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123.知識の代償

謹慎明け1発目です……


過去の描写との矛盾があれば言ってください。

(浅山 藤四郎視点)


「……なあ、茜の容態はどんな感じだ?」


ケールを発ってからどれだけ経ったかも分からなくなる程、何事もない日々が続いていた俺達の旅。


……その平穏は、突如として破られた。


「う~ん、何って言ったらええんか……」


「地味に悩むのじゃ……」


「一応、命に別状はないっすけど……」


「無視出来ない事もあったのデス……」


何の前触れもなく起こった爆発、その発生源は茜の部屋だった。


そして、当の茜本人は未だに意識を取り戻してねぇという……


「……で、無視出来ねぇ事ってのは何だ?」


「えっと……信じられへんかもしれんのやけど……」


「……アカネ(・・・)の左眼球が(・・・・・)綺麗さっぱり(・・・・・・)無くなって(・・・・・)()()()のじゃ……」


「……マジか……」


茜の左目が……無くなった?


つまりアレか?


眼球破裂を起こしたって事か?


「あっ……念のため言っておくっすけど、眼球破裂(・・・・)()()()()っすよ?」


「本当に、最初からそこ(・・・・・・)()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()……」


「……えっ……何がどうなってるんだ?」


茜の左眼球が消失した……


その事実はとても不可解で、1周回って冷静になれる程には理解が及ばなかった。


「……茜様、大丈夫ですニャンかね……」


「今は回復を信じるしかありませんわ……」


「何も出来ないのは苦しいですな……」


「……ほんと、僕はとことん役に立てませんね……」


「あまり卑屈になるべきではないとはいえ、ボクでもこれは……」


「俺チャンも同感っしょ……」


馬車内に、どんよりとした空気が漂っていた。


誰も茜の窮地に何も出来ず、ただ回復を祈る事しか出来ない……


……となれば、必然的に空気も重くなる。


「……茜に何があったのか、俺には分からねぇ……つっても、茜が普段から何を考えていたかすら分からねぇ俺が言っても仕方ねぇが……」


茜とは兄妹だが、多分お互いがどんな事を考えて日常を過ごしていたかなんて分からねぇだろう。


少なくとも、俺には分からなかった。


「まあ、実際の兄妹なんてそんなもんやよ……」


「……仮にそうだとしても、俺が気にしておくべきだった。……何せ、ここで茜が心の底から弱みを見せられる相手なんて皆無に等しいんだからな……」


茜は、常に明るく振る舞っていた。


ふざけている時も、真剣な時も……茜は本当の意味では弱みを見せていなかった。


「……ふむ、確かに思い返せば茜君は常に前向きだった様に見える。……もっとも、ボクの主観でしかないが……」


「俺チャンも前向きな茜チャンしか印象に残ってないっしょ……」


「僕も、です……」


……司、正義(ジャスティス)、兼人が口々にそう呟いた。


「ハァ……結局、茜は俺にすら本当の弱みを見せてくれなかったしな……」


「そこに関しては、藤四郎チャンを責められないっしょ。……実際、俺チャンも元の世界で兄貴に弱みなんて滅多に見せなかった訳で……」


「ん?……正義(ジャスティス)の兄貴?……これって初耳だっけか?」


「俺チャンも分からないっしょ。……皆と出会ってから何を話してて何を話してないか……最近はよく分からなくなるし……」


……駄目だな……


重要な情報はともかく、些細な話は何を話してて何を聞いてたか分からなくなってやがる……


「……とにかく、茜の身に何が起こったか分からねぇ以上は茜の回復を待つしか……」


不可解な事はあるものの、現状では何一つ分かる事がない。


なら、茜が目覚めるのを待つしか……


そう、思った時だった。


ーバタン!


「っ!?」


「今のは……アカネはんの部屋からや!」


「茜の!?……おい、何があっ……」


茜の部屋から鳴り響いた、思いっきり扉を開けた様な音。


思わず、そちらを見ると……


「ハァ……ハァ……ハァ……」


「あか……ね?」


扉を思いっきり開けたのは、やはりと言うべきか茜だった。


「あ~……今回は皆に心配かけちゃってごめん!……ちょっと最上級の神器出そうとしたら失敗しちゃったみたいで……あはは……」


そう言って明るく笑う茜は、左目を手で隠していた。


「茜、その目は……」


「うん、これね?……お兄ちゃんは、北欧神話の主神って知ってる?」


「ああ、知ってるが……」


「……北欧神話の主神、オーディンの逸話にもこんな感じの話があったよね?」


「確か、片目を泉に捧げた代わりに全知になったとかならなかったとか……って、まさか……」


元々、茜のスキルには北欧神話らしき要素があった。


流石に全ての神器に元ネタがあるってレベルではなかったが、【戦乙女(ワルキューレ)】というスキル名は勿論、【雷神の大槌】とかいうモロに北欧神話の雷神トールが元ネタの神器を見せられたらな……


って、そんな事はどうでも良い!


「あはは……【戦乙女(ワルキューレ)】の神器で1番強い武器を出したら、爆発した上に左目を持ってかれちゃった……ただ、その代わりに色んな知識が手に入った訳だけど……」


「代償がデカ過ぎるだろ……」


「まだ腕とか足に比べたら安い方だよ?……それと突然で何だけど、エルリスさんの商品に眼帯って有ったりしない?」


「あ、有るには有るんやけど……アカネはん、割り切りが良過ぎへんか?」


……うん、エルリスさんも茜にドン引いてる……


流石に割り切りが良過ぎるよな……


「割り切れなきゃやってけないからね。……好きな人のためなら、この程度……」


「……そこまで言うからには、代償に見合った成果はあったってところか?」


「そこは追々言おうかな?……取り敢えず、この先にある虎人族の(・・・・)()までは特に何も無さそうだし……」


「……やっぱり、まだ残っとる(・・・・)んか?」


「それはエルリスさん自身の目で確かめた方が良いかも。……とはいっても、あのシトラスちゃんが魔王軍に従ってる理由なんてそれ以外ないってエルリスさんも気付いてたんじゃない?……私は里そのものの存在を知らなかったから気付けなかったけど……」


「……せやな……」


……ん?


まさか茜、本当に全知になったのか!?


「あ、流石に全知じゃないよ?……そんな膨大な知識を観測しようものなら、私の脳がパンクして廃人になっちゃうし……」


「じゃあ……」


「あくまでも、私が知りたいと願った知識に限定されるかな?」


「……やっぱり代償デカ過ぎるって……」


……でもまあ、俺も人の事は言えねぇか……


俺だって惚れっぽい割に好きな人のために命を捨てようとした前科があるし……


「……茜チャンは本当に狂ってるっしょ……」


「狂ってても良いよ。……逆に、狂ってなきゃやってられないよ……」


「ハァ……それはそうと、知った情報について共有と対策を講じる必要があるっしょ……」


「あ~うん、それもそうだね……」


そうして俺達は茜が左目を代償にして得た情報を共有して貰いつつ、今後の作戦を立て始めたのだった……


……さて、この先どうなる事やら……

ご読了ありがとうございます。


書くのが久しぶりだからか、これまで以上にこれで良いのか感が……


気が向いたらいいね、ブックマーク登録してくれるとありがたいですが、あくまでも気が向いたらで大丈夫です。


後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。

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