117.ケール攻防戦 狼猿
殆んど読まれていませんが、更新します!
(ダルク・ルルペン視点)
「ろ、狼猿将軍 ルウフサザール……デスか?」
「お、おぞましいわぁ……」
「ルウフの亡骸を喰って強くなったのじゃ……」
見れば分かりマス。
"アレ"が先程までのルササとは別物だという事は……
実際……
「オイラ……本官……オイラ……本官……ゴフッ!」
ーポタポタポタ……
"ルウフサザールを名乗った何か"は私が注ぎ込んだ毒の影響で吐血しながら、ルササとしての自我が薄れていっていマシたから。
「……エルリス様、メサイア様……落ち着いて欲しいのデス。……見た目と強さこそ変わりマシたが、既に私の毒は奴の体を蝕んでいマス。……恐らく、そこまで長くは生きられないデショう……」
私は、2人を落ち着かせるためにそう告げマシた。
しかし……
「いつまでや?」
「え?」
「……長くは生きられんっちゅうても、その間に暴れられたら終わりや……」
「……で、どうなのじゃ?」
ああ、確かにそれもそうデスね……
「……長くても1日、デスが恐らく数時間もあれば死ぬ筈デス……」
「ほな、それまで頑張らなあかんのか……」
「或いは、倒してしまうというのも手じゃが……」
……"アレ"を倒すのがどれだけ困難か、私達は嫌でも分かってしまいマシた。
と、その時デシた。
「グルッキィィィィィィィィィィィ!」
「「「っ!?」」」
突然、"ルウフサザールを名乗る何か"……いえ、もう面倒なのでルウフサザールと呼称しマショう。
とにかく、ルウフサザールが突然大声で叫んだかと思うと……
「総員に告グルッキィィィィ!……ゴフッ!……今すぐ、オイラの前に居る奴等を排除するグルッキィィィィィィィィィィィ!」
ーポタポタポタ……
「「「っ!?」」」
今、ルウフサザールは何を言ったのデショう。
まさか、ルウフの能力を得た訳じゃ……
そう考えを巡らせていた直後の事デシた。
ードドドドド……
「「「「「ワオォォォォォン!」」」」」
「「「「「ゴボォォォォォ!」」」」」
「「「「「フシュゥゥゥ~!」」」」」
「「「「「ブクブクブクブク……」」」」」
「「「「「フシュ~!……フシュ~!……」」」」」
ケール全体に散らばっていた筈の魔物達が、一斉に私達のもとへと走って来たのデス。
「えっと……これ、どうしマス?」
「に、逃げるかのう?」
「いや、それしたらあの魔物の大群引き連れてケール全体を走り回る羽目になるで?」
「「………………」」
もう魔物がここに到着するまで時間がありマセん。
……いくら他の皆様方に何割かが倒されているとはいえ、あの魔物の大群はどうにも……
そう思った直後デシた。
「あら、碌な統制もないまま一塊になってくれるなんてありがたいですわね。……燃えてしまいなさい!」
ーボォォォォォォォォォォォ!
突如として聞き覚えのある声がしたと思えば、その直後に魔物の大群は業火に包まれていたのデシた。
「め、メアリー様!?」
「ふふふ、魔物の統制がなっておりませんわ。……先程までは私の魔法で一網打尽にされない布陣で戦っていたというのに、急に統率を失ったかと思えば1ヶ所に集中して走り出す……こんなの、狙ってくださいと言っている様なものではないですの?」
ーボォォォォォォォォォォォ!
その声の主はメアリー様デシた。
彼女は魔物の統率が上手く行っていないのを指摘しながら、私達のもとへと走って来ていた魔物達を軒並み燃やし尽くしたのデス。
「や、やっぱ凄いわぁ……」
「うおっ!?……狭い道で詰まった魔物の大群が燃やされて……って、建物には延焼しとらんのじゃ!」
「今の私ともなれば、燃やす物を選別する位は容易いですわ!」
「……や、ヤバいのじゃ……」
危惧していた魔物の大群は、どんどんメアリー様によって燃やされていきマシた。
……やはり、ルウフサザールにルウフと同じ指揮は出来なかった訳デスか……
「ゴフッ!……ぐぬぬ……だったら、オイラ……いや、本官……ええい!……ともかく1人で倒してやるグルッキィィィィィィィィィィィ!」
ーブンブン……ブンッ
「させませんぞ!」
ードシィィィィィィ~ン!
「ろ、ロウル様!?」
ルウフサザールは私達に棒を振りかぶって襲いかかりマシたが、その攻撃はロウル様の大盾によって防がれマシた。
「いやはや、急に魔物達が動きを変えて倒しやすくなりましたので、急いでやって来ましたぞ!」
「ロウルはん、ありがとさんや!」
「いえいえ。……ところで、こ奴はいったい……」
「せやな~……簡単に言うたら、毒注ぎ込まれて追い詰められた末にルウフの亡骸を喰ってパワーアップしたルササの成れの果てってところやな……」
「ほう……ですが、見た限り自我すらもうハッキリしていないご様子ですな……」
「そうデスね……」
ふむ、まさかルウフサザールの魔物召集が良い方に傾くとは……
しかし、この後はどうしマショう……
と思っていると……
「ダレスさん!ダルクさん!……無事か!?」
「おや、トウシロウ様……あ、そうデス!」
せっかく増援が来たんデス。
あれを頼まなくては!
「ん?」
「マスターを頼みマス!……一応、瀕死の重体デス!」
「ハァ!?……わ、分かった!」
「……ダルク様も充分厳しそうですニャンよ?」
ああ、確かに……
デスが、それが何デス!
「私はまだ……やれマス!」
「グルッキィィィィィィィィィィィ!」
ーブンッ!ドシン!ブンッ!ドシン!
「ぐっ……ですが、ミノガルの攻撃に比べればまだまだですな!」
「……ロウル様1人に任せる訳には行きマセん……」
少し離れた場所では、メアリー様が魔物や追いかけて来たラビリンス分身体を燃やしまくっていマス。
……ならば、私も戦うべきデス。
「ゴフッ!……どうして……どうしてオイ……本……が劣勢なんだグルッキィィィィィィィィィィィ!」
「……お前が表面だけの猿真似しか出来ない存在だからデスよ。……タブルドを真似ても掠り傷を負う、ミノガルを真似ても私すら倒せない、挙げ句の果てにルウフのスキルを得ても碌に使いこなせていない……本来、他者の能力を模倣する者は本物と同じ位の効果を発揮させるか、模倣した複数の能力を上手く掛け合わせて使うものデス。……だというのに、お前は本物以下の効果しか出せず、掛け合わせもお粗末……結局、スキルと頭が足りなかったんデスよ……」
「煩いグルッキィィィィィィィィィィィ!」
ーブンッ!ブンッ!ブンッ!ブンッ!
もはや、ルウフサザールの攻撃は空を切り続けていマシた。
……これは、思った以上に限界が早かったデスね。
「では、トドメは私がしマショう……」
ークネクネクネ……シュッ!シュッ!シュッ!
「馬鹿にするなグルッキィィィィィィィィィィィ!」
ーザシュ!ザシュ!ザシュ!ザシュ!ザシュ!
ルウフサザールは模倣すら上手く発動出来なくなったのか、私の蛸足巨大蟹ハサミによる攻撃はアッサリ過ぎる程簡単に通りマシた。
「……お前は、もう1人の私だったのデショう。……生まれに恵まれず、頭も足りなければ……私は貴方の様になっていたかもしれないのデスから……」
「う、煩いグルッキィィィィィィィィィィィ!……ゴフッ!……お前にオイ……本……の何が分かるグルッキィィィィィィィィィィィ!」
ーポタポタポタポタポタポタ……
「何も分かりマセんよ。……デスが、私と似た様な能力を持ち、それを上手く活かせなかった事だけは分かりマス……」
ーザシュ!ザシュ!ザシュ!ザシュ!ザシュ!
「ゴフッ!ゴフッ!……お前……絶対に許さないグルッキィィィ……」
ーポタポタポタポタポタポタポタポタポタ……
「……もう諦めるのデス。……先程から私が攻撃と共に注ぎ込み続けている毒は致死量を超えマシた。……もう、死んでいるも同然デスよ?」
恐らく、こいつが今の今まで殺されなかったのは中途半端でも攻撃力と防御力が優れていたから……
デスが私の蛸足はその攻撃を掻い潜り、掠り傷から大量の猛毒を注ぎ込めた……
要は、相性が良かった訳デス。
「許さん……許さ……ゆ……る……まだ……死にたく……ない……グル……キィィ……」
ーフラッ……ドシィィィン!
「……死にたくない、デスか……この1年で数多の集落を破壊したお前が言いマスか……」
……結局、ルウフサザールは何も果たせぬまま、私が注ぎ込んだ猛毒で命を落としマシた。
何処まで行っても小物……
私からルウフサザール……いえ、ルササに抱いた最終的な印象は、これに尽きるのデシた。
ご読了ありがとうございます。
ルササ、結局誰かの猿真似をするしか能がない、何処まで行っても小物にしかなれなかった存在でした。
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後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。