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128.理性ある馬と知性なき竜

この作品を読んでる方って、何が面白くて読んでるんですか?

(ナフリー視点)


「ヒヒィィィ~ン!……ブルルルルル……」


ーゴシャ!グシャ!


「ブヒィッ!?」


「グッ……グルナァァァァァ!」


ーブシャ!


あたしの目の前で行われる、怒り狂ったバイコーンによるオークの虐殺。


……いくら群れとはいえ、そこそこ知能があるだけのオーク程度が神獣の末端に位置するバイコーンをどうにか出来る筈もないニャンから、当然の結果ニャン。


「ヒヒィィィ~ン!……ブルルルルル……」


「……さて、恐らくこのバイコーンは陽動目的に連れて来られたといったところでしょうニャンね……元々の筋書き通りなら、この暴れるバイコーンに勇者の皆様やあたし達が釘付けになっている隙に里の住民を人質にして一網打尽……って予定だったのでしょうニャン……」


しかし、それもアカネ様によって知られてしまえば、対処は簡単だニャン。


「ヒヒィィィ~ン!」


「……このバイコーン、怒り狂っているとはいえ理性はしっかりと働いている様子ですニャンね……少なくとも、明らかに魔物ではないあたしには危害を加えて来ていないですニャンし……」


あたしは今、バイコーンとそこそこの距離にまで達してたニャンが、未だにバイコーンはあたしを敵視していないニャン。


寧ろ……


「ヒヒン?……ヒヒンッ!ヒヒンッ!」


ーブンッ!ブンッ!


「……首を振って、あたしに離れろと伝え始める始末とは……もしスネイラに誤算があったとすれば、このバイコーンがかなり理性的な性格をしていた事としか言えませんニャン……」


バイコーンとは本来、あのユニコーンと対になるとされている神獣だニャン。


処女しか乗せず角が1本のユニコーンと、非処女しか乗せず角が2本のバイコーン……


その見た目からか、バイコーンの方はよく魔物扱いされる事も多いニャンが、実際はユニコーンと同じく神獣に分類される生物ニャン。


……一応、"この世界では"という前提が付きはするニャンが……


「ヒヒィィィ~ン!」


「……まあ、何も知らなければ(デコイ)としては充分ですニャンし……まさかここまで理性的とは想像もしませんニャンよね……」


あたしとしても、このバイコーンがここまで理性的だとは思ってもなかったニャンし……


「ブ……ブヒィィィィ!」


「ヒヒン?……ヒヒィィィ~ン!」


ードンッ!グシャ!


「……あはは……あたし、これでもかなり覚悟を決めてたんですニャンが……もう普通にバイコーンの補助をするだけで良さそうですニャン……」


バイコーンは怒り狂いながらも、敵とそうでない者をしっかり見分けていたニャン。


……となると、あたしがやる事も自然と決まるってものニャン。


「ヒヒン?」


「……烏滸がましくも助太刀させていただきますニャン……カブお爺様!」


「キュ~!」


ーバビュ~ン!


「「「「「ブヒィィィィ!?」」」」」


ードゴォォォォォォン!


あたしがカブお爺様の名を呼んだ瞬間、オークの群れに向かって上空から魔力弾が降り注いだニャン。


「ふぅ……予めカブお爺様を上空に待機させておいて正解でしたニャン……」


「ヒ……ヒヒン?」


「ニャン?……ええ、これはあたしの仲間が撃った攻撃ですニャンが……え、そこまで動揺する事ですニャンか?」


カブお爺様が上空から撃った魔力弾は、オークの群れが居た場所にクレーターを作ってたニャン。


……だとしても、そこまで動揺するニャン?


「ヒヒン!……ヒヒンヒヒン!」


「……あ~、事前に言わなかったのは反省すべき点ですニャンね……」


バイコーンにしてみれば、いきなり自分の近くに派手な攻撃が降って来た訳で……


……うん、反省すべきニャンな……


「ブルルルルル……」


「ま、まあ!……こんな感じであたしも手伝いますニャンから、早く一掃しますニャンよ!」


「ヒヒィィィ~ン!」


「ブヒィィィィ!?」


その後、あたし達はオークの群れを文字通り蹂躙していったニャン。


……あ~、そういえばブヒル?とかいうオークはいつの間にか頭をバイコーンに踏み潰されて死んでたニャンが、本当に(デコイ)用の捨て駒だったんニャンね……


そう思いながら、あたしはひたすらオークを片付けていったニャン……



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

(メアリー・ズンダルク・レブラトラ視点)


「「「「「アァ~……」」」」」


「これは……確か、屍鬼(グール)という魔物でしたわね……」


虎獣人の里付近の平野に待機していた私の前に現れた魔王軍の刺客は、屍鬼(グール)という魔物の大群でしたわ。


この屍鬼(グール)という魔物、見た目こそ灰色の肌をしたゴブリンの様ですが、分類としてはゾンビやスケルトンと同じアンデット系の魔物に分類されますわ……


「アァァァァァァァァァァァ!」


「ハァ……さっさと片付けますわよ……燃えてしまいなさい!」


ーボォォォォォォォォォ!


私は【無詠唱】で【地獄の業火(インフェルノ)】を発動し、目の前に広がる屍鬼(グール)の群れを燃やし尽くしましたの。


……本来なら聖職者の魔法で浄化するのが確実なのでしょうが、生憎私はその手の魔法が使えませんので。


『うわぁ……骨も残っておりませんわよ?』


「別に良いですわよね?……特に屍鬼(グール)はアンデット系に分類される魔物の中でも、一際凶暴な魔物ですし……」


私の頭に乗るメアこと"別の未来を歩んだ私 (鳥の姿) "が文句を言って来ましたが、これは無視ですわ!


『……にしても、まさかこういう方向に事が運ぶとは思いませんでしたわ……』


「そちらの未来では、こうならなかったんですの?」


『そもそも私が歩んだ道のりでは、こうもパーティーメンバーが全員無事ではありませんでしたから……前提条件から違っておりますわよ……』


なるほど……


ここまでメアの歩んだ道のりと乖離していては、メアの言葉はもうあまりアテになりませんわね……


まあ、これまでだって特にアテにしていませんでしたけども……


と、その時でしたわ。


「グルルルル……グギャオォォォォォン!」


「あれは……」


『……腐屍竜(ドラゴンゾンビ)、ですわね……』


屍鬼(グール)の後続として現れたのは、腐屍竜(ドラゴンゾンビ)と呼ばれる魔物でしたわ。


この腐屍竜(ドラゴンゾンビ)はその名の通り、ゾンビと化した(ドラゴン)なのですが……


「グギャオォォォォォン!」


「……かつて赤盾竜レッドシールドドラゴンと相対した経験のある私にしてみれば、かなり貧弱に見えますわね……」


赤盾竜レッドシールドドラゴンを含む(ドラゴン)の強みが何かと聞かれれば、私は強固な鱗と圧倒的な攻撃力を真っ先に挙げますわ!


文字通りどんな攻撃も通さない鱗と、どんな敵も一掃する攻撃力……


しかし、腐屍竜(ドラゴンゾンビ)にはその両方がありませんの。


『……腐りかけて剥がれ落ち、防御力も何もあったものではない鱗……同じく腐りかけて攻撃の反動だけで崩れ落ちそうな肉体……腐屍竜(ドラゴンゾンビ)(ドラゴン)の中では圧倒的な雑魚に分類されるのも当然ですわよ……』


「更にアンデット系の魔物であるが故に、(ドラゴン)が大なり小なり持ち合わせている筈の高い知性すら残っておりませんわ……」


あの飛翼竜(ワイバーン)ですら賢い獣程度の知性はあるというのに……おっと、考えが逸れましたわね。


「グギャオォォォォォン!」


「……とはいえ、腐屍竜(ドラゴンゾンビ)が無害という訳ではありませんわ。……何せ、この魔物は肉体が病原菌と呪毒の温床になっているケースが殆んどですものね……」


この個体はかなり小型ですが、このサイズでも肉体に病原菌と呪毒がびっしり詰まっている可能性が高いというのが腐屍竜(ドラゴンゾンビ)の厄介な点なのですわ。


……ま、それも近接戦闘の者が相手取る場合の話。


「何もさせずに燃やして滅菌ですわ!」


ーボォォォォォォォォォ!


「グギャオォ……」


ーゴォォォォォ……


……私はまたも【無詠唱】で【地獄の業火(インフェルノ)】を発動し、腐屍竜(ドラゴンゾンビ)を骨も残さずに一瞬で燃やし尽くしましたわ。


『……本当なら、もっと苦戦する相手ですわよね……』


「そう言われても、一瞬で燃やせるのですから仕方ないのですわ……」


どんな強敵でも、防御が疎かなら一瞬で勝負が決まってしまいますわね……


そうして改めて自身の力を再認識した私は、そのまま更なる後続の魔物を燃やし続けるのでしたわ……

ご読了ありがとうございます。


スネイラは、虎人族の里に勇者パーティーが入った=シトラスが見逃した判定なので、魔物には勇者パーティーが里に入ってから襲う様に伝えていました(※なお、里の住民は勇者への人質にする目的も兼ねて呪いを発動していません)。


気が向いたらいいね、ブックマーク登録してくれるとありがたいですが、あくまでも気が向いたらで大丈夫です。


後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。

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