130.全能の長槍
どうでも良い情報ですが、シトラスの体は筋肉質です。
(シトラス視点)
「ハァ……ハァ……ガルァァァァァ!」
ーブンッ!
オレは思いっきり、キングクラッシャーを振りかぶったガル。
「あ~ん♥️!……積極的なのも好きだよ~♥️!」
ーブンッ!
……対するアカネもまた、【雷神の大槌】を思いっきり振るい……
ードンガラガッシャァァァァァァァァァ~~~ン!
辺りに雷鳴が響いたガル。
「まだまだガルァ!」
「そういうの、嫌いじゃないよ♥️!」
そのままオレとアカネは何度もお互いの武器をぶつけ合い、その場にクレーターを生成し続けたガル。
……ただまあ、終始アカネが恍惚とした表情を浮かべながら頬を紅く染め、涎を垂らしていたのは気になったガルが……気にするだけ無駄ガル。
「……ガルァァァァァ!」
ーブンッ!
「あらよっと♥️!」
ーブンッ!
そうこうする内に、お互いの武器が何度目かの衝突を起こすガル。
ードンガラガッシャァァァァァァァァァ~~~ン!
……そして発生する爆発とクレーター。
オレやアカネじゃなかったらとっくの昔に死んでるガルよ?
……とはいえ、こう何度も爆発を起こしてると……
「……お互い、肉体より先に着てた服が限界を迎えたガルな……」
「ぐふふふふ♥️……今のシトラスちゃん、セクシーで魅惑的だよ~♥️!」
お互いの着ていた服がボロボロになって、殆んど服としての意味を為さなくなっていたガル。
つまりまあ、ほぼ裸と言っても差し支えないレベルで露出が多くなってたガル。
……つっても、アカネはともかくオレはそこまでセクシーってガラじゃねぇ筈ガルが……
「止せガル。……こんな筋肉質な肉体、女としては割と終わってるガルよ……」
「そんな事ないと思うけどね~♥️?……少なくとも、私はかなり好きだよ♥️?」
ーじゅるり
……アカネはオレの筋肉質な肉体も好きだと言うと、何故か涎を垂らしながら舌舐めずりをしやがったガル。
「……ほんとにアカネは……オレじゃなかったらドン引きガルよ?」
「良いの良いの♥️。……いやでも、ラビィネ……あの兎ちゃんにドン引きされるのだけは嫌かな……」
「おいおい、オレを前にして別の女の話ガルか?」
まさかそれ、ラビリンスに捕まってるっていう例の妖精の話ガルかァ?
面識もないのによく好きになれるガルな~。
「あ、もしかして嫌だった?」
「いいや、別に構わねぇガルよ。……オレはそこまで器が狭くはねぇガルし……」
「キュン♥️……本当に、シトラスちゃんはとんでもなく良い女だよね♥️……」
……本当に嫌になるガルな……
こうしてる今だって、もうアカネのものになっても良いんじゃねぇかって思っちまってるガル……
でも、まだ駄目ガル!
「ハァ……アカネ、今テメェの目の前に立っているのは魔王軍幹部、王虎将軍 シトラだガル!……だから、そんな気ぃ抜いてたら……」
「分かってるよ。……集落の人達が解放されるまで、シトラスちゃんは王虎将軍 シトラを辞められない訳だしね……」
そこはちゃんと理解してるんガルよな……
その上で、こうもフレンドリーに接するガルか……
「……オレは立場上、アカネ達を止めなきゃ駄目だガル!……だから、さっさとアカネを倒して先に進ませて貰うガル!」
「……それ、絶対本気で言ってないよね?……ま、私はその下手な芝居にも付き合って上げるけど♥️……」
……いくら図星だからって、本当に好き勝手言ってくれるガルな……
「……こっからは本気で行かせて貰うガル。……アカネも、死ぬ気で来いガルァ!」
「合点承知の助♥️!」
「ガル?……ガッテンショウチノスケって何ガル?」
「あれ、これそのまんま翻訳されちゃうの!?……えっと、まあ私たちの世界における一種の方言かな?」
……そんなのいきなり何の脈絡もなくぶっ込んで来ねぇで欲しいガル。
「少なくとも、同意の意味ってのはギリギリ通じたガルが……」
「じゃあ、その認識でOKだよ♥️?」
「ガルァ……いまいち緊張感に欠けるガルな……」
「まあまあ、良いじゃん良いじゃん♥️!」
何かこう、アカネを相手にしてるといまいち緊張感に欠けるんガルよな~……
……うん、ぬるま湯もそろそろ終わりにするべきガルよね。
「……話を戻して、有言実行ガル。……オレの本気、受け止めてみせろガルァ!」
「どんと来いってもんだよ♥️!」
「ふぅ……最終奥義の複合スキル、【覇王獣化】だガル!」
ーモサモサモサ……キラ~ン!
スキル【覇王】とスキル【獣化】の複合スキル、【覇王獣化】……
これを発動するとオレの全身に虎の体毛が生えて顔も虎のソレに近い形となり、最後に変化が終わったオレの全身が光輝くっていう……何とも言えねぇ仕様の最終奥義だガル。
「ぐふふふ♥️……そのシトラスちゃんも結構好みだよ~♥️!」
「本当にアカネはブレねぇガルな……」
「それ程でも~♥️!」
「褒めてねぇガルァ!」
え?
オレ、最終奥義発動したガルよな?
なのに、何でこんなに緩いままなんガルァ!?
「……でもでも、それなら私だって最終奥義を発動するだけなんだよね~♥️!……【戦乙女】の神器1番、【全能の長槍】♥️!」
ーぞわっ……
「ガル!?」
アカネが最終奥義とやら……名前からして最上級の神器?を発動した瞬間、最高潮のポテンシャルを発動している筈のオレの背筋に悪寒が走ったガル。
そんな悪寒の原因とも言えるアカネはというと……
ーブンッ!ブンッ!
「うんうん、使い心地は悪くなさそうかな♥️?」
「ガ……ガルァ……」
アカネの手に握られていたのは、何の変哲もない何処にでも有りそうな長槍……
なのに、何故か悪寒は止まらねぇガル……
……いいや、よく見たら他にもアカネには変化が現れていたガル。
「あれ?……何か羽衣がいつの間にか出てるし、眼帯の辺りに青い炎っぽいのが……でも眼帯燃えてないんだよね~♥️……」
「いやいやいや、そんな簡単に済ませて良いもんじゃねぇガルよな!?」
……駄目ガル……
シリアスに決めたいのに、シリアスになり切れねぇガル……
「あ~……うんうん、ごめんね♥️?」
「ごめんって……そんなんで済ませて良い訳がねぇガルよな?」
「でもねぇ、済ませてくれないと……この先が大変だよ?」
「ガルァ?……何を言って……」
明らかにヤバそうなアカネに対し、オレは疑問を投げかけていたガル。
……違うガルな。
正しくは、愚かにも疑問を投げかけちまってたと言うべきガル。
何故なら……
「はい、油断大敵♥️!……【縮地】♥️!」
ーシュッ!
「ガルァ!?」
さっきまでそこそこ距離を開けていた筈のアカネが、何故か目の前に居たんガル。
更に……
「あ、【縮地】って仙術系の技名じゃん!……技名の選択ミスっちゃった~!」
ーブンッ!……バシン!
「ガル!?」
アカネは何やら技名をミスったとか言いながら、"全能の長槍"とやらの柄でオレがキングクラッシャーを持っている手を思いっきり叩きやがったガル。
「えっと、今度は……」
「いい加減にしろガルァァァァァ!」
ーブンッ!
流石のオレもやられたからにはやり返すガルが……
「これは簡単、ちょんと♥️♪……」
ーコンッ……ピタッ!
「……ガルァァァァァァァァァァァァァ!?」
オレが思いっきり振るったキングクラッシャーは、アカネに当たる寸前に【全能の長槍】の穂先に当たった瞬間、何故かびくともしなくなったガル!
「……この神器を解放させた私は、まさに無敵と言わざるを得ないかな♥️……その代わり、使えば使う程に人間から離れていっちゃうけどね♥️……ははは……」
「……っ!」
一瞬で距離を縮め、強力な攻撃を止める……
もう、アカネはオレが知ってる人間のアカネじゃねぇガル……
「……きっと、その姿もちゃんとした活躍の場があれば恵まれたんだろうけど……そうはならなかった、それでこの話は終わりなんだよ♥️……」
「ガ……ガルァ……認めねぇガル……オレが……こんな簡単に……」
「その通り♥️……純粋な実力なら、今も私なんかよりシトラスちゃんの方が上だよ♥️……だって、私のコレはズルなんだから♥️……でもね♥️?」
「ガル?」
ズル?
ズルでもこんな力なんて普通は……
……あれ?
何で、アカネは悲しそうな顔をして……
「……私は、ズルをしてでも……シトラスちゃんに勝って、助けたいって思っちゃったんだよ……」
ークルッ……
「何をするつもりだガ……」
ズルをしてでもオレを助けたいと思った……
アカネはそう語った瞬間、"全能の長槍"とやらの石突部分をオレに向けて……
「……【終末の小突き】!」
ートンッ……ドゴォォォォォォォォォン!
「ぐはっ!?」
石突で……ちょっと……腹を小突かれた……だけの筈……ガルのに……オレの……腹には……まるで……特大魔法を……至近距離から……直撃させられた……かの様な……衝撃が……加わったガル……
「……この一連の勝負で、戦乙女化がだいぶ進んじゃったかな?……ま、完全に成っちゃったら成っちゃった時だよね♥️?」
……そう語る……アカネを……見ながら……オレの……意識は……闇に呑ま……れた……ガ……
ご読了ありがとうございます。
呆気ないかもしれませんが、これは逆に呆気なく勝つしか勝機がないパターンです。
気が向いたらいいね、ブックマーク登録してくれるとありがたいですが、あくまでも気が向いたらで大丈夫です。
後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。