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116.ケール攻防戦 白猿

普段より、少しだけ文字数多めです。

(ダルク・ルルペン視点)


「……これは……」


「ケッ!……ルウフの奴、死にやがったッキィィ……」


向こうで繰り広げられていた、マスターとルウフの勝負に決着が着きマシた。


……結果はマスターの勝利。


ただし、マスターが辛うじて生きているだけで相討ちに近いデスが。


「……となると、こちらも早く決着を着けるべきデスね……」


「ハァ……これだからルウフは馬鹿なんッキィィ!……ルウフはオイラと違って個の力では他の将軍より何段も劣るのに、わざわざ一騎打ちなんかするから……」


……やはり、ルウフは他の将軍より何段も弱かったのデスね……


まあ、そうでなければマスターが1人で勝てる訳ないんデスが。


「……出来れば、こちらも弱い相手であって欲しかったデスね……」


「生憎、オイラは普通に強いッキィィィィ!……しかも、今はタブルドとミノガルの力を【猿真似】で真似てるから無敵だッキィィィィ!」


……ルササの言葉に嘘はないデショう。


絶対的な防御力と、圧倒的な攻撃力……


見た目こそ脳筋染みたムキムキマッチョな白い猿人デスが、アレにダメージを与えられる光景が想像が出来マセんから……


「……タブルドとミノガルを倒した方法を真似るのも厳しいデスし……やはり、魔王軍幹部は理不尽としか言い様がありマセんね……」


「お前がそれ言うッキィィ?」


……まあ、私だって自分が理不尽な存在だという自覚はありマス。


デスが、それはそれとして……


「……魔王軍幹部は、魔王によって作り出された当初から理不尽な能力を持っていマス。……私ですら、マスターに作られた当初は非力だったというのに……」


私は所詮、マスターの思いつきで開発された存在でしかありマセん。


一応、幾つかの魔物のデータはありマシたが……それでも、非力だったと言わざるを得ないデショう。


「ふん!……そりゃ、魔王軍幹部はお前達とは違うに決まってるッキィィィィ!」


「ええ、そうデショう。……デスが、同時に欠点もありマス……」


「……何が言いたいッキィィ?」


タブルドは知能の低さ、ミノガルとバーバは自身の高い実力から来る(おご)り、チューグロスとルウフは本体の実力の低さ、フェニルムは怠け癖……


今代の魔王によって作り出された魔王軍幹部には、何かしらの欠点が存在している事が確認されていマス。


そして、当然ルササにも……


「ルササ……お前もミノガルやバーバと同じく、高い実力による驕りが見えマス……だからこそ、そこに付け入る隙があるんデスよ……」


正面から正々堂々勝負して勝てる相手ではないのは百も承知デス。


なので、少し卑怯な手を使いマス。


「……お前、いったい何をするつもりッキィィ?」


「すぐに分かりマスよ。……デスが、薄々分かってるのではないデスか?」


「な、何を……」


「お前、私の話を(・・・・)聞いてる(・・・・)場合なんデスか(・・・・・・・)?」


「っ!?」


やはり、ルササも驕りがあったのデショう。


だからって、自身が優位に立っている状態で敵の話を呑気に聞くなんて愚かとしか言えマセんが。


「おや、今更デスか……」


「う、煩いッキィィィィ~!」


ーブンブンブンブンブン!


ルササはすぐさま棒の様な武器を振り回しながら襲って来ましたが、時既に遅しデス。


「見つけたで~!」


ーシュッ!……ペタッ!


「ッキィィ!?……な、何だッキィィ!?」


突然、声と共に縦長の札がルササの顔に物凄い勢いで張り付きました。


そして……


「"雷札"、起動や!」


ービリビリビリビリビリビリビリビリ!


「【光の矢(ライトニングアロー)】じゃ!」


ーヒュンヒュンヒュン!


「ッキィィィィィィィィィィ~!?」


ーボン!ボン!ボン!


札を起点に電撃が発生し、それと時を同じくして光の矢がルササに着弾しマシた。


ちなみに、その攻撃を行った人物は……


「ダルクはん、無事かいな!」


「うおっ!?……ダレスの奴、ルウフと相討ちになったようじゃが辛うじて生きているのじゃ……」


……エルリス様とメサイア様デシた。


「……ルウフによる魔物の統率がなくなった今、時間を稼げば誰かしら助太刀に来るかと思っていマシたが……まさか、エルリス様とメサイア様に来ていただけるとは……」


「ほんま、面倒な事になっとったけど……ルウフの統率が切れた魔物が急に結束を失なったさかい、他の者に任せてここに来れたんや!」


「……にしても、いくら集団戦メインで他の将軍より個の実力が何段か劣るとはいえ、まさかルウフを単身で倒すとは……信じられないのじゃ……」


「まぁ、ほぼ相討ちデスけどね……」


ああ、それにしてもまさかエルリス様とメサイア様が助太刀に来てくれるとは……


私、ここで死んでも良いかもしれマセん……


と、このタイミングで……


「ッキィィィィィィィィィ~!……オイラを無視すんじゃないッキィィィィ~!」


電撃と猛攻を凌ぎ切ったルササが、私達に声をかけて来マシた。


もっとも……


「ん?……えらい時間かかったなぁ?」


「本当じゃのう……」


「やはり、デスか……」


スキル名を聞いた時から薄々感じていマシたが、やはりこれは……


「な、何だッキィィ!」


「お前、もしかしなくても……スキルを完全に模倣(コピー)出来ていマセんね?」


「な、何を言ってるッキィィ!」


「……一見すると平気そうデスが、その肉体には確かに疲労と……軽微なダメージが見られマス……」


そう語る私の視界に写ったルササの肉体には、軽い掠り傷と火傷が幾つもありマシた。


「ふ~ん……ウチの記憶が確かやと、ルササのスキルは【猿真似】って名前やったよなぁ?」


「なるほどのう……所詮は猿真似、本物には遠く及ばぬという訳じゃな?」


「ッキ……キィィ……」


ルササは図星を突かれらしく、悔しそうな表情を浮かべマシた。


「……っちゅうても、不意打ちの攻撃であの程度のダメージなんはキツいわ~……」


「これは……厳しいのう……」


ダメージを与えられたとは言っても、軽微な掠り傷と火傷のみ……


本来であれば、絶望そのものデショう。


しかし……


「……やりマショう!」


「「っ!」」


「一撃一撃は軽微なダメージでも、蓄積させれば致命傷にだって届きマス!」


希望はあるのデス!


なら、やらなければ……


そう思った瞬間デシた。


「ッキィィ……オイラを傷付けたからって……調子に乗るなッキィィィィィィィィィィィィィ~!」


ーブンブンブンブンブン……ブン!


激情したルササが棒を振るい、こちらに勝負を仕掛けて来マシた。


「まだまだデス!」


ークネクネクネ……シュッ!シュッ!シュッ!


私は背中から、メタルクラブの鋏が付いた巨大蛸足を8本生成してルササに攻撃を仕掛けマシた。


「効かんッキィィィィ!」


ーボヨンボヨンボヨン


「やはり、そう簡単には行きマセんか……ならば!」


「分かっとる!……"雷札"や!」


「2度も同じ手には引っ掛からないッキィィィィ!」


ーブンブンブン!


ルササはエルリス様の雷札を棒で振り払いつつ、私の猛攻を凌ぎマシた。


……恐らく、ルササの【猿真似】は本物より劣化した状態で模倣(コピー)されマス。


言わば、他者のスキルをうわべだけそれっぽく真似するだけのスキル……


なので完全にダメージを打ち消せず、攻撃力も私と互角……


となると……


「ハァ……そういえば、お前はこれまでの出現記録において、常にルウフと行動を共にして虐殺を行っていマスね?」


「それがどうしたッキィィ!?」


「いえ、ふと思ったのデス。……恐らく、お前達はお互いの欠点を埋め合っていたのだと……」


ルウフは集団戦に強く、個人戦に弱い。


逆にルササは個人戦に強いデスが、手数で攻められると何も出来なくなっている……


それをお互いに埋め合っていたのデショう。


「だから、何を言ってるッキィィィィ!」


「すぐに分かりマスよ……」


当然、ルササは激情しマス。


……が、


「……ゴフッ!……ッキィィ!?」


ーポタポタ……


突然、ルササが吐血したのデス。


「おや、もうデスか……」


「な、何を言ってるッキィィ!?」


「私の能力は魔物の特性を再現する事デスよ?……どうして私が毒持ちの魔物を再現してないと思ったんデスか?」


「なっ……い、いつの間に……ゴフッ!」


ーポタポタ……


傷を付けるまでは難しかったデスが、1度傷さえ付けてしまえば後は簡単デシた。


攻撃をするついでに、掠り傷から数種類の猛毒を注ぎ込めば良いんデスから。


「さて、そういう訳でそろそろトドメを……」


終わってしまえば拍子抜け。


この程度で魔王軍幹部なんて片腹痛いデスね。


なんて思いながらルササに近付いていると……


「……なんッキィィ……」


「ん?」


「……オイラはまだ、死なんッキィィィィィィ!」


ータッタッタ!


「「「っ!?」」」


突然、ルササがルウフの亡骸がある場所に敗走し始めたのデス。


その直後……


「ルウフゥゥゥゥゥゥ!……お前の魔力、オイラに寄越せッキィィィィィィィィィィィィィィ~!」


ーガブッ!……クチャクチャ!……バリボリ……


ルウフの亡骸を、ルササが貪り始めたのデス。


「な、何や!?」


「狂ったのじゃ!?」


「……いや、違うのデス!」


ルササがルウフの亡骸を貪り終え、こちらを振り向くと、そこに先程までのルササは居マセんデシた。


そこに居たのは……


「オイラ……本官……いや、オイラは……"狼猿将軍(・・・・) ルウフ(・・・)サザール(・・・・)"だグルッキィィィィィィィィィィィ~!」


……ルウフが被っていた帽子を被り、ルウフの頭部の毛皮を頭から被ったルササ……いや、"ルウフサザールを名乗る何か"だったのデシた……

ご読了ありがとうございます。


ルササがルウフの亡骸を吸収して強化する方向にしました。


気が向いたらいいね、ブックマーク登録してくれるとありがたいですが、あくまでも気が向いたらで大丈夫です。


後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。

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