいってだけで……」
「……聞くんじゃなかったのじゃ……でも、それにしたって……」
「それだけ、向こうも切羽詰まってるんだよ。……何せ、仮に私達を倒せたってその後は魔王軍が待ってるんだし、自分から背水の陣にしたって不思議はないでしょ?」
「……つまり、退路をなくした訳じゃな?」
……ラビリンス、本当に何というか……いくら自分の拠点だからって慢心し過ぎだろと思ったが……
敢えて退路をなくしてる訳か……
「これで残りは……あの子の事は別に良いし……」
「ん?」
「あ、こっちの話だから気にしないで。……それじゃあグループは私が指定するから……よし、この形で出発進行~!」
「あ、ああ……」
結局、肝心な所はぼかされたまま、俺達は小規模のグループに分かれて迷都の内部へと足を進めた。
そして、全員が正門を越えた頃……
ーピカ~ッ!
「って、いきなりかよ!」
突然、地面に巨大な魔法陣が現れたかと思うと、それが小規模な5つの魔法陣に変化し……
ーピカッ!……フッ……
「……ご主人様、転移が終わった様ですニャン……」
「そ、そうか……」
「ブルルルル……」
俺と共に転移させられたのは、ナフリーとバイン。
そして、俺の目の前には……
「ふぁ~……おっと、勇者パーティーの中でも対処が楽な者達ですピョンね~?……zzz……」
緑色のビキニアーマーを着用し、寝ぼけた様子で俺達を舐め腐るラビリンスが居た。
「……お前は誰だ?」
「私ですピョンか~?……私はラビリンス・ストーリー・トータスと申しま……zzz……」
「……トータスは亀の英語……って事は、こいつは"ウサギとカメ"がベースか……」
アカネがこの組み合わせで行かせたって事は大丈夫なんだろうが……俺とナフリーとバインで何とか出来る相手なのか?
「zzz……侵入者……排除しますピョン……」
「チッ!……やるしかねぇか……」
「そうですニャンね……」
「ヒヒィィィ~ン!」
こうして俺達とラビリンス・ストーリー・トータスの勝負が幕を開けた。
……にしても、他の皆は大丈夫だろうか?
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(俯瞰視点)
"迷都 ラビリンス"内部、某所……
「チッ!……貴女方の顔、一刻も忘れた事はございませんピョン!」
ーボッ!ボッ!ボッ!
「ふむ、なるほどね……」
「俺チャン達の相手はお前な訳ね?」
司と正義は、手から炎を放ち、赤いビキニアーマーを着用したラビリンス分身体と相対していた。
「貴女方に負けて以降、本体はずっと負け続きですピョン……ならば、このラビリンス・ストーリー・カチカチが仇を討ちましょうピョン!」
「ふむふむ、"かちかち山"か……」
「お手並み拝見と行くっしょ!」
そうして、司と正義はラビリンス・ストーリー・カチカチとの勝負を開始した。
同時刻、"迷都 ラビリンス"内部、某所……
「おっと、私の相手は……ヒヒッ、世代に取り残された前時代の英雄ですピョンか~!」
ーピョン……ピョン……ザザザッ!
「これは……鮫でありんすか?」
「じ、地面を鮫が泳いどるわ……」
「……あ、アカネが会議の場で言っておった事は本当じゃったのか?……アカネ達の世界では、鮫が陸でも空でも泳ぎ、挙げ句の果てには家の中にまで現れるというのは……」
光枝、エルリス、メサイアの3人は、地面を泳ぐ鮫を召喚する青いビキニアーマーのラビリンス分身体と相対していた。
「ヒヒッ……前時代の英雄は、このラビリンス・ストーリー・イナバが葬ってあげますピョン!」
「……行くでありんすよ!」
「分かっとるわ!」
「同じくじゃ!」
そうして光枝達3人もまた、ラビリンス・ストーリー・イナバとの勝負を開始した。
こうして迷都の各地で起こる戦い……
……最後に笑うのはどちらか、それは誰も知らない……
ご読了ありがとうございます。
この【異世界兎物語】達は最悪無視しても良いのですが、それをしたらラビリンスとのラストバトルに乱入して来ます。
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後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。